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審決分類 審判    E3
管理番号 1226483 
審判番号 無効2009-880010
総通号数 132 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2010-12-24 
種別 無効の審決 
審判請求日 2009-06-27 
確定日 2010-10-12 
意匠に係る物品 ゴルフボール 
事件の表示 上記当事者間の登録第1118250号「ゴルフボール」の意匠登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第1118250号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 第1.手続の経緯

・平成12年5月18日 意匠登録出願(意願2000-13118、優先日 平成11年11月18日、米国意匠特許出願29/114289 )
・平成13年6月22日 設定登録(意匠登録第1118250号)
・平成21年6月27日 本件無効審判請求(無効2009-880010号、甲第1、2号証提出)
・平成21年10月5日 答弁書及び証拠説明書提出(乙第1?3号証添付)
・平成21年11月25日 口頭審尋
・平成21年12月4日 上申書提出(請求人側、甲第3?9号証添付)
・平成21年12月24日 上申書提出(被請求人側)
・平成22年1月21日 無効理由通知(被請求人宛)及び職権審理結果通知(請求人宛)発送
・平成22年2月16日 意見書提出(請求人側、甲第10号証添付)
・平成22年3月10日 意見書提出(被請求人側)

第2.審判請求の概要、及び被請求人の答弁

1.審判請求の概要
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由として、概要以下の主張をし、証拠方法として、甲第1号証、及び甲第2号証を提出した。

本願登録意匠は、その添付図面において、平面図、立面図及び斜視図に描かれた大小二重六角形及び大小二重五角形の各線が何を表しているのかが、これらの図、および願書の記載から認識することができないから、意匠を特定することができず、意匠法第3条第1項柱書に規定する工業上利用することができる意匠に該当しない。従ってその登録は、意匠法第48条第1項第1号の規定により無効とされるべきである(無効理由1)。
また本件登録意匠は、その優先日前に日本国内において頒布された、特開平7-289662号公報(甲第1号証 別紙第2参照)の図12に記載された意匠に類似し、意匠法第3条第1項第3号の規定により登録を受けることができないものである。従ってその登録は、意匠法第48条第1項第1号の規定により無効とされるべきである(無効理由2)。

2.被請求人の答弁
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める、と答弁して、概要以下の主張をし、乙第1号証ないし乙第3号証を提出した。

本件登録意匠はゴルフボールに係るものであるから、図面上の各ディンプルの内側の線が、ディンプルの湾曲面を区分する線であって、各ディンプルが、内側の六角形の線によって囲まれる領域と、外側の六角形と内側の六角形との間に挟まれる領域の2種類の曲面によって形成されることは明らかである。凹凸に関する説明がないからといって本件登録意匠が不明ということにはならない(無効理由1)。
また、請求人が引用した、特開平7-289662号公報の図12に記載された意匠は、一重の六角形ディンプルが辺を共有して隣接配置されたものであるのに対し、本件登録意匠は、六角形ディンプルの内側に、更に、六角形の線によって示される領域が存在するもので、両意匠が視覚的に異なることは明らかで、両意匠は非類似である(無効理由2)。
従って、本件登録意匠が無効とされるべき理由はない。

第3.当審の無効理由通知、及び当事者の主張

本件登録意匠について、当審では、平成22年1月21日に無効理由通知、及び職権審理結果通知を当事者に通知し、これに対して請求人、被請求人は意見書を提出した。その内容、及び請求人の主張(平成22年2月16日付意見書による主張)、被請求人の主張(平成22年3月10日付意見書による主張)は、概要次のとおりである。

1.当審の無効理由通知
本件登録意匠は、下記に示すように、出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたもので、意匠法第3条第2項の規定に該当する。
(記)
本件登録意匠は、添付図面の記載から、その形態が、基本構成として、ゴルフボールの表面全体に、主として六角形のディンプルが、外形線を共有して密に配列されたものであって、具体的態様として、各ディンプルの内側に、ディンプルの外形線を相似状に縮小したラインが現れるものであることが認められる。
そして、本件登録意匠の出願日(優先日)前に公開された特開平7-289662号公報(本件甲第1号証)の【図12】において、基本構成として、ゴルフボールの表面全体に、主として六角形のディンプルが外形線を共有して密に配列された形状が示されている。
また、同公報の【図19】の(c)に、ディンプルの具体的態様として、ディンプルの内側に、ディンプルの外形線を相似状に縮小したラインが現れる態様が示されている。
そして本件登録意匠は、その出願前の公然知られた上述の形状、態様が組み合わされて表された域を出ず、その意匠は、当業者において容易に創作できた程度のものに当たる。

