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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 H7
管理番号 1200331 
審判番号 不服2008-24244
総通号数 116 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2009-08-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-09-22 
確定日 2009-06-22 
意匠に係る物品 テレビ受像機 
事件の表示 意願2007- 30998「テレビ受像機」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠
本願は,2007年(平成19年)11月 9日に意匠登録出願されたものであって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,願書および願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品は,「テレビ受像機」であり,その「形状,模様若しくは色彩またはこれらの結合(以下,「形態」という。)」は,願書に添付した図面に記載されたとおりのものである。(別紙第1参照)


第2 原審の拒絶の理由
原審における拒絶の理由は,本願出願前の公知意匠に類似するから意匠法第3条第1項3号に掲げる意匠に該当し,同条同項柱書の規定により意匠登録を受けることができないというものであり,原審が拒絶の理由として引用した意匠(以下,「引用意匠」という。)は,独立行政法人工業所有権情報・研修館が2007年(平成19年)10月 2日に受け入れた国内雑誌「モノマガジン」2007年10月16日18号の第100頁所載,右列下の「18ギフトに使えるデジタルフォトフレーム」と記載された,デジタル写真立ての意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HA19013086号)であって,その意匠は,同頁の写真版に現されたとおりのものである。(別紙第2参照)


第3 当審の判断
1.両意匠の対比
(1)意匠に係る物品
両意匠を対比すると,意匠に係る物品について,請求人は,請求の理由において,テレビ受像機は動画を表示するのに対して,デジタルフォトフレームはスチール画像を表示するものであり,両者は,物品が非類似である旨を主張しているが,用途および機能の観点から共通するものと認められる。
(2)形態の主な共通点と差異点
両意匠は,横長扁平筺状の受像機本体部の前面に,その輪郭形状が本体より一回り大きい額縁状枠形の飾り板を設け,その飾り板の中央部の横長長方形の範囲を表示画面部とし,表示画面部を除く飾り板の余白部分の四隅に止め金具を設け,そして,本体背面にスタンドを設けた構成態様が共通する。
他方,両意匠間には,(ア)引用意匠は,表示画面部の周囲を階段状に2段落ちさせ最内側に傾斜縁枠を設けた態様に形成しているのに対して,本願意匠は,そのような態様が見られない点,(イ)表示画面部と飾り板の構成比率等が両意匠間では大きく相違する点,(ウ)本願意匠は,四隅のビスを四角く形成しているのに対して,引用意匠は,円形でその中央にプラス型凹部を設けて形成している点,(エ)本願意匠は,受像機本体部の周囲を四角錐台状に後方にややすぼませて形成し,その周面に各種の接続端子等を設けているのに対して,引用意匠は,受像機本体部の詳細が不明な点,(オ)本願意匠は,背面に設けたスタンドを折り畳み式の板によって形成しているのに対して,引用意匠は,スタンドがあることは認められるものの,その形状の詳細は不明な点,において構成態様上の主な差異がある。

2.両意匠の類否判断
以上の共通点および差異点を総合して,両意匠の類否を意匠全体として検討すると,両意匠の前記共通点に係る構成態様は,両意匠全体の主要部である前面部において一定の共通する基調を形成するものではあるが,しかしながら,それは従前の意匠に照らすところ普通にみられる類型的な態様であって,両意匠のみの特徴を形成するものとはいえない。よって,この共通点が類否判断に及ぼす影響力を大きいということはできない。
これに対して,前記各差異点については,(ア)および(イ)の差異は,両意匠の最も目に付き易い部位に係る差異点であるから,両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きいものということができ,これらは両意匠の類否判断を決定付けているものということができる。また,(ウ)の差異についても(ア)および(イ)の差異と相まって前面部において一定の影響を及ぼすものである。
なお,(エ)および(オ)については,それらが両意匠の主要部に係るものではないとはいえ,背面部も本願意匠全体の基調を形成するところの構成態様上の一部を成すものであるから,引用意匠においては詳細が不明であって,前述したように概略的な構成態様として認定することができたとしても,形態を具体的に対比し,判断することができない以上,両意匠の類否判断においては,その影響を大きく考慮することはできない。
したがって,差異点が全体として及ぼす影響は,共通点が及ぼす影響を凌駕しており,意匠全体としてみた場合,両意匠は類似するということはできない。


第4 むすび
以上のとおりであって,原審の引用意匠をもって,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するとして同条同項柱書の規定によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。

また,当審において,さらに審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2009-06-01 
出願番号 意願2007-30998(D2007-30998) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (H7)
最終処分 成立  
前審関与審査官 木村 智加 
特許庁審判長 瓜本 忠夫
特許庁審判官 淺野 雄一郎
市村 節子
登録日 2009-07-17 
登録番号 意匠登録第1367481号(D1367481) 
代理人 中里 浩一 
代理人 川崎 仁 
代理人 三嶋 景治 

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