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審決分類 |
審判 判定 同一・類似 属さない(申立成立) M2 |
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管理番号 | 1273883 |
判定請求番号 | 判定2012-600041 |
総通号数 | 162 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠判定公報 |
発行日 | 2013-06-28 |
種別 | 判定 |
判定請求日 | 2012-10-10 |
確定日 | 2013-05-16 |
意匠に係る物品 | 配管用支持具 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第1111183号の判定請求事件について、次のとおり判定する。 |
結論 | イ号図面及び判定請求書のイ号意匠の説明により示された「配管用支持具」の意匠は、登録第1111183号意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属しない。 |
理由 |
第1 請求の趣旨及び理由 本件判定請求人(以下,「請求人」という。)は,イ号意匠(イ号意匠の図面及び判定請求書のイ号意匠の説明により示された意匠)は,登録第1111183号意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属しない,との判定を求める,と申し立て,その理由として,要旨以下のとおりの主張をし,証拠方法として,甲第1ないし第4号証及び添付書類の別紙1として本件登録意匠の意匠公報の写しを,別紙2としてイ号意匠の図面を提出した。 1.判定請求の必要性 本件判定請求に係る登録意匠「配管用支持具」意匠登録第1111183号(別紙第1,以下「本件登録意匠」という。)の意匠権者である被請求人(以下,「被請求人」という。)は,請求人に平成24年7月17日付け警告書(甲第1号証)を送付し,請求人が現在販売している意匠(品番:VOF-07N及びVOF-13N)が本件登録意匠に類似する旨主張した。 その後,被請求人は,請求人に対し,特許庁による判定を請求すること及び判定の結果に従うことを要求した。 請求人は,警告を受けたクランプ部材とは別のクランプ部材に係る意匠(以下,「イ号意匠」という。)についても実施することを検討している。 そこで,請求人は,被請求人との間の問題を解決するため,被請求人の要求に従うこととし,判定を求めた次第である。 2.本件登録意匠の手続きの経緯 出願日 平成12年(2000年)6月6日(意願2000-15177号) 登録日 平成13年(2001年)4月6日(意匠登録第1111183号) 3.本件登録意匠とイ号意匠の比較説明 (1)両意匠の共通点 本件登録意匠とイ号意匠とを対比すると,両意匠は,以下の点で共通する。 (ア)物品が「配管用支持具」である点 (イ)本体が薄肉のヒンジ部を介して操作片の一端側を支持している点 (ウ)ヒンジ部と反対側において,係合部を操作片に形成し,係合部が係合する係止部を本体に形成している点 (エ)本体について,底部の内壁中央に長方形状の溝を形成し,底部の中央において長方形状の溝にビス穴を貫通形成し,さらに,対向する半円弧状の内壁に滑り止めを内向きに突出形成している点 (2)両意匠の相違点 しかしながら,両意匠は,形態面において,主に以下の点で相違する。 (ア)全体形状 正面視,本件登録意匠は全体として略C字状であるのに対し,イ号意匠は全体として略逆L字状である。 (イ)本体の外壁の形状 本件登録意匠は垂直壁であるのに対し,イ号意匠は半円弧状の曲壁である。 (ウ)本体の底部 イ号意匠のみ,底部の正面壁及び背面壁の左右に窪みを形成している。 (エ)本体の連結形状 イ号意匠のみ,両外壁の下端に連結用の凸部と凹部とをそれぞれ形成している。 (オ)係止部 正面視及び背面視のいずれも両意匠は相違している。 (カ)滑り止め 本件登録意匠は,一対の滑り止めがそれぞれ一続きであるのに対し,イ号意匠は一対の滑り止めがそれぞれ断続している。 (キ)操作片の形状 操作片の外面に形成された正面側及び背面側の段差に関し,イ号意匠は,本件登録意匠の約1/5の長さとなっている。 (ク)操作片の段部先端の形状 本件登録意匠は,垂直壁になっているのに対し,イ号意匠は円弧状の曲壁になっている。 (ケ)係合部1 係合部の一端側に形成した操作部に関し,本件登録意匠は方形であるのに対し,イ号意匠は円形である。 