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審判番号(事件番号) データベース 権利
不服200626021 審決 意匠
不服200922780 審決 意匠

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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 H7
管理番号 1209847 
審判番号 不服2009-2816
総通号数 122 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2010-02-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-02-06 
確定日 2009-12-25 
意匠に係る物品 マルチメディア再生装置 
事件の表示 意願2006- 2069「マルチメディア再生装置」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠
本願は,2003年(平成15年) 5月27日の特願2006- 18648号(以下,「原特許出願」という。)を原出願とし,意匠法第13条第1項の規定によって出願の変更をしたものであって,本意匠を意願2006-002068号(意匠登録第1350709号)とする関連意匠の意匠登録出願であり,物品の部分について意匠登録を受けようとする2006年(平成18年) 1月31日付けの意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,願書および願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品は,「マルチメディア再生装置」であり,その「形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下,「形態」という。)」は,願書の記載および願書に添付した図面に表されたとおりのものであって,「実線で表した部分が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である」としたものである。(別紙第1参照)

すなわち,本願意匠は,静止画像データ,音声データ,動画像データ,テレビジョン放送等,複数のメディアにわたる複数種のコンテンツを再生・実行することのできる「マルチメディア再生装置」の正面の表示画面部分の位置・大きさ・範囲に係る部分意匠であって,やや横長長方形の表示画面の中に表示された,全体として略十字型にアイコンを配列したグラフィックユーザーインターフェース部分であって,具体的には,水平方向,横一列に複数のメニューアイコンが並び,ある領域にある一のメニューアイコンには,垂直方向,縦一列にコンテンツアイコンが表示されるものである。


第2 経緯
1.原特許出願
原特許出願である特願2006- 18648は,特願2003-149924(発明の名称「マルチメディア再生装置およびマルチメディア再生方法」,出願日:2003年(平成15年) 5月27日。公開番号:特開2004-356774,公開日:2004年(平成16年)12月16日。特許番号:特許第4240293号,登録日:2009年(平成21年) 1月 9日。)を原出願として特許法第44条第1項(特許出願の分割)の規定により,2006年(平成18年) 1月27日に分割された新たな出願(発明の名称「マルチメディア再生装置」)である。

2.本意匠
本意匠である意願2006-002068号(意匠登録第1350709号)は,本願と同一の経緯による意匠登録出願であって,出願日は,2003年(平成15年) 5月27日であり,願書の記載および願書に添付した図面によれば,意匠に係る物品は,「マルチメディアプレーヤー」であり,その形態は,願書に添付した図面に表されたとおりのものである。(別紙第2参照)

3.拒絶の理由および引用意匠
本願が,意匠法第13条第1項(出願の変更)の規定に基づいてなされたものであることについて,原審は,本願意匠が,原特許出願の最初の明細書および図面中に,変更による新たな意匠登録出願の意匠が明確に認識しうるような具体的な記載がなく,加えて意匠登録を受けようとする部分のみを比較しても,原特許出願の最初の明細書および図面に明確に認識しうるような具体的な記載により表された意匠と同一でないと認められるため,適法な意匠登録出願への変更の手続とは認めらないから,本願は,原特許出願の時にしたものとはみなさず,変更のあった時にしたものとして取り扱うとして,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するとして,以下の,インターネットのウェブサイトに掲載された意匠を,拒絶の理由として引用した。(以下,これを「引用意匠」という。「別紙第3」参照。)


著者の氏名 株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント
表題 Sony Compyuter Entertainment Inc.
掲載箇所 広報発表文 2004/10/27
新携帯型ゲーム機
PSP「プレイステーション・ポータブル」
(PSP-1000)発売
希望小売価格:19,800円
(税込価格20,790円)
発売日:12月12日(日)[商品画像はこちら]
の商品画像のうち,最上段右端および2段目左端
(製品名称:プレイステーション・ポータブル」
(PSP-1000))
媒体のタイプ [online]
掲載年月日 2004年10月27日
検索日 [2007年 1月29日]
情報の情報源 インターネット
情報のアドレスURL:
http://www.scei.co.jp/corporate/release/041020.html
に掲載された最上段右端および2段目左端に見られる
「携帯情報通信端末機」の表示画面部分の意匠


