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審決分類 |
審判 査定不服 意10条1号類似意匠 取り消して登録 H2 |
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管理番号 | 1253449 |
審判番号 | 不服2011-21091 |
総通号数 | 148 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2012-04-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2011-09-30 |
確定日 | 2012-03-21 |
意匠に係る物品 | 配線用気密カバー |
事件の表示 | 意願2010- 12600「配線用気密カバー」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
1.本願意匠 本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとし,本意匠を意願2010-12599号(意匠登録第1412054号)とする関連意匠の意匠登録出願として,平成22(2010)年5月21日に出願されたものであって,意匠に係る物品が「配線用気密カバー」であり,その形態は,「実線で示した部分が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」としたものであり(以下,本願について部分意匠として意匠登録を受けようとする部分の意匠を「本願意匠」という。),願書及び願書に添付された図面に記載されたとおりのものである(別紙第1参照)。 2.原審における拒絶の理由 原審における拒絶の理由は,両意匠を全体として比較した場合,仕切られたボックスの単位が2つであるか3つであるかという点において相違し,また,本願意匠のボックス部は背面側へまっすぐに張り出しているのに対して,意願2010-12599号のボックス部はやや先窄まりに形成され,かつ,上下には段差部を設けている点で相違しており,これらが醸成する意匠的な効果は両意匠を別異の意匠と印象づけるものと認められるとして,本願意匠が,願書に記載した本意匠に類似する意匠と認められず,意匠法第10条第1項の規定に該当しないとしたものである。 3.本意匠 本意匠は,物品の部分について意匠登録を受けようとする,平成22(2010)年5月21日の意匠登録出願で,平成23(2011)年3月25日に意匠権の設定の登録がなされた意願2010-12599号(意匠登録第1412054号)の意匠であって,意匠に係る物品が「配線用気密カバー」であり,その形態は,「実線で示した部分が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」としたものであって(以下,本意匠について部分意匠として意匠登録を受けようとする部分の意匠を「本意匠」という。),願書及び願書に添付された図面に記載されたとおりのものである(別紙第2参照)。 4.当審の判断 (1)両意匠の対比 本願意匠と本意匠を対比すると,両意匠は,同日に出願されたものであって,いずれも壁にスイッチやコンセント等の配線器具を取り付けるべく穿設した開口において通気が発生することを防ぐための「配線用気密カバー」に係るものであるから,意匠に係る物品が一致し,実線で表した部分は,ビス留め用の正面上下の小型円形状孔を除いた部分であるから,部分意匠としての用途・機能及び位置・大きさ・範囲は,一致している。 両意匠の形態については主として,以下の共通点及び差異点が認められる。 1)共通点 (A)隅丸長方形状の薄板状のフランジを有し,その中央に配線ボックスの凹部に嵌合するような正面視長方形状のボックス状凹部(以下,「ボックス状凹部」という。)を設け,フランジは,正面視左右の縁部を狭く,上下の縁部を広く形成し,ボックス状凹部を,略薄板状の仕切り部で仕切って,縦長長方形状のボックス部(以下,「ボックス部」という。)としている点,(B)ボックス部の縦:横比が約3:2である点,(C)ボックス部の奥側の面に,通線部となるやや大きめの円形状突出部を縦に3個ずつ,その左右に小さめの円形状突出部を6個ずつ設けている点,(D)仕切り部は,ボックス状凹部の内側に手前側に余地部を残して,奥行きの約7割程度まで設けている点において共通する。 2)差異点 (ア)ボックス部の数について,本願意匠は,横に2つ並んでいるのに対して,本意匠は,横に3つ並んでいる点,(イ)ボックス部の側面視形状について,本意匠は,奥側がやや窄まった倒台形状で,上方及び下方において前後に段差部を設けているのに対して,本願意匠は,縦長長方形状で,段差部がない点,(ウ)フランジの形状について,本願意匠は,正面視やや縦長状であるのに対して,本意匠は,横長状である点,に差異が認められる。 (2)類否判断 そこで検討するに,前記共通点(A)の,フランジ部の中央にボックス状凹部を設ける等の態様は,両意匠の形態全体の骨格を成すものであり,また,共通点(B)及び(C)の,ボックス部の縦横比及びボックス部の奥側の面の態様は,両意匠に特徴的な形態を形成しているもので,看者の注意を強く惹くものであり,さらに,共通点(C)の,仕切り部の態様の共通点も,看者の注意を惹き易い部位における共通点であるから,これらの共通点は,看者に共通の美感を起こさせ,両意匠の類否を決定付けているものというべきである。 これに対し,差異点(ア)の,ボックス部が横に2つ並んでいるか,横に3つ並んでいるかの差異については,いずれの態様もこの種の配線用気密カバーの分野においては,ありふれた態様といえるもので,特徴のないものであって,両意匠を別異のものとする程の大きな差異とはいえない。次に,差異点(イ)のボックス部の側面視形状の差異について,本意匠の傾斜角度は僅かなものでその点における差異が目立つものとはいえず,また,段差部の有無についても当該部位を注意深く斜め上方から観察した場合にようやく気付く程度の部分的で軽微な差異といえるものであるから,看者の注意を惹くものとはいえず,類否判断に及ぼす影響はほとんどない。さらに,差異点(ウ)の,フランジの形状の差異についても,左右の縁部を狭く,上下の縁部を広く形成したという共通点が存在し,ボックス部の数の変更により,ボックス状凹部の縦横比が変わった結果の差異に過ぎず,その差異が両意匠の類否判断に大きな影響を与えるものとはいえない。 (3)小括 本願の出願人と本意匠の権利者は共通し,本願と本意匠に係る出願は,同日の出願に係るものであって,本願意匠と本意匠は,意匠に係る物品が一致し,部分意匠としての用途・機能及び位置・大きさ・範囲は,一致し,形態についても,共通点が差異点を凌駕して部分意匠全体として類似するものであり,なおかつ,本意匠に専用実施権も設定されていないため,本願意匠は,意願2010-12599号(意匠登録第1412054号)を本意匠とする関連意匠として意匠登録を受けることができるものである。 5.むすび したがって,本願意匠は,意匠法第10条第1項に規定する意匠に該当するので,原審の拒絶理由によって,本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。 また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2012-03-06 |
出願番号 | 意願2010-12600(D2010-12600) |
審決分類 |
D
1
8・
3-
WY
(H2)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 井上 和之 |
特許庁審判長 |
斉藤 孝恵 |
特許庁審判官 |
橘 崇生 下村 圭子 |
登録日 | 2012-03-30 |
登録番号 | 意匠登録第1439925号(D1439925) |
代理人 | 特許業務法人 Vesta国際特許事務所 |