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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 J2
管理番号 1198761 
審判番号 不服2007-15949
総通号数 115 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2009-07-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-06-07 
確定日 2009-05-07 
意匠に係る物品 腕時計 
事件の表示 意願2006- 9371「腕時計」拒絶査定不服審判事件についてした2008年(平成20年) 1月 9日付けの審決に対し,知的財産高等裁判所において審決取消の判決(平成20年(行ケ)第10185号,平成20年11月26日判決言渡)があったので,更に審理した結果,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯
1.本願は,2005年(平成17年)10月17日のスイスへの出願を基礎としたパリ条約による優先権の主張をして,2006年(平成18年) 4月11日に意匠登録出願されたものであって,原審(審査)において,2006年(平成18年)12月18日付けで拒絶の理由が通知され,2007年(平成19年) 3月16日付けで拒絶査定がされた。

2.本件拒絶査定不服審判請求人(以下,「請求人」という。)は,この査定を不服として,2007年(平成19年) 6月 7日に拒絶査定不服審判の請求をした。

3.原審(第一次審判)は,これを拒絶査定不服審判事件2007- 15949として審理し,2008年(平成20年) 1月 9日付けで「本件審判の請求は成り立たない。」との審決(出訴期間として90日を付加)をし,その謄本は2008年(平成20年) 1月21日に請求人に送達された。

4.これに対し,請求人は,平成20年(2008年) 5月19日に上記審決の取消を求める訴えを知的財産高等裁判所に提起し,同裁判所は,平成20年(行ケ)第10185号審決取消請求事件としてこれを審理し,平成20年11月26日に「特許庁が不服2007-15949号事件について平成20年1月9日にした審決を取り消す。」との判決を言い渡し,同判決は確定した。


第2.本願意匠
本願は,2005年(平成17年)10月17日の優先権(スイス)の主張をした2006年(平成18年) 4月11日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,願書の記載によれば,意匠に係る物品は「腕時計」であり,その「形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下,「形態」という。)」は,願書の記載ならびに願書に添付した写真に現されたとおりのものである。(別紙第1参照)


第3 引用意匠
原審(審査)において,本願意匠に類似するとして引用された意匠は,独立行政法人工業所有権総合情報館が2003年(平成15年)11月26日に受け入れた内国雑誌「DIME」(2003年(平成15年)11月 4日発行 23号)の第44頁に所載の『腕時計における「腕時計本体」の意匠』(許庁意匠課公知資料番号第HA15027251号)であって,意匠に係る物品は「腕時計」であり,その形態は,同写真版に現されたとおりのものである。(別紙第2参照)


第4 判決の理由の要点
同判決の理由とするところは,大要以下のとおりである。

「2 取消事由1(本願意匠と引用意匠との共通点及び差異点認定の誤り)について
《中略》
(2) 審決は,本願意匠と引用意匠の共通点として,「時計本体部の主文字盤は,目盛表示を大きくし,間に細い目盛線を表示し,」(2頁11行?12行)と認定している。本願意匠の時計本体部の主文字盤は,大きな目盛表示の間に細かい時刻表示の目盛線があるが,引用意匠は,大きな目盛表示に相当するアラビア数字の間に細い時刻表示の目盛線はないから,上記のように共通点を認定することはできない。
したがって,審決が上記の形態を共通点としたことは誤りであり,「本願意匠の主文字盤は,大きい目盛表示の間に細い目盛線を表示しているのに対し,引用意匠は大きい目盛表示の間に細い目盛線を有していない点」を差異点とすべきである。
《中略》
(3) 審決は,本願意匠と引用意匠のガード部について,「竜頭と押しボタン部は,それぞれのガード部を備え,全体を竜頭を中心に左右対称状の山形状に形成した,具体的態様が共通する。」(2頁16行?17行)と認定した上,ガード部の山形状は,本願意匠が角張った山形状なのに対し,引用意匠は富士山型の山形状であるから,差異があると認定している(2頁下6行?3頁1行)。
《中略》
(5) 《中略》本願意匠と引用意匠のガード部に関する具体的態様は,本願意匠においては,上側ガード部と下側ガード部から突出するように,それぞれ押しボタン部が設けられているのに対し,引用意匠においては,上側ガード部と下側ガード部が各中間位置において切り欠かれた部分を有し,該切欠部分にそれぞれ押しボタン部が設けられている点が相違し,本願意匠のガード部は,竜頭をガードしているということができるが,押しボタン部をガードしているということはできないのに対し,引用意匠ガード部は,竜頭とともに押しボタン部をガードしているということができる。
また,本願意匠と引用意匠は,「本願意匠のガード部は,押しボタン部が配置される領域が前面側に盛り上がるように形成され,該盛り上がり部分と周囲部との間は傾斜面状とされているのに対し,引用意匠のガード部は前面が平面状とされている点」でも相違する。
(6) 「腕時計」の側面に設けられたガード部は,正面からよく見える,目立つ部分であるから,上記(5)認定に係るガード部の形態の相違は,差異点として認定すべきである。また,審決が,本願意匠と引用意匠のガード部について,「竜頭と押しボタン部は,それぞれのガード部を備え,」と認定したことは誤りというべきである。
《中略》
(7) よって,取消事由1の主張は理由がある。」


