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審決分類 審判 査定不服  工業上利用 取り消して登録 J3
管理番号 1234825 
審判番号 不服2010-18977
総通号数 137 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2011-05-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-08-23 
確定日 2011-04-08 
意匠に係る物品 デジタルスチルカメラ 
事件の表示 意願2008- 33210「デジタルスチルカメラ」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 1.本願意匠
本願は、本意匠を意匠登録出願2008-33207号とし、物品の部分について意匠登録を受けようとする、平成20年12月26日の意匠登録出願であって、その意匠は、意匠に係る物品を「デジタルスチルカメラ」とし、その形態を願書の記載及び願書添付の図面にあらわされたとおりとするものであり、「薄墨色で着色した部分以外の部分(表示画面の画像)のうち、濃紺色で表した部分以外の部分(アイコン及びカーソルで成るGUI部分)が、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」としたものである(以下、本願について意匠登録を受けようとする部分の意匠を「本願意匠」という。)(別紙参照)。

2.拒絶理由
これに対し、原査定における拒絶の理由は、以下のとおり。

理 由
この意匠登録出願の意匠は、下記に示すように、意匠法第3条第1項柱書に規定する工業上利用することができる意匠に該当しない。

本願の意匠は、願書の「意匠に係る物品の説明」及び添付図面の「カーソルの移動を表す画面の拡大図1乃至9」に表されるとおり、カーソルの動き方についても意匠の構成要素とするものであるが、こうした操作画像等の動きに伴う視覚的効果は、それ自体が何ら当該物品の有する機能の操作のために設定されている画像ではないから、上記の各図は、意匠法第2条第2項に規定する操作の用に供される画像とは認められず、工業上利用することができる意匠とは認められない。
ただし、「カーソルの移動を表す画面の拡大図1乃至9」を削除又は参考図に補正し、かつ願書の「意匠に係る物品の説明」中の文章を補正した場合には、この拒絶の理由は解消する。

3.請求人の主張の要旨
本願意匠は、タッチパネル式のGUIに係るものであり、指で触れたアイコンに対応した機能が実行される。本願意匠のカーソルの動きは、「指の動きに合わせて、元のアイコン上のカーソルの光彩は徐々に暗くなり、指が移る先のアイコン上に現れるカーソルの光彩が徐々に明るくなる」という視覚的効果を伴うもので、カーソル間の指の動きの「軌跡」を表し、画面上徐々にカーソルが暗くなっていくアイコンと徐々に明るくなっていくアイコンの2つが存在しているため、両者を対比することによって、より直感的に、現在選択されているアイコンがいずれであるかを認識することが可能で、ユーザに対しては「この軌跡が表示されている間は未だアイコンの選択が確定していない。したがって、機能は実行されない」というメッセージを伝える、ユーザの操作性を向上させるためのものである。
そして、「カーソルの明るさの増減」という要素は、ユーザが画面上で指を動かさなければ、つまりユーザが物品を操ってこれに能動的に関わらなければ画面に表示されないものであるばかりか、当該ユーザの指の動き(操作)に従って変化するものであり、映画の一場面のようにユーザによる操作と関係なく表示され変化していく類の画像ではない。また、同要素は、物品「デジタルスチルカメラ」の機能が未だ発揮されていない状態、つまりユーザが物品のAという機能を発揮させようかBという機能を発揮させようかと迷っている状態において表示されるものであるから、「実際に当該物品がその機能に従って働いている状態」の画像でもない。
したがって、本願意匠の一部を構成する「カーソルの明るさの増減」という要素は、同項所定の「物品の操作(当該物品がその機能を発揮できる状態にするために行われるものに限る。)の用に供される」という要件に反するものではない。
また、仮に「明るさの増減」が意匠を構成しないとしても、意匠審査基準において、「専ら情報伝達のためだけに使用されているものは、模様と認められず意匠を構成しない」(意匠審査基準21.1.2)とされ、同基準には、そのような文字が「図形中に表されていても削除を要しない」とされているように、その部分を削除しなくても意匠は成立するのであり、意匠を構成しない画像を含むからといって、全体が意匠を構成しないとした判断は誤りである。

