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審決分類 |
審判 査定不服 2項容易に創作 取り消して登録 K1 |
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管理番号 | 1212854 |
審判番号 | 不服2009-12663 |
総通号数 | 124 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2010-04-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2009-07-13 |
確定日 | 2010-02-03 |
意匠に係る物品 | グリップハンドル付レンチ |
事件の表示 | 意願2008- 12903「グリップハンドル付レンチ」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
1.本願意匠 本願は,平成20年5月23日の意匠登録出願であり,その意匠は,願書の記載によれば,意匠に係る物品を「グリップハンドル付レンチ」とし,その形態を願書及び願書に添付した図面の記載のとおりとするものである(別紙第1参照)。 2.原査定の拒絶理由 これに対して,原査定の拒絶理由において,「この種物品分野においては,L字型六角レンチに略円筒形状のハンドル部を設けた意匠(意匠1)は,本願の出願前に公然知られています。そうすると,本願意匠は,意匠1の形状に基づいて,ハンドル部を短くするとともに,その位置を屈曲部付近に変更したにすぎず,その創作は,この種物品分野において容易であるといわざるを得ません。したがって,本願意匠は,本願意匠の属する分野における通常の知識を有する者が本願の出願前に公然知られた形状に基づいて容易に創作をすることができたものと認められます。 意匠1 特許庁発行の公開実用新案公報記載 昭和62年実用新案出願公開第201667号」とされ,意匠法第3条第2項に該当する旨の拒絶理由が通知されたものである。 3.請求人の主張 そこで,請求人は,審判を請求し,概ね次のとおりの主張をした。 引用意匠1のハンドルと六角棒スパナ本体の軸部とは固定ネジの存在により一体的のものでないことが明確です。また,このハンドルも軸部との外径寸法についてはかなり相違します。また,ハンドルは円筒形です。一方,本願意匠はグリップハンドルと六角レンチとは一体的のものであり,グリップハンドルに対し六角レンチが伸縮可能の構造にはなっておりません。また,グリップハンドルは鼓(ツツミ)状のもので引用意匠1の円筒体とは全く相違します。また,本願意匠のグリップハンドルの外径は六角レンチの外径に較べて大差のない寸法からなり,引用意匠1の外径の大きなハンドルとは大きく相違します。また,本願意匠のグリップハンドルの軸線方向の長さも引用意匠1に較べて短寸のものからなります。また,引用意匠1における固定ネジは外径上目立つものでありこの存在は意匠の外観にとっては無視できないものと思います。一方,本願意匠ではこの固定ネジの如きものは全く不要であり,逆にこの固定ネジそのものが存在することは全く有りません。したがって,意匠法第3条第2項に該当するものではない旨の主張をした。 4.当審の判断 そこで請求人の主張を踏まえ,さらに検討する。 (1)引用意匠 本願意匠が創作に当たって基づいたとされる意匠,すなわち引用意匠は,特許庁発行の公開実用新案公報記載 昭和62年実用新案出願公開第201667号の意匠であって,その形態は,同公報に記載のとおりのものである(別紙第2参照)。 (2)両意匠の対比 本願意匠と引用意匠を比較すると,(イ)本願意匠は,全体が略L字状であり,ハンドル部が長いのに対して,引用意匠は,それほど長くない点,(ロ)本願意匠は,ハンドル部とグリップハンドル部の2部材からなる伸縮できない6角レンチであるのに対して,引用意匠は,ハンドル部,グリップハンドル部,固定ネジの3部材からなり,固定ネジによって伸縮可能な6角レンチである点,(ハ)本願意匠のグリップハンドル部は,一体成形されたものであり,中央部がやや膨らんだ樽型であるのに対して,引用意匠は,固定ネジが側部の屈曲部寄りに形成され,円柱状である点,(ニ)本願意匠のグリップハンドルは,ハンドル部の概ね8分の1の長さであり,屈曲部に近い部位に形成されているのに対して,引用意匠は,ハンドル部の概ね2分の1の長さであり,ハンドル部の後方寄りに形成されている点,において相違がある。 (3)検討 請求人の主張とこれらの相違点とを総合的に検討すると,(イ)ないし(ニ)の各個別の相違点については,引用意匠に基づけば,本願意匠を創作するのにそれほど困難であるとはいえないとしても,各相違点を有するような形状を選択的に採用し,全体として本願意匠の形状にまとめ上げることは,もはや創作行為というべきであり,引用意匠に基づいたとしても容易に想到することはできないというほかない。 以上のとおりであって,本願意匠は,その出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものということはできない。 5.むすび したがって,本願の意匠は,意匠法第3条第2項の規定に該当しないので,原査定の拒絶理由によって本願の登録を拒絶すべきものとすることはできない。また,他に本願の登録を拒絶すべき理由を発見することができない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2009-12-24 |
出願番号 | 意願2008-12903(D2008-12903) |
審決分類 |
D
1
8・
121-
WY
(K1)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 小林 裕和 |
特許庁審判長 |
関口 剛 |
特許庁審判官 |
樋田 敏恵 橘 崇生 |
登録日 | 2010-03-05 |
登録番号 | 意匠登録第1384158号(D1384158) |