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審決分類 |
審判 査定不服 2項容易に創作 取り消して登録 F4 |
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管理番号 | 1229907 |
審判番号 | 不服2010-16027 |
総通号数 | 134 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2011-02-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2010-07-16 |
確定日 | 2010-11-24 |
意匠に係る物品 | 包装用容器 |
事件の表示 | 意願2009-13132「包装用容器」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
1.本願意匠 本願は,平成21年6月10日の意匠登録出願であり,本意匠を意願2009-13136とし,その意匠は,願書の記載によれば,意匠に係る物品を「包装用容器」とし,形態を願書及び願書に添付した図面の記載のとおりとしたものである(別紙第1参照)。 2.原査定の拒絶理由 本願は,原査定において,「この意匠登録出願に係る包装用容器の分野において,底面部に設けられた凹凸部,底面部に設けられた凹凸部をのぞく容器本体部を用途に応じて適宜組合せることは,本願出願前より極普通に行われているのでありふれた手法です。 この意匠登録出願の意匠は,本願出願前に公然知られたものと認められる底面部に設けられた凹凸部の意匠(意匠1の底面部に設けられた凹凸部の意匠),本願出願前に公然知られたものと認められる底面部に設けられた凹凸部をのぞく容器本体部の意匠(意匠2の底面部に設けられた凹凸部をのぞく容器本体部の意匠)を,単にほとんどそのまま組み合わせたに過ぎないので,容易に創作できたものと認められます。 (意匠1) 特許庁発行の意匠公報記載 意匠登録第1270858号の意匠 (意匠2) 特許庁総合情報館が1995年 5月 8日に受け入れた 大韓民国意匠公報 1995年 3月11日 第59頁所載 包装用瓶の意匠 (特許庁意匠課公知資料番号第HH07020790号)」との理由で,意匠法第3条第2項の規定に該当するとして,拒絶すべき旨の査定がなされたものである。 3.当審の判断 (1)本願意匠 本願意匠は,基本的構成態様において,溝付き底部を持った略円筒状の胴部の上方にドーム状の肩部,及び細い円筒形口部を形成するものであって,具体的態様においては,全体高さが,胴部直径の約2倍であって,口部はつば(鍔)を設け,その直下にわずかな垂直の周面があって,肩部につながっており,胴部はほぼ垂直の周面で構成し,その高さは胴部直径の約0.8倍で,胴部全体高さの約3分の1の幅の縮径部を胴部の上端より約1,下側に約2.5の余地を残した箇所に設け,胴部を上からおおむね1:2.5:2.5の割合で分割しており,底部につながっている。そして,底部の態様は,すそをすぼめないままで角丸にした態様で,その高さは胴部直径の約5分の1であって,断面形状を半円とした細い溝を底面視で放射状に7本設け,その溝の高さは正面視で底部高さと同じにしている。 (2)引用意匠 (a)意匠1(別紙第2参照) 意匠1は,基本的構成態様は,本願意匠と同じであり,具体的態様は,全体高さが,胴部直径の約3倍であって,口部はつばを設け,その直下にわずかな垂直の周面があって,肩部につながっており,肩部と胴部の間に波形の溝を設け,胴部は略垂直の周面で構成し,その高さは胴部直径の約1.8倍で,胴部前後(正面側と背面側)に凹曲面を設け,波形の溝を介して底部につながっている。そして,底部の態様は,角丸で,その高さは胴部直径の約4分の1であって,その底部高さの約3分の2高さまで細浅溝を5本,底面視で放射状に設けている。 (b)意匠2(別紙第3参照) 意匠2は,溝付きでない点を除いて基本的構成態様は,本願意匠と同じであり,具体的態様は,全体高さが,胴部直径の約2倍であって,口部はつばを設け,その直下にわずかな垂直の周面があって,肩部につながっており,胴部はほぼ垂直の周面であって,その高さは胴部直径と同等で,胴部全体高さの約3分の2の幅の縮径部を胴部の上端より約1,下側に約2の余地を残した箇所に設け,胴部を上からおおむね1:6:2の割合で分割しており,底部につながっている。そして,底部の態様は,溝を形成することなく,すそをすぼめた態様で,その高さは胴部直径の約8分の3である。 (3)検討 本願意匠の胴部は,縮径部の上下に完全な垂直周面の余地を設けた態様としているのに対し,「意匠1」は,胴部の上下端に明確な波形の溝を設けてあり,また,「意匠2」は,上下の余地共に垂直面ではなく,上記引用意匠のどちらにも本願意匠の胴部の具体的構成態様が表されておらず,その態様が異なる。 そうすると,本願意匠は上記引用意匠と,基本的構成態様及び底部の溝の態様などに,部分的に共通する点があったとしても,本願意匠の胴部形状は公然知られた形状であったとは言えず,全体として本願意匠の形状にまとめ上げることは困難と認められ,一定の創作行為があったと言わざるを得ず,これらの意匠を基に容易に想到することができたとは言えない。 以上のとおりであって,本願意匠は,その出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものということはできない。 4.むすび したがって,本願の意匠は,意匠法第3条第2項の規定に該当しないので,原査定の拒絶理由によって本願の登録を拒絶すべきものとすることはできない。また,他に本願を拒絶すべき理由を発見することができない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2010-11-11 |
出願番号 | 意願2009-13132(D2009-13132) |
審決分類 |
D
1
8・
121-
WY
(F4)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 樫本 光司 |
特許庁審判長 |
関口 剛 |
特許庁審判官 |
樋田 敏恵 橘 崇生 |
登録日 | 2011-01-07 |
登録番号 | 意匠登録第1407123号(D1407123) |
代理人 | 勝沼 宏仁 |
代理人 | 黒瀬 雅志 |
代理人 | 矢崎 和彦 |
代理人 | 朝倉 悟 |