「3 取消事由2(類否判断の誤り)について
(1) 本願意匠と引用意匠は,審決が認定した次の差異点(2頁20行?3頁1行)を有するほか,前記2(2)及び前記2(6)認定の差異点を有する。
《中略》
(2) 本願意匠は,(i)ベルト連結部の取付部に2つのリブ(うね模様)が設けられていること,(ii)ガラス押さえ略円形リング状部の外周縁部の厚み部全面に縦スリット模様が施されている上,上面部の8個の固定ネジ部の各ネジは,内側に六角形状の凹部を設けた円筒状ネジとし,各々外側に開口したU字状の取付け孔部を施して取り付けられていること,(iii)竜頭は略円筒状とし,周面にスリットが施され,上下の押しボタン部は長方形状とし,それぞれに切り込みが施され,上部押しボタン部の上方と下部押しボタン部の下方にネジが設けられていること,(iv)上側ガード部と下側ガード部から突出するように,それぞれ押しボタン部が設けられ,ガード部の押しボタン部が配置される領域が前面側に盛り上がるように形成され,該盛り上がり部分と周囲部との間は傾斜面状とされたこと,以上の具体的態様によって,全体として凹凸の多い立体的な印象を看者に抱かせるものということができる。
これに対し,引用意匠は,(i)ベルト連結部の取付部が平面状であること,(ii)ガラス押さえ略円形リング状部の外周縁部の厚み部に模様が施されていない上,上面部の8個の固定ネジ部の各ネジは中に1本の溝のある六角形のネジとし,リング状部上面に埋め込むように略面一状に取り付けられていること,(iii)竜頭は略六角柱状とし,周面にスリットはなく,上下の押しボタン部は円筒状で切り込みはなく,竜頭及び上下の押しボタン以外に付加的なネジは設けられていないこと,(iv)上側ガード部と下側ガード部が各中間位置において切り欠かれた部分を有し,該切欠部分にそれぞれ押しボタン部が設けられている上,ガード部は前面が平面状とされていること,以上の具体的態様によって,全体としてすっきりとした平坦な印象を看者に抱かせるものということができる。
「腕時計」の側面にある竜頭,押しボタン及びガード部は,正面からよく見える,目立つ部分であるから,上面部の固定ネジ部と共に,その違いを軽視することはできないし,ベルト連結部の取付部やガラス押さえ略円形リング状部の外周縁部の厚み部の模様は,それだけであれば,さほど目立たないともいえるが,本願意匠においては,上記のとおり他の部分と相まって一つの印象を抱かせる意匠を形成しているのであるから,これらの違いを軽視することもできない。
さらに,本願意匠と引用意匠とでは,時計の正面にあって最も目立つ部分である時計本体部主文字盤について,本願意匠は,大きな目盛表示を先尖りの太い線で表示し,大きい目盛表示の間に細い目盛線を表示するとともに,目盛表示部内側の円形領域に格子縞模様を施し,その格子縞の地の部分を透かし状に形成し,内部機構部が透けて見えるようにしたのに対し,引用意匠は,大きな目盛表示をアラビア数字で表示しているが,大きい目盛表示の間の細い目盛線はなく,目盛表示部背後も含めた主文字盤の全体領域に矩形体突出模様の図柄を施した点で,異なっている。
(3) そうすると,本願意匠と引用意匠は,上記(1)の差異点が相まって,その全体的な印象は大きく異なるというべきである。そして,その差異は,前記第3,1(2)イ(ア)の共通点(ただし,前記2(2)及び前記2(6)認定のとおり誤りである点を除く。)を凌ぐものというべきであって,本願意匠と引用意匠が類似すると認めることはできない。
《中略》
(4) よって,取消事由2の主張も理由がある。」


第5 むすび
したがって,上記判決は,行政事件訴訟法第33条第1項の規定により,当審を拘束するものであり,同判決の主文及び理由に基づき,本願意匠は,引用意匠をもって,意匠法第3条第1項第3項に掲げる意匠に該当するとはいえず,同法同条同項柱書の規定により,本願を拒絶すべきものとすることはできない。

また,当審において,さらに審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。

別掲
審理終結日 2007-12-13 
結審通知日 2007-12-17 
審決日 2008-01-09 
出願番号 意願2006-9371(D2006-9371) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (J2)
最終処分 成立 
前審関与審査官 川崎 芳孝 
特許庁審判長 瓜本 忠夫
特許庁審判官 杉山 太一
鍋田 和宣
登録日 2009-06-12 
登録番号 意匠登録第1364678号(D1364678) 
代理人 村田 幹雄 
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