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審決分類 審判    J7
管理番号 1219807 
審判番号 無効2009-880014
総通号数 128 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2010-08-27 
種別 無効の審決 
審判請求日 2009-09-25 
確定日 2010-06-28 
意匠に係る物品 半導体ビューティフェースローラ 
事件の表示 上記当事者間の登録第1360836号「半導体ビューティフェースローラ」の意匠登録無効審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 登録第1360836号の意匠登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 第1.手続の経緯

本件意匠登録第1360836号の意匠(以下,「本件登録意匠」という。)は,平成20年(2008年) 9月22日に意匠登録出願されたものであって,平成21年(2009年) 4月24日に設定の登録がなされ,その後,当審において,概要,以下の手続を経たものである。

審判請求書 平成21年(2009年) 9月25日

審判事件答弁書 平成21年(2009年)11月27日

口頭審理陳述要領書(請求人) 平成22年(2010年) 1月19日
口頭審理陳述要領書(被請求人) 平成22年(2010年) 1月19日
口頭審理 平成22年(2010年) 1月19日
(口頭審理において,審判長は,被請求人に対して当審の無効理由通知を,請求人に対して同旨の職権審理結果通知をそれぞれ告知し,両者に対して書面審理通知を告知した。)

意見書(被請求人) 平成22年(2010年) 1月29日


第2.請求人の無効理由の要旨

請求人は,結論同旨の審決を求め,その理由として,要旨,以下の1.?2.のとおり主張すると共に,この主張を立証する証拠として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。

1.本件登録意匠は,その出願前に日本国内において公然知られた意匠(甲第1号証の意匠)に類似する意匠,又は,その出願前に日本国内においで頒布された刊行物に記載された意匠(甲第1号証の意匠)に類似する意匠であり,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当する。

2.本件登録意匠は,その出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が,日本国内において公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(甲第1号証の意匠及び甲第2号証の意匠)に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものに該当し,意匠法第3条第2項の規定に該当する。

3.証拠
甲第1号証:平成20年 7月 1日に株式会社国際企画から発行された月刊誌「国際グラフ」7月号の表紙,目次,20頁?21頁,奥付及び裏表紙の複写並びに第21頁の部分拡大複写(別紙第2参照)

甲第2号証:意匠登録第1221980号公報(別紙第3参照)


第3.被請求人の答弁

被請求人は,「請求人の主張は理由がないものとする,審判費用は請求人の負担とする,との審決を求める」と答弁し,その理由として,要旨,以下のように主張した。

1.甲第1号証に記載された「ゲルマスポットローラー」及び甲第2号証に記載された「半導体ビューティフェースローラー」が,本件登録意匠と物品同一であることは認める。
2.しかしながら,本件登録意匠では「本体部」が断面8角形であるのに対して,甲第1号証及び甲第2号証に記載された意匠では断面6角形である点で大きく相違し,視覚を通じて得られる美感は全く異なる。
例えば,断面8角形である本件登録意匠では,半導体が配列されている面を常に2面見ることができるのに対して,断面6角形である場合には,半導体が配列されている面を2面見ることができる確立は2分の1以下となり,視覚を通じて得られる美感が大きく相違するものとなる。
3.また,請求人は,断面6角形と断面8角形とが共に周知の形状であることを理由に,本件登録意匠の創作性を否定している。しかしながら,周知の形状を使用することによって意匠の創作性を疑うことは論理の飛躍であり,上記の2.で詳述したように全く異なる美感を呈することを考えれば,本件登録意匠の創作性について疑いの余地はない。
4.以上により明らかなように,本件登録意匠は,意匠法第3条第1項第3号の規定並びに第3条第2項の規定に該当するものではなく,登録の適格性を備えた意匠である。


