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審決分類 |
審判 査定不服 2項容易に創作 取り消して登録 D7 |
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管理番号 | 1238189 |
審判番号 | 不服2010-21625 |
総通号数 | 139 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2011-07-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2010-09-27 |
確定日 | 2011-05-11 |
意匠に係る物品 | 椅子 |
事件の表示 | 意願2008- 20440「椅子」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
本願は、2008年(平成20年)2月7日にイタリアにした出願に基づくパリ条約による優先権の主張を伴った、平成20年(2008年)8月7日の意匠登録出願(意匠に係る物品「椅子」)であり、その意匠は、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであるが、これに対して、原審は、拒絶の理由について、この意匠登録出願に係るいすの分野において、脚部を種々の形状等に置き換えることは本願出願前より極普通に行われているのでありふれた手法であり、本願意匠は、本願出願前に公然と知られたものと認められるいすの意匠(意匠1)の脚部の態様を、本願出願前に公然と知られたものと認められる形状(意匠2の脚部の形状)に単に置き換えたに過ぎず、出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた意匠に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められ、意匠法第3条第2項の規定に該当する旨したものである。 意匠1 独立行政法人工業所有権情報・研修館が2006年9月25日に受 け入れたEditoriale Domus SpAが発行した外 国雑誌(発行国:イタリア)である「domus」(2006年9 月号)の第145頁に所載された右側上から2番目の写真のうち、 右側に現れる一人掛けいすの意匠 (特許庁意匠課公知資料番号第HB18021121号) 意匠2 独立行政法人工業所有権情報・研修館が2005年7月4日に受け 入れたSede sociale,amministrazio n,pubbicita. が発行した外国雑誌(発行国:イタリ ア)である「Ottagono」181巻(2005年6月号)の 第24頁に所載された一人掛けいすの意匠 (特許庁意匠課公知資料番号第HB17007174号) そこで、原審が拒絶の理由とした本願意匠の創作容易性について検討する。 まず、本願意匠と本願意匠の基づくとした本願出願前に公然知られた意匠である意匠1とを対比してみると、主な差異点として、(ア)座面部と肘掛け部が一体状となった背もたれ部との連結態様を、本願意匠は、座面部と肘掛け部付き背もたれ部とが、3本の連結ピンを介して、両者間に隙間を形成し、分離したものであるのに対して、意匠1は、連結ピンを介することなく、座面部の外周縁に肘掛け部付き背もたれ部が接合したものである点及び(イ)操作レバーの有無の差異が認められる。 そして、(ア)の座面部と肘掛け部付き背もたれ部との連結態様の差異は、椅子を形作る基本的な骨格となる組立構成に係り、本願意匠は、座面部と肘掛け部付き背もたれ部とが分離することが明確に視認することができ、その座面部と肘掛け部付き背もたれ部との連結を3本の連結ピンによるデザインとしたものであって、意匠1の座面部と肘掛け部付き背もたれ部とが隙間無く連接するデザインとした引用意匠とでは、単に僅かな隙間の有無に留まらず、椅子の組立構成に大きな違いを伴うものであり、むしろ、新たな着想を加えて、この種椅子の分野において通常行われる程度に形状に加えられる変更の範囲を越えるものであるから、本願意匠の座面部と肘掛け部付き背もたれ部との連結態様は、本願出願前に公然知られた意匠1によっては到底容易に想到できるものではない。 また、(イ)操作レバーの有無の差異も、椅子の高さ調整機能等の主要な機能に係る操作方法等に大きな違いを生じさせ、本願意匠には意匠1にはない新たな機能が付加されたものと言え、この種椅子の分野において、単なる通常行われる程度の形状の変更の範囲に留まるものではない。 そうとすれば、本願意匠は、本願出願前に公然知られた意匠(意匠1)によって、既に、本願意匠の連結態様が容易に想到できないし、また、本願意匠の操作レバーも、通常行われる程度の変更の範囲に留まらない以上、さらに、たとえ公然知られた意匠(意匠1)の脚部を、本願出願前に公然知られた意匠(意匠2)の脚部の形状に置き換えたとしても、本願意匠の創作が到底容易に出来上がるものではない。 したがって、本願意匠は、出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた意匠に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものとすることはできない。 以上のとおりであり、本願意匠は、意匠法第3条第2項の規定に該当し、同条の規定により意匠登録をすることができないものであるとした原審の拒絶の理由によって、本願について拒絶すべきものとすることはできない。 また、他に本願について拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2011-03-29 |
出願番号 | 意願2008-20440(D2008-20440) |
審決分類 |
D
1
8・
121-
WY
(D7)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 加藤 真珠、松尾 鷹久 |
特許庁審判長 |
遠藤 行久 |
特許庁審判官 |
杉山 太一 市村 節子 |
登録日 | 2011-07-01 |
登録番号 | 意匠登録第1419698号(D1419698) |
代理人 | 竹下 和夫 |