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審決分類 審判    B5
管理番号 1192225 
審判番号 無効2006-88017
総通号数 111 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2009-03-27 
種別 無効の審決 
審判請求日 2006-09-22 
確定日 2009-01-15 
意匠に係る物品 短靴 
事件の表示 上記当事者間の登録第1269223号「短靴」の意匠登録無効審判事件についてされた平成19年(2007年)7月19日付け審決に対し、知的財産高等裁判所において審決取消の判決(平成19(行ケ)年第10402号、平成20年5月28日判決言渡)があったので、さらに審理のうえ、次のとおり審決する。  
結論 登録第1269223号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 1.本件登録意匠

本件登録意匠は、平成17年(2005年)9月6日の意匠登録出願に係り、平成18年(2006年)3月10日に設定の登録がされた意匠登録第1269223号(以下、「本件意匠登録」という。)の意匠であって、願書の記載によれば、意匠に係る物品が「短靴」であり、その「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」(以下、「形態」という。)が願書の記載及び願書に添付した図面の記載に表されたとおりであって、実線で表した部分について部分意匠として意匠登録を受けたものである。(別紙第1参照)


2.経緯

本件審判請求人は、平成18年(2006年)9月22日に、結論同旨の審決を求め、無効理由として、次項のとおり主張し、証拠方法として甲第1号証の1ないし2、及び、甲第2ないし6号証の書証を提出し、本件意匠登録の無効審判を請求したが、原審決は、平成19年(2007年)7月19日に審判の請求は成り立たない旨の審決をした(原審決において、類否判断のための資料として公知意匠(1)ないし公知意匠(13)を提示した。)。
請求人は、同原審決を不服として、平成19年(2007年)11月29日に知的財産高等裁判所に訴えを提起したところ、同裁判所は、平成19年(行ケ)第10402号として審理し、平成20年(2008年)5月28日に原審決を取り消す旨の判決を言い渡し、同判決が確定した。


3.請求人主張の無効理由

本件登録意匠は、その意匠登録出願前に日本国内若しくは外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は公然知られた意匠(甲第2及び3号証の意匠(以下、「引用意匠1」という。この審決の別紙第2参照。)、甲第4号証の意匠(以下、「引用意匠2」という。)、及び、甲第5及び6号証の意匠(以下、「引用意匠3」という。)。)又はこれらに類似する意匠であって、本件意匠登録は、意匠法第3条第1項又は同条第2項に違反してされたものであり、同法第48条第1項第1号の規定により無効とすべきである。

原審決では、請求人の主張する無効理由を整理して、以下のとおりとする。

(1)本件登録意匠は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された引用意匠1(甲第2号証及び甲第3号証)に類似し、本件意匠登録は、意匠法第3条1項3号の規定に違反してされたものである(「無効理由1」)。

(2)本件登録意匠は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された引用意匠2(甲第4号証)に類似し、本件意匠登録は、意匠法第3条1項3号の規定に違反してされたものである(「無効理由2」)。

(3)本件登録意匠は、その出願前に日本国内又は外国において公然知られた引用意匠3(甲第5号証及び甲第6号証)に類似し、本件意匠登録は、意匠法第3条1項3号の規定に違反してされたものである(「無効理由3」)。

(4)本件登録意匠は、その出願前に日本国内又は外国において公然知られた引用意匠1ないし3に基づいて当業者が容易に創作し得たもので、本件意匠登録は、意匠法第3条第2項に違反してされたものである(「無効理由4」)。


4.原審決取消判決の理由の要旨

判決は、無効理由1に基づく原告(意匠登録無効審判請求人)の主張する原審決の取消事由1(本件登録意匠と引用意匠1の類似性判断の誤り)について判断し、本件登録意匠と引用意匠1とが類似しないとした審決の判断は誤りであり、取消事由1は理由があるから、その余の点について判断するまでもなく、審決は取り消しを免れないとした。
取消事由1に関する裁判所の判断の要旨は、以下のとおりである。

(1)公知意匠(7)?(13)の認定
公知意匠(8)、同(9)及び同(11)は、いずれも略変形台形状の外周形状内に5本のほぼ同幅の略帯状部を形成し、その各略帯状部を略四辺形とし、つま先側に約60度で傾斜させ、つま先側からかかと側にかけて徐々に縦方向に長くしたものといえるが、上記各写真に示された「運動靴」には、いずれも、甲第4?第6、第16、第18号証所載の各原告製品に付された標章と同じ標章が付されており、このことに照らすと、これらの意匠は原告製品である運動靴に係るものと認められる。

そうすると審決が引用意匠1の公知日前にすでに広く知られたものとする、5本の略帯状部に係る構成態様は、審決の挙げる公知意匠(7)?(13)のうち、公知意匠(8)?(11)において見られるのみであるというべきであるが、これらは、公知意匠(10)の1例を除き、その余は、引用意匠1と同様(引用意匠1が原告製品である運動靴に係る意匠であることは、甲第2、第3号証によって認められる。)、原告製品である運動靴に係る意匠であると認められる。

