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審決分類 審判 査定不服  2項容易に創作 取り消して登録 H1
管理番号 1256324 
審判番号 不服2011-24756
総通号数 150 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2012-06-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-11-16 
確定日 2012-05-08 
意匠に係る物品 端子台 
事件の表示 意願2010- 17086「端子台」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 1.本願意匠
本願は,平成22(2010)年7月13日に意匠登録出願されたものであって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,願書及び願書添付の図面によれば,意匠に係る物品が「端子台」であり,その形態は,願書及び願書添付の図面に記載されたとおりのものである(別紙第1参照)。

2.原審の拒絶の理由
本願意匠に対する原審の拒絶の理由は,本願意匠が,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので,意匠法第3条第2項の規定に該当するというものであって,具体的には,以下のとおりである。

端子台において,全体の概要を略横長直方体状とし,側面壁形状は略縦長長方形状とし,各端子毎に側面壁と同形同大の仕切り壁を形成し,該側面壁及び仕切り壁は正面側を,端子台本体部分より突出状に形成し,背面側は立ち上がり壁を形成して閉塞したものであり,底面側のリード部は,隣り合う極を前後方向に交互に配置したものが,本願意匠の出願前に公然知られている【意匠1】。
また,側面壁及び仕切り壁の正面側の突出を端子台本体部の下端部まで延設したものが,本願意匠の出願前に公然知られている【意匠2】。
本願意匠は,その出願前公然知られた【意匠1】及び【意匠2】の意匠に基づき,当業者にとってありふれた手法を用いて一の意匠を表したまでのものにすぎないから,きわめて容易に意匠の創作をすることができたものと認められる。

【意匠1】(別紙第2参照)
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1087360号の意匠

【意匠2】(別紙第3参照)
独立行政法人工業所有権情報・研修館が2007年 2月28日に受け入れた
EUMAX 第41頁所載 ターミナルブロックの意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HD18030244号)

3.請求人の主張の要旨
請求人は,請求の理由において要旨以下のとおり主張した。

(1)[意匠1]について
[意匠1]の[正面図]と本願意匠の[正面図」とを対比すると,各端子の横幅に対する高さの比が,[意匠1]では1:2.38であるのに対し,本願意匠では1:4.83となっている。つまり,横幅に対する高さの比が,本願意匠では[意匠1]の約2倍となっており,両意匠は形状が大きく異なるものである。
(2)[意匠2]について
[意匠2]ではリード部が側面視略L字状に形成されているのに対し,本願意匠ではリード部が直線状に形成されている点で異なる。このため,プリント基板に取り付けた場合に,[意匠2]では端子ねじの軸線方向とプリント基板の法線方向とが直交しているのに対し,本願意匠では端子ねじの軸方向とプリント基板の法線方向とが一致しているという相違がある。さらに,[意匠2]では筺体の背面側に立ち上がり壁が形成されていないのに対し,本願意匠では筺体の背面側に立ち上がり壁が形成されている点で異なる。
(3)[意匠1]及び[意匠2]の組み合わせについて
[意匠1]の端子台の設計にあたって,リード部について隣り合う極を前後方向に交互に1本ずつ配置するいわゆる千鳥配置を採用した理由は,[意匠1]に係る意匠公報の「意匠に係る物品の説明」に記載されているように,『各端子のリードを端子盤本体の短手方向に千鳥配置したことにより,各端子の長手方向のピッチを従来通りにしておきながら,隣接する各リードの最短距離を長くすることができ,これによってより大きい電流容量が得られるようにして,例えば1ランク上のUL規格等に適合できるようにした端子盤』を得ることにある。より詳細には,[意匠1]は,UL1059(Application C)の定格電圧600Vに規格適合するように,隣接するリード間の空間距離が3/8インチ(9.5mm)以上且つ沿面距離が1/2インチ(12.7mm)以上を実現している。
このように[意匠1]は,端子台の体格の小型化(同一体格では電流容量の増大化)の目的を達成するためにリードを千鳥配置としたものであるが,[意匠2]はそのような目的乃至要求がなく設計されたものである。
そして,本願意匠も[意匠1]と同様に千鳥配置を採用することにより,小型の体格でありながら,UL1059(Application C)の定格電圧600Vに規格適合するように,隣接するリード間の空間距離が3/8インチ(9.5mm)以上且つ沿面距離が1/2インチ(12.7mm)以上を実現するものである。
このように,[意匠1]と[意匠2]とは本来的に設計思想が異なるものであり,これらを当業者が組み合わせて一の意匠とし,本願意匠を創作することは決して容易であるとはいえないと思料する。