第4. 口頭審理及び無効理由通知

1.口頭審理
本件審判について,当審は,平成22年(2010年) 1月19日に口頭審理を行った。(平成22年 1月19日付第1回口頭審理調書)
請求人は,平成21年 9月25日付審判請求書及び平成22年 1月19日付口頭審理陳述要領書に記載のとおり陳述した。
被請求人は,平成21年11月27日付審判事件答弁書及び平成22年 1月19日付口頭審理陳述要領書(「5.陳述の要領」の「5)その他」を除く。)に記載のとおり陳述した。

2.無効理由通知
審判長が,口頭審理において,意匠法第52条で準用する特許法第153条第2項の規定により,被請求人に対して告知した本件登録意匠についての当審の無効理由通知の内容,及び,請求人に対して告知した本件事件の職権審理結果通知の内容は,次のとおりである。

「本件登録意匠は,請求人が提出した審判請求書に添付された甲第1号証,すなわち,本件の出願前に発行・頒布された刊行物である『国際グラフ 2008年 7月号』の第21ページの左下,下から2番目の写真版に現された2つの「ゲルマスポットローラー」のうち,後ろ側のものの意匠(以下,これを「甲1の2意匠」という。)に類似するものであり,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するから,意匠登録を受けることができないものである。
これは特徴のある構成態様が共通するためである。

被請求人は,これに対して意見があれば,平成22年(2010年) 2月 3日(水)までに,意見書の正本1通及びその副本2通を特許庁に提出すると同時にファクシミリにより請求人に送付すること。」


第5. 無効理由通知に対する被請求人の意見書の提出

前記の無効理由通知に対して,被請求人は,意見書を提出して,概ね以下のとおり主張した。

「1.本性登録意匠について
本件登録意匠は,略八角柱状のローラー本体部を備え,八面の内の一面間隔に三個ずつの半導体が配設されている。
したがって,軸線を水平にして半導体を備える面の一つを正面とした場合には,正面図には半導体を備える面を中央として,その上方及び下方に半導体を備えない平坦な面が表れ,合計三面が表れることになる。さらに,上面と下面に配設された半導体の一部が上下に突出して表れることになる。
そして,平面図及び底面図は正面図と同一図面となり,背面図も左右反対にはなるがローラー本体部は同一図面ということができる。
また,左右の側面図には,八角のローラー本体部が表れる。
なお,本件登録意匠の手持ち部は,中央部が小径とかっていて両端部が大径となっており,表面は滑らかに仕上げられている。

2.甲1の2意匠について
甲1の2意匠は,略六角柱状のローラー本体部を備え,六面の内の一面間隔に三個ずつの半導体が配設され,残りの三面には模様が表されている。この模様は,斜め格子状の凹状模様である。
したがって,軸線を水平にして半導体を備える面の一つを正面とした場合には,正面図には半導体を備える面を中央として,その上方及び下方に模様を備える面部表れ,合計三面が表れることになる。
平面図には,上方の半導体を備える面と,下方の模様を備える面の二面のみが表れることになる。
底面図には,上方の模様を備える面と,下方の半導体を備える面の二面のみが表れることになる。
背面図には,模様を備える面を中央として,その上方及び下方に半導体を備える面が表れ,合計三面が表れることになる。
また,左右の側面図には,六角のローラー本体部が表れる。
なお,甲1の2意匠の手持ち部は,上端周縁に「飛び鉋模様」状の環状模様が,同下端部の膨出部に明調子の点状の環状模様が,それぞれ表されている。

