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審決分類 審判 査定不服  1項柱書物品 取り消して登録 H2
管理番号 1214490 
審判番号 不服2009-20979
総通号数 125 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2010-05-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-10-30 
確定日 2010-04-06 
意匠に係る物品 エックス線透視撮影用エックス線高電圧発生機 
事件の表示 意願2007- 27867「エックス線透視撮影用エックス線高電圧発生機」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 1.本願の意匠
本願は,平成19年10月11日の意匠登録出願であり,その意匠は,願書の記載によれば,意匠に係る物品を「エックス線透視撮影用エックス線高電圧発生機」とし,形態を願書及び願書に添付した図面の記載のとおりとするものである(別紙参照)。

2.手続の経緯
本願意匠は,平成20年11月13日付で意匠法第3条第1項柱書に規定する工業上利用することができる意匠に該当しない旨の拒絶理由が通知された。これに対して,請求人は,平成20年12月12日,手続補正書を提出し,意匠に係る物品の説明の欄を変更する補正をしたが,平成21年3月26日付で出願当初の願書の記載の要旨を変更するものであるとして補正の却下の決定がなされた。請求人は,これを不服として,平成21年4月17日に審判請求をしたところ,平成21年8月31日付で補正の却下の決定を取り消す旨の審決がなされた。そして,その後,平成21年10月6日付で,平成20年11月13日付で通知した拒絶理由により,「本願の意匠に表される画像図は,エックス線発生の制御機器もしくは条件設定機器等の操作の用に供される画像と認められるため,本物品の機能を発揮できる状態にするための操作の画像には該当せず,意匠法第3条第1項柱書に規定する工業上利用することができる意匠には該当」しない旨の拒絶査定がされたが,請求人は,これを不服として平成21年10月30日に審判請求をしたものである。

3.請求人の主張の概要
請求人は,拒絶査定を不服として審判を請求し,概ね以下のとおりの主張を行った。
本願意匠は「エックス線透視撮影用エックス線高電圧発生機」なる物品に係るものです。「エックス線透視撮影」とは即ち被写体にエックス線を透過させてその透過像を撮影することにより医療診断用画像等を得ることを指しており,この撮影に使用するエックス線を実際に発生させるのはエックス線管です。エックス線透視撮影用のエックス線には,被写体毎に適した,あるいは撮影目的や必要精度に適した,即ち被写体の被爆量を最小限に抑え且つ目的画像を得るために適した強さのエックス線が知られており,この最適値に調整されたエックス線をエックス線管に発生させるために,目的に合うように調整された適切な高電圧をエックス線管に与える機械が本願意匠に係る「エックス線高電圧発生機」です。エックス線高電圧発生機が「エックス線発生の制御機器や条件設定機器等」を備えていることは,この物品が担う機能を発揮するための必須内蔵機器を備えていることに過ぎません。このように「エックス線透視撮影用エックス線高電圧発生機」が「制御機能」を有するものであることは,この種の物品において,本願の出願以前から認められるものであって,格別不自然なものでもありません。本願の意匠に係る物品が制御機能を有していることは,先の審決における「当審の判断」にて既に認定いただいた事項です。
以上のように,本件意匠に係る画像は,エックス線高電圧発生機自体の機能によって発揮される画面であって,画面上に表示されるボタン類を押下することにより,エックス線高電圧発生機に指示を与え,必要な機能を発揮させる状態とするものであり,意匠法第2条第2項に規定される画像であると思量いたします。

