ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 G2 |
---|---|
管理番号 | 1193764 |
審判番号 | 不服2008-17911 |
総通号数 | 112 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2009-04-24 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2008-07-14 |
確定日 | 2009-02-27 |
意匠に係る物品 | 自動車用タイヤ |
事件の表示 | 意願2007- 31964「自動車用タイヤ」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
1.本願の意匠 本願は、物品の部分について意匠登録を受けようとする平成19年11月20日の意匠登録出願であって、その意匠は、願書の記載によれば、意匠に係る物品を「自動車用タイヤ」とし、意匠登録を受けようとする部分を図面中実線で表したものであり、その形態は、同図面及び願書の意匠の説明の欄に記載のとおりである。 2.引用の意匠 これに対して、本願意匠は、その出願前日本国内において頒布された刊行物に記載された意匠に類似し、意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するから意匠登録を受けることができないとして、原審が拒絶の理由として引用した意匠は、特許庁発行の意匠公報記載、意匠登録第1309753号(意匠に係る物品、自動車用タイヤ)の意匠であって、その形態については当該意匠公報に記載されたとおりのものである。 3.当審の判断 本願意匠と引用意匠を対比すると、両意匠は、意匠に係る物品が共通し、本願意匠の意匠登録を受けようとする部分とこれに対応する引用意匠の位置及び範囲については、何れも物品全体を環状体形状としたものの側面側一方の等幅環状部分であるから共通し、形態については、主として以下の共通点及び差異点がある。 すなわち、両意匠は、主たる共通点として、 (1)基面全体を等幅円環平面状とし、該円環平面状基面の外側縁部及び内側縁部それぞれに端部を揃えた傾斜状細筋を平行状密に多数配列したものであって、細筋の構成態様により円環状部全体として外側部・中間部・内側部の同心状3重のものとして看取されるものとした点、 (2)細筋について、円環の中心からの放射方向に対してほぼ一定の傾斜角度を維持しつつ等間隔状に配列したものであって、内側部及び外側部について、両部の細筋は同数とした相互延長上にあるものとし、円環の中心からの放射方向に対する傾斜角度については概ね45度とした点、 (3)細筋の断面形状について、凸コ字状としたものである点、 が認められる。 一方、両意匠は差異点として、引用意匠は、隣り合う細筋の一方外側寄りと他方内側寄りを斜めに繋ぐほぼ直線状細筋を設け、該細筋を加え密度を高めた部位が中間部として看取されるものであって、同中間部の幅は内側・外側両部よりもやや広くしているのに対して、本願意匠は、細筋一方は共に凸側を傾斜方向に向いた対の小半円弧状湾曲部を設けたもの、細筋他方は共に凸側を傾斜と逆方向に向いた対の小半円弧状湾曲部を設けたものとし、これら2種の細筋を交互に配置し、隣り合う細筋相互関係において向かい合う小半円弧状湾曲部の内・外位置を相互僅かにずらし隣り合い近接した配置とすることにより、内側・外側両部との境界部として看取されるものを形成しているものであり、中間部の細筋の数は内側・外側両部と同数とし、同中間部の幅は内側・外側両部とほぼ同じとしている点、が主として認められる。 そこで、これらの共通点及び差異点を意匠全体として検討し、本願意匠が引用意匠に類似するか否かの結論(以下、類否判断という。)に及ぼす影響について検討する。 まず、共通点について、(1)の点は基本的構成態様に相当するものであり、(2)の点は、主として内側部及び外側部に関するもの、(3)の点は、細筋の詳細な態様に関するものであり、これら(1)ないし(3)における複数の共通点は、全体として一定程度類否判断に大きな影響を及ぼすものであるが、これらの中に中間部に関する具体的構成態様が含まれておらず、該中間部における差異を検討せずに、これらの共通点のみで類否の判断を結論付けることはできない。 これに対して、引用意匠が有する「隣り合う細筋の一方外側寄りと他方内側寄りを斜めに繋ぐほぼ直線状細筋」の有無に関する差異、及び、本願意匠が有する「小半円弧状湾曲部」の有無に関する差異は、両意匠それぞれにおいて一定程度重要な部位を占めると認められる中間部及びその付近における大きな差異であり、(1)ないし(3)の共通点に係る構成態様が生じさせる共通感を凌駕すると認められ、その他にも差異点があるから本願意匠は引用意匠に類似しないとせざるを得ないものである。 以上のとおりであるから、本願の意匠は、意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するということはできない。 したがって、本願の意匠について、原査定の拒絶の理由によって拒絶すべきものとすることはできない。 また、他に本願について拒絶の理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2009-02-13 |
出願番号 | 意願2007-31964(D2007-31964) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(G2)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 藤澤 崇彦 |
特許庁審判長 |
本田 憲一 |
特許庁審判官 |
市村 節子 山崎 裕造 |
登録日 | 2009-03-27 |
登録番号 | 意匠登録第1357345号(D1357345) |
代理人 | 小川 信一 |
代理人 | 野口 賢照 |
代理人 | 斎下 和彦 |