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審判番号(事件番号) データベース 権利
不服200116146 審決 意匠
不服201014132 審決 意匠
不服200210839 審決 意匠
不服20096047 審決 意匠

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審決分類 審判 査定不服  2項容易に創作 取り消して登録 J7
管理番号 1264245 
審判番号 不服2012-1426
総通号数 155 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2012-11-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-01-25 
確定日 2012-09-27 
意匠に係る物品 歯科用エアタービンハンドピースに用いる異物吸引防止用リングシート 
事件の表示 意願2010- 23708「歯科用エアタービンハンドピースに用いる異物吸引防止用リングシート」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠
本願は,2010年(平成22年)10月4日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品は,「歯科用エアタービンハンドピースに用いる異物吸引防止用リングシート」であり,その形態は,願書の記載及び願書に添付した図面に表されたとおりのものである。(別紙第1参照)

すなわち,本願意匠は,歯科用エアタービンハンドピースに用いる異物吸引防止用リングシートに係り,その形態は,全体が中心部に円形孔部を形成する幅広薄板状の環状体であり,内径と外径の直径の構成比率は約11:20であり,内径から外方に向かって直線状のスリットを90度の等間隔で放射状に,4本,環状体の幅の中央外径寄りまで形成したものである。

第2 原査定における拒絶の理由
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので,意匠法第3条第2項の規定に該当するというものであって,その内容は,以下のとおりである。

この意匠登録出願に係るリングシートの分野において,中央に円形透孔部を形成し,その周縁部を幅広の同心円状板状体として,同円板状体の内径か
ら外方に向かって複数本のスリットを設けて表すことは,本願出願前より極普通に見られるところであり(例えば,資料1を参照),この意匠登録出願の意匠は,本願出願前に公然知られたものと認められる,中央部に周知の円形透孔を設けた同心円板の内径から外方に向かって資料1に見られるようにスリットを十字状に表して吸引防止リングシートの意匠としたまでのものであり,この程度では容易に創作できたものと認められる。

資料1
特許庁発行の公開実用新案公報記載
平成2年実用新案出願公開第141557号
考案の名称を「シートベルトのアンカーボルト抜け止め構造」と表記の第4図に記載された記号5のワッシャーの態様
(別紙第2参照)

第3 請求人の主張の要点
(a)意匠に係る物品の相違
本願意匠に係る物品は,歯科用エアタービンハンドピースに用いる異物吸引防止用リングシートであるのに対して引用意匠は,アンカーボルト用のワッシャーであって両者の物品は異なり,意匠分類を異にするものである。
(b)構成態様の相違
両意匠は,基本的および具体的構成態様上,本願意匠が工具保持部材の外径より大径の透孔を開口するのに対して引用意匠は,アンカーボルトの谷径とほぼ同じ内径の透孔を穿設する点で相違する。
(c)使用方法と作用効果の相違
本願意匠のリングシートは,工具保持部材に透孔を挿入(貫通)しつつ装着するとともにヘッド部底部とベアリング下面間に装着し,その間に於いて前記構成態様上の透孔の内径からリングシート本体の外径方向に十字状に切込を設けて構成した4つの切り込み片から成る扇状の薄肉片持ち梁の作用効果によって回転子の惰性回転に伴うエアタービン内の陰圧時の外部からの異物の吸引を防止する。
これに対して引用意匠のワッシャーは,透孔をアンカーボルトの螺部に挿通する際に,その内周縁に設けた十字の4つのスリットを介して,内周縁を拡大しつつ挿入し,かつその内周縁をアンカーボルトの谷部に峡持させるものである。
そして,内周縁をアンカーボルトの谷部に峡持させることにより,ワッシャー自体が螺部から抜け難くするとともにこれによりアンカーボルトの抜け止めをするものである。

よって,両者は目的,構成作用効果を全く異にするものであることが明白であり,本願意匠は,単に公知の意匠を転用することにより創作されたものではなく,全く新規の意匠であり,意匠法第3条第2項の規定に該当する意匠ではない。

第4 当審の判断
本願意匠の意匠法第3条第2項の該当性,意匠の創作容易性について検討し,判断する。

原査定における拒絶の理由において例示された資料1の「第4図に記載された記号5のワッシャーの態様」(以下,「例示態様」という。)は,シートベルトのアンカーボルト抜け止めのための可撓性のワッシャーに係り,その形態は,全体が中心部に円形孔部を形成する幅広薄板状の環状体であり,内径と外径の直径の構成比率は約1:3であり,内径から外方に向かって直線状のスリットを45度の等間隔で放射状に,8本,環状体の幅のほぼ中央まで形成したものである。

検討するに,意匠に係る物品については,本願意匠は,4つの片持ち梁を構成することで負圧となったエアタービン内の異物の吸い込みを防止するものであることより,円形孔部とその内部に配される工具保持部材とは必ずしも常に強く固着しているものとは認められないのに対して,例示態様は,アンカーボルト抜け止めのワッシャーであることより,円形孔部とその内部に配されるアンカーボルトとは,常に強く固着しているものであり,両意匠は,共に中心部に円形孔部を有するものの,その用途及び機能が大きく異なるものであって,例示態様に形成されているスリットを本願意匠にあてはめることはできない。
また,形態については,本願意匠は外径の直径は内径の直径の約2倍弱であるの対して,例示態様は約3倍である点,スリットの長さについては,本願意匠はスリットが外径付近まで刻まれているのに対して,例示態様は環状体のほぼ中心部までである点,スリットの数は,本願意匠が4本であるのに対して,例示態様が8本である点が相違し,本願意匠の,内径の直径に対する外径の直径の比率が大きい点,スリットの刻みがより奥まで刻まれている点,スリットの数が少ない点は,前述の用途及び機能の違いより生じていることが認められる。
そうすると,この種物品において,本願出願前には,本願意匠のような薄板状のものが見受けられないことを考慮すれば,本願意匠は,単に例示態様の円形孔部を拡大し,スリットの刻みをより奥まで刻み,その数を減らしたことのみによっては導き出すことのできない態様のものであり,用途及び機能も全く異なる例示態様をほとんどそのまま表して歯科用エアタービンハンドピースに用いる異物吸引防止用リングシートとしたまでのものと到底いうことはできない。

したがって,本願意匠は,当業者であれば,リングシートの中央に円形透孔部を形成し,その周縁部を幅広の同心円状板状体として,本願出願前より極普通に見られる例示態様のように,同円板状体の内径から外方に向かって複数本のスリットを設けて表したに過ぎないものであって容易に創作することができたということはできない。

第5 むすび
以上のとおりであって,本願意匠は,意匠法第3条第2項が規定する,意匠登録出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものに該当しないので,原査定の拒絶の理由によって本願の登録を拒絶すべきものとすることはできない。

また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2012-09-14 
出願番号 意願2010-23708(D2010-23708) 
審決分類 D 1 8・ 121- WY (J7)
最終処分 成立 
前審関与審査官 吉山 保祐 
特許庁審判長 瓜本 忠夫
特許庁審判官 川崎 芳孝
樫本 光司
登録日 2012-10-19 
登録番号 意匠登録第1455744号(D1455744) 
代理人 奈良 武 
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