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審決分類 審判 査定不服  2項容易に創作 取り消して登録 K3
管理番号 1251542 
審判番号 不服2011-14044
総通号数 147 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2012-03-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-07-01 
確定日 2012-01-20 
意匠に係る物品 果物又は野菜成形モールド 
事件の表示 意願2010-10096「果物又は野菜成形モールド」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由
第1 本願意匠
本願は,2009年10月23日のオーストラリア連邦への出願に基づくパリ条約による優先権の主張を伴う,物品の部分について意匠登録を受けようとする2010年(平成22年)4月22日の意匠登録出願であって,その意匠は,意匠に係る物品が「果物又は野菜成形モールド」であり,その形態は,願書の記載及び願書に添付した図面に表されたとおりのものである(実線で表された部分が部分意匠として登録を受けようとする部分,以下「本願意匠」という。)(別紙第1参照)。


第2 原査定における拒絶の理由
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので,意匠法第3条第2項の規定に該当するというものであって,要旨以下のとおりである。

この意匠登録出願にかかる,果物又は野菜成形モールドすなわち果実等の成形器の分野においては,物品の形状を種々の幾何学形状であるハート形とすることは,例えば下記の例に示すように本願出願前より広く行われているところで,ありふれている。本願の意匠は,果物又は野菜成形モールドの,外縁のみを部分意匠として出願されたものであるが,この部分を,既に広く知られた幾何学形状であるハート形に成した程度に過ぎず,容易に創作できたものと認められる。

日本国特許庁発行の公開特許公報 特開2006-254829号
(別紙第2参照)


第3 請求人の主張の要点
これに対し,請求人は,請求の理由において,要旨以下のとおり主張した。

本願意匠にかかる物品は,「完全に分割された2つの分割片の外周囲における,他の分割片との対峙面位置に設けられた,互いに嵌合可能な嵌合突起と嵌合穴」を具えることが前提となるものに対し,審査官の示す引用文献は,2つの分割片が完全に分割することなく係合し,その係合位置に洗濯はさみ状の「ニッパ部と軸コイルスプリング7」が設けられている事が前提となる物品であり,物品の構成が異なる。
また,審査官の示した先行文献は,洗濯挟み状の蝶番2の反対側に枝接続部4の開口を設けねばならず,ハート形状の底部(先端部)に枝が配置される構成となる。したがって意匠としては,先行文献の図6で示すようにハート形に成形された果実の枝がハート底部にあり,果物の先がハート形頂部(凹み部)にある逆ハート形になってしまう。
一方本願意匠は,完全に分離された2つの分割片が,先行文献のような蝶番連結ではなく,嵌合突起と嵌合穴による結合である為に,枝接続部をどこに設けてもよく,特に本願意匠の実線のハート形の形状は,背面図や参考図4(背面斜視図)に示すようにハート形頂部に枝接続部の開口を有している。
このように構成すると,意匠としてハート形に成形された果物の枝がハート頂部にあり,果物の先がハート底部となって忠実にハートの成形が出来るため,引用文献とは意匠的に大きく異なる。
更に加えて背面図で示す如く,ハート形頂部に枝接続部の開口を設けた為に,前記ハート形状の底部に水排出孔を設けねばならないために,ハート形状の底部に向かう下側はテーパ状の直線部分で交わってその交わり部分に排出口を設けているために,「ハート形状の底部に向かう下側はテーパ状の直線部分で交わっている」点も周知のハート形状とは異なり創作性がある。
即ち本願のハート形のモールド内部形状は,「ハート形頂部に枝接続部の開口を有している」及び「ハート形状の底部に向かう下側はテーパ状の直線部分で交わっている」という特異な形状であり,この点において,先行文献としてのハート形とも大きく異なり,更には既に広く知られた幾何学形状であるハート形を単に置換した意匠で無いことも明らかである。
従って本願のハート形のモールド内部形状は,「ハート形頂部に枝接続部の開口を有している」とともに「ハート形状の底部に向かう下側はテーパ状の直線部分で交わっている」くびれた側部を有する円形突起部を有する点のいずれも周知の幾何学形状のハート形状とは異なり,意匠として創作非容易性を主張し得る点である。


第4 当審の判断
本願意匠の意匠法第3条第2項の該当性,すなわち,本願意匠が,容易に創作をすることができたものであるか否かについて,以下検討する。

1.本願意匠
本願意匠は,「第1 本願意匠」において記載したとおりであるが,具体的には,果物等を成育時に成形させるためのモールドであって,対峙位置関係にある嵌合突起と嵌合穴によって嵌合する,2つで一組みのモールドを成す分割片の一方であって,(A)全体に分厚いもので,略ハート形の枠(外周囲)を有し,その枠内を一方に膨出させ,(B)略ハート形上方の頂部において,2つの円弧状突出部の間の凹み部(請求書で言うところの「ハート形頂部(凹み部)」。以下同じ。)に,本願意匠の横幅の約16%の径からなる半円形状の枝接続用開口部を設け,(C)略ハート形下端部(請求書で言うところの「ハート形状の底部(先端部)」。以下同じ。)に,極めて小さな半円形状の水排出用孔部を設けるとともに,(D)当該水排出用孔部に向かう下側は,輪郭形状が当該孔部に向けて漸次すぼんだ直線状となるテーパ面とした態様のものの,枠内の膨出部における内側面部分である。

2.例示意匠と本願意匠の関係性
原審において例示した意匠(日本国特許庁発行の公開特許公報 特開2006-254829号,(以下,「例示意匠」という。))は,蝶番様のモールドで,上記(A)について本願のものと共通するものの,2つの円弧状突出部の間の凹み部はクリップ部として開口部や隙間を設けず,また,本願のものと同様に,略ハート形下端部に孔部を設けたものであるものの,当該孔部は枝接続用開口部であることから枝が通り得るほどのやや大きなものであり,さらに,略ハート形下端部に向かう下側は,輪郭形状がやや外方に膨らんだ曲線となる,なだらかな曲面とした態様のものであって,この意匠のうち分割片の一方の枠内の膨出部における内側部分が,本願意匠に相当する部分である。

3.本願意匠が容易に創作することができたか否かの判断
上記(A)については,例示意匠の分割片全体の態様において見られる態様であるが,しかし,例示のものには見受けられない上記(B)ないし(D)の態様を表しつつ一つの形状にまとめ上げた点,さらに,当該(B)ないし(D)の各態様を合わせ持つ他の公知例も見出せない点を考慮すると,本願意匠の形状は,例示意匠から直接導き出すことはできず,また,単に周知のハート形状から直接導き出すことができたものともいい得ず,その意匠の属する分野における通常の知識を有する者が,容易に創作することができたものということはできない。
以上のとおりであって,本願意匠は,意匠登録出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内において公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に創作をすることができた意匠に該当しない。

4. むすび
したがって,本願意匠は,意匠法第3条第2項の規定に該当しないものであり,同条同項により,拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審において更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2012-01-06 
出願番号 意願2010-10096(D2010-10096) 
審決分類 D 1 8・ 121- WY (K3)
最終処分 成立 
前審関与審査官 生亀 照恵 
特許庁審判長 斉藤 孝恵
特許庁審判官 橘 崇生
下村 圭子
登録日 2012-02-17 
登録番号 意匠登録第1436163号(D1436163) 
代理人 特許業務法人 高橋松本&パートナーズ 
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