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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 B5
管理番号 1255092 
審判番号 不服2011-18315
総通号数 149 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2012-05-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-08-24 
確定日 2012-04-03 
意匠に係る物品 運動靴 
事件の表示 意願2009- 12881「運動靴」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠
本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとする,2008年(平成20年)12月8日の域内市場における調和のための官庁(商標及び意匠)への出願に基づくパリ条約による優先権の主張を伴う,2009年(平成21年)6月8日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品が「運動靴」であり,その形態が願書及び願書添付の図面に記載されたとおりのものであり,「実線で表した部分が,部分意匠として登録を受けようとする部分である。」としたものである(別紙第1参照)。

第2 原審の拒絶の理由
原審の拒絶の理由は,本願意匠が,意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠(先行の公知意匠に類似するため,意匠登録を受けることのできない意匠)に該当するとしたものであって,拒絶の理由に引用した意匠は,本願出願前,欧州共同体商標意匠庁が2009年1月12日に発行した欧州共同体意匠公報記載の運動靴(登録第001052047-0006)の意匠(以下,「引用意匠」という。(別紙第2参照))であって,その形態は,同公報に記載されたとおりのものである。
そして,この意匠登録出願については,以下の出願を基礎にした優先権の主張は認められない。
【国名】 域内市場における調和のための官庁(商標及び意匠)
【出願日】 2008年12月8日
【出願番号】 001052047
その理由は,優先権証明書に記載された意匠は,ひも緊定部を有する短靴であって,甲皮から靴底に至る詳細形状及び薄墨色の色調が表された全体意匠であるのに対し,本願の意匠は,ひも緊定部のないズック型の短靴であって,無色無模様とし,そのかかとの一部にのみ実線により形状を表した部分意匠であり,優先権証明書に記載の意匠は,本願の意匠と同一のものと認められない,というものである。

第3 請求人の主張の要点
1.本願意匠
本願意匠は,意匠に係る物品を「運動靴」とし,当該物品の靴底部分に関して登録を受けようとするものである。当該靴底部分は,主に,背面図,左右側面図,参考図から把握できるように,靴底中心部の踵寄りの箇所から水平に踵方向に向かって設けられており,当該靴底部分の中程に略菱形形状が構成されている。そして,当該略菱形形状の内側及び略菱形形状を構成する二つの辺が交わる部分の上下に表れる略三角形形状の内側に空間が設けられ,当該略菱形形状部分は,いわゆる波形バネが2つ組み合わされたような形態となって,足への衝撃を吸収・緩和するクッションの役割を靴底に対して果たすものである。
2.本願意匠と優先権証明書に表された意匠の同一性について
拒絶査定では,物体そのものによって意匠が構成されていない略菱形形状及び略三角形形状の内側の空間部分が,本願意匠においては意匠登録を受けようとする範囲に含まれているのに対し,優先権証明書に表された意匠においては意匠登録を受けようとする範囲に含まれておらず,意匠登録を受けようとする範囲が一致しないとされた。
しかしながら,登録を受けようとする範囲が同一である本願意匠と優先権証明書に表された意匠は,本願意匠を線図よって表せば本願において表したとおりであり,着色によって表せば優先権証明書に表したとおりである。なぜなら,略三角形形状の内側の空間部分は空気であって,靴底にあってその背後が貫通して見えているだけである。
したがって,本願意匠と優先権証明書の意匠は同一のものを表しているのであって,登録を受けようとする範囲に相違はない。
3.本願意匠と本願が優先権主張の基礎とした意匠について
拒絶理由通知においては,本願意匠は,ひも緊締部のないズッグ型の短靴であって,無色無模様とし,そのかかとの一部にのみ実線で形状を表した部分意匠である一方,優先権証明書に記載された意匠は,ひも緊締部を有する短靴あって,甲皮と靴底の詳細形状及び薄墨色の色調が表された全体意匠であるから,両意匠が相違する旨明示された。
しかしながら,出願の方式を考慮すれば,優先権証明書に記載された意匠は墨色部のみに権利を要求する部分意匠であって,本願意匠と同様にかかとの一部に関する部分意匠であることは明白である。
よって,本願は,意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当しないため,原査定を取り消す,この出願の意匠はこれを登録すべきものとする,との審決を求める。

第4 当審の判断
請求人は,本願は,パリ条約による優先権等の主張(以下,「優先権主張」という。)の効果が認められ,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当しない旨主張するので,まず,本願について優先権主張の効果が認められるか否かについて,以下検討する。
1.優先権主張の手続きの経緯
本願は,2009年(平成21年)6月8日の意匠登録出願であって,願書の【パリ条約による優先権等の主張】の欄に,【国名】域内市場における調和のための官庁(商標及び意匠),【出願日】2008年12月8日,【出願番号】001052047,と記載されている。
また,2009年(平成21年)7月8日に,特許庁長官宛の優先権証明書提出書が提出され,当該提出書には,【最初の出願の表示】の欄に,【国名】域内市場における調和のための官庁(商標及び意匠),【出願日】2008年12月8日,【出願番号】001052047,と記載され,当該提出書とともに,同盟国の政府が発行したものと認められる優先権証明書が提出された。

