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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 J3
管理番号 1221375 
審判番号 不服2010-665
総通号数 129 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2010-09-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-01-13 
確定日 2010-07-13 
意匠に係る物品 双眼鏡 
事件の表示 意願2008- 27898「双眼鏡」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 1.本願意匠
本願は、平成20年10月30日(パリ条約による優先権主張2008年5月26日 域内市場における調和のための官庁(商標及び意匠))の意匠登録出願であって、その意匠(以下、「本願意匠」という。)は、願書の記載によれば、意匠に係る物品を「双眼鏡」とし、その形態を願書及び願書添付の図面に記載されたとおりとするものである(別紙第1参照)。
2.引用意匠
原審において、意匠法第3条第1項第3号の規定に該当するとして、拒絶の理由に引用した意匠(以下、「引用意匠」という。)は、特許庁総合情報館が2000年3月6日に受け入れた、2000年1月31日発行の国際事務局意匠公報に掲載された国際意匠登録第DM/049 676号の「双眼鏡」の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HH14509015号)であって、その形態は、同公報に表されたとおりのものである(別紙第2参照)。
3.両意匠の対比
両意匠を対比すると、いずれも「双眼鏡」に係るものであり、意匠に係る物品が一致し、形態については主として以下の共通点及び差異点が認められる。
(1)共通点
(A)接眼レンズ側よりも対物レンズ側を径大とする2つの鏡筒をブリッジ状に2か所連結し、その2つの連結部を結ぶ中心軸を排し、中央部が大きく開けられている構成とした点、(B)鏡筒について、底面側には親指を載せる変型丸形の凹状陥没部を、左右側面の接眼レンズ寄りには吊り紐取り付け部を設け、縁のある接眼レンズ部が鏡筒本体から伸び出る態様とした点、(C)連結部について、ヒンジ構造とし、接眼レンズ寄りのヒンジ部には円筒形状の調整ノブを、反対側のヒンジ部の前方には中心にドーム状小円凸部を有している点、また、2か所の連結部は、左右の鏡筒との接合部において、鏡筒上に、一方の接合部から他方の接合部へと延伸し、一体となる連結枠を形成している点、において共通する。
(2)差異点
(a)鏡筒について、平面視において、本願意匠は接眼レンズ側から対物レンズ側に向かい、概ね直線上に広がっているのに対し、引用意匠は中央付近まで広がった後は、ほぼ同径を保った態様としている点、また、(b)鏡筒本体の接眼レンズ側について、本願意匠は平面視で内側を接眼レンズの縁部に接する態様とし、外側に向かって斜めに曲線で削り、外側端部を接眼レンズとは離れた位置に構成しているのに対し、引用意匠は単に接眼レンズの縁と平行としている点、(c)ヒンジ部について、本願意匠は平面視で中心側を太く、全体的に曲線的な構成としているのに対し、引用意匠は左右の鏡筒から同じ幅で直線的に構成している点、また、対物レンズ側のドーム状小円凸部について、本願意匠は弾丸状に膨出し、ヒンジも弾丸状膨出部と一体となった曲線状の構成としているのに対し、引用意匠は扁平円筒状とし、フラットな面のヒンジ部中心軸上に突出状に配した態様となっている点、(d)連結部をつなぐ連結枠について、本願意匠は凸湾曲した細幅の枠としているのに対し、引用意匠は、広幅の面構成としている点、(e)鏡筒の底面側に設けられた親指用の凹状陥没部について、本願意匠は浅く形成し、その周囲に一定の面積のわずかに凹陥させたグリップ部を設けているのに対し、引用意匠は深く形成し、凹状陥没部の接眼レンズ側から対物レンズ側の鏡筒先端に至る稜線による面の切替え部を設けている点、において差異が認められる。
4.類否判断
そこで検討するに、共通点の態様は、この種双眼鏡の分野において、従来から見受けられる態様であり、連結部を結ぶ中心軸を排し、中央部を開放した構造とした点も、各種存在する双眼鏡の構造のうちの1つのタイプを示すに過ぎないものであり、両意匠のみに格別新規な態様ということはできず、それらの点のみをもって両意匠の類否判断を左右する共通点ということはできない。
これに対して、前記各差異点の中でもとりわけ(c)及び(d)における、ヒンジ部を含む連結部や連結枠の態様における差異は、両意匠に異なる視覚的効果を生じさせており、通常視認されることが多い、両意匠を斜め上方から観察した場合の印象を大きく決定付けるものといえ、看者の注意を強く惹くもので、その差異は、両意匠の類否判断に重大な影響を与えるものといえる。また、その他の差異点については、それらのみではいずれも両意匠の類否判断に与える影響は小さいが、上記差異点(c)及び(d)に係る態様と相俟って、意匠の類否判断に影響を与えるものであるから、これらの差異点に係る態様が相乗して生じる視覚的な効果は、両意匠の類否判断を左右するに十分のものである。
以上のとおり、両意匠は、意匠に係る物品が一致するものであるが、その形態において、差異点が共通点を凌駕し、意匠全体として看者に異なる美感を起こさせるものであるから、類似しないものである。
5.むすび
したがって、原審の拒絶理由によって、本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2010-06-28 
出願番号 意願2008-27898(D2008-27898) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (J3)
最終処分 成立  
前審関与審査官 伊藤 宏幸 
特許庁審判長 斉藤 孝恵
特許庁審判官 樋田 敏恵
北代 真一
登録日 2010-08-27 
登録番号 意匠登録第1397410号(D1397410) 
代理人 特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所 

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