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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 J2 |
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管理番号 | 1209839 |
審判番号 | 不服2009-13765 |
総通号数 | 122 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2010-02-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2009-08-03 |
確定日 | 2009-12-16 |
意匠に係る物品 | 腕時計本体 |
事件の表示 | 意願2008- 21016「腕時計本体」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
1.本願意匠 本願は、2008年(平成20年)3月7日に域内市場における調和のための官庁(商標及び意匠)に出願し、パリ条約による優先権の主張をして、平成20年8月15日に意匠登録出願をしたものであって、その意匠は、願書及び願書添付の図面によれば、意匠に係る物品が「腕時計本体」であり、その形状は願書及び同図面記載のとおりである(別紙第1参照)。 2.引用意匠 原審において、拒絶の理由として引用した意匠は、特許庁意匠課が2006年9月8日に受け入れた三菱自動車販売会社発行の内国カタログ「RALLIART Collection 2006 Spring&Summer」第21頁所載、RAY42046と表示の腕時計における「腕時計本体」の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HC18033629号)であって、その形態は、同ページの写真図版に現されたとおりのものである(別紙第2参照)。 3.本願意匠と引用意匠の対比 両意匠を対比すると、意匠に係る物品については共通し、両意匠の形態については、主に以下の共通点及び差異点が認められる。 (1)共通点 両意匠は、(A)略円盤状筐体の上面にベゼル状リングを設け、正面視上下側面に左右一対のベルト取付片を形成し、ベゼル状リング内側の浅い凹部を文字盤とし、その中心を回転軸とする時針、分針、秒針を設け、文字盤の上下両方及び左方に計3つの小円形文字盤(以下、「小文字盤」という。)を配し、筐体右側面略中央に竜頭を、その上下にそれぞれプッシュボタンを設けた点、(B)各ベルト取付片について、外側面が内側に傾斜した先細り状である点、(C)ベゼル状リングについて、上面に細線状目盛り及びアラビア数字を設けた点、(D)文字盤の態様について、水平面の外縁に、細長略矩形状の12時間目盛り及び60分秒目盛りをそれぞれ放射状略等間隔に設け(以下、「主文字盤」という。)、右側に矩形状の日付表示窓を配し、小文字盤にはそれぞれ細針を設け、円内に細線状目盛り及びアラビア数字を配し、外縁の傾斜面に等間隔にアラビア数字を配した点、(F)プッシュボタンについて、それぞれ略短円筒状のガードを設けた点、において共通する。 (2)差異点 一方、両意匠は具体的態様において、(a)ベゼル状リングについて、本願意匠は、上面外縁を角面状に面取りし、目盛り及び数字を不等間隔に設け、およそ0時から2時の範囲を余白部としているのに対し、引用意匠は、外縁にごく細幅の環状部があり、上面全周に目盛り及び数字を等間隔に設けている点、(b)主文字盤の分秒目盛りについて、本願意匠はマス目状としているのに対し、引用意匠は放射状に細線を施している点、(c)小文字盤について、本願意匠はそれぞれ三重の同心円を設け、中心側の円の相互間に目盛り及び数字を配しているのに対し、引用意匠は一重の円の内側に目盛り及び数字を配している点、(d)文字盤の外縁の傾斜面について、本願意匠は、目盛りがないのに対し、引用意匠は、数字の間に短い細線状の目盛りを設けている点、(e)日付表示窓について、本願意匠は3時の位置に設けているのに対し、引用意匠は4時の位置に設けている点、(f)時針及び分針について、本願意匠は、両側辺が平行で先端が山形に尖っているのに対し、引用意匠は、両側辺が先細り状で先端が細針状である点、(g)筐体周側面について、本願意匠は、帯状凸部を周方向に複数段平行して形成しているのに対し、引用意匠は、周側面の態様が不明である点、に差異がある。 4.類否判断 そこで、上記の共通点と差異点について総合的に検討するに、両意匠は共通点(A)乃至(F)のとおり、各部位に共通する点が見られ、これらの共通点が相俟って生じている視覚的効果は、両意匠の類否判断に一定の影響を与えるものではあるが、いずれも未だ概略的態様についての共通点に止まり、かつ、この種物品の意匠においては、ありふれた態様であるため、これらの共通点を以て、両意匠の類否判断を決定付け、類否判断を左右するものとは言えない。 一方、差異点(a)については、外縁の形状の差異に加え、上面の目盛りの態様にも差異が見られ、目立つ部位における差異であることを考慮すると、この差異は類否判断に一定の影響を与えるものと認められる。また、差異点(b)、(c)及び(d)については、それぞれ単独では類否判断を左右するとはいえないとしても、本願意匠は、ベゼル状リング上面は不等間隔の細線状目盛り、文字盤の外縁の傾斜面は数字のみ、主文字盤はマス目状の目盛り、とそれぞれの目盛りが互いに一致する整合性が見られないのに対し、引用意匠はそれぞれの部位に共通した等間隔の細線状目盛りが設けられ、ベゼル状リングから主文字盤にかけて互いに整合しているため、細線状目盛りが放射状に連続しているような視覚的効果があり、さらに、本願意匠は、主文字盤の分秒目盛り部と小文字盤とに複数の同心円が施されており、引用意匠の文字盤よりも円形が強調された印象を与えるため、本願意匠は、ベゼル状リング及び文字盤の態様について、差異点(a)乃至(d)が相俟って、引用意匠とは別異の特徴を表出しており、これらの差異点は、両意匠の類似性についての判断を左右するものと言うべきである。 さらに、差異点(e)及び(f)について、それぞれは類否判断に与える影響が大きいとはいえないが、上記差異点と総合して生ずる視覚的効果は、類否判断に影響を与えるものである。そうすると、差異点(g)について考察するまでもなく、両意匠の類否判断に与える影響については、差異点が共通点を圧しているというべきである。 以上のとおり、本願意匠と引用意匠は、意匠に係る物品について共通しているが、両意匠の形態を対比すると、共通点よりも差異点の方が両意匠の類否判断に支配的な影響を与えているから、両意匠は、意匠全体として互いに類似しないものと認める。 5 結び したがって、本願意匠は、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものであり、同条の規定により拒絶すべきものとすることはできない。 また、本願意匠について、他に拒絶すべきものとする理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2009-12-04 |
出願番号 | 意願2008-21016(D2008-21016) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(J2)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 本多 誠一 |
特許庁審判長 |
斉藤 孝恵 |
特許庁審判官 |
鍋田 和宣 並木 文子 |
登録日 | 2010-01-15 |
登録番号 | 意匠登録第1380062号(D1380062) |
代理人 | 稲葉 良幸 |