3.甲1の2意匠と本件登録意匠との比較
甲1の2意匠のローラー本体部は,正面図,平面図,底面図及び背面図の全てが異なる外観を表すことになる。これに対して,本件登録意匠のローラー本体部は,正面図,平面図,底面図及び背面図の全てが同一図面となるので,この点において顕著に相違している。そして,甲1の2意匠のローラー本体部が変化に富んだ外観を表すのに対して,本件登録意匠のローラー本体は変化の少ない外観を表すことになり,両者は顕著に相違している。
また,甲1の2意匠は,半導体を備えない面に斜め格子状の凹状模様を備えるのに対して,本件登録意匠は文様を備えない平面である。この結果,両者のローラー本体部の外観は,一層顕著に相違することになる。
また,左右の側面図には,ローラー本体部の外形が表れるので,両者において六角形と八角形の違いが明確に現れる。
なお,本件登録意匠の手持ち部は模様を備えていないのに対して,甲1の2意匠では模様を備え,一つの側面図を除く5面の図に手持ち部の模様が表れる点でも相違している。
また,審判長が無効理由通知の中で特徴のある構成態様が共通すると述べられているが,被請求人は構成態様が共通するとの理由で無効理由が発せられたことに対して不服がある。
すなわち,構成態様が共通するだけで無効ということになれば全く新規なもの以外は全て構成態様が共通することになり意匠権が存在しないことになる。
意匠とは物品の形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合であって・・・・と意匠法第2条で定義されているように,形状であってもそれに施された模様が異なれば別意匠が存在すると思料する。
したがって,甲1の2意匠と本件登録意匠とは意匠を表す6面が全て顕著に相違し,しかも甲1の2意匠はそれに施された模様が必ず前面に表出する。このため前面に半導体が位置したときでも看者は模様の方を大きな比重で看ることになる。
これにより構成態様が共通するとは到底言えないものである。

4.以上のように,甲1の2意匠と本件登録意匠とは6面図の何れもが顕著に相違しているので,両者において特徴のある構成態様が共通するとは到底言えず,本件登録意匠を無効とする理由はないものと確信する。


第6.当審の判断

1.本件登録意匠
本件登録意匠は,平成20年(2008年) 9月22日に意匠登録出願され(意願2008-24205号),平成21年(2009年) 4月24日に意匠権の設定の登録がなされたものであって,意匠に係る物品を「半導体ビューティフェースローラ」とし,その「形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下,「形態」という。)」は,願書の記載及び願書に添付された写真に現されたとおりのものである。(別紙第1参照)


2.甲1の2意匠
当審は,本件登録意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するとし,本件登録意匠に対して無効理由として引用した「甲1の2意匠」は,本件登録に係る意匠登録出願前,日本国内において発行・頒布された刊行物である『国際グラフ 2008年 7月号』(平成20年 7月 1日発行)(請求人が本件審判請求の証拠として提出した「甲第1号証」)の第21ページの左下,下から2番目の写真版に現された2つの「ゲルマスポットローラー」のうち,後ろ側のものの意匠であって,意匠に係る物品は,「ゲルマスポットローラー」であり,その形態は,当該写真版に現されたとおりのものである。(別紙第4参照)


3.本件登録意匠と甲1の2意匠の対比
(1)意匠に係る物品
本件登録意匠は,「半導体ビューティフェースローラ」であり,甲1の2意匠は,「ゲルマスポットローラー」であるが,両意匠の意匠に係る物品は,一致する。

(2)形態
形態についての主な共通点と相違点は,以下のとおりである。

(共通点)
(i)基本的構成態様
(A)全体が,略「丸棒」状の「手持ち部」の先端に,回転可能で,「半導体突起部」を配設した略「多角柱」状の「ローラー本体部」を接合してなるものである点。

(ii)具体的構成態様
(B)半導体突起部は,略多角柱状のローラー本体部の1面おきの面に,縦1列に3個ずつ,一定の間隔を置いて,「半球」状に突設されている点,
(C)ローラー本体部の頭部は,略「円形ドーム」状である点,
(D)手持ち部は,断面円形の丸棒であり,その中程を緩やかな逆弧状にくびれさせ,その下端部を略「なすび形」状にしたものである点,
(E)ローラー本体部(半導体突起部を除く。)と手持ち部のそれぞれの最大径は,ほぼ等しく,長さについては,手持ち部の方がローラー本体部もよりもやや長めである点。

(相違点)
(i)基本的構成態様
(ア) ローラー本体部の多角柱が,本件登録意匠は,「八角柱」であるのに対して,甲1の2意匠は,「六角柱」である点,及び,これに伴って,ローラー本体部の周囲に配設された半導体突起の列が,本件登録意匠は,4列であるのに対して,甲1の2意匠は,3列である点。