係合部の他端側に関し,本件登録意匠のみ,内向きに突出するフック部を形成している。 (コ)係合部2 係合部の一端側の凹部から他端側にかけた外面に関し,本件登録意匠は,直線的な平坦面となっているのに対し,イ号意匠は,段差を形成している。 (サ)係合部3 本件登録意匠は,係合部と操作片とのなす角度が約30度であるのに対し,イ号意匠は,係合部と操作片とが平行になっている。 (シ)股部 本件登録意匠は,V字の先端が矢尻状に切り欠かれているのに対し,イ号意匠はU字状になっている。 4.イ号意匠が本件登録意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属しない理由の説明 (1)本件登録意匠に関する先行周辺意匠 本件登録意匠の出願日前に発行された刊行物に記載された意匠として,以下の3つの公知資料に表れた意匠がある。 公知資料1 意匠登録第1061174号(甲第2号証) 公知資料2 意匠登録第1061174号類似第1号(甲第3号証) 公知資料3 意匠登録第1061174号類似第2号(甲第4号証) (2)類否判断 本件登録意匠とイ号意匠とを比較すると,上記の共通点は,両意匠全体の骨格を成し,一定の共通する基調を形成するもの(すなわち基本的構成態様)ではあるものの配管用支持具という物品においては本件出願前の公知意匠(上記の公知資料1?3に表れている意匠)にも見られるありふれた態様であって,両意匠のみに特徴的な態様ではない。したがって,共通点は,両意匠の類否判断に大きな影響を及ぼさないものである。 他方,相違点については,両意匠が別異であるとの印象を強く与える。 とりわけ,相違点(ア)は,両意匠の基調とする全体形状に関するものであり,両意匠が別異のものであるとの印象を強く与える。 加えて,この全体形状の相違によって,本件登録意匠は,イ号意匠に比べて,操作片の係合部が目立って見える。係合部についても,両意匠は相違(相違点(ケ),(コ)及び(サ))しており,両意匠が別異のものであるとの印象を増長している。 特に,係合部を全体として見ると,係合部から受ける印象は全く異なっている。具体的には,本件登録意匠の係合部は,直線的な部位を基調とし,その一端をV字状の股部から先方に突出させて三角形状に尖らせ,他端を角張らせており,全体として,直線・角を多用した印象を醸し出している。このような印象であるゆえに,例えるなら,本件登録意匠の係合部は,ポールの先端に模型飛行機がついた置物のイメージを想起させるかのようである。しかし,イ号意匠は,そういったイメージを想起させない。むしろ,イ号意匠は,その一端をU字状の股部とし,他端を円形にするなど,全体として,曲線・丸みを強調した印象を醸し出している。 また,細部に着目しても,両意匠の印象は異なっている。例えば,相違点(イ)が相違点(ク),(ケ)及び(シ)が相まることにより,本件登録意匠は,直線・角を多用した印象を醸し出しているのに対し,イ号意匠は,曲線・丸みを強調した滑らかな印象を醸し出している。 また,相違点(ウ)が相違点(オ)及び(カ)と相まることにより,隙間や凹みの空間の有無が視覚的違いをもたらしており,イ号意匠は,開放感のある印象を醸し出して上記の曲線的な滑らかな印象を増長しているかのようであるのに対し,本件登録意匠は,そのような印象とは異なる頑強な印象を醸し出して上記の直線的な印象を強めているかのようである。 さらに,相違点(オ),(ケ)及び(コ)により,両意匠は,係合部と係止部との係止位置が異なる。具体的には,操作片を閉じた場合,本件登録意匠は1段階でしか係止(ロック)されないのに対し,イ号意匠は,2段階で係止(ロック)することができる。これにより,イ号意匠は,装着する部材(配管や断熱材)の大きさに応じて,閉じた操作片のロック位置を2段階で調整することができる。このような両意匠の異なる係止位置は,需要者の使用感を異ならせ,結果,需要者に対して,両意匠の使用方法が異なるとの印象を与える。 実際,相違点(ア)により,両意匠は,配管を装着する際の作業性が異なっている。具体的には,配管を装着する際に,本件登録意匠は,操作片をいったん開いて閉じるという作業が必要になるが,イ号意匠は,操作片を開く作業をせずに済む。このことは,需要者に対して,両意匠の使用方法が異なるとの印象が増長するものである。なお,イ号意匠は,上記の作業性の観点から全体として略逆L字状の態様で販売される予定であり,本件登録意匠の如く略C字状に折り曲げた態様では流通することは予定されていない。 以上を踏まえて,両意匠を全体として観察すると,両意匠の相違点全体によって,イ号意匠は,本件登録意匠とは使用方法(係止位置,配管装着作業)が異なるとの印象を表出するのみならず,本件登録意匠とは受ける印象(開放感のある曲線的な滑らかな印象など)が異なっている。