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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 D0 |
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管理番号 | 1229918 |
審判番号 | 不服2010-12027 |
総通号数 | 134 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2011-02-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2010-06-03 |
確定日 | 2011-01-05 |
意匠に係る物品 | 踏み台 |
事件の表示 | 意願2009- 9799「踏み台」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
本願は、平成21年(2009年)4月28日の意匠登録出願(意匠に係る物品「踏み台」)であり、その意匠は、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第1参照。)。 これに対して、原審は、拒絶の理由について、本願意匠は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物である、日本国特許庁総合情報館が1993年5月14日に受け入れた世界知的所有権機関国際事務局発行の国際事務局意匠公報(発行日:1993年4月30日)、第1043頁(登録番号第DM/025353号)の上側4図(2.1?2.4)に所載の腰掛けの意匠(以下、「引用意匠」という。別紙第2参照。)に類似するものと認められ、意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当し、同条同項の規定により意匠登録をすることができないとしたものである。 そこで、原審が拒絶の理由において本願意匠が類似するとした引用意匠との類否について検討する。 両意匠の意匠に係る物品については、本願意匠が、踏み台として高い所のものを取ったりするための足場とする台であり、一方の引用意匠は、肘掛けや背もたれのない一人掛け用の腰を掛ける台としても、浴室等で使用されるような比較的高さの低い、軽量で容易に持ち運んで移動できるものであり、両意匠とも人が載って加わる荷重を支える台として共通した機能を備えるものであるから、両意匠の意匠に係る物品は類似するものである。 また、意匠に係る物品の形状について、両意匠を対比すると、主な共通点として、(A)全体は、略長方形板体状の台座部の四隅から下方に向けてやや拡開して斜めに延びる4本の略縦長薄板状の脚部を設けたものであり、各部の具体的な態様につき、(B)台座部の上面を、平面視隅丸長方形状として、その周縁を丸面状とし、(C)台座部の周側面のフランジ部と脚部とを一体状として、脚部を、台座部の四隅からそのまま下方へと延伸させ、縦中央の角部を丸面状とし、脚部下端に外方向に膨出する細幅凸部を形成した点が認められる。 一方、この種踏み台等は、人が載ったり、容易に移動できたりとかなり身近で利用され、一面というよりも多方面からの斜視状態を中心として意匠全体として観察されて、具体的な態様にも十分需要者である使用者の注意が注がれるものであり、その点、具体的な態様に係る主な差異点として、(ア)台座部の上面に、本願意匠は、多数の小円形凸部を格子状に配列したのに対して、引用意匠は、凹凸の無い平坦面状とし、(イ)台座部の周側面のフランジ部の深さ(高さ)につき、本願意匠の正背面側の縦幅が、全体の高さの約1/6とやや狭く、左右側面側の縦幅が、全体の高さの約1/2.3で、正背面側より約2.5倍とする幅広としたのに対して、引用意匠は、正背面側及び左右側面側とも縦幅を同一とし、全体の高さの約1/4の幅広とし、(ウ)台座部の左右側面側のフランジ部を、本願意匠は、平坦面状としているだけであるのに対して、引用意匠はフランジ部縦幅の中央よりやや下に位置に、長さがフランジ部の下辺よりやや短い細幅のスリットを形成し、(エ)脚部の横幅を、本願意匠は、上下方向に同幅としたのに対して、引用意匠は、下方に従い漸次僅かに縮小する先細りとし、(オ)踏み台の左右側面側を、本願意匠は、脚部下端の凸部を除き、平坦面状としたのに対して、引用意匠は、脚部下端の凸部だけでなく、脚部の内側の左右端辺に細幅凸部を形成し、その凸部が、さらにフランジ部のスリットの下までそのまま延伸して、フランジ部下端でやや幅広とした点が認められる。 そして、これらの差異点について、(ア)ないし(オ)の差異は、通常の斜視状態において、上面だけに限らず左右側面側をも含んで、意匠全体のかなり広い範囲を占めて、かつ、とりわけ、(イ)(ウ)及び(オ)のフランジ部と脚部に係る形状において、本願意匠は、幅広のフランジ部の広い面を一律平坦面状とし、脚部へと面一状に一体状に続け、変化の無いシンプルなものであって、対する引用意匠の、フランジ部の縦幅が本願意匠に比べて狭い上に、フランジ部の中央部を上下に分断するスリットを有し、また、脚部の左右端辺の細幅凸部が、フランジ部のスリットまでそのまま延伸して、フランジ部下端でやや幅広とし、脚部からフランジ部へと続く細幅凸部の台形状ラインを強調する形状とは、両意匠の構成態様は異なるというべきである。また、さらに、(イ)(ウ)及び(オ)の形状と(ア)の台座部の上面形状との差異とを合わせ持った形状は、互いに相乗して両意匠に異なる印象を与えるのに十分であり、類否判断に及ぼす影響を決定付け、加えて、(エ)の脚部の横幅の差異が、両意匠の異なる印象をより強めて、これらの差異点(ア)ないし(オ)の相俟って奏する視覚的な効果は、意匠全体として既に両意匠に異なる美感を起こさせるものである。 対して、共通点については、(A)の全体の構成態様は、台座部に加わる荷重を脚部で支えるためのありふれた技術的構造を表したもので、格別需要者の注意を惹くものではなく、各部の具体的な態様についても、(B)の台座部上面形状は、この種踏み台等の分野に限らず、加重を受ける台座部として広く知られたものであり、また、(C)のフランジ部と脚部との形状における、フランジ部と脚部とを一体状とする形状、脚部を台座部の四隅からそのまま下方へと延伸させる形状脚部の角部を丸面状とする形状及び脚部下端に細幅凸部を形成する形状も、いずれも、本願意匠出願前にこの種踏み台等の分野において公然知られたものであり(例えば、意匠登録第386957号「風呂場用いす」の意匠、《1》1994年5月10日発行の米国意匠公報登録第346704号「腰掛け」の意匠、《2》1994年10月11日発行の米国意匠公報登録第351476号「踏み台」の意匠等参照。なお、《1》及び《2》の公知資料につき、別紙第3参照。)、本願意匠における特徴的な形状とは成り得ず、(B)及び(C)の具体的な態様の共通点も、格別需要者の注意を惹くものではなく、なおかつ、これらの共通点が認められる中で、前述したように、差異点(イ)(ウ)及び(オ)の形状と差異点(ア)の台座部の上面形状との差異とを合わせ持った形状が、両意匠に異なる印象を与えるものとなっているのであって、結局、共通点の両意匠の類否判断に及ぼす影響は、差異点に対して、相対的に小さく、微弱なものと言わざるを得ない。 したがって、両意匠は、意匠に係る物品が類似するとしても、形状において、差異点が共通点を凌駕し、意匠全体として両意匠に異なる美感を起こさせるものであるから、両意匠は類似しないものである。 以上のとおりであり、両意匠は類似しないものであるから、原審のした拒絶の理由によって本願について拒絶すべきものとすることはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2010-12-17 |
出願番号 | 意願2009-9799(D2009-9799) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(D0)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 植山 陽子 |
特許庁審判長 |
遠藤 行久 |
特許庁審判官 |
杉山 太一 市村 節子 |
登録日 | 2011-01-28 |
登録番号 | 意匠登録第1408282号(D1408282) |
代理人 | 特許業務法人みのり特許事務所 |