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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 L6
管理番号 1197110 
審判番号 不服2008-16462
総通号数 114 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2009-06-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-06-27 
確定日 2009-05-11 
意匠に係る物品 建築用壁板 
事件の表示 意願2006- 12732「建築用壁板」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由

1 本願意匠
本件審判の請求に係る意匠(以下、「本願意匠」という。)は、2006年(平成18年)5月19日に意匠登録出願をしたものであって、出願書類の記載によれば、意匠に係る物品を「建築用壁板」とし、その形態を願書の記載および添付写真に現したとおりとしたものである。(審決に添付の「図面第1」参照)
2 引用意匠
原審において、本願意匠が類似するとして引用した意匠(以下、「引用意匠」という。)は、特許庁意匠課が1998年6月10日に受け入れた、1997年12月31日付発行の刊行物「FDP.イトンフリーデザインパネル」第2頁に掲載された壁板材の意匠 (特許庁意匠課公知資料番号第HN10009003号)であって、その形態は、同頁の写真版に現されたとおりのものである。(審決に添付の「図面第2」参照)

3 本願意匠と引用意匠の対比
本願意匠および引用意匠は、いずれも建築物の外装等に使用する物品に係るから、両意匠は、意匠に係る物品が共通し、両意匠の形態については、主として、以下のとおりの共通点および差異点が認められる。
先ず、共通点として、形態の全体は、横長長方形の薄い板状体であって、施工後に表面となる化粧面の略全面に、縦横の長さが異なる多数の略矩形の凸状面(以下、「凸面部」という。)を横列に連ねて複数段形成した態様が認められ、その具体的な態様において、隣り合う凸面部相互を細い目地で区割りしている点、そして、凸面部の表面に不規則な模様を施している点が認められる。
一方、差異点として、(1)凸面部の不規則な模様について、本願意匠は、多数の不規則な凹凸に不規則な横の筋溝が混在した模様を施しているのに対し、引用意匠は、横方向に長短の筋溝のみを施している点、(2)目地の態様について、本願意匠は、すべて等幅の平行複線状としているのに対し、引用意匠は、すべて小刻みの不規則な波状としている点、そして、(3)化粧面の裏面について、本願意匠は、平滑面状であるのに対し、引用意匠は、具体的な態様が不明である点が認められる。

4.本願意匠と引用意匠の類似性についての判断
以上の共通点および差異点を総合し、本願意匠と引用意匠が意匠全体として類似するか否か、すなわち両意匠の類似性について以下考察する。
先ず、前記各共通点にかかる態様は、この種物品分野においては、多数見受けられる共通点であり、本願意匠と引用意匠のみに共通する点と言えず、両意匠の類似性についての判断に与える影響も軽微なものにとどまると言うべきであるから、これら共通点が、直ちに両意匠の類似性についての判断を左右するものとはなり得ない。
一方、前記各差異点が、本願意匠と引用意匠の類似性についての判断に与える影響を考察すると、差異点(1)については、本願意匠に施した多数の不規則な凹凸に不規則な横の筋溝が混在した模様は、あたかも木材の表面が風雨に晒されて荒れた態様を呈した印象を与えているのに対し、引用意匠は、横方向に長短の筋溝のみを施しているためやや無機的な印象を与えているものであり、両意匠の凸面部態様から受ける印象には大きな差異があるから、その差異が、両意匠の類似性についての判断に与える影響が大きいと言える。差異点(2)に係る目地の態様の差異は、両意匠のいずれも多数形成している凸面部の四辺の形状の差異であり、施工後は常に表面となる化粧面の略全面の態様についての差異である点も考慮すると、その差異が、両意匠の類似性についての判断に与える影響が大きいと言える。差異点(3)については、本願意匠の当該部分の態様が、この種物品分野においてありふれた態様のものであり、壁面に取り付けた状態では目に触れない部位の態様についての差異である点も勘案すると、その差異が、両意匠の類似性についての判断に与える影響は軽微なものにとどまる。そうすると、差異点(3)は軽微なものであるとしても、差異点(1)および(2)に係る各態様が相俟って生じる意匠的な効果は、意匠上、最も注意を惹く部位である化粧面全体の態様に異なる美感を起こさせるものであるから、両意匠の類似性についての判断を左右するものと言うべきである。
以上のとおり、本願意匠と引用意匠は、意匠に係る物品が共通しているが、形態については、共通点よりも差異点の方が両意匠の類似性についての判断に与える影響が支配的であるから、両意匠は、意匠全体として互いに類似しないものと認める。

5.結び
したがって、本願意匠は、意匠法第3条第1項第3号に該当しないものであり、同条の規定により拒絶すべきものとすることはできない。
また、本願意匠について、他に拒絶すべきものとする理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。






審決日 2009-03-30 
出願番号 意願2006-12732(D2006-12732) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (L6)
最終処分 成立  
前審関与審査官 久保田 大輔佐々木 朝康 
特許庁審判長 瓜本 忠夫
特許庁審判官 鍋田 和宣
杉山 太一
登録日 2009-05-29 
登録番号 意匠登録第1363669号(D1363669) 

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