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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 K9 |
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管理番号 | 1203694 |
審判番号 | 不服2007-34793 |
総通号数 | 118 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2009-10-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2007-12-26 |
確定日 | 2009-08-11 |
意匠に係る物品 | 流体圧シリンダ |
事件の表示 | 意願2007- 431「流体圧シリンダ」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
1.本願意匠 本願意匠は、平成19年1月12日に意匠登録出願されたものであって、願書及び願書添付の図面によれば、意匠に係る物品が「流体圧シリンダ」であり、その形態が願書及び願書添付の図面に記載されたとおりのものである(別紙第1参照)。 2.経緯 (1)審査において、本願意匠は、1996年1月11日に特許庁総合情報館が受け入れた大韓民国意匠公報1995年10月25日号掲載の「油圧シリンダー」(登録番号164221-1号)の意匠(別紙第2参照)に類似するものであり意匠法第3条第1項第3号の意匠に該当するから、同条同項柱書の規定により意匠登録を受けることができないとして、平成19年11月21日に拒絶の査定をした。 (2)請求人は、拒絶の査定を不服として、平成19年12月26日に審判を請求したところ、第1次審判は、この請求を査定不服2007-34793号事件として審理し、平成20年9月17日に本件審判の請求は、成り立たない旨の審決をした。 (3)これに対し、請求人は、平成20年10月29日に同審決の取り消しを求める訴えを知的財産高等裁判所に提起し、同裁判所は、平成20年(行ケ)第10401号審決取消請求事件としてこれを審理し、平成21年5月28日に同審決を取り消すとの判決を言い渡し、その後、同判決が確定した。 3.判決の理由の要旨 (1)引用意匠の認定の誤りについて 本件審決が、引用意匠につき、その形態を斜視図のみによって特定した上、本願意匠と対比して、その類否判断を行っていることは明らかであるところ、原告は、引用意匠の認定及び類否判断の手法の誤りをいうが、引用意匠と本願意匠とを対比して、両意匠の類否判断が可能であるのであれば、本件審決の当否は、結局のところ、両意匠を類似するとした結論の当否に帰することになる。 (2)類否判断の誤りについて ありふれた形態が最も強く需要者の注意をひくのは、当該ありふれた形態以外の形態が生じさせる美感が、当該ありふれた形態が生じさせる美感を超えるに足りない場合であると解されるから、被告主張のように共通点1ないし4(1全体が、略四角柱状のシリンダチューブから構成され、中央にピストンロッドが突出して設けられ、その周囲の凹部にロッドカバーが設けられ、四隅にボルト取付用孔部が形成された基本的な構成態様、2シリンダチューブの上面について、断面略矩形状膨出部が突出して形成され、上面には流体圧出入ポートとして孔が二ヶ所形成されている点、3シリンダチューブ正面(正面視)について、正面の凹部には下部が開放された形状の細幅の止め輪が嵌め込まれ、止め輪の両端部は略半円状部が内方に向かって形成されている点、4ボルト取付用孔部の根本について、四隅のボルト取付用孔部の両脇に略U字状細溝(センサ取付用溝部)が形成されている点。)から生じる美観から直ちに両意匠が類似していると判断し得るものではなく、その類否判断のためには、ありふれた形態以外の部分から生じる美観を併せて判断することが必要であって、本件においては、相違点イないしニ(イ、上面の断面略矩形状膨出部や四隅のボルト取付用孔部の全体に占める割合、ロ、左右側面および下面について、本願の意匠は、断面略台形状膨出部が形成されているのに対して、引用の意匠は、対向する一対の略L字状のリブが形成されている点、ハ、ボルト取付用孔部端部の丸みの有無、ニ、背面部について、本願の意匠は円形状エンドブロックが形成されているのに対して、引用の意匠は不明である点)、から生じる美感を考慮して判断するほかなく、原告が本件審決において看過したという相違点ホないしト(ホ、内径比率の相違、へ、断面略矩形状膨出部とシリンダチューブ本体部との間のやや傾斜した面の有無、ト、シリンダチューブの厚みの相違)についても、必要があれば、その相違点を相違点として確定した上、その相違点から生じる美感を検討しなければならないというべきである。 本願意匠は、引用意匠と比較して、ボルト取付用孔部を含めた全体が略四角柱状であるとの印象が相当程度打ち消され、シリンダチューブ中、ボルト取付用孔部を除く部分に全体として丸みを持たせた上、その四隅からやや突出させるようにボルト取付用孔部を取り付けたような印象を与えるものと認められ、これに加えて、相違点ハに係る本願意匠の形態が生じる意匠的効果、すなわち、ボルト取付用孔部端部の丸みを併せ考慮すると、相違点イないしハ及びヘに係る本願意匠の各形態は、相互に相まって、引用意匠とは相当程度異なる美感を生じさせる意匠的効果を有するものと認めるのが相当である。 そして、上記意匠的効果の内容及び程度並びに共通点1ないし4に係る各形態がありふれたものであることに照らすと、以上の相違点に係る本願意匠の各形態が相まって生じる意匠的効果は、両意匠の共通点に係る各形態が生じるありふれた美感を超えるに足りるものというべきである。 そうすると、「上記の相違点が相俟った効果を考慮してもなお,本願の意匠は意匠全体としては引用の意匠にない格別の特徴を発揮するまでには至らないものというほかない」とした本件審決の評価は誤りであるといわざるを得ない。 4.当審の判断 したがって、前記判決は、行政事件訴訟法第33条第1項の規定により、当審の審決を拘束するものであり、同判決の主文及び理由に基づき、本願意匠は、原査定で引用した意匠と類似するものとはいえないから、意匠法第3条第1項第3号の意匠には該当せず、その拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また、当審においてさらに審理した結果、本願意匠については、他に拒絶の理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審理終結日 | 2008-08-28 |
結審通知日 | 2008-09-02 |
審決日 | 2009-07-27 |
出願番号 | 意願2007-431(D2007-431) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(K9)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 川崎 芳孝 |
特許庁審判長 |
斉藤 孝恵 |
特許庁審判官 |
並木 文子 鍋田 和宣 橘 崇生 遠藤 行久 |
登録日 | 2009-10-02 |
登録番号 | 意匠登録第1372266号(D1372266) |
代理人 | 鹿島 直樹 |
代理人 | 大内 秀治 |
代理人 | 田久保 泰夫 |
代理人 | 千葉 剛宏 |
代理人 | 宮寺 利幸 |