• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服  意10条1号類似意匠 取り消して登録 H1
管理番号 1233223 
審判番号 不服2010-19654
総通号数 136 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2011-04-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-08-31 
確定日 2011-03-15 
意匠に係る物品 光源モジュール 
事件の表示 意願2009- 26299「光源モジュール」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 1.本願意匠
本願は、物品の部分について意匠登録を受けようとし、本意匠を意願2009-26300号とする、平成21年11月10日の意匠登録出願であって、その意匠は、意匠に係る物品が「光源モジュール」であり、その形態は、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を実線で表したものであり(以下、本願について意匠登録を受けようとする部分の意匠を「本願意匠」という。)、願書及び願書に添付された図面に記載されたとおりのものである(別紙第1参照)。

2.経緯
原審において、本願意匠は、願書に記載した本意匠に類似する意匠と認められないとして、意匠法第10条第1項の規定に該当しないとの拒絶の理由が通知されたところ、請求人は、意見書を提出し、本願意匠は本意匠に類似するものであり、意匠法第10条第1項の規定に該当し、願書記載の本意匠の関連意匠として登録されるべきものであると主張したが、原審は、意見書の主張は採用できないとして、拒絶をすべき旨の査定をしたのに対し、請求人は、これを不服として本件審判の請求をしたものである。

3.本意匠
本意匠は、物品の部分について意匠登録を受けようとする、平成21年11月10日の意匠登録出願で、平成22年4月6日に意匠権の設定の登録がなされた意匠登録第1390415(意願2009-26300)号の意匠であって、意匠に係る物品が「光源モジュール」であり、その形態は、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を実線で表したものであって(以下、本意匠について意匠登録を受けようとする部分の意匠を「本意匠」という。)、願書及び願書に添付された図面に記載されたとおりのものである(別紙第2参照)。

4.両意匠の対比
両意匠を対比すると、いずれも発光ダイオードを用いた天井埋め込み灯等の照明器具の光源部である「光源モジュール」に係るものであるから、意匠に係る物品が一致し、「光源モジュール」の発光部であるから、実線部分の用途及び機能、大きさ、範囲は、一致している。位置及び形態については主として、以下の共通点及び差異点が認められる。
(1)共通点
(A)物品全体の形態の中での位置につき、略短円筒形状の基板(以下、「基板」という。)の正面部に直接凹陥状に配されている点、(B)その形態について、略三味線胴形状を窓部として凹状のすり鉢状に反射面を設け、底部分に半球状の発光ダイオードを備える態様である点、(C)反射面は、4つの弧状面から形成し、その底部を略トラック形状とした点、(D)発光ダイオードは反射面の底部中央に、円形状の枠部の内側に設けられている点において共通する。
(2)差異点
(a)位置について、本願意匠は、基板の略中央に配されているのに対して、本意匠は、基板の周縁寄りに配されている点、(b)破線で表された基板正面部分について、本願意匠は、本願意匠である実線部の周囲に何も表しておらず、発光部は実線部分の1個であるのに対して、本意匠は、実線部分の発光部を1個とし、他に6個の発光部を破線で表している点に差異が認められる。

5.類否判断
そこで検討するに、前記共通点(A)は、物品全体の中での位置であって、基本的な構成を同一としており、正面部に凹陥状に配された態様は、両意匠の形態全体の骨格を成すものであり、また、共通点(A)?(C)のとおり、両意匠は、形態が一致するものである。そして、その形態の、略三味線胴形状を窓部として凹状のすり鉢状に反射面を設け、反射面を4つの弧状面から形成し、その底部を略トラック形状とした点は、これまでにない、独特な形態を形成しているものであるから、需要者の注意を強く惹くものであり、看者に共通の美感を起こさせ、両意匠の類否を左右するものというべきである。
これに対し、差異点は、位置のずれや意匠登録を受けようとしない部分に係る差異であるが、両意匠の態様とも、ありふれたものであることに照らせば、格別の評価をすることはできない。
すなわち、(a)発光部の位置の差異については、この種の発光ダイオードを用いた照明の光源部において、発光ダイオードの位置を中央としたものも(例えば、参考意匠1、特許庁意匠課公知資料番号HC19002954号の意匠、別紙第3参照)、周縁部に設けたもの(例えば、参考意匠2、特許庁意匠課公知資料番号HC19002953号の意匠、別紙第4参照)も、いずれの態様も従来より普通に見られるものであって、その位置に関しては、格別の特徴がないものといえ、その差異が両意匠の類否判断に影響を与えるものとはいえない。次に、(b)破線で表された基板正面部における破線による発光部の有無の差異であるが、この種の発光ダイオードを用いた照明器具の分野において、本願意匠のように発光部が1個のもの(例えば、前記参考意匠1、特許庁意匠課公知資料番号HC19002954号の意匠、別紙第3参照)も、本意匠のように複数個のもの(例えば、参考意匠3、意匠登録第1318676号の意匠、別紙第5参照)も、いずれの態様も本願意匠及び本意匠の出願前より見受けられる態様であって、それが格別の特徴点ともいえず、照明器具のバリエーションの範囲内のものといえるもので、ありふれた配置態様との印象しか与えず、類否判断上も格別評価をすることができない。
以上のとおり、両意匠は、意匠に係る物品が共通し、その形態においても、共通するが、その形態は、両意匠に特有のものであり、需要者の注意を強く惹くのに対し、位置等における差異点は、意匠上の特徴として評価できないものであるから、それら差異点を総合しても共通点が差異点を凌駕し、意匠全体として看者に共通する美感を起こさせるものであるから、両意匠は類似するものと認められる。

6.むすび
したがって、本願意匠は、意匠法第10条第1項に規定する意匠に該当するので、原審の拒絶理由によって、本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2011-02-25 
出願番号 意願2009-26299(D2009-26299) 
審決分類 D 1 8・ 3- WY (H1)
最終処分 成立  
前審関与審査官 正田 毅 
特許庁審判長 斉藤 孝恵
特許庁審判官 北代 真一
樋田 敏恵
登録日 2011-03-25 
登録番号 意匠登録第1412330号(D1412330) 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