2.本願意匠と優先権証明書に記載された意匠の対比
(1)意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は「運動靴」である。
一方,優先権証明書には,Design number(s)1ないし6の,6つの意匠が記載されているが,本願の優先権主張の基礎となる意匠は,総合的に判断すれば,Design number(s)6の意匠(以下,「証明書記載意匠」という。(別紙第3参照))と認められ,意匠に係る物品は「運動靴」と認められる。
(2)形態と用途及び機能
本願意匠は,運動靴において,実線で表わされた踵部分(以下,「本願部分」という。)について,意匠登録を受けようとするものであって,その他の部分を破線で表したものである。
そして,本願部分の形態は,全体が2枚の波板を組み合わせたような態様であって,左側面図において,2枚の波板により形成された略菱形凹部が水平方向に3箇所連接され,波板交差部の上下に略3角形凹部が6箇所設けられている。
また,右側面図において,2枚の波板により形成された略菱形凹部が水平方向に2箇所連接され,波板交差部の上下に略3角形凹部が4箇所設けられ,背面図も含めたその他の図を合わせて総合的に判断すれば,当該すべての凹部の内壁まで,部分意匠として意匠登録を受けようとするものと認められる。
更に,願書の記載及び願書添付の図面を総合的に判断すれば,本願部分は,踵にかかる衝撃を吸収・緩和する用途及び機能を有しているものと認められる。

一方,証明書記載意匠は,紐の付いた運動靴全体の形状が実線で表され,更に,踵部分が明るい灰色に着色されているが,踵部分の略菱形形状部及び略三角形状部を含め,その他の部分は,着色されていない。
ところで,欧州共同体商標意匠庁が公表している「共同体意匠 審査ガイドライン」によれば,「保護を受けようとする意匠の形態だけを強調するために白黒の図面に色を付すこと」との記載(原文は英語)が認められる。
そうすると,証明書記載意匠は,明るい灰色に着色された部分(以下,「証明書記載部分」という。)について保護を受けようとしているものと認められる。
そして,当該証明書記載部分の形態は,全体が2枚の波板を組み合わせたような態様であって,本願意匠の左側面図に相当する「Number of views 3 of 3」の図によれば,2枚の波板により形成された略菱形凹部が水平方向に3箇所連接され,波板交差部の上下に略3角形凹部が6箇所設けられている。
また,本願意匠の右側面図に相当する「Number of views 1 of 3」の図によれば,2枚の波板により形成された略菱形凹部が水平方向に2箇所連接され,波板交差部の上下に略3角形凹部が4箇所設けられている。
なお,着色されていない略菱形凹部及び略三角形凹部は,本願意匠の背面図に相当する「Number of views 2 of 3」の図も合わせて総合的に判断すれば,当該すべての凹部の内壁まで,保護を受けようとするものと認められる。
更に,上記各図を総合的に判断すれば,当該証明書記載部分は,踵にかかる衝撃を吸収・緩和する用途及び機能を有しているものと認められる。

3.小括
以上のとおり,本願は,意匠法第15条第1項において準用する特許法第43条第1項ないし第3項に規定する優先権主張の手続の要件を満たし,更に,両意匠は,意匠に係る物品が一致し,本願部分と証明書記載部分の形態,及び,当該部分の位置,大きさ,範囲,そして,当該部分の用途及び機能も一致していることから,本願は,優先権主張の基礎とした第一国,すなわち域内市場における調和のための官庁(商標及び意匠)への最初の出願(出願日:2008年(平成20年)12月8日,出願番号:001052047)に基づく優先権主張の効果が認められる。
そうすると,原審において拒絶の理由とした引用意匠が記載された,欧州共同体商標意匠庁が発行した欧州共同体意匠公報の発行日は,2009年1月12日であることから,当該引用意匠は,本願意匠登録出願前に日本国内又は外国において,頒布された刊行物に記載された意匠には,該当しない。

第5 むすび
したがって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当せず,原審の拒絶の理由によっては,拒絶すべきものとすることができない。
また,本願意匠について,他に拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2012-03-16 
出願番号 意願2009-12881(D2009-12881) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (B5)
最終処分 成立 
前審関与審査官 神谷 由紀 
特許庁審判長 川崎 芳孝
特許庁審判官 斉藤 孝恵
遠藤 行久
登録日 2012-04-13 
登録番号 意匠登録第1441333号(D1441333) 
代理人 柳田 征史 
代理人 佐久間 剛 
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