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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 G2 |
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管理番号 | 1212848 |
審判番号 | 不服2009-12720 |
総通号数 | 124 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2010-04-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2009-07-13 |
確定日 | 2010-01-13 |
意匠に係る物品 | 自動二輪車用ホイールキャップ |
事件の表示 | 意願2007- 25584「自動二輪車用ホイールキャップ」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
1 本願意匠 本件審判の請求にかかる意匠登録出願は、願書及び添付書類によれば、2007年3月23日に、Office for Harmonization in the Internal Market (Trade Marks and Designs)(欧州共同体商標意匠庁)に出願し、パリ条約に基づく優先権を主張して、2007年(平成19年)9月21日に出願したものであって、物品の部分について意匠登録を受けようとするものであり、その意匠(以下、「本願意匠」という。)は、意匠に係る物品を「自動二輪車用ホイールキャップ」とし、形態を願書及び添付図面に記載したとおりとしたものである。(審決添付の「図面第1」) 2 引用意匠 原審査において、本願意匠が類似するとして引用した意匠(以下、「引用意匠」という。)は、2007年1月11日に特許庁特許情報課が受け入れた「米国特許商標公報・2006年12月12日06W50号」に掲載された登録番号US D533496S号の意匠(特許庁意匠課公知資料番号HH18347034号)の当該部分であって、意匠に係る物品を「車両用ホイール」とし、その形態は、前記公報に掲載したとおりのものである。(審決添付の「図面第2」) 3 本願意匠と引用意匠の対比 本願意匠と引用意匠は、意匠に係る物品が共通し、本願意匠に係る自動二輪車用ホイールキャップの部分の位置、大きさ及び範囲が引用意匠に係る車両用ホイールの部分にも構成され、両意匠に係る物品の当該部分の使用目的、機能についても共通していると認められるから、両意匠は、意匠に係る物品の部分の位置、大きさ及び範囲並びに使用目的及び機能が共通しているものである。しかしながら、両意匠の形態については、主として、以下のとおりの共通点及び差異点が認められる。なお、両意匠の対比上、引用意匠の図面Fig.4を本願意匠の正面図に相当する図面として両意匠の図面の向きを揃え、それぞれの形態を認定する。 まず、共通点として、全体は、正面視弧状のリム部内側面の中央をハブ部側へ略畝状に形成し(以下、「リム畝状部」という。)、リム部よりホイールの中央のハブ部外側面部分に形成したスポーク部である点、スポーク部は、リム畝状部との鈍角状及び鋭角状のそれぞれ付け根部分を正面視隅丸状とし、ハブ部に向かって正面視次第に広幅としてハブ部との鋭角状の付け根部分を隅丸状に形成している点、スポーク部の両面(正面図及び背面図に表した部分)に、スポーク部の長さ方向に沿って浅い凹部を形成している点が認められる。 一方、差異点として、(1)スポーク部の浅い凹部の態様について、本願意匠は、ハブ部に近接した先端を略「レ」字形状とし、リム畝状部に向かって等幅状に形成しているのに対し、引用意匠は、ハブ部に近接した部分を広幅としてリム部に向かって次第に細幅とした細長角丸略三角形状である点、(2)スポーク部の両面のハブ部寄り回転方向の態様について、本願意匠は、浅い凹部の先端寄りを断続して横切る平行複線状の模様を施しているのに対し、引用意匠は、浅い凹部の先端に接して弧状の平行複線状の模様を施している点、そして、(3)スポーク部のリム畝状部との付け根部分の両面の態様について、本願意匠は、略小円形部を施しているのに対し、引用意匠は、略小円形部を施していない点が認められる。 4 本願意匠と引用意匠の類似性についての判断 前記共通点及び差異点を総合し、本願意匠と引用意匠が類似するか否か、すなわち両意匠の類似性について考察する。 この種物品分野において、正面視弧状のリム部内側面の中央をハブ部側へ略畝状とし、スポーク部をリム部よりホイールの中央のハブ部外側面部分に形成した態様はありふれた構成態様であり、スポーク部を、リム畝状部との鈍角状及び鋭角状のそれぞれ付け根部分を正面視隅丸状とし、ハブ部に向かって正面視次第に広幅としてハブ部との鋭角状の付け根部分を隅丸状に形成し、スポーク部の両面に、スポーク部の長さ方向に沿って浅い凹部を形成した態様のものも多数見受けられ、前記各共通点は、両意匠のみに共通する点とは言えないから、これら共通点に係る態様が相乗した場合の意匠的な効果を考慮したとしても、両意匠の類似性について判断を左右するものとはなり得ないと言うべきである。 一方、前記差異点が両意匠の類似性についての判断に与える影響を考察すると、差異点(1)については、スポーク部の浅い凹部を、本願意匠のようにハブ部に近接した先端を略「レ」字形状としてリム畝状部に向かって等幅状に形成した態様のものは、本願意匠のほかには見受けられず、本願意匠のみに新規の態様と言えるものであり、本願意匠のスポーク部を特徴付けている態様であるから、その差異が両意匠の類似性についての判断に与える影響は大きいと言える。差異点(2)については、本願意匠の平行複線状の模様は、浅い凹部の略「レ」字形状の先端寄りを断続して横切ることにより略「レ」字形状の浅い凹部を際だたせているのに対し、引用意匠の平行複線状の模様は回転方向に連続する印象を与えている点でその意匠的な効果が異なるから、その差異は、両意匠の類似性についての判断に影響を与えるものと言える。差異点(3)については、本願意匠は、略小円形部をスポーク部のリム畝状部との付け根部分に施しているため、放射状の浅い凹部の先端にアクセントを添える意匠的な効果が認められ、スポーク部の態様を特徴づけているから、その差異は、両意匠の類似性についての判断に影響を与えるものと言える。また、スポーク部の両面は、車両に取り付けた態様及び使用状態において比較的注意を惹く部分である点も勘案すると、各差異点に係る態様が相乗した意匠的な効果は、両意匠の類似性についての判断を左右するものと言うべきである。 以上のとおりであって、本願意匠と引用意匠は、意匠に係る物品が共通し、物品の部分についての用途及び機能並びに、位置、大きさ及び範囲が共通しているが、その形態の共通点及び差異点が両意匠の類似性についての判断に与える影響については、共通点よりも差異点の方が支配的な影響を与えているから、両意匠は、全体として互いに類似しないものと認める。 5 結び したがって、本願意匠は、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものであり、同条の規定により拒絶すべきものとすることはできない。 また、本願意匠について、他に拒絶すべきものとする理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2009-11-30 |
出願番号 | 意願2007-25584(D2007-25584) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(G2)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 綿貫 浩一 |
特許庁審判長 |
斉藤 孝恵 |
特許庁審判官 |
並木 文子 鍋田 和宣 |
登録日 | 2010-03-05 |
登録番号 | 意匠登録第1384107号(D1384107) |
代理人 | 竹下 和夫 |