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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 G2
管理番号 1264268 
審判番号 不服2011-14211
総通号数 155 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2012-11-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-07-04 
確定日 2012-10-11 
意匠に係る物品 自動二輪車用タイヤ 
事件の表示 意願2010-15224「自動二輪車用タイヤ」拒絶査定不服審判事件についてした2011年(平成23年)12月21日付けの審決に対し,知的財産高等裁判所において審決取消の判決(平成24年(行ケ)第10042号,平成24年7月18日判決言渡)があったので,更に審理した結果,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯
1.本願は,2010年(平成22年)6月21日に意匠登録出願されたものであって,原審(審査)において,2010年(平成22年)10月12日付けで拒絶の理由が通知され,2011年(平成23年)3月31日付けで拒絶をすべき旨の査定がされた。

2.本件拒絶査定不服審判請求人(以下,「請求人」という。)は,この査定を不服として,2011年(平成23年)7月4日に拒絶査定不服審判の請求をした。

3.原審(第一次審判)は,これを不服2011-14211号拒絶査定不服審判事件として審理し,2011年(平成23年)12月21日付けで「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決をし,その謄本は,2012年(平成24年)1月6日に請求人に送達された。

4.これに対し,請求人は,2012年(平成24年)2月3日に,前記審決の取消を求める訴えを,知的財産高等裁判所に提起し,同裁判所は,平成24年(行ケ)第10042号審決取消請求事件としてこれを審理し,2012年(平成24年)7月18日に,「特許庁が不服2011-14211号事件について平成23年12月21日にした審決を取り消す。」との判決を言い渡し,同判決は確定した。

第2 本願意匠
本願は,前記のとおり,2010年(平成22年)6月21日に意匠登録出願されたものであって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,願書の記載によれば,意匠に係る物品は「自動二輪車用タイヤ」であり,その「形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下,「形態」という。)」は,願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりのものである。(別紙第1参照)

第3 引用意匠
原審(審査)において,本願意匠に類似するとして引用した意匠は,特許庁普及支援課が2009年(平成21年)11月5日に受け入れた米国特許商標公報 2009年(平成21年)10月13日09W41号 自動二輪車用タイヤ(登録番号US D601943S)の意匠(タイヤ全体の意匠)(特許庁意匠課公知資料番号第HH21318414号)であって,その形態は,同公報に記載されたとおりのものである。(別紙第2参照)

第4 判決の理由の要点
同判決の理由(第5 当裁判所の判断)とするところは,大要以下のとおりである。

《前段省略》
2 両意匠の対比
(1)本願意匠の要部について
本願意匠において,全体としてみて,いずれも略同方向に傾斜した長,中,短の三つの溝を1単位とし,これを,赤道を中心として,左右の斜めに向けて,千鳥配置状に配設した点については,本願意匠の出願前に日米において複数登録されていることを斟酌すると,それだけでは取引者・需要者の注意を引きやすい特徴的な形態であるとはいえず,本願意匠においては,繰返しの単位を構成する三つの溝の,具体的な形状,配列,位置関係等が,取引者・需要者の注意を引きやすい特徴的な部分(要部)であると認めることができる。
《途中省略》
(2)両意匠の類否判断
《途中省略》
本願意匠の三つの溝は,溝縁が直線であり,端部に向けて溝幅が細くなることから,看者に対し,一方の先端がとがった細い直線により構成され,無機的であり,かつ,非常にすっきりとして,サイドウォールから赤道に向けて流れる印象を与えるような美感を生じさせるものといえる。これに対し,引用意匠の三つの溝は,全体として,基本的に溝幅に変化がないことも相まって,看者に対し,同じ幅の溝が曲線的にねじ曲がった印象,例えていえば,先端の丸まった筒状の細菌あるいは細胞をまとまりなく配した印象を与えるような美感を生じさせるものといえる。
なお,両意匠は,略同方向に傾斜した三つの溝を1単位とする形状(模様)が,タイヤの赤道を中心として,左右の斜めに向けて,千鳥配置状に配設されている点が共通するが,この点は,既に説示したとおり,公知意匠との関係で,本願意匠の要部には当たるとはいえない。また,両意匠は,三つの溝が,長,中,短の順番で配設されている点,中傾斜溝が長傾斜溝と短溝の略中間に配設されている点,サイドウォール付近において,短溝のサイドウォール寄り端部が,中傾斜溝と隣の1単位に属する中傾斜溝との略中間に位置している点が共通するが,三つの溝を配設する場合に,長さ順に配設することや,溝の間隔が均等となるように配設することは,調和の観点から選択されやすい形状である。その他にも,両意匠は,長傾斜溝が,溝の中間よりサイドウォール寄りの部分に折曲部を有する略「へ」字状である点,中傾斜溝が長傾斜溝よりやや短い点,長傾斜溝と中傾斜溝の間隔が溝全体としては若干広がっている点などの共通点を有するが,他方で,短溝の長さが異なり,長傾斜溝と中傾斜溝の拡幅度合いが異なるなどの相違点も存する。
以上を総合すると,本願意匠は,共通点を考慮したとしても,全体として取引者・需要者に引用意匠と異なる美感を生じさせるものと認めるのが相当であって,引用意匠とは類似しない。
《以下省略》

第5 むすび
したがって,上記判決は,行政事件訴訟法第33条第1項の規定により,当審を拘束するものであり,同判決の主文及び理由に基づき,本願意匠は,引用意匠をもって,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するとはいえず,同法同条同項の規定により,本願を拒絶すべきものとすることはできない。

また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2012-09-27 
出願番号 意願2010-15224(D2010-15224) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (G2)
最終処分 成立  
前審関与審査官 中田 博康 
特許庁審判長 川崎 芳孝
特許庁審判官 下村 圭子
橘 崇生
登録日 2012-10-26 
登録番号 意匠登録第1456254号(D1456254) 
代理人 永芳 太郎 
代理人 南部 さと子 
代理人 水野 尚 

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