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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 J3
管理番号 1218139 
審判番号 不服2009-22865
総通号数 127 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2010-07-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-11-24 
確定日 2010-05-11 
意匠に係る物品 デジタルスチルカメラ 
事件の表示 意願2008-845「デジタルスチルカメラ」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 1.本願意匠
本願は,平成20年1月18日の意匠登録出願であって,その意匠は,意匠に係る物品を「デジタルスチルカメラ」とし,その形状を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。

2.原査定の拒絶の理由及び引用意匠
原査定において,意匠法第3条第1項第3号に該当するとして引用された意匠は,その出願前に日本国内または外国において電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった,下記の意匠である(別紙第2参照)。

(1)電気通信回線の種類
インターネット
(2)掲載確認日(公知日)
2007年10月22日
(3)受入日
特許庁意匠課受入2007年10月26日
(4)掲載者
ペンタックス株式会社
(5)表題
PENTAX News Release 2007:3.0型の大型液晶モニター搭載,スタンダードクラスのコンパクトデジタルカメラ「ペンタックス オプティオV10(ブイテン)新発売」
(6)掲載ページのアドレス
http://www.pentax.co.jp/japan/news/2007/200785.html
に掲載された「デジタルカメラ」の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HJ19063886号)

3.両意匠の対比
両意匠を対比すると,意匠に係る物品については,本願意匠は「デジタルスチルカメラ」で,引用意匠は「デジタルカメラ」に関するもので,意匠に係る物品は実質同一であり,形状については,下記のとおりの一致点と相違点がある。
なお,両意匠の対比に際しては,請求人が提出した審判請求書に掲載された,引用意匠の実施品を別の角度から写真撮影されたと思われる写真「図7」と,引用意匠の実施品の取扱説明書に記載されている図面と主張する「図8」を必要に応じて参考にした。
(1)一致点
(A)カメラ本体が,全体で薄型略直方体状であって,正面視で上下左右角部を大きなアールで構成し,左右側面及び上下面を回る周面によって筺体とし,角丸略直方体からなるカメラ筐体の正面(前方)に略平滑面の前パネル部を設け,その前パネル部に,ズームレンズ鏡筒及びそれを取り囲む同心円状のレンズユニット部,ストロボ発光部,正面左辺に設けられた指掛け部を設け,筺体上面にシャッターボタンを備えた基本的構成態様が一致し,
(B)前面パネル部の右端から少し離れた位置に上下に少し余地を残す大きさの正円レンズユニットを設け,正円レンズユニットと同心円状に,ズームレンズ鏡筒を設け,その中心の略横長長方形状開口部にレンズを設けている点,
(C)レンズユニット部直近左上に位置するストロボ発光部を横長の角丸長方形としている点,
(D)ストロボ発光部左端上方に架かる筺体上面の位置に平面視で正円のシャッターボタンを,その周りにリング状のズームレバーを設け,そのズームレバーには正面に指掛け突起部を形成している点,
(E)筺体上面略中央に正円の電源スイッチを設けている,具体的構成態様が一致する。
(2)相違点
両意匠は,具体的構成態様において,
(a)筺体の構成につき,本願意匠は,切れ目なく連続した帯状で,筺体の周面を一周する構成としているのに対して,引用意匠は,帯状部が正面視で,本体右下角から始まり,右上角部を回り込んで,本体上面の電源スイッチとシャッターボタンの間で斜めに切った状態で終わっており,その先(正面視本体左上角付近)とでは部材が全く別になっており,左側面部においても同様に,ストラップ取り付け部の上部の斜め線の部分において分断されて,この線の上と下の部材が異なるように構成し,なおかつ,この帯状部は,本体右辺4分の1高さと本体右角部につなぎ目を設けている点,
(b)前パネル部の上下左右4辺の前方角部につき,本願意匠は,角部のアールの寸法を極力小さくして角張らせ,シャープなエッジを構成しているのに対し,引用意匠は,角部のアールを大きくし,エッジ部を作っていない点,
(c)レンズの開口部につき,本願意匠は,上下辺が直線で,左右辺が円弧状とした略偏平太鼓形状であるのに対して,引用意匠は,横長長方形の角を落とした略偏平八角形としている点,
(d)レンズユニット部につき,本願意匠は,ごく薄い円柱状であるのに対し,引用意匠は,やや厚みのある円すい台状で,その斜面はへこみ曲面となっているように認められる点,
(e)指掛け部につき,本願意匠は,レンズユニット部の直径よりも短い縦長さで,平面視でL字状で,本体の前面から左側面に回り込んだもので,前面部も側面部も大きな円弧状に中央が突出した形状で,その両面を斜め45度に面取りした状態でつなげているのに対して,引用意匠は,前面のみで側面には回り込まず,上下対称で,上端は略への字状にとがらせ,平面視で直角台形状で,洋剣のような形状としている点,が相違する。