第3 当審の判断
1.原特許出願から意匠登録出願に関する出願の変更の適法性
原特許出願は,願書,特許請求の範囲,明細書および図面の記載によれば,発明の名称は,「マルチメディア再生装置」であり,「マルチメディア再生システムの基本的な構成を示す図である」とする「図1」には,各配線で結ばれた「テレビジョン受像機」,「マルチメディア再生装置」本体部,「操作部」等の機器が描かれ,「図3」および「図4」には,メニュー画面の構成およびアイコン等が画面例として表されている。
ところで,部分意匠における「破線部分」(「部分意匠として意匠登録を受けようとする部分」以外の部分を図面で表現したものの一例。)の意義については,具体的形態を表すものではなく,「実線部分」と「破線部分」との全体が,当該「意匠に係る物品」と整合が取れていればよいとされている。一方,もとの特許出願の図面から,変更出願に係る出願人が,任意に部分意匠としての図面表現をすることは,部分意匠制度の趣旨から,変更出願に対してであっても原則的に認めるべきではないが,本願の原特許出願は,主に「図3」に表された画面意匠が,「図1」で表されたような「マルチメディア再生装置」の表示画面に表示されるということのみが表されていると理解するのが適当である。
そうであるとすれば,本願において,原特許出願の,主に「図3」で表された具体的形態が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分として実線で表され,その他の部分である「破線部分」が「マルチメディア再生装置」と認識することのできる程度に表現されており,また,願書および図面の記載等も,意匠法施行規則に照らすところ,適式であるから,本願は,原特許出願から適法に出願の変更がなされたものとするのが相当である。

したがって,原審の本願を原特許出願の時にしたものとはみなさず,変更のあった時にしたものとして取り扱った判断は誤りであって,本願の出願日は,原特許出願の出願日,すなわち,2003年(平成15年) 5月27日である。
そうすると,掲載年月日 2004年(平成16年)10月27日の先行公知意匠を拒絶の理由とする原審の判断は,その内容を検討するまでもなく,取り消す他ない。

2.関連意匠としての適法性
本願は,出願日が,2003年(平成15年) 5月27日であるので,平成18年改正前の平成10年改正意匠法第10条第1項に基づいて,本意匠を意願2006-002068号(意匠登録第1350709号)の関連意匠として意匠登録を受けることができるかについて判断する。
本意匠である意願2006-002068号(意匠登録第1350709号)は,2003年(平成15年) 5月27日の特願2006- 18648号(「原特許出願」)を原出願とし,意匠法第13条第1項の規定によって出願の変更をしたものであって,物品の部分について意匠登録を受けようとする2006年(平成18年) 1月31日付けの意匠登録出願であって,その意匠は,願書および願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品は,「マルチメディアプレーヤー」であり,その形態は,願書の記載および願書に添付した図面に表されたとおりのものであって,「実線で表した部分が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である」としたものである。
すなわち,本意匠の意匠は,静止画像データ,音声データ,動画像データ,テレビジョン放送等,複数のメディアにわたる複数種のコンテンツを再生・実行することのできる「マルチメディアプレーヤー」の正面の表示画面部分の位置・大きさ・範囲に係る部分意匠であって,やや横長長方形の表示画面の中に表示された,全体として略十字型にアイコンを配列したグラフィックユーザーインターフェース部分であって,具体的には,水平方向,横一列に複数のメニューアイコンが並び,ある領域にある一のメニューアイコンには,垂直方向,縦一列にコンテンツアイコンが表示されるものである。

本願意匠と本意匠の意匠を比較すると,意匠に係る物品は,「マルチメディア再生装置」と「マルチメディアプレーヤー」であって,共通し,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分の形態は,一致し,意匠登録を受けようとする部分の位置・大きさ・範囲には,本意匠には,「使用状態を示す参考正面図」等が提出され,マルチメディア再生装置またはマルチメディアプレーヤーの表示画面として特段の相違点はなく,両意匠は,類似している。
要すれば,本願意匠と本意匠の意匠は,出願日同日であって,意匠は,全体としてみた場合,類似はしているが,同一とはいえないものであるから,本願意匠は,平成10年改正意匠法第10条第1項の適用を受けて,関連意匠の意匠登録を受けることができるものと認められる。

3.小括
したがって,本願に係る変更出願は,適法であり,原審の本願を原特許出願の時にしたものとはみなさず,変更のあった時にしたものとして取り扱った判断は誤りであるといわなければならず,それに伴って,本願意匠の出願後の公知意匠である原審の引用意匠によって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないものであり,また,本願は,関連意匠の意匠登録出願としての要件を満たしており,願書に表示された本意匠について関連意匠登録を受けることができるものである。


第4 むすび
以上のとおりであって,原審の引用意匠をもって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから,原査定の拒絶の理由によって,本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。

また,当審においてさらに審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2009-12-11 
出願番号 意願2006-2069(D2006-2069) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (H7)
最終処分 成立  
前審関与審査官 内藤 弘樹前畑 さおり 
特許庁審判長 瓜本 忠夫
特許庁審判官 淺野 雄一郎
杉山 太一
登録日 2010-01-22 
登録番号 意匠登録第1380985号(D1380985) 
代理人 五味 飛鳥 
代理人 五味 飛鳥 

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