4.当審の判断
請求人は,平成20年12月12日,手続補正書を提出し,「その他」の欄を設けて,「本物品『エックス線透視撮影用エックス線高電圧発生機』は,適切にエックス線を発生させるための制御や条件設定をするための機器を備えているものであって,本願の操作画面からこれらの設定機器に命令信号を与えて各機能を発揮させることにより,結果としてこれら各部品機器の集合体たる『エックス線高電圧発生機』として機能するものです。本物品が制御機器や条件設定機器を包含するものである」旨の主張をし,また,平成21年4月17日の補正却下決定不服審判の審判請求書においても,「エックス線発生の制御機器や条件設定機器等はエックス線高電圧発生機の内部構成機器であって,これら制御機器等の操作は即ちエックス線高電圧発生機自体の操作に他ならない」旨を証拠を提出した上で主張し,今般の審判請求に当たっても同様な主張をしているものである。
要するに,請求人は,平成20年11月13日付の拒絶理由通知書において,「エックス線発生の制御機器,条件設定機器等の操作画像に関わるものと認められ,本物品自体の機能を発揮できる状態にするための操作の画像には相当せず」,意匠法第3条第1項柱書に規定する工業上利用することがでる意匠に該当しない旨の通知がされたが,一貫して本願意匠は「エックス線発生の制御機器,条件設定機器等の操作画像に関わるもの」ではなく,これらの機器を包含するものであり,本願意匠は制御機能を有するものであると主張している。
そして,補正却下決定不服審判において,平成21年8月31日付の審決で,「補正によって,意匠に係る物品の使用目的,機能等を変更したものとは認められず,また,本願の意匠の画像図に表された画像について,本願の意匠に係る物品に設置される制御機器や条件設定機器の操作画像である旨変更したものであるとも認められない。一方,請求人の主張するようにエックス線透視撮影用エックス線高電圧発生機が制御機能を有するものであることは,この種の物品において,本願の出願以前から認められるものであって,格別不自然なものとも認められず,本願の意匠に係る物品の説明も,本願の意匠に係る物品が制御機能を有しているとの内容に何ら変更を加えたものでもないから,この補正は,出願当初の願書の記載の要旨を変更するものではない。」旨が示されたのである。
以上のことから,エックス線透視撮影用エックス線高電圧発生機が制御機能を有するものであることは,この種の物品において,本願の出願以前から認められるものであって,「エックス線発生の制御機器,条件設定機器等の操作画像に関わるもの」であると特定の状況を前提として本願意匠を認定することの方が不自然である。確かに,願書の意匠に係る物品の欄にエックス線発生の制御機器,条件設定機器等が内蔵されている旨が明記されてはいないが,請求人は,本願意匠が制御機能を有している旨を再三主張し,この主張に基づいて行った補正に対しては,出願当初から本願意匠が制御機能を有していると認識できるからこそ,補正の却下の決定が取り消されたのであると解するべきである。補正の却下の決定が取り消されたことにより,補正後の意匠に係る物品の説明の欄が,補正却下の決定の理由に記載されたように,本願意匠がエックス線発生の制御機能を有する旨の表現であるということになるにも関わらず,平成21年10月6日付拒絶査定においては,「エックス線発生の制御機能,条件設定機能等が内包されているという説明もないため」,エックス線発生の制御機器もしくは条件設定機器等の用に供される画像と認められるとしているが,拒絶査定の記載内容は矛盾していることが明らかである。
なお,補正の却下の決定が取り消されたので,拒絶理由通知書に対する平成20年12月12日提出の手続補正書を一応採用したとしてもなお,エックス線発生の制御機器,条件設定機器等が内包されているという説明がないので拒絶査定を行ったのであるとするならば,平成21年8月31日付の審決において判断された実質的な内容を考慮せずに行った拒絶査定であるというほかなく,意匠法第51条違反との懸念を抱かせるか、あるいは、違反していないとしても,形式的過ぎる査定であるというべきであって,正しい査定とはいえない。
以上のとおりであって,本願意匠は,本願の物品の機能を発揮できる状態にするために行われる操作の用に供される画像であると認められるので,意匠法第2条第2項に規定する画像であると認めることができる。

5.結び
したがって,本願意匠は,意匠法第3条第1項柱書に規定する工業上利用することができる意匠であると認められるので,原査定の拒絶理由によって本願の登録を拒絶すべきものとすることはできない。また,他に本願の登録を拒絶すべき理由を発見することができない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2010-03-24 
出願番号 意願2007-27867(D2007-27867) 
審決分類 D 1 8・ 13- WY (H2)
最終処分 成立 
前審関与審査官 内藤 弘樹 
特許庁審判長 関口 剛
特許庁審判官 樋田 敏恵
橘 崇生
登録日 2010-04-23 
登録番号 意匠登録第1388489号(D1388489) 
代理人 江口 裕之 
代理人 喜多 俊文 
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