2.請求人の主張
本件登録意匠は、法適用の統一及び公平の見地から、審判請求書、及び上申書の主張のとおりに、甲第1号証である、特開平7-289662号公報の図12(ディンプルの詳細は図11)に記載の意匠に類似するとして、或いは、同公報の図19の(c)及びその関連記載により認識される意匠に類似するとして、意匠法第3条1項3号違反を理由として無効とされるべきである。

3.被請求人の主張
特開平7-289662号公報の図12に示された配列パターンに従って、同公報の図19(c)の六角形ディンプルを配列したとしても、ランドは必ず、2本の線により画成され、本件登録意匠とは異なる。また図19(c)の符号11で示された領域は、図20(c)に示される段部を示しており、本件登録意匠が予定も想定もしていない形態で、本件登録意匠を示唆しない。従って、本件登録意匠は、出願前の公然知られた図12と図19(c)の形状が組み合わされて表されたものではなく、当業者において容易に創作できた意匠には該当しない。

第4.当審の判断

1.本件登録意匠
本件登録意匠は、平成11(1999)年11月18日の米国意匠特許出願に基づく優先権の主張がなされて、平成12年5月18日に意匠登録出願がされ、平成13年6月22日に意匠権の設定の登録がなされたものであり、意匠に係る物品を「ゴルフボール」とし、その形状を、意匠登録出願の願書に添付した図面に記載されたとおりとするもので、概要、以下のとおりであることが認められる。(別紙第1参照)

即ち基本構成として、ゴルフボールの表面全体に、主として六角形のディンプルが、外形線を共有して、ハニカム状に、密に配列されたものであって、その具体的態様として、各ディンプルの内側に、ディンプルの外形線を相似状に縮小したライン(以下「内側ライン」とする。)が現れるものである。
そして更に具体的にみると、ディンプルのうちの、12個のディンプルが、五角形であり、五角形ディンプル相互が、ほぼ均等の間隔をあけてボールの全面に配されている。また各ディンプルに現れる内側ラインは、径が、ディンプルの外形線に対して、六角形ディンプルで大凡1/2、五角形ディンプルで大凡1/3の径である。

2.検討・判断
そこで、本件登録意匠の創作非容易性について検討する。
まず、本件登録意匠の出願日(優先日)前に公開された特開平7-289662号公報(甲第1号証、別紙第2参照)において、図12に、本件登録意匠と同様、ゴルフボールの基本構成として、ボールの表面全体に、主として六角形のディンプルが外形線を共有して、ハニカム状に、密に配列されたゴルフボールの形状が示されている。またこのゴルフボールは、本件登録意匠と同様に、ディンプルのうちの12個のディンプルが五角形であり、五角形ディンプル相互が、ほぼ均等の間隔をあけてボールの全面に配されている。
一方、同公報の図19(c)には、ディンプルの内側に、ディンプルの外形線を相似状に縮小した内側ラインが現れる態様が示されている。
ただしこの図19(c)の内側ラインは、径が、ディンプルの外形線に対して六角形ディンプルで大凡3/4を占める径であり、本件登録意匠の大凡1/2に比べてやや大きい。しかしながらその差は、ゴルフボールの大きさに照らせば、視覚上、さほど大きな差とはいえない上に、この種のラインの設計に際して、当然に想定される寸法比率の変更の範囲に止まるもので、また同公報においてもこの種のラインの寸法比率を変更した態様が、図19の(a)と(b)の関係、或いはこれらと図7の関係に示されているところであって、この種の寸法特定に格別の創意は要さず、更に本件登録意匠において、五角形ディンプルの内側ラインの径が六角形ディンプルより相対的に小さく現されている点についても、六角形ディンプルと内側ライン、外形線間の幅を、揃えた結果程度のものであって、結局のところ、本件登録意匠の内側ラインについて、その径が図19(c)よりやや小さい点について、当業者の格別の創意があったものとはいえない。
してみると本件登録意匠は、その出願前の公然知られた図12のゴルフボールの形状と、図19(c)のディンプルの態様が単に組み合わされて、これに特段の創意工夫が加えられることなく表された域を出ず、本件登録意匠は、その出願前の公然知られた形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づき、当業者において容易に創作をすることができたものと判断せざるを得ない。

