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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 M3
管理番号 1238201 
審判番号 不服2010-25526
総通号数 139 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2011-07-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2010-11-12 
確定日 2011-06-03 
意匠に係る物品 ばね付き座金 
事件の表示 意願2009- 12599「ばね付き座金」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠
本願は,本意匠を意願2009-11943号の意匠とする2009年(平成21年)6月4日の関連意匠の意匠登録出願であって, その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品を「ばね付き座金」とし,その形態を願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照)

第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当する(先行の公知意匠に類似するため,意匠登録を受けることのできない意匠)としたものであって,拒絶の理由に引用した意匠は,本願出願前,日本国特許庁発行の公開特許公報 特開平10-002319号(発明の名称「スプリングワッシャー付座金」。以下,「引用文献 」という。)の図4,図5,図6,図7,及び図8で表された「スプリングワッシャー付座金」(拒絶理由通知書には,引用意匠を「特許庁発行の公開特許公報記載平成10年特許出願公開第002319号,[図4]乃至[図8]で表されているスプリングワッシャーの意匠」と記載されているが,これは「スプリングワッシャー付座金」と記載すべきところを錯誤により「スプリングワッシャー」と記載したものと認められる。)の意匠(以下,「引用意匠」という。)であって,その形態は,同公報の図版に記載されたとおりのものである。(別紙第2参照)
第3 当審の判断

1.本願意匠と引用意匠の対比
(1)意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は,「ばね付き座金」であり,引用意匠の意匠に係る物品は,「スプリングワッシャー付座金」であって,表記は異なるが,本願意匠の願書及び願書に添付した図面の記載並びに引用意匠に係る文献の記載等を総合すれば,両意匠の意匠に係る物品は,一致する。
(2)本願意匠と引用意匠の形態
本願意匠と引用意匠の形態については,主として,以下のとおりの共通点及び相違点がある。(なお,対比のため,本願意匠の図面における正面,平面等の向きを,引用意匠にもあてはめることとする。)

(i)共通点
基本的構成態様として,
(A)全体は,座金とばねで構成されており,座金は正方形板状で中央に挿孔を設け,ばねは平面視略円環状でこの挿孔周囲に載置し,座金に設けた爪状係止片でばねを係止固定した態様である点。

具体的構成態様として,
(B)座金の態様について,
座金中央に設けた挿孔は平面視円形で,この円形挿孔の外側の相対する二箇所をばねの係止固定箇所とし,開口部及び爪状係止片を設けた点。

(ii)相違点

具体的構成態様として,
(ア)ばねの態様について,
本願意匠は,ばねの断面形状が円形で,巻数が一回りと四分の三程度の円錐型ばねの一部であるのに対して,
引用意匠は,ばねの断面形状が横長長方形で,巻数がちょうど一回りの円筒型ばねの一部である点。
(イ)ばねの係止固定箇所に設けた開口部の態様について,
本願意匠は,その位置について,座金中央円形挿孔とは独立して,挿孔を中心とする正方形板状座金の対角方向に形成されており,形状について,各々底面視隅丸長方形の外側長辺中央部が内側に向かって凸形に突出した形状を呈する貫通孔である点,
引用意匠は,その位置について,座金中央円形挿孔に連設して,挿孔から背反して座金の対向辺と平行に形成されており,形状について,底面視略U字形状に切り欠き,その切り欠き底部の周囲に縁を形成した略有底溝状体である点,
(ウ)爪状係止片の態様について,
本願意匠は,開口部の平面視隅丸長方形の外側長辺中央部が内側に向かって凸形に突出した部位から上方に垂直に延伸させた舌片状の先端部をばねの曲面に合わせて曲げているのに対して,
引用意匠は,平面視略半長楕円形状を呈する有底溝状体の底部を台形状に切り起こし,この台形状突片の先端を断面横長長方形のばねの角に合わせて屈曲させている点,


2.本願意匠と引用意匠の類否判断
以上の一致点,共通点及び相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価・総合して,両意匠の類否を意匠全体として検討し,判断する。

