ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 M2 |
---|---|
管理番号 | 1200324 |
審判番号 | 不服2008-18026 |
総通号数 | 116 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2009-08-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2008-07-14 |
確定日 | 2009-06-09 |
意匠に係る物品 | 湯水混合水栓 |
事件の表示 | 意願2007- 7426「湯水混合水栓」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
1.本願意匠 本願は,平成19年3月23日(パリ条約による優先権主張2006年9月26日(EM)域内市場における調和のための官庁(商標及び意匠))の意匠登録出願であり,その意匠は,願書の記載によれば,意匠に係る物品を「湯水混合水栓」とし,形態を願書及び願書に添付した図面の記載のとおりとするものである(別紙第1参照)。 2.引用意匠 これに対して,原査定において,拒絶の理由として引用した意匠は,特許庁総合情報館所蔵(受入:1994年5月30日)の外国カタログ,(ELEMONDS.P.A.発行),「INTERNI」(1994年3月31日発行),第438巻,第92頁,湯水混合水栓の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HB06021357号)であって,その形態は,当該カタログに記載されたとおりのものである(別紙第2参照)。 3.請求人の主張 請求人は,審判を請求し,概ね次のとおりの主張をした。 両意匠は,設置面から立ち上がる主ボディと,主ボディの上部を覆うキャップ,主ボディ上部から前方に延びる蛇口があるという基本構成を有すること,いずれも,主ボディについて,設置面に対して前傾姿勢をとる筒形状で,前方に延びる蛇口に連続し背面下部には流し排水口を開閉するためのノブがあり,蛇口について,先端に注水口が配され,主ボディ上方に配されたハンドルについて,後側より前側が主ボディの頂部を深く覆うキャップ状であるという具体的態様を有する点で共通します。 本願意匠独自の美感を供するに貢献する具体的態様は,(A)主ボディが設置面に対して約70度の角度で前傾する円筒形状で,後上端から前方向に傾斜する首回りを有しそのまま前方に平たく延びて蛇口上平面を形成する一方で,ボディ下端前側から斜め前方に傾斜する胴回りは側面視に大きな凹弧曲線輪郭を示して前方に水平に延び蛇口底面を形成する点,背面下部のノブが楕円板状である点,(B)主ボディから前方向水平状に延びる蛇口が,上面が水平かつ平たい板状であり,板の側面がそのまま前先端で円弧状にカーブし,扁平薄板U字外郭状を呈するものであり,その底面部は,正面視凸弧状を呈しており,底面側の外郭は湯水混合水栓全体の前部側面輪郭に柔らかな凹弧状のカーブを表している点,(C)主ボディ上方に配されたハンドルが,平面視円板状に表れる前頂部中央から前方には真っ直ぐ突出する細幅で上面が水平な薄板状の握り部を有し,この握り部の前先端は半円弧薄板状であるとの全要素が相俟って生じる美感が,引用意匠との明白な差異を生じさせるものですので,これをして需要者,取引者の注意を惹かないということはできません。 これに対して,引用意匠は,主ボディ胴部下部前側面が張り出していて,胴部中ほどから前斜め上方に延びる蛇口裏側底面に連続し,主ボディから前斜め上方に延びる蛇口は,上面側が凸曲面の略丸棒状であり,ハンドルは,主ボディ頂部を覆う部分が楕円形でその円周から前方向に漸次細身となり前上方向に延びる握り部によりハンドル全体ではしゃもじ状を呈しているとの美感を提示しています。 したがって,両意匠を総合的に観察する場合,両者における美感の差異は明らかです。 4.当審の判断 そこで,本願の意匠と引用の意匠を比較すると,まず,両意匠は,意匠に係る物品が共通する。 次に,形態について,共通点と差異点について総合的に検討すると,両意匠は,設置面から前傾して立ち上がる主ボディと,主ボディの上部を覆うキャップと操作ハンドル,主ボディ上部から前方に延びる蛇口が形成され,これらが設置面に略平行に形成されている基本的構成態様を有する点が共通するが,この意匠の属する分野においては,極めて普通に行われている手法による形態であって,この点が共通することを以て,類似するとするほど格別な特徴とはいえない。 一方,主ボディ部,主ボディ部を覆うキャップと操作ハンドル部,蛇口部の形状における差異点については,引用の意匠とは異なる本願の意匠の独特な特徴をよく表しているものであることから,僅かな相違とはいえないものであり,これらの類否判断に及ぼす影響は大きいということができる。 以上のとおりであって,両意匠は,意匠に係る物品は共通するが,その形態については,両意匠の共通点および差異点の視覚的効果を総合的に判断すると,両意匠は類似しないものといわざるを得ない。 5.結び したがって,本願の意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないので,原査定の拒絶理由によって本願の登録を拒絶すべきものとすることはできない。また,他に本願の登録を拒絶すべき理由を発見することができない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
|
審決日 | 2009-05-22 |
出願番号 | 意願2007-7426(D2007-7426) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(M2)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 佐々木 朝康 |
特許庁審判長 |
関口 剛 |
特許庁審判官 |
樋田 敏恵 橘 崇生 |
登録日 | 2009-07-17 |
登録番号 | 意匠登録第1367388号(D1367388) |
代理人 | 鶴田 準一 |
代理人 | 水野 みな子 |
代理人 | 青木 篤 |
代理人 | 川崎 典子 |
代理人 | 鈴鹿 智子 |