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審決分類 |
審判 査定不服 意9条先願 取り消して登録 H7 |
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管理番号 | 1192207 |
審判番号 | 不服2008-12718 |
総通号数 | 111 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2009-03-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2008-05-19 |
確定日 | 2009-01-06 |
意匠に係る物品 | 携帯電話機 |
事件の表示 | 意願2007- 6180「携帯電話機」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
本願は、2006年9月12日のフィンランドへの出願を基礎にパリ条約による優先権を主張する、平成19年3月9日の意匠登録出願であり、本願意匠は、願書及び願書添付の図面によれば、意匠に係る物品を「携帯電話機」とし、その形態は、願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりのものである(別紙第1参照)。 原審において、拒絶の理由として引用された意匠は、本願意匠の出願前に出願された意匠登録第1296574号の意匠であって、その形態は、願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりのものである(別紙第2参照)。 本願意匠と引用意匠とは、(A)蓋部と本体部とを隅丸矩形の厚板状とし、蓋部の凸設部を本体部の凸設部により挟みヒンジ状に連結した二つ折りタイプとした基本的構成態様において共通し、具体的態様において、(B)蓋部は本体部よりも厚さがやや薄く、長さがやや短いもので、(C)蓋部の外側表面に縦長の隅丸矩形状枠部を設け、枠内の上端にカメラレンズ、略中央に略矩形状サブ表示部を配し、(D)開蓋状態において、蓋部内側やや下寄りに矩形状ディスプレイ部を、(E)本体部内側に上下2分割し隅丸矩形枠で囲まれた操作部を配し、上方区画部に隅丸四角形状カーソルキーを設け、下方区画部を格子状に分割しその内側に隅丸矩形キーを設けた態様において共通する。 一方、両意匠は、具体的態様において、(a)本願意匠は蓋部と本体部の長さの差が僅かで、本体部は側面視ほぼストレートで、閉じた状態でごく僅かに蓋部から本体部の先端があらわれるのに対し、引用意匠の蓋部は本体部よりも短く、先端が薄く形成され、閉じた状態において側面視やや内側に湾曲した本体部先端が蓋部から大きくあらわれる点、(b)ヒンジ部において、本願意匠は両角部で蓋部と本体部が円弧状に区画され、開蓋時にヒンジ部が本体側にアーチ状の隆起部としてあらわれるのに対し、引用意匠は、両角部において蓋部と本体部の区画部が略水平であり、開蓋時はヒンジ部が略水平の隆起部としてあらわれる点、(c)蓋部表面の縦長隅丸矩形状枠部について、本願意匠は2本の太線に囲まれた幅広枠とそれを囲む細枠から成り、ヒンジ部両端の延長線上に枠部上端部を配し、レンズを枠内中央上部に設けたのに対し、引用意匠は3つの細幅枠から成り、枠部上端部がヒンジ用凸設部内に入り込んだ位置で、レンズを枠内上部左隅部に設けた点、(d)蓋部内側について、本願意匠は2重の略隅丸矩形枠内にディスプレイ部を配したのに対し、引用意匠はヒンジ用凸設部を起点とした略逆U字状枠内にディスプレイ部を配した点、(e)本体部内側操作部について、本願意匠はカーソルキーを隅丸略正方形としその外側に枠部を設けたのに対し、引用意匠はカーソルキーを隅丸略横長長方形としその内側に枠部を設けた点、(f)本体部外側について、本願意匠は上方に水平帯状区画部を配し、平面部に区画部がないのに対し、引用意匠は上端から下方にかけて連続する略U字帯状区画部を配し、平面部のU字状区画部端部に矩形状の継ぎ目を有する点、に差異が認められる。 両意匠の共通点と差異点とを比較すると、両意匠は基本的構成態様(A)に加え、共通点(B)蓋部の本体部に対する厚み及び長さ、共通点(C)蓋部表面の縦長隅丸矩形状枠部、共通点(D)内側のディスプレイ、共通点(E)操作部の具体的態様においても共通する点がみられ、一定の共通した美感を有するものの、各部の具体的態様において差異点が多く見られるため、それらを総合し意匠全体として観察した場合には、差異点が相まって奏する意匠的効果は両意匠の共通点を上回ると言わざるをえない。 すなわち、厚板状の蓋部と本体部を、ヒンジを介し連結した態様及び各表示部、操作部等の配置態様における共通点は両意匠の骨格を形成するものであるが、二つ折りタイプの携帯電話機において一般的な態様であり、また、蓋部の本体部に対する厚み及び長さ、蓋部表面の縦長隅丸矩形状枠部、内側のディスプレイ、操作部各部の共通点は、概括的な共通性で、より具体的な態様は異なるため、すべての差異点を総合し比較した場合には、共通点が類否判断に与える影響は限定的である。 これに対し、両意匠の蓋部と本体部についての差異は、本願意匠は蓋部と本体部の長さの差が僅かで、2枚の板状体から形成されているとの印象を与えるのに対し、引用意匠は蓋部が短くかつ本体部が内側に湾曲していることから、本体部が受け皿状との印象を与え、この差異は、看者の注意を惹くものである。さらに、両意匠はヒンジ部及び蓋部表面における差異が顕著であり、これに加えて、ディスプレイ部、操作部、本体部外側等、各部の具体的構成態様において差異点が多く見られるため、すべての差異点を総合し意匠全体として観察した場合には、差異点が共通点を上回り、本願意匠と引用意匠とでは美感が異なり、類似しないものと認められる。 したがって、この意匠登録出願の意匠は、最先の意匠登録出願人に係る意匠法第9条第1項の意匠に該当せず、同条の規定により意匠登録を受けることができないとする、原審の拒絶理由により本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論の通り審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2008-12-10 |
出願番号 | 意願2007-6180(D2007-6180) |
審決分類 |
D
1
8・
4-
WY
(H7)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 北代 真一 |
特許庁審判長 |
梅澤 修 |
特許庁審判官 |
樋田 敏恵 並木 文子 |
登録日 | 2009-02-20 |
登録番号 | 意匠登録第1353599号(D1353599) |
代理人 | 川崎 典子 |
代理人 | 鶴田 準一 |
代理人 | 青木 篤 |
代理人 | 水野 みな子 |