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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 K9 |
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管理番号 | 1271054 |
審判番号 | 不服2012-20139 |
総通号数 | 160 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2013-04-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2012-10-12 |
確定日 | 2013-03-01 |
意匠に係る物品 | 流体フィルターエレメント |
事件の表示 | 意願2011- 9336「流体フィルターエレメント」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 本願意匠 本願は、物品の部分について意匠登録を受けようとする、2011年(平成23年)4月22日の意匠登録出願であって、その意匠は、願書及び願書添付図面の記載によれば、意匠に係る物品を流体フィルターエレメントとし、その形態を願書及び願書添付図面の記載のとおりとしたものであって、実線で表した部分を部分意匠として意匠登録を受けようとする部分とするものである(以下、本願の意匠登録を受けようとする部分についての意匠を「本願意匠」という。)。(別紙第1参照) 第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は、本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当する(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)とするものであって、拒絶の理由に引用した意匠は、本願出願前、日本国特許庁発行の意匠公報(発行日:2005年(平成17年)12月26日)に記載された意匠登録第1259034号(意匠に係る物品、流体フィルターエレメント)の該当部分の意匠であって、その形態は、同公報に記載されたとおりのものである(以下、本願意匠に相当する部分についての意匠を「引用意匠」という。)。(別紙第2参照) 第3 当審の判断 1.本願意匠と引用意匠の対比 (1)意匠に係る物品 本願意匠及び引用意匠の意匠に係る物品は、いずれも「流体フィルターエレメント」であり、両意匠の意匠に係る物品は一致する。 (2)意匠登録を受けようとする部分の用途、機能及び位置、大きさ、範囲 本願意匠と引用意匠は、いずれも、全体が略円筒形状を呈するフィルターエレメントの上端面中央部に、円筒の内孔よりもやや大径かつ偏平の態様で突設されたフィルターエレメントの取付部に係るものと認められるから、両意匠の当該部分の用途、機能及び位置、大きさ、範囲は、いずれも共通する。 (3)形態 本願意匠と引用意匠の形態を対比すると、両意匠の形態には、主として以下のとおりの共通点及び相違点がある。 まず、共通点として、(A)薄手の板体を屈曲させながら環状に接続した環状壁部と、該環状壁部の内側に円形の内孔を形成する内側段部、及び、環状壁部の下端に接続する上面が平滑な円盤状の鍔部からなる偏平の略筒状体であり、(B)環状壁部の平面視形状は、円弧と略「W」字状の屈曲を各3個交互に接続した態様とした点(以下、これらの各部位を「円弧部」、「屈曲部」という。)、が認められる。 一方、相違点として、(ア)環状壁部平面視形状の具体的な構成態様が、 本願意匠は、円弧部と屈曲部に対応する中心角をほぼ均等(60度)として交互接続しているのに対して、引用意匠は、円弧部と屈曲部に対応する中心角の比を約3対1(90度、30度)とすることで、長い円弧部を形成しつつ交互接続している点、及び、(イ)環状壁部の突出高さを、本願意匠は、同部直径の約4分の1という比較的高い突出高さとしているのに対して、引用意匠は、同部直径の約10分の1という低い突出高さとしている点、が認められる。 2.本願意匠と引用意匠の類否判断 以上の一致点、共通点及び相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価、総合して、両意匠の意匠全体としての類否を判断する。 両意匠は、意匠に係る物品が一致し、意匠登録を受けようとする部分の用途、機能及び位置、大きさ、範囲も共通する。形態の類否に係る評価については、以下のとおりである。 (1)共通点の評価 両意匠の共通点(A)及び同(B)は、上記認定した概括的な形状の範囲においては、この種物品分野におけるその他の意匠には見られない特有な構成態様であるため、両意匠の類否判断に一定の影響を及ぼす共通の特徴を構成しているといえる。 (2)相違点の評価 その一方で、両意匠のより具体的な構成態様に係る相違点について見ると、相違点(ア)は、本願意匠が、円弧部と屈曲部とをほぼ均等の中心角で接続し、屈曲部中央の山折り直線部を長く形成したことで、当該直線部が円弧部を介して次の山折り直線部とあたかも連続し、全体としてルーローの三角形状(請求人が指摘するところの「おむすび形状」)を呈するような視覚的印象を与える点は、円弧部が長く、全体として円環状の視覚的印象を与える引用意匠とは大きく異なる点であり、概括的には構成要素を共通とする引用意匠との比較においても、本願意匠を独自に特徴付けるものとなっている。また、相違点(イ)について、両意匠の環状壁部は、いずれも高さが同部直径の3分の1にも満たない偏平の態様であり、上端から下端まで断面形状を変化させることなく延設したという共通性の中での相違であるため、その突出高さの相違自体が両意匠の類否判断に与える影響は限定的ではあるものの、相違点(ア)と相まって、両意匠の違いを視覚的に更に強めるものとなっている。そして、両意匠の当該部分の形状は、フィルターエレメントの取付部という視覚観察されやすい部位に係るものであるため、これらの相違点全体が両意匠の類否判断に与える影響は非常に大きいといえる。 (3)小括 したがって、両意匠は、意匠に係る物品が一致し、意匠登録を受けようとする部分とこれに相当する部分の用途、機能及び位置、大きさ、範囲も共通する。形態においても、概括的に見た場合の共通点は存するものの、具体的形態に係る相違点が相まって生じる視覚効果は共通点のそれを凌駕し、両意匠の類否判断に支配的な影響を及ぼして、看者に両意匠を意匠全体として別異の意匠と印象付けているというべきであるから、本願意匠は、引用意匠に類似するということはできない。 第4 むすび 以上のとおりであって、本願意匠は、原査定の引用意匠をもって意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできないから、同条同項柱書により、本願意匠について意匠登録を受けることができないとすることはできない。 また、当審において更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2013-02-18 |
出願番号 | 意願2011-9336(D2011-9336) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(K9)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 原田 雅美 |
特許庁審判長 |
遠藤 行久 |
特許庁審判官 |
伊藤 宏幸 早川 治子 |
登録日 | 2013-03-15 |
登録番号 | 意匠登録第1466717号(D1466717) |
代理人 | 大西 正悟 |