(ii)具体的構成態様
(イ) ローラー本体部の半導体突起部が配設されていない面の態様について,甲1の2意匠は,「斜め格子」状の細溝状(凹状)模様が形成されている(注:別の見方をすれば,「略菱形状のレリーフ状突起部が一定の隙間を設けて配列されている」ということもできる。)のに対して,本件登録意匠は,模様等は何も形成されていない平滑面である点,
(ウ) 手持ち部の態様について,甲1の2意匠は,その上端部周縁に「飛び鉋模様」状の環状模様が,又,同下端部の最大径部に,明調子の略「四稜星」状の環状模様が,それぞれ施されているのに対して,本件登録意匠には,そのような模様が何もない点。


4.本件登録意匠と甲1の2意匠の類否判断
以上の一致点,共通点及び相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価・総合して,両意匠の類否を意匠全体として検討し,判断する。

(1)共通点の評価
両意匠の基本的構成態様に係る共通点(A)及び具体的構成態様に係る共通点(B)ないし(E)は,両意匠の形態全体に渡り,両意匠の形態の骨格をなすものであると同時に,この種物品分野における先行公知意匠に照らすところ,両意匠にのみ特徴的なものと認められるから,これらの共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は極めて大きいという他ない。

(2)相違点の評価
これに対して,相違点は,以下のとおり,すべて微弱なものであるといわざるを得ない。

すなわち,基本的構成態様に係る相違点(ア)の「ローラー本体部の多角柱」が,本件登録意匠は,「八角柱」であるのに対して,甲1の2意匠は,「六角柱」である点,及び,これに伴って,ローラー本体部の周囲に配設された半導体突起の列が,本件登録意匠は,4列であるのに対して,甲1の2意匠は,3列である点」について,この物品のローラー本体部の形状が八角柱状であるか,六角柱状であるかの相違は,この種物品を見るときの態様が,本件登録意匠の図面における「斜視図」のような態様においてであることがほとんどであることを考慮すれば,このような態様において,見る者は,両意匠のローラー本体部を共通点で述べたように『「多角柱」状のもの』と認識するに止まるものであって,見る者に与える印象が大きく異なるとはいえないし,さらに,この種物品分野において,ローラー本体部の基本形状を八角柱状とするもの(例えば,参考公知意匠1(以下の「〔参考公知意匠〕」を参照。以下,省略。)。)も,六角柱状とするもの(例えば,甲第2号証の意匠,参考公知意匠2,参考公知意匠5及び参考公知意匠6。)も,いずれもありふれた態様であり,また,ローラー本体部の周囲に配設された半導体突起部の列が,4列である態様(例えば,参考公知意匠3,参考公知意匠4。),も,3列である態様(例えば,甲第2号証の意匠,参考公知意匠5及び参考公知意匠6。)も,いずれもありふれた態様であって,それぞれの態様を特徴点として大きく評価することはできないから,結局のところ,この相違点が,両意匠の類否判断に及ぼす影響は,微弱という他ない。


〔参考公知意匠〕
(参考公知意匠1)『公開特許公報 特許出願公開 昭58-61747「発明の名称 美容具」』の「第10図 (C)」に記載の「美容具のローラー」の意匠(別紙第5参照)
(参考公知意匠2)『公開特許公報 特許出願公開 昭58-61747「発明の名称 美容具」』の「第10図 (B)」に記載の「美容具のローラー」の意匠(別紙第5参照)
(参考公知意匠3)株式会社高千穂金属のインターネットホームページ『ゲルマローラーフェイスラボ』に掲載された商品名「フェイスラボ SPG」の「美顔器」の意匠(特許庁意匠課公知資料番号 HJ20019526:受入日 2008年 8月 1日:公知日 2008年 7月28日。)(別紙第6参照)
(参考公知意匠4)『登録実用新案公報 実用新案登録第3136068号「考案の名称 ローラ装置」』の「【図1】(a)及び同(b)」に記載の「美容もしくは美顔用のマッサージ器(ローラ装置)」の意匠(別紙第7参照)
(参考公知意匠5)『公開特許公報 特開2005-13664「発明の名称 半導体健康ビューティーローラー」』の「【図3】」に記載の「半導体健康ビューティーローラー」の意匠(別紙第8参照)
(参考公知意匠6)『公開特許公報 特開2005-13664「発明の名称 半導体健康ビューティーローラー」』の「【図4】」に記載の「半導体健康ビューティーローラー」の意匠(別紙第8参照)