ところで被請求人は、当審の無効理由通知に対する平成22年3月10日付の意見書において、本件登録意匠は、ディンプルの外形線が1本線で現れる、ランド部が存在しないボールであるが、同公報の図12のゴルフボールは、その部分斜視図として示された図11によれば、ランド部は2本線で画成された、一定幅のランド部が存在するボールである、と主張している。
しかしながら、ゴルフボールの一般的な大きさに照らせば、両意匠は共に、ランド部、或いはディンプルの外形線が、共に1本の線として看取される程度の細いものと認められ、その中での幅差であるから、視覚上の差としてほとんど目立たず、しかも同公報の【発明の詳細な説明】の【0011】の欄は「ランドの幅は、0.0?2.5mm位の範囲から適宜設定できる」との記載があり、ランド部が存在しないこと、乃至は極細いことに独自性はなく、従って、図12との外形線の違いを根拠として本件登録意匠の創作性が否定されるべきでない、とする被請求人の主張は採用することができない。
更に被請求人は、図19(c)について、その断面形状は図20(c)であって、図20(c)は本件登録意匠のディンプルの断面形状とは全く異なる形状である、とも主張する。
この点について、同公報の【図面の簡単な説明】の欄の【図19】の項の「ディンプル内段部の内縁形状及び面積が異なる三つの発展例」との記載、及び【図20】の項の「ディンプル内段部の断面形状が異なる三つの発展例」との記載からは、必ずしも図19(c)と図20(c)とが一対の、若しくは一体不可分の図面として解されるべき理由は見出せず、また同公報をみる者は、ごく自然に、図19(c)の具体的な態様として、図20の(a)(b)(c)の各態様を想定すると考えられるが、そもそも、図20の各図を参照するまでもなく、図19(c)の図面それ自体において、ディンプルの内側に、ディンプルの外形線を相似状に縮小した内側ラインが現れる態様が示されているところであり、図20(c)との対比を根拠として本件登録意匠の創作性が否定されるべきでない、とする被請求人の主張も採用することはできない。

一方、請求人は、本件審判請求における無効理由に、本件登録意匠はディンプルの断面形状が特定できず、本件登録意匠は意匠法第3条第1項柱書に規定する工業上利用できる意匠に該当しない、との理由を挙げているが、ゴルフボール自体がさほど大きいものではないことから、個々のディンプルの内側の面変化は、外観上、ほとんど目立たず、内側ラインの輪郭が認識できる程度と認められ、視覚を通じて認識できるゴルフボールの形状は、願書及び添付図面の記載から、上記認定のとおりであることが認められ、その創作は上記のとおりと判断できるものである。

以上のとおりであって、本件登録意匠は、その意匠の属する分野における通常の知識を有する者が、日本国内又は外国において公然知られた形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものに当たるというべきで、本件登録意匠は、意匠法第3条第2項の規定に該当するものである。

3.むすび
従って、本件登録意匠は、意匠法第3条第2項の規定に該当するにもかかわらず意匠登録を受けたものであるから、その登録を無効とすべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審理終結日 2010-05-18 
結審通知日 2010-05-20 
審決日 2010-06-03 
出願番号 意願2000-13118(D2000-13118) 
審決分類 D 1 113・ 121- Z (E3)
最終処分 成立 
特許庁審判長 瓜本 忠夫
特許庁審判官 杉山 太一
市村 節子
登録日 2001-06-22 
登録番号 意匠登録第1118250号(D1118250) 
代理人 山口 昭則 
代理人 佐々木 定雄 
代理人 大貫 進介 
代理人 伊東 忠重 
代理人 松原 等 
代理人 伊東 忠彦 
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