4.類否判断
両意匠の物品は,手に持って使用するものであるから,様々な角度から視認されるものであり,需要者は,意匠の基本的な形状のみならず,各部の具体的な形状も把握して,意匠を全体としてとらえるものと言える。よって,両意匠の類否判断にあたっては,基本的構成態様のみならず,各部の具体的構成態様を詳細に検討したうえで,意匠全体として判断しなければならない。
そうすると,一致点について,両意匠の一致する基本的構成態様(A)は,意匠全体の骨格をなし,異なった基本的構成態様の物もある中においては,両意匠の共通感を醸し出しているが,従来より普通に見られる態様でもあるので,直ちに類否判断を決するものではなく,具体的構成態様についても加味し,検討する必要がある。
両意匠の一致する具体的構成態様(B)については,この種ズーム機能の付いたコンパクトデジタルカメラにおいては,ごく普通の態様と言え,類否判断を左右するものではない。(C)については,この種物品分野においては,出願前からごく普通に存在するものであって,この共通感が類否判断に与える影響は微細である。(D)の内,シャッターボタンの位置と形状については,この種物品分野においては,旧来からのものであり,ズームレバーの位置及び形状についても,この種ズーム機能の付いたコンパクトデジタルカメラにおいては,出願前からごく普通に存在するものであって,類否判断に影響を与えるものではない。(E)については,異なった位置と形状の物もある現状においては,両意匠に共通感が生じるが,従来より普通に見られる態様でもあるので,直ちに両意匠のみの共通感とは認められず,類否判断を決する要素ではない。
次に,相違点について,相違点(a)は,引用意匠の上面における帯部の端が,斜めになっている点が,本願意匠とは異なる意匠的効果を強くもたらしているのに対して,本願意匠の帯部は,この種物品の意匠において従来より普通に見られるため,この部位のみの視覚効果としては希薄で,かえって引用意匠とは異なるまとまり感を看者に与えていると言える。
相違点(b)によって,本願意匠は,筺体の上下左右角部(奥行き方向の角部)のみを大きなアールとし,左右側面及び上下面を回る周面に前後から平面をはり合わせたような基本造形となっている。対する引用意匠は,前パネル部の上下左右4辺の前方角部のアールを大きくした結果,筺体の上下左右角部(奥行き方向の角部)のアールとほぼ同じ大きさのアールとなり,上下方向,左右方向,及び奥行き方向(x,y,z軸方向)の三方向に角丸処理を施した基本造形となっている。この種物品分野においては,どちらの造形概念(コンセプト)も普通にあり,両意匠共にそれぞれの独自の特徴を醸し出しているとは言えないが,互いの基本的造形概念の違いは,互いに異なるまとまり感を需要者に与えると言える。
相違点(c)は,この種物品分野においては,どちらの形状も出願前からごく普通に存在するものであって,類否判断に与える影響は大きいとは言えない。
相違点(d)は,ズームレンズ鏡筒が繰り出した状態では,鏡筒つけ根部という目立たない部位の相違点と考えられるが,鏡筒が収まりレンズユニット部が平たんになる電源を切った状況では,目立つ相違点と考えられ,本願意匠は,その出っ張りの薄さからカメラのスムースな収納が連想できるフラットな形状であるのに対し,引用意匠は,鏡筒が収まったレンズユニット部全体が,略偏平円すい台に成り,この種物品の重要な部分であるレンズの存在を訴える形状であるから,両意匠それぞれが異なるまとまり感を持ち,類否判断に与える影響は大きいと考えられる。
相違点(e)は,本願意匠は,本体に対し大きく重厚で,また,平面視でL字状の形状は今までに無く,本願意匠のみの特徴として評価できるのに対し,引用意匠は,前面のみに細長く形成したものであり,左側面がわからのぞいて見えるのは,本願意匠に無いストラップ取付け部であり,相違点(e)は,指掛け部という用途から,よく目の行く部位の相違でもあって,視覚効果は大きく,類否判断に大きな影響を及ぼしている。
以上を総合すると,相違点による視覚効果は一致点による効果を圧しており,特に,帯状部と指掛け部の形状の相違は,それぞれ異なる意匠的効果を表しているというべきであり,両意匠は,意匠全体として美感が相違し,類似しないものである。

5.むすび
したがって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものではなく,原査定の拒絶理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2010-04-23 
出願番号 意願2008-845(D2008-845) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (J3)
最終処分 成立 
前審関与審査官 綿貫 浩一伊藤 宏幸 
特許庁審判長 関口 剛
特許庁審判官 橘 崇生
樋田 敏恵
登録日 2010-06-18 
登録番号 意匠登録第1392626号(D1392626) 
代理人 藤井 兼太郎 
代理人 内藤 浩樹 
代理人 永野 大介 
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