具体的構成態様に係る相違点(イ)の「ローラー本体部の半導体突起部が配設されていない面の態様について,甲1の2意匠は,「斜め格子」状の細溝状(凹状)模様が形成されているのに対して,本件登録意匠は,模様等は何も形成されていない平滑面である」点も,本件登録意匠の平滑面である態様はいうまでもなく,甲1の2意匠の態様について,たとえ,これを「略菱形状のレリーフ状突起部が一定の隙間を設けて配列されている」態様という見方をしても,この種物品分野の意匠に止まらず,各種の平面部分に形成するレリーフ的な凹凸模様として,極めてありふれた態様であって,それぞれの態様を大きく評価することはできないから,この模様の有無に係る相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は,微弱である。

具体的構成態様に係る相違点(ウ)の「手持ち部の態様について,甲1の2意匠は,その上端部周縁に「飛び鉋模様」状の環状模様が,又,同下端部の最大径部に,明調子の略「四稜星」状の環状模様が,それぞれ施されているのに対して,本件登録意匠には,そのような模様が何もない」点については,甲1の2意匠の2箇所の模様は,部分的な一部位に過ぎないものに係り,かつ,具体的な模様自体も極ありふれたものであって,それぞれの態様を特徴点として大きく評価することはできないから,この模様の有無に係る相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は,微弱である。

(3)まとめ
以上を総合すれば,両意匠の基本的構成態様における相違点及び具体的構成態様における相違点は,いずれも両意匠の類否判断に及ぼす影響が微弱であるのに対して,両意匠の基本的構成態様に係る共通点(A)及び具体的構成態様に係る共通点(B)ないし(E)は,両意匠の形態全体に渡り,両意匠の形態の骨格をなすものであると同時に,この種物品分野における先行公知意匠に照らすところ,両意匠にのみ特徴的なものと認められ,これらの共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は極めて大きいものであるということができるものであり,これらの共通点があいまって生じる強い共通感は,相違点が相まって生じている視覚的効果を考慮してもなお,これらを凌駕して,両意匠の類否判断を決定付けているということができる。

したがって,本件登録意匠と甲1の2意匠は,意匠に係る物品が一致し,形態については,共通点の両意匠の類否判断に及ぼす影響が相違点の及ぼす影響を凌駕しており,本件登録意匠と甲1の2意匠は,類似する。


5.むすび
以上のとおりであって,本件登録意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当し,その意匠登録は,同法同条同項柱書の規定に違反してされたものであるから,同法第48条第1項の規定により,その意匠登録を無効とすべきである。

また,審判に関する費用については,意匠法第52条において準用する特許法第169条第2項において準用する民事訴訟法第61条の規定により,被請求人が負担すべきものとする。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審理終結日 2010-04-23 
結審通知日 2010-04-27 
審決日 2010-05-17 
出願番号 意願2008-24205(D2008-24205) 
審決分類 D 1 113・ 113- Z (J7)
最終処分 成立  
前審関与審査官 山田 繁和 
特許庁審判長 瓜本 忠夫
特許庁審判官 市村 節子
杉山 太一
登録日 2009-04-24 
登録番号 意匠登録第1360836号(D1360836) 
代理人 中林 幹雄 
代理人 堀口 真一 
代理人 鹿久保 伸一 
代理人 八鍬 昇 

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