両意匠は,意匠に係る物品は,一致するが,形態については,以下のとおりである。

(1)共通点の評価
この物品は,ばねの力を利用した緩み止め効果を得るため,ボルトやナットの下に挟んで使用するものである。すなわち,ばねのスプリング効果があるとナットに遊びが出来ないため,緩む要素を排除することができるが,この物品は座金とばねとを組み合わせることにより,母材の変形を防ぐと同時に,しっかりと緩むことなく締め付けることができるようにした物品である。したがって,この種物品の需要者は,使用する場所や母材に応じて種々の形態のものを選択し,使い分けることが一般的であり,選択する際には,上から眺めるだけでなく,手に取って母材に直に接する座金の底面の態様にも注意を払うと認められる。
これらの点を踏まえ,両意匠を対比すると,基本的構成態様としてあげた共通点(A)は,平座金としてありふれた正方形と,スプリングワッシャーとしてありふれた平面視略円環状のばねを組み合わせた一般的な態様にすぎず,座金に設けた爪状係止片でばねを係止固定することも,例を挙げるまでもなくごく一般的に行われていた係止手法にすぎないから,この共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は極めて微弱である。
具体的構成態様としてあげた共通点(B)も,座金中央の挿孔が平面視円形であるのはごく普通であり,円形挿孔の外側をばねの係止固定箇所とすることも,座金中央に挿孔を設けたことから必然的にその挿孔外側に係止固定箇所を設けるしかなく,開口部及び爪状係止片を設けた点については,ばねを座金に係止固定させる手法としては,溶接あるいは座金の一部を切り取って係止片として利用することが一般的であるところ,後者の方法を採用すれば,必然的に座金に開口部が形成されるにすぎず,係止固定箇所を円形挿孔の外側の相対する二箇所とすることは単に強度と製作効率から導き出されるにすぎないから,この共通点も,両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱である。
また,共通点を総合しても,両意匠の類否判断を決定付けるまでには至らないものである。

(2)相違点の評価
これに対して,両意匠の具体的構成態様に係る各相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きいと言える。まず,相違点(ア)としてあげたバネの態様については,この種物品が座金とナットの間にばねを介することによって,締めたナットが緩むことを防止するようにした物品であることを考慮すると,需要者が最も注意して見る部位の形状の相違であり,本願意匠のばねの断面形状が円形で,巻数が一回りと四分の三程度の円錐型ばねの一部である点は,引用意匠のばねの断面形状が横長長方形で,巻数がちょうど一回りの円筒型ばねの一部である点と比較すると,視覚的に柔らかくかつボリューム感を与えるものであるから,この相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は非常に大きいというべきである。
相違点(イ)も,ナットを締めることによって,ばねが座金の下方向に向かって押されるものであることを考慮すると,需要者はこの孔の大きさに関わらず,その形状に注意を払うと認められ,母材に直に接する底面から見たとき,本願意匠の開口部の態様が中央の円形挿孔とは独立して両側に対称に配置された一組みの貫通孔として認識されるのに対して,引用意匠の開口部の態様は,座金中央円形挿孔との一体感が強く,しかも爪状係止片を形成する台形状部を除く略有底溝状体を呈するものであるから,この相違点は見る者に異なる視覚効果を与えると認められ,両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きいというべきである。
また,相違点(ウ)は部分的でごく小さな差異ではあるが,相違点(ア)同(イ)及び同(ウ)が相まった視覚的効果を考慮すると,相違点の印象は,共通点の印象を凌駕して,両意匠は,意匠全体として視覚的印象を異にするというべきである。

(3)小括
両意匠は,意匠に係る物品は,一致するが,形態においては,共通点が未だ両意匠の類否判断を決定付けるまでには至らないものであるのに対して,相違点なかんずく相違点(ア)及び同(イ)が類否判断に及ぼす影響は大きく,相違点を総合した印象は,共通点の印象を凌駕しているから,両意匠は,意匠全体として視覚的印象を異にするものである。したがって,本願意匠は引用意匠に類似するとは言えない。

第4 むすび
以上のとおりであって,本願意匠は,原査定の引用意匠をもって,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできないから,同条同項柱書によって,本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。

また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2011-05-19 
出願番号 意願2009-12599(D2009-12599) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (M3)
最終処分 成立 
前審関与審査官 原田 雅美小林 裕和 
特許庁審判長 遠藤 行久
特許庁審判官 杉山 太一
早川 治子
登録日 2011-06-24 
登録番号 意匠登録第1419626号(D1419626) 
代理人 あいわ特許業務法人 
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