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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 F4 |
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管理番号 | 1268314 |
審判番号 | 不服2012-8269 |
総通号数 | 158 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2013-02-22 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2012-05-07 |
確定日 | 2012-12-12 |
意匠に係る物品 | 包装用容器 |
事件の表示 | 意願2010-26156「包装用容器」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
1.本願意匠 本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとする,2010年(平成22年)10月29日付けの意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「包装用容器」とし,その形態を願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり,「実線で表した部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。一点鎖線は,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分とその他の部分との境界のみを示す線である」としたもの(以下,本願において,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本願意匠の当該部分」という。)である(別紙第1参照)。 2.原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたもので,拒絶の理由に引用された意匠は,本願の出願前に特許庁から発行された意匠公報に記載の意匠登録第1381039号(意匠に係る物品,包装用びん)の意匠(以下,「引用意匠」という。)における「意匠の胴部の外周に模様を附した底面部側の部分の底面部の模様を除いた部分」の意匠であって,その形態は,同公報に掲載されたとおりのものである(別紙第2参照)。 3.当審の判断 (1)本願意匠と引用意匠(以下,「両意匠」という。)を対比する。 (A)意匠に係る物品 両意匠を対比すると,意匠に係る物品は,「包装用容器」と「包装用びん」であって,共通している。 (2)本願意匠の当該部分と引用意匠の相当部分(以下,「両意匠の部分」という。)を対比する。 (A)用途及び機能,並びに,位置,大きさ及び範囲 本願意匠の形態は,全体が,細口を持った,縦長の略円筒状のものであって,細口の直下に,拡径部である肩部を,その下に有底の本体部を設けてあり,該本体部は,おおむねやや細径の周面と,肩部最大径と略同径の,底面につながる下端周面,及び底面から成り,本願意匠の当該部分は,本体部周面から拡径した後の略垂直面,すなわち下端周面上端から,底面につながる曲線部手前まで,すなわち下端周面下端までであり,その縦幅は,本体部縦幅(肩部下端から底面まで)の約5分の1の範囲である。 引用意匠の形態は,全体が,細口を持った,縦長の略円筒状のものであって,細口の直下に,下縁部に1条の円弧状突条部を設けた拡径の肩部を,その下に有底の本体部を設けてあり,該本体部は,おおむねやや細径の周面と,肩部最大径と略同径の,底面につながる下端周面,及び底面から成り,引用意匠の相当部分は,本願意匠の当該部分と同様に,下端周面上端から縦幅で本体部縦幅の約5分の1の範囲までの部分(以下,「引用意匠の相当部分」という。)である。 よって,両意匠の部分に係る,用途及び機能,並びに,位置,大きさ及び範囲については共通していると認められる。 (B)具体的形態 具体的形態については,(a)下端周面に,水平方向の溝が設けられていて,(b)下端周面に砂地状の模様を施しているものであって,これらの点が主として共通する。 他方,両意匠の部分における形態について,以下の相違点が認められる。 (ア)設けてある水平方向の溝につき,本願意匠の当該部分は,略中央に1本設けているのに対して,引用意匠の相当部分は,上下に略3等分する位置に2本設けている点, (イ)溝の断面形状につき,本願意匠の当該部分は,縁部が曲線,斜面が直線状で,底部が台形状の溝であるのに対して,引用意匠の相当部分は,すべて曲線で構成した,いわゆる波形である点, (ウ)設けてある水平方向の溝部より下の態様につき,本願意匠の当該部分は,約2分の1幅の垂直面の下に,約4分の1幅の緩斜面にてやや縮径し,約4分の1幅の細径垂直面としているのに対して,引用意匠の相当部分は,狭幅の単なる垂直面である点,で主に相違している。 (C)両意匠の部分における形態の類否判断 両意匠の部分の形態における共通点と相違点を検討すると,共通点は,両意匠の部分の態様を概括したにすぎないものであることから,この共通性のみをもって両意匠の部分の類否判断を決定するものとすることはできないのに対して,両意匠の部分における相違点(ア)については,この種物品分野においては,本体周面にいくつかの溝を設けることはごく当たり前に行われることであるが,両意匠の部分の対比においては,略中央に1本設けた態様と,上下に略3等分する位置に2本設けた態様は,(イ)の相違点との相乗効果を考慮すると,類否判断に大きな影響を与えるものであり,相違点(ウ)については,両意匠の部分の下部分における周面の形状の相違であって,類否判断に多大な影響を与えることは明らかである,と言わざるを得ない。 したがって,両意匠の部分に係る形態は,共通点及び相違点の視覚的効果を総合的に判断すると,類似しないものといえる。 (3)両意匠の類否判断 本願意匠と引用意匠に係る物品は共通し,両意匠の部分の用途及び機能,並びに,位置,大きさ及び範囲については共通しているが,その部分の形態については,上記のとおり類似しないものといえるから,本願意匠と引用意匠は類似しないものと認められる。 (4)結び 以上のとおりであって,本願意匠は,引用意匠に類似せず,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものであるから,原査定における拒絶の理由によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2012-11-30 |
出願番号 | 意願2010-26156(D2010-26156) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(F4)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 竹下 寛、樫本 光司 |
特許庁審判長 |
川崎 芳孝 |
特許庁審判官 |
遠藤 行久 橘 崇生 |
登録日 | 2013-01-18 |
登録番号 | 意匠登録第1462472号(D1462472) |
代理人 | 高柴 忠夫 |
代理人 | 棚井 澄雄 |
代理人 | 鈴木 三義 |
代理人 | 志賀 正武 |