4.当審の判断
本願意匠が,当業者であれば,容易に意匠の創作をすることができたものか否かについて,以下検討する。
(1)本願意匠
本願意匠は,電線の中継に用いる端子台であり,プリント基板に実装して使用されるもので,全体が略直方体状であって,その奥行きと高さと横幅の比を約1:1.2:3.3としたものであって,具体的には,扁平な略横長直方体状の台座部に左右端部と背面に薄い板状の壁部を設け,左右端部の壁部が縦長長方形状で,左右端部の壁部の間に薄い板状の5枚の仕切り隔壁部を等間隔に設け,各壁部が平面視略倒「コ」字状に形成され,仕切り隔壁部の正面側の突出を台座部の下端部まで延設し,仕切り隔壁部正面側の突出部が幅広となっており,仕切り隔壁部の平面形状が略細長凸字状で,台座部には上面に一列に6個端子ねじが配され,台座部の底面から細い薄板状のリード端子が6本突出し,正面視において右側隔壁部と台座部の間の位置に,底面の前後方向に細溝が6条施され,リード端子は,前方寄りに位置するものと,後方寄りに位置するものが交互に配置され,底面視千鳥状に配されたものである。
(2)本願意匠と【意匠1】及び【意匠2】の関係
(i)【意匠1】は,リード端子が,前方寄りに位置するものと,後方寄りに位置するものが交互に配置され,底面視千鳥状に配されているが,端子の長さが本願意匠より短く,仕切りの正面側下端部がなく,台座部の正面視下方に正面側に突出した段差があり,左右端部の壁部の形状,及び仕切り隔壁部の平面形状が本願意匠とは異なっている。(ii)【意匠2】は,左右端部の壁部が縦長長方形状で,仕切り隔壁部の正面側の突出が下端部まで延設したものであるが,端子ねじの数,仕切り隔壁部の数及び形状が異なり,背面の壁部がなく,平面視形状,リード端子の形状及び数が,本願意匠とは異なっている。
(3)創作容易性の判断
まず,この種の端子台の分野においては,全体が略直方体状であって,その奥行きと高さと横幅の比を本願意匠の態様とし,台座部には上面に一列に6個端子ねじが配され,台座部の底面から3個の薄板状のリード端子が6本突出し,各壁部が平面視略倒「コ」字状に形成されたものは,従来から普通に見られるありふれた態様,ないし,容易な部分的改変に基づくものといえるものであり,リード端子が,前方寄りに位置するものと,後方寄りに位置するものが交互に配置され,底面視千鳥状に配されているものも,本願出願前より既に見受けられる態様であり,これらの点について本願意匠に格別の創意があったということはできない。
他方,本願意匠のリード端子の長さや底面部の態様,台座部や各壁部の態様が仕切り隔壁部の平面形状が略細長凸字状となっており,また底面部に細溝が6条ある態様については,【意匠1】及び【意匠2】から,本願意匠の態様が容易に導き出せるものとはいうことができず,これらは本願意匠に格別の創意があったということができるものである。
そうすると,本願意匠は,その出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に創作をすることができた意匠ということはできない。

5.むすび
したがって,本願意匠は,意匠法第3条第2項の規定に該当しないものであり,同条同項により拒絶すべきものとすることはできない。
また,さらに審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2012-04-23 
出願番号 意願2010-17086(D2010-17086) 
審決分類 D 1 8・ 121- WY (H1)
最終処分 成立 
前審関与審査官 原田 雅美 
特許庁審判長 斉藤 孝恵
特許庁審判官 下村 圭子
橘 崇生
登録日 2012-05-25 
登録番号 意匠登録第1444597号(D1444597) 
代理人 藤川 敬知 
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