4.当審の判断
そこで、本願意匠が、工業上利用できる意匠であるかどうかについて、以下、検討する。
本願意匠は、願書の「意匠に係る物品の説明」による、「本願意匠に係る物品は、動画像データの録画再生機能、音声データの録音再生機能、画像データ等の各種データのストレージ機能を備えるデジタルスチルカメラ」とし、「タッチパネル式のGUIを介して各種の機能を実行するもの」との記載から、各種機能の操作にアイコン等のグラフィックをGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)として用いた意匠法第2条第2項に規定する物品の操作の用に供される画像を含む意匠を念頭としたものと考えられる。
実際、願書添付の図面によれば、本願意匠は、本願物品が有する各種機能を発揮するため、各種機能を示す8つのアイコンが縦4列横2行に整然と表された意匠である。
また、本願意匠は、「意匠に係る物品の説明」の中の、「表示画面中のメニューアイコンから所望のアイコンを選択すると、各「画面の拡大図」及び各「アイコンとカーソルの拡大図」に表すように、アイコン上にカーソルが表示される。カーソルは、画面に触れたユーザの指が画面上を移動する場合には、その動きに合わせてアイコン上を移動する。その際、カーソルの移動を表す画面の拡大図1から同9に示すように、指の動きに合わせて、元のアイコン上のカーソルの光彩は徐々に暗くなり、指が移る先のアイコン上に現れるカーソルの光彩が徐々に明るくなる。この効果により、カーソルがアイコン上を滑らかに移動する。」との記載、願書の「意匠の説明」の中の「本願は、移動に伴うカーソルの色彩の変化を含め、意匠登録を受けようとするものである。」との記載、及び、願書添付図面の中の「カーソルの移動を表す画面の拡大図1から同9」によれば、ユーザがカーソルを移動した際のカーソルの色彩の変化を伴うものである。
ところで、意匠法第2条第2項は、平成18年の一部改正において新設された規定であり、物品の操作(当該物品がその機能を発揮できる状態にするために行われるものに限る。)の用に供される画像が、物品の部分の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合に含まれることを明確にし、物品の本来的な機能を発揮できる状態にする際に使用される画面上に表示された画像を物品の一部分として保護することとしたものであるが、「物品の操作の用に供される画像」あるいは、かっこ書きによる「当該物品がその機能を発揮できる状態にするために行われるものに限る。」といった要件は、「平成18年 産業財産権法の解説」によると、物品から独立して販売されているビジネスソフトやゲームソフト等をインストールすることで表示される画面デザインについて、保護対象となる画面デザインには含まないものとすることが趣旨である。
本願意匠は、動画像データの録画再生機能、音声データの録音再生機能、画像データ等の各種データのストレージ機能を備えるデジタルスチルカメラの各種機能を実行するタッチパネル式のアイコンに、選択した際に表れるカーソルを伴う意匠であるが、そのアイコン上にあらわれるカーソルが操作の際に明暗を伴って軌跡を示すことが、その物品の機能を発揮した後のコンテンツ等を表示した状態の画像でないことは明らかである。そして、意匠を全体としてみた場合、本願意匠は、当該物品が有する各種機能を実行するための、操作の用に供する画像であることも明らかで、また、アイコン上のカーソルの明暗は、願書の記載及び願書添付の図面から、変化の前後が特定されている。そして、この変化により視覚効果上、アイコン上を移動するように見えたとしても、本願意匠が表すのは、明暗の変化だけであることは、いうまでもない。
そうすると、本願意匠を意匠法第2条第2項に規定する操作の用に供される画像とは認められないものとする理由はなく、また、明暗を伴う変化についても、意匠は具体的に表されており、特定できないとする理由もない。
したがって、本願意匠を、工業上利用することができる意匠に該当しないとすることはできない。
なお、請求人は、専ら情報伝達のためだけに使用される文字の意匠審査基準における取扱から、仮に意匠を構成しない部分が含まれていたとしても、その部分の削除は必要がない、また、ただちに全体が意匠を構成しないとされるものではない、旨主張するが、上記の文字の場合は、それがあっても意匠の特定の妨げにならないものとして取り扱っているにすぎず、もしも、意匠を構成しない部分が図中にあることによって意匠が特定されないものとなっていれば、工業上利用できる意匠に該当しないものとなる、というべきであり、すべてのケースにおいて同様の取扱とするものではない。本願意匠の場合は、明るさの増減を伴うものであるが、変化の前後が特定されており、その部分が意匠を構成しないとする理由はなく、また、全体としてみても意匠が特定されているものである。

5.結び
以上のとおり、本願意匠は、意匠法第3条第1項柱書に規定する工業上利用することができる意匠であると認められるので、原査定の拒絶理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2011-03-29 
出願番号 意願2008-33210(D2008-33210) 
審決分類 D 1 8・ 14- WY (J3)
最終処分 成立 
前審関与審査官 内藤 弘樹 
特許庁審判長 斉藤 孝恵
特許庁審判官 北代 真一
樋田 敏恵
登録日 2011-04-22 
登録番号 意匠登録第1414892号(D1414892) 
代理人 五味 飛鳥 
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