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審決分類 |
審判 査定不服 2項容易に創作 取り消して登録 K1 |
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管理番号 | 1212856 |
審判番号 | 不服2009-12664 |
総通号数 | 124 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2010-04-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2009-07-13 |
確定日 | 2010-02-03 |
意匠に係る物品 | 被包体付段付トーションビット |
事件の表示 | 意願2008- 15362「被包体付段付トーションビット」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
1.本願意匠 本願は,平成20年6月17日の意匠登録出願であり,その意匠は,願書の記載によれば,意匠に係る物品を「被包体付段付トーションビット」とし,意匠登録を受けようとする部分を実線により表したものであり,その形態を願書及び願書に添付した図面の記載のとおりとするものである(別紙第1参照)。 2.原査定の拒絶理由 これに対して,原査定の拒絶理由において,「この種物品分野においては、略円筒形状の側周面に、略縦長紡錘形状である浅い凹み部を周方向等間隔に複数個形成した意匠(意匠1)は、本願の出願前に公然知られています。また、先端側の部分に、縮径部を設けることも、この種物品分野においては、例を挙げるまでもなくありふれた手法です。 そうすると、本願意匠は、意匠1の形状に基づいて、意匠登録を受けようとする略円筒形状の側周面に、略縦長紡錘形状である浅い凹み部を周方向等間隔に3個形成するとともに、ありふれた手法により、その上方の部分に縮径部を設けたにすぎず、その創作は、この種物品分野において容易であるといわざるを得ません。 意匠1 特許庁特許情報課が2002年6月13日に受け入れたドイツ意匠公報2002年5月10日 第1562頁所載 ドライバーの意匠 (特許庁意匠課公知資料番号第HH14015891号)」とされ,意匠法第3条第2項に該当する旨の拒絶理由が通知されたものである。 3.請求人の主張 そこで,請求人は,審判を請求し,概ね次のとおりの主張をした。 「本願意匠の被包体は参考図に明示する如く軸体に嵌め込み固着したものであり、軸体とは相異するものからなり、引用意匠1の凹み部のように一体的に形成されているものではなく、外観上その相異は全く明瞭であり、凹み部から本願意匠の被包体がどうして容易に創作できるものと判断がされるのでしようか?即ち、本願意匠の被包体はすべり止めとしては引用意匠1と類似するものですが、外観も取り付けの手段も全く相違するものであり、創作の容易性との判断は無理があるのではないでしようか?」とし、意匠法第3条第2項に該当するものではない旨の主張をした。 4.当審の判断 そこで請求人の主張を踏まえ,さらに検討する。 (1)引用意匠 本願意匠が創作に当たって基づいたとされる意匠,すなわち引用意匠は,特許庁特許情報課が2002年6月13日に受け入れたドイツ意匠公報2002年5月10日 第1562頁所載 ドライバーの意匠 (特許庁意匠課公知資料番号第HH14015891号)の意匠であって,その形態は,同公報に記載のとおりのものである(別紙第2参照)。 (2)両意匠の対比 本願意匠と引用意匠を比較すると,(イ)本願意匠は,本体中央より先端側の略丸棒状の把持部(意匠登録を受けようとする部分)が,被包体により被覆されているのに対して,引用意匠には被覆部はなく,本願意匠に相当する部分は、略中央に形成され、当該部分はわずかに内側に湾曲され本体と一体的に成形されている点,(ロ)本願意匠は,把持部に略縦長紡錘形状の浅い凹み部が周方向等間隔に3個形成されているのに対して,引用意匠は,略横長紡錘形状の凹み部が裏面部については不明であるが,少なくとも4個形成されている点,(ハ)本願意匠は,把持部の略縦長紡錘形状の浅い凹み部が比較的太く楕円状であるのに対して,引用意匠は同部が細く凸レンズ形状である点,(ニ)本願意匠は,中央部に略縦長紡錘形状の浅い凹み部幅が被覆部幅の略47%であるのに対して,引用意匠の同部はほぼ全幅に亘っている点,(ホ)本願意匠は、把持部の先端側が傾斜面状に形成され、この傾斜面が把持部幅の略26%を占めているのに対して、引用意匠には傾斜面はない点、において相違がある。 (3)検討 請求人の主張とこれらの相違点とを総合的に検討すると,ドライバービットの中央より先端側に把持部を形成しこれを被覆することが,普通に行われていることであると示されていないが,仮に被覆することが公知であるとしても,本願意匠のように,周方向等間隔に略縦長紡錘形状部の浅い凹み部を3個形成し,当該凹み部の横幅を太めに形成し,その縦幅を被覆部の5割程度の幅に形成することは一定程度の創作を必要とするものである。(イ)ないし(ホ)の各個別の相違点については,引用意匠に基づけば,本願意匠を創作するのにそれほど困難であるとはいえないとしても,各相違点を有するような形状を選択的に採用し,全体として本願意匠の形状にまとめ上げることは,もはや創作行為というべきであり,引用意匠に基づいたとしても容易に想到することはできないというほかない。 以上のとおりであって,本願意匠は,その出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものということはできない。 5.むすび したがって,本願の意匠は,意匠法第3条第2項の規定に該当しないので,原査定の拒絶理由によって本願の登録を拒絶すべきものとすることはできない。また,他に本願の登録を拒絶すべき理由を発見することができない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2009-12-24 |
出願番号 | 意願2008-15362(D2008-15362) |
審決分類 |
D
1
8・
121-
WY
(K1)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 小林 裕和 |
特許庁審判長 |
関口 剛 |
特許庁審判官 |
樋田 敏恵 橘 崇生 |
登録日 | 2010-03-05 |
登録番号 | 意匠登録第1384159号(D1384159) |