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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 B1
管理番号 1268319 
審判番号 不服2012-5002
総通号数 158 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2013-02-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-03-16 
確定日 2012-12-27 
意匠に係る物品 よだれかけ 
事件の表示 意願2010- 19067「よだれかけ」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠
本願は,2010年(平成22年)8月4日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「よだれかけ」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下,「形態」という。)は,願書の記載及び願書添付の図面に記載されたとおりのものである。(別紙第1参照)

第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が,意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠(先行の公知意匠に類似するため,意匠登録を受けることのできない意匠)に該当するとしたものであって,拒絶の理由に引用した意匠(以下,「引用意匠」という。)は,本願出願前,電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠,すなわち,特許庁意匠課が,2008年(平成20年)9月19日に受け入れ,その掲載確認日(公知日)を2008年(平成20年)9月16日と確認したところの,Amazon.comがインターネットに掲載した,表題を「Amazon.com: Kiddopotamus Bibbity Rinse And Roll Bib Green & Yellow 2-P」とするページ(掲載ページのアドレス,http://www.amazon.com/gp/product/images/B001ECXHVW/ref=dp_image_0?ie=UTF8&n=165796011&s=baby-products)に所載の「ポケット付よだれかけ」の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HJ20029064号)であって,その形態は,同サイト掲載ページの写真版に現されたとおりのものである。(別紙第2参照)

第3 本願意匠と引用意匠との対比
1.意匠に係る物品について
本願意匠の意匠に係る物品は「よだれかけ」であり,引用意匠の意匠に係る物品は「ポケット付よだれかけ」であって,両物品ともに乳幼児が食事をするときに使用するよだれかけに係るものであるから,本願意匠と引用意匠(以下,「両意匠」という。)の意匠に係る物品は,一致する。

2.両意匠の形態について
両意匠の形態については,主として,以下のとおりの共通点及び相違点が認められる。
(1)共通点として,
(A)全体が,胸部から腹部を覆うよだれかけ部と,このよだれかけ部の下端部に設けられた受皿部と,よだれかけ部の上端に設けられた左右2本の首掛け部を有し,これらは,略同一の厚さの薄いシート材で構成されている点,
(B)受皿部の下縁が,下に向けて凸の横長の略半長円形状に湾曲している点,
(C)左右の首掛け部の間のよだれかけ部上縁は,凹弧状に湾曲している点,
(D)よだれかけ部から首掛け部にかけての左右両縁部が,なだらかな括れ部を形成している点,
(E)正面視すると,左右首掛け部は,それぞれ幅広の帯状であって,右側の首掛け部は,先端部が円弧状で,上方には3つの透孔が形成されている点,
が認められる。
(2)相違点として,
(a)左右の首掛け部につき,本願意匠は,それぞれ斜め上方に直線状に伸びて,略「入」の字状を呈しているのに対して,引用意匠は,それぞれ円弧状を呈しているものと推認される点,
(b)受皿部の開口部左端部付近の外縁形状につき,本願意匠は,受皿部の開口部左端部を屈曲部とする,略「く」の字状(受皿部の開口部右端部付近は,その対称形状)を想起させるのに対して,引用意匠は,外に凸のなだらかな円弧状(受皿部の開口部右端部付近は,その対称形状)を呈している点,
(c)受皿部の内部につき,本願意匠は,左右中央位置に薄いリブを設けているのに対して,引用意匠は,当該リブが存在するか否か不明である点,
が認められる。

第4 両意匠の類否判断
以上の一致点,及び共通点及び相違点が,両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価し,両意匠の類否を意匠全体として総合的に検討し,判断する。
1.両意匠の形態について
(1)共通点の評価
両意匠の共通点(A)ないし(D)に係る形態は,いずれも,この種の物品においては,例を挙げるまでもなく,従来から既に見られるありふれた態様であって,両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱なものと言うほかない。
また,共通点(E)についても,この種物品において,幅広の帯状で,先端部を円弧状とし,使用時に首掛け部を留めるための複数個の透孔を,左右の首掛け部のいずれかに設けることは,例を挙げるまでもなく,従来から既に見られるところであることから,両意匠のみに共通する特徴的な態様とは言えず,この点もまた,両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱なものと言うほかない。

(2)相違点の評価
これに対して,両意匠の相違点に係る形態が生じる意匠的な効果は,両意匠の類否判断を決定付けるものである。
すなわち,相違点(a)の,左右の首掛け部の態様の相違は,当該首掛け部は,使用時には,幼児の首に直接接する部分であって,よだれかけを固定する部分であることから,看者である大人の注意を強く惹く部分あって,本願意匠が略「入」の字状を呈するのに対して,引用意匠が,それぞれ円弧状を呈しているものと推認される点は,視覚的に全く異なる美感を呈しているというべきである。また,本願意匠の当該部の略「入」の字状を呈する態様,更に,使用時には,「使用状態を示す参考図2」に表されているように,略逆「へ」の字状を呈する態様は,本願意匠のみに見られる特徴的な態様のものといえ,両意匠の類否判断に大きな影響を及ぼすものと認められる。
次に,相違点(b)の,受皿部の開口部左右端部付近の外縁形状の相違は,この種物品において,両意匠の態様は,いずれも特徴あるものとは言い難いが,当該受皿部の開口部左右端部付近は,正面部の目につきやすい部分であることから,両意匠の類否判断に一定程度の影響を及ぼすものと認められる。
また,相違点(c)については,本願意匠が受皿部の内部にリブを設けているのに対して,仮に,引用意匠には当該リブが設けられていないとしても,比較的目につきにくい部分の相違であることから,両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱に留まるものではあるが,前記相違点(a)及び同(b)と相乗して生じる意匠的な効果は,両意匠の類否判断を決定付けるものと言うほかない。

2.小括
そうすると,両意匠の意匠に係る物品は一致するが,両意匠の形態において相違点が共通点を凌駕し,意匠全体として看者に異なる美感を起こさせるものであるから,本願意匠は,引用意匠とは類似しないものである。

第5 むすび
したがって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当せず,原査定の拒絶の理由によっては,本願を拒絶すべきものとすることができない。
また,本願について,他に拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2012-12-14 
出願番号 意願2010-19067(D2010-19067) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (B1)
最終処分 成立  
前審関与審査官 佐々木 朝康 
特許庁審判長 川崎 芳孝
特許庁審判官 遠藤 行久
橘 崇生
登録日 2013-01-18 
登録番号 意匠登録第1462171号(D1462171) 
代理人 永田 良昭 
代理人 永田 元昭 

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