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審決分類 審判    L4
管理番号 1165669 
審判番号 無効2007-880003
総通号数 95 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2007-11-30 
種別 無効の審決 
審判請求日 2007-01-17 
確定日 2007-09-03 
意匠に係る物品 ドリフトピン 
事件の表示 上記当事者間の登録第1178765号「ドリフトピン」の意匠登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第1178765号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 第1.請求の趣旨及び理由
請求人は、結論同旨の審決を求めると申立、その理由として請求書の記載のとおり主張し、甲第1号証ないし甲第3号証を提出した。その要旨は以下に示すとおりである。
(1)本件登録意匠は、その出願前に国内において頒布された実公平3-33427号公報(甲第1号証)の第3図に記載された「テーパーピン」の意匠及び特開2001-48486号公報(甲第2号証)の第2図、第3図、第4図に記載された「テーパーピン」の意匠と類似するものであるから、意匠法第3条第1項第3号の規定により意匠登録を受けることができないものであり、同法48条第1項第1号により、その意匠登録を無効とすべきである。
(2)本件登録意匠は、その出願前に国内において頒布された株式会社ニチワのカタログ「’99年改訂版」(甲第3号証)の表紙に記載された「センターピン」の意匠に類似するものであり、また、これら日本国内において広く知られた形状等に基づいて当業者が容易に創作することができたものであることから、意匠法第3条第1項第3号及び同条第2項の規定により意匠登録を受けることができないものであり、同法48条第1号により、その意匠登録を無効とすべきである。
(3)本件登録意匠と各甲号証の意匠との対比
意匠に係る物品については、本件登録意匠と各甲号証の意匠共に、建築、橋架等の部材接合部に重合される貫通孔(ボルト孔)を同心状に整合するために使用されるピンであり、更に詳しくは、ボルト施工時、部材同士の孔合せの段階で、部材接合部の貫通孔に同ピンを挿入し、レンチや金槌等で前記突部を打撃することにより、貫通孔内にテーパー部が強制的に圧入されて各孔を同心状に整合せしめる機能を有することから、これらは「ドリフトピン」「テーパピン」「センターピン」とそれぞれ名称は異なるものの、用途及び機能が同じであることから、両者は同一物品である(物品の共通)。
両意匠の形態については、以下の共通点及び差異点が認められる。
〔共通点〕
本件登録意匠と各甲号証の意匠とは、大径で円柱状のフラット部と、該フラット部より遠ざかる方向に縮径するテーパー部と、該テーパー部の縮径側に連設され表面にネジ模様が形成された棒状のネジ部とで構成されている点で共通している。
〔差異点〕
本件登録意匠は、前記ネジ部及びフラット部の遊端側に小径で平面矩形状の突部が突設されているのに対し、各甲号証は、ネジ部の遊端側に斯かる突部が突設されていない点で相違している。
また、更に詳しく観察すれば、この突部の表面に現出する線模様にも若干の差異が見られる。
(4)差異点の検討
まず、両意匠の共通点は、両意匠の形態全体の骨格をなすと共に、形態全体に係わるものであるから、看者に強い共通感を与えるものであり、両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きいものである。
これに対し、差異点は、形態全体として観察した場合、ネジ部の遊端に突設された突部は、意匠全体から見れば、部分的、かつ、小さいものであり、微弱なものであって、類否判断に及ぼす影響は小さいものである。
従って、両意匠は、意匠に係る物品が共通し、形態について、共通点が類否判断に大きな影響を及ぼすのに対して、差異点は、いずれも微弱なものであって、それらの相俟った視覚効果を考慮しても、両意匠の共通感を凌駕するものとはいえないから、本件登録意匠は、甲第1号証ないし第3号証に類似するものである。
(5)むすび
従って、本件登録意匠は、甲第1ないし甲第3号証に記載された意匠に類似するものであり、また、これら日本国内において広く知られた形状等に基づいて当業者が容易に創作することができたものであることから、意匠法第3条第1項第3号若及び同条第2項の規定により意匠登録を受けることができないものであり、本件登録意匠は同法第48条第1項第1号の規定により無効とすべきである。
第2.被請求人の答弁
被請求人に対して、期間を指定して答弁書の提出を求めたが、その期間を経過しても被請求人からは、何ら応答がなかったものである。
第3.当審の判断
1.本件登録意匠
本件登録意匠は、登録原簿によれば平成14年11月1日の意匠登録出願に係り、平成15年5月16日設定の登録がなされたものであって、意匠に係る物品を「ドリフトピン」とし、その形態は、願書に添付した図面に記載されたとおりものである(別紙1参照)。
2.甲号意匠
甲号意匠は、甲第2号証の特許庁が発行した特開2001-48486号公報(発行日、平成13年2月20日)所載、第2図及び第3図に表された符号11「テーパピン」の意匠であって、その形態は、当該明細書の記載及びその図面に表されたとおりのものである(別紙2参照)。
3.本件登録意匠と甲号意匠との対比
そこで、本件登録意匠と甲号意匠とを比較すると、両意匠は意匠に係る物品について、構造部材同士の孔合せの段階で、部材接合部の貫通孔に挿入し、各孔を同心状に整合せしめるためのものであるから共通し、その形態については主として以下の共通点及び差異点が認められる。
