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審決分類 審判 査定不服  意9条先願 取り消して登録 H7
管理番号 1238198 
審判番号 不服2010-25311
総通号数 139 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2011-07-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-11-10 
確定日 2011-05-31 
意匠に係る物品 携帯情報端末機 
事件の表示 意願2009- 28886「携帯情報端末機」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 1 本願意匠
本願は,2009年(平成21年)12月11日の意匠登録出願(意願2009-028886号)であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品を「携帯情報端末機」とし,その形態を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照)

2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第9条第1項の規定する最先の意匠登録出願人に係る意匠に該当しないとしたものであって,原審が拒絶の理由に引用した意匠は,意匠登録第1384478号(出願番号:意願2009-013165,出願日:2009年(平成21年)6月10日,意匠に係る物品「携帯電話機」)の意匠(以下,「引用意匠」という。)であって,その形態は,願書及び願書に添付された図面に記載されたとおりのものである。(別紙第2参照)

3 本願意匠と引用意匠の対比

(1)意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は,「携帯情報端末機」であり,引用意匠の意匠に係る物品は,「携帯電話機」であって,表記は異なるが,本願意匠の願書及び願書に添付した図面の記載並びに引用意匠の願書及び願書に添付した図面の記載を総合すれば,両意匠の意匠に係る物品は,共にキーボードと表示部を備えた通信機能付の携帯情報端末に係る物品であり,共通する。

(2)本願意匠と引用意匠の形態における主な共通点と相違点
(対比の都合上,両意匠を卓上に置いたときの筐体の長辺開口部側を正面とする。)
両意匠は,(あ)全体は,本体と蓋を,ヒンジを介して開閉自在とした略横長角丸長方形板状の筐体であり,(い)この筐体を構成する各辺はいずれも曲面状に面取りされ,(う)開いた状態において,本体上面にキー面として前後方向に5段の小矩形状入力キー及び操作キー列を配設し,蓋の内面に横長長方形状の表示ディスプレイ部を設けた構成態様が主として共通する。
他方,両意匠間には,(ア)本体と蓋の態様について,本願意匠は,本体の厚みが蓋の厚みより厚く,本体と蓋それぞれ周囲に細幅の平坦面を設けたのち曲面状に大きく面取りされて蓋の外面,本体外面に到るのに対し,引用意匠は,本体と蓋の厚みがほぼ同等で,本体と蓋それぞれの周囲が縁から傾斜面を経て曲面状に小さく面取りされて蓋の外面,本体外面に到る点,(イ)開蓋のための指掛部について,本願意匠は,本体上縁の正面中央に開蓋のためのごく僅かな凹部を設けたのに対して,引用意匠は,本体と蓋のどちらにも開蓋のための凹部はない点,(ウ)本体上面と蓋の内面について,本願意匠は,本体上面のキー面がその周囲より僅かに低い凹面,蓋の内面は表示ディスプレイ面がその周囲より僅かに高い凸面を形成し,本体と蓋の凹凸を噛合させているのに対して,引用意匠は,本体上面のキー面はその周囲と同一面,蓋の内面は表示ディスプレイ面がヒンジ側細幅部を除きその周囲と同一面を形成して本体と蓋が重合している点,(エ)キーの態様について,本願意匠は,ヒンジ直下に左右対称に小円形の三個のキーを配し,横5段の小矩形状入力キーの周囲に角丸長方形の飾り枠を設けたのに対して,引用意匠は,右ヒンジの下方左右に平面視小円形を呈する電源ボタンとトラックボールを配し,横5段の小矩形状入力キーの周囲に飾り枠は無い点,(オ)本体外側について,本願意匠は,小円形状のカメラ部があるが,引用意匠には小円形状部はあるもののカメラ部かどうかは不明である点において構成態様上の主な相違点がある。
4 本願意匠と引用意匠の類否判断

以上の共通点及び相違点を総合して,両意匠の類否を意匠全体として検討すると,両意匠の前記共通点(あ)同(い)及び同(う)の構成態様は,意匠全体の骨格を成し,一定の共通する基調を形成するものであるが,その共通した構成態様を備えながらも,携帯情報端末機等として種々の形態の登録例(例えば意匠登録第1068556号意匠参照)が存在することを考慮すると,これらの共通点が類否判断に及ぼす影響を大きいと言うことはできない。
これに対して,前記各差異点,特に(ア)本体と蓋の態様についての相違点及び(ウ)本体上面と蓋の内面についての相違点は,意匠の主要部においてそれぞれ一定の具体的造形差を表出しているから,それらを総合すれば,もはや相違点が共通点を凌駕して類否判断を支配していると言わざるを得ない。
したがって,本願意匠は,引用意匠と類似しない。
5 むすび
以上のとおりであって,本願意匠は,原査定の引用意匠をもって意匠法第9条第1項の最先の意匠登録出願人に係る意匠に該当しないとすることはできないものであり,同条同項の規定により本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。

また,当審において更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2011-05-17 
出願番号 意願2009-28886(D2009-28886) 
審決分類 D 1 8・ 4- WY (H7)
最終処分 成立  
前審関与審査官 内藤 弘樹 
特許庁審判長 遠藤 行久
特許庁審判官 早川 治子
杉山 太一
登録日 2011-06-24 
登録番号 意匠登録第1419438号(D1419438) 
代理人 平井 良憲 

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