(2)本件登録意匠と引用意匠1の類否判断
意匠法3条1項3号に係る意匠の類否判断とは、同号該当の有無が問題とされている意匠と公知意匠のそれぞれから生ずる美感の類否についての判断をいうものであり、その判断は、意匠に係る物品の全体(部分意匠については当該部分の全体)に係る構成態様及び各部の構成態様について認定した共通点及び差異点を、それらが類否判断に与える影響を各々評価した上で、それらを総合して行うべきものである。そして、その場合に、共通点又は差異点の認定に係る構成態様がよく知られたものであるときは、そのような構成態様は通常ありふれたものであるから、一般に看者の注意を引き難くなり、そのような構成態様に係る共通点又は差異点が類否判断に及ぼす影響も相対的に小さいことが多く、したがって、両意匠の共通点をなす構成態様がよく知られたものであるときは、当該共通点によって両意匠が類似と判断される度合いは低くなることが多いということはできる。しかしながら、ある物品に係る特定の製造販売者が、その製造販売に係る当該物品の特定の部位に、特定の構成態様からなる意匠を施し、そのような意匠が施された物品が、当該特定の製造販売者の製造販売に係る商品として、長年にわたり、多量に市場に流通してきたため、当該意匠の態様が、その製造販売者を表示するいわばロゴマークに相当するものとして、需要者に広く知られるに至ったような場合においては、当該物品に関する限り、そのような意匠の態様は、広く知られているからといって、看者の注意を引き難くなるものではなくむしろ広く知られているためにかえって、その注意を引くものであることは明らかであり、そうであれば、そのような構成態様が共通する場合においては、その共通点が意匠の類否判断に及ぼす影響は、相対的に大きいものとなるというべきである。

そこで、本件登録意匠と引用意匠1の類否について検討するに、本件登録意匠と引用意匠1の意匠に係る物品が類似するほか、両意匠に各共通点が認められることは、審決の認定のとおりであるが、これらの共通点のうち、5本の略帯状部に係る構成態様、すなわち、略変形台形状の外周形状枠内を5等分して、同幅の略帯状部を5本形成し、その各略帯状部を略四辺形とし、つま先側に約60度で傾斜させ、つま先側からかかと側にかけて徐々に縦方向に長くした構成態様は、上記(1)の認定事実に、甲第4?第6、第15、第16、第18号証及び弁論の全趣旨を総合すれば、原告がその製造販売する運動靴(スニーカー)の側面に施してきたものであって、かかる意匠を施した運動靴が、原告の製造販売する商品として、長年にわたり、多量に市場に流通してきたために、本件登録意匠の登録出願日前までに、かかる5本の略帯状部に係る構成態様は、原告を表示するいわばロゴマークに相当するものとして、需要者に広く知られるに至っていたものと認めることができる。そして、略変形台形状の外周形状について必ずしも明確に認識することのできない公知意匠(10)の1例が存在するのみでは、かかる認定を覆すに足りず、他にこの認定を左右するに足りる証拠はない。

そうすると、5本の略帯状部に係る構成態様が、広く知られているものであるゆえに格別看者の注意を引くものでないとした審決の評価は誤りといわざるを得ず、かかる構成態様は逆に看者の注意を引くものというべきである。


そして5本の略帯状部に係る構成態様を含む略変形台形状の外周形状枠内を5等分して、メッシュ地よりなる同幅の略帯状凹部を5本形成し、その各略帯状凹部を略四辺形とし、つま先側に約60度で傾斜させた構成態様は、両意匠の意匠に係る物品におけるその位置関係、意匠全体に占めるその割合、その機能等にかんがみて、両意匠の最も特徴的な部分であり、看者の注意を強く引くものであると認めることができ、本件登録意匠と引用意匠1は、このような構成態様において共通するものである。

本件登録意匠と引用意匠1との差異点は、両意匠の最も特徴的な部分であり、看者の注意を強く引くものであると認められる、略変形台形状の外周形状枠内を5等分して、メッシュ地よりなる同幅の略帯状凹部を5本形成し、その各略帯状凹部を略四辺形とし、つま先側に約60度で傾斜させた構成態様における共通点を凌駕するものとはいえず、両意匠が意匠全体として異なる美感を起こさせるものと認めることはできないから、両意匠は類似すると認めるのが相当である。


5.当審の判断

上記判決は、行政事件訴訟法第33条第1項の規定により、当審を拘束する。

したがって、上記判決主文及び同理由に基づき、本件審判の請求の理由のうち、無効理由1は理由があるものであって、本件登録意匠は、引用意匠1と類似し、意匠法第3条第1項第3号に該当するものであるから、その余の無効理由について判断するまでもなく、本件意匠登録は、同法第48条第1項第1号の規定により無効とする。

また、審判に関する費用については、意匠法第52条で準用する特許法第169条第2項でさらに準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものとする。

よって、結論のとおり、審決する。
別掲


審理終結日 2007-07-02 
結審通知日 2007-07-04 
審決日 2007-07-19 
出願番号 意願2005-25741(D2005-25741) 
審決分類 D 1 113・ 113- Z (B5)
最終処分 成立 
前審関与審査官 原田 雅美 
特許庁審判長 瓜本 忠夫
特許庁審判官 杉山 太一
鍋田 和宣
登録日 2006-03-10 
登録番号 意匠登録第1269223号(D1269223) 
代理人 達野 大輔 
代理人 特許業務法人 銀座総合特許事務所 
代理人 関根 秀太 
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