すなわち、両意匠は、共通点として、
(1)直径に対する全体の長さを概ね10ないし12倍程とした丸棒状体において、片側一方ほぼ半分を、僅かに小径としたネジ部とし、他方大径部側について、その内側(ネジ部側)に、ネジ部との径差を解消して繋ぐやや長いテーパ部を設け、外側端部には、短い小径部(以下、この部分を「小径頭部」という。)を設け、残余の円柱状部分の長さは、全長の概ね3割ほどとしたものである点、
(2)小径頭部は、ネジ部の外径幅とほぼ同じ正面視外形幅とし、長さはその1/2ほどとしたものであり、テーパ部の長さについては、ネジ部の径の概ね2倍程とした点、がある。
次に、主な差異点として、
(ア)ネジ部側について、甲号意匠は、ネジ山を三角ネジ状とし、先端までネジを設けているのに対して、本件登録意匠は、ネジ山を角ネジ状とし、先端近傍にネジ山を設けない短円柱状部を設け、ネジ部の長さを甲号意匠よりやや短くした点、
(イ)テーパ部の円柱状部分に対する長さについて、甲号意匠は、1/3弱としているのに対して、本件登録意匠は、1/2ほどとしている点、
(ウ)小径頭部について、甲号意匠は、周面形状が不明確であるのに対して、本件登録意匠は、短円柱状としている点、
がある。
4.当審の判断
そこで、両意匠を意匠全体として観察し、上記共通点及び差異点の類否判断(類似するか否かの結論)に及ぼす影響について検討する。
まず、共通点について、(1)の点については、意匠全体の骨格を形成し、訴求力の強い共通した視覚的まとまりを形成するものであるから、類否判断に大きな影響を及ぼすものであり、(2)の小径頭部の大きさ、及び、テーパ部の長さに関する点は、共通感を更に強めるものであり、これら(1)及び(2)の共通点に係る構成態様は、相まって共通した基調を形成するものであるから、類否判断に極めて大きな影響を及ぼすものである。
これに対して、両意匠の差異点は、意匠全体として観察した場合においては何れも微弱であり、類否判断に及ぼす影響は僅かである。
すなわち、(ア)の差異点について、ネジ山形状の差異については、細長いものの断面形状に相当する細部形状に関するものであり、また、甲号意匠における三角ネジ、本件登録意匠における角ネジは、何れも周知のもので、甲号意匠の記載された文献の同じ頁には、甲号意匠と共に角ネジ状としたものが図6及び図7として同時に記載されているように(別紙2参照)、この種意匠の分野において両ネジ形状は必要に応じて適宜任意に選択される程度のものであるから、格別着目されるほどのものではなく、また、本件登録意匠における短円柱状部については、ネジ先端部の限られた部位における細部に関するもので、ネジ部の長さは全体の長さの「ほぼ半分」としていることには変わりがなく、意匠全体からみれば微弱なものであるから、これらの差異は何れも類否判断に及ぼす影響は僅かにすぎない。
(イ)の差異点について、本件登録意匠のテーパ部は甲号意匠より長いとしても、円柱状部に対してはかなり短くしているのには変わりがなく、意匠全体としてみた場合、各部の長短関係、すなわち、ネジ部>円柱状部>テーパ部>小径頭部、の関係は共通しており、これら各部の長短ないし大小関係の共通点により生ずる共通感に吸収されてしまう程度の微弱な差異にすぎず、この差異は類否判断に及ぼす影響は僅かにすぎない。
(ウ)の差異点について、甲号意匠の小径頭部における具体的形状が明確でないとしても、共通点(2)の「ネジ部の外径幅とほぼ同じ正面視外形幅とし、長さはその1/2ほど」としていることから、視覚的に認識される本件登録意匠との大きさにさほど差が生じないものと認められ、その存在により生ずる共通感の方が優ってり、類否判断に及ぼす影響は僅かにすぎない。
このように、両意匠は意匠に係る物品が共通し、形態について、(1)及び(2)の共通点に係る構成態様を併せ持った点は、類否判断に大きな影響を及ぼすものであるのに対して、(ア)ないし(ウ)における差異点は、何れも微弱なもので類否判断に及ぼす影響は僅かにすぎず、また、これら差異点に係る構成態様が相まって生じさせる視覚的効果を総合したとしても、意匠全体として観察した場合には、(1)及び(2)の共通点に係る構成態様が形成する意匠全体の共通した基調に吸収されてしまう程度のもので、別異の視覚的まとまりを形成するまでに至っているとは到底いえないものであるから、結局、本願意匠は、甲号意匠に類似するといわざるを得ないものである。
5.むすび
以上のとおり、本件登録意匠は、その出願前に頒布された刊行物に記載された甲号意匠に類似するものであるから、意匠法第3条第1項第3号の意匠に該当し、同条同項の規定に違反して登録されたものであって、甲第1号証に記載された意匠、及び、甲第3号証に記載された意匠に類似するか否か、また、意匠法第3条第2項の規定に該当するか否かを検討するまでもなく、その登録は、意匠法第48条第1項第1号の規定によって、無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審理終結日 2007-07-04 
結審通知日 2007-07-09 
審決日 2007-07-24 
出願番号 意願2002-29986(D2002-29986) 
審決分類 D 1 113・ 113- Z (L4)
最終処分 成立 
前審関与審査官 遠藤 行久 
特許庁審判長 藤 正明
特許庁審判官 山崎 裕造
市村 節子
登録日 2003-05-16 
登録番号 意匠登録第1178765号(D1178765) 
代理人 佐々木 功 
代理人 川村 恭子 
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