そして,かかる印象の相違は,両意匠の公知の共通点を凌駕し,需要者に対して両意匠をして全く別異の美感を生じさせている。 よって,イ号意匠は,全体として,本件登録意匠と非類似である。 5.むすび したがって,イ号意匠は,本件登録意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属しないので,請求の趣旨どおりの判定を求める。 6.請求人が提出した証拠 (1)甲第1号証:平成24年7月17日付け警告書の写し (2)甲第2号証:意匠登録第1061174号の意匠公報の写し (3)甲第3号証:意匠登録第1061174号類似第1号の意匠公報の写し (4)甲第4号証:意匠登録第1061174号類似第2号の意匠公報の写し (5)添付書類・別紙1:本件登録意匠1111183号の意匠公報の写し (6)添付書類・別紙2:イ号意匠の写真 第2 被請求人の答弁の趣旨及び理由 1.答弁の趣旨 被請求人は,「イ号意匠は登録第1111183号意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属する,との判定を求める。」と答弁し,その理由として要旨以下のとおりの主張をし,証拠方法として,乙第1号証及び乙第2号証並びに検乙第1号証を提出した。 2.答弁の理由 (1)本件登録意匠とイ号意匠との物品性の比較 請求人は,判定請求書において,イ号意匠の物品性について,配管や断熱材を壁などに固定するために使用する配管支持具である,と主張している。ところが,配管の種類について,本件登録意匠の波付管の使用,特に断面長円の長円波付管について直接説明していない。また,イ号意匠は,装着する部材(配管や断熱材)の大きさに応じて,閉じた操作片のロック位置を2段階で調節することができると主張しているが,配管には,2段階で微調整できる長円波付管のサイズ自体が存在していない。また,請求人の主張する当該係合部(係合頭部)が係止部(係合受部)に係止する位置は,一般的に長円波付管を支持固定できない係合状態であるから,当該支持固定できない位置をイ号意匠にかかる物品の特徴とは特定できない。加えて,本体について,・・・,対向する半円弧状の内壁に滑り止めを内向きに突出形成している点を本件登録意匠とイ号意匠との共通点として挙げているから,当該滑り止めが機能するのは所定の形状の断面長円の長円波付管であることは明らかであり,長円波付管が支持固定される配管用支持具であることは明らかである。また,他に本件登録意匠とイ号意匠との物品が同一物品であることを否定する主張はないし,当該同一物品を否定する構造も見当たらないから,両物品は同一物品であると解するのが合理的である。 (2)本件登録意匠とイ号意匠との形態の比較 (i)両意匠の共通点 (A)下面のシルエットラインが支持固定しようとする長円波付管の長さ方向に対する直角方向に長い長方形に形成されている。 また,外面が長円波付管の長さ方向からみて略コ字状に形成され,内側が長円波付管を受けるフラット部分を含む略U字状に開口している。 さらに,厚み方向の中央に長円波付管の波凹部に嵌合する滑り止めが形成され,長円波付管の長さ方向の一方の面のみに係合状態の確認窓を形成している。加えて,開口する略U字状の略中央部には,ビス止めする凹部溝が形成されている。 (B)正面図,背面図からみて,本体部の略コ字状に形成された外面と,略U字状に形成された内側との間の間隔を他方に比較して狭くし,かつ,中実とし,その端部から連続して形成された薄肉のヒンジ部を有している。 (C)ヒンジ部から延長され,長円波付管を受ける略U字状の開口(正面図)の上部を覆い,上面にフラット面が出るように,かつ,略均一な厚みとなるように形成した覆い部(イ号意匠の「操作片」に相当)を有している。 (D)覆い部から延長された自由端に形成され,外力でその先端のV字状の角度を小さくすることにより挿入離脱自在となり,挿入状態でその外力を解くことにより係合する係合頭部を有する。 (E)正面図,背面図からみて,ヒンジ部の反対側の本体部にあって,本体部の長円波付管を受ける略U字状の開口とコ字状の外面との間に形成され,係合頭部と係合または解除する係合受を形成した係合受部(イ号意匠の「係止部」に相当)の形態が共通する。 (ii)両意匠の相違点と比較 (a)全体形状等について (a-1)全体形状 請求人は,正面視,本件登録意匠は,全体として略C字状であるのに対し,イ号意匠は,全体として略F字状であると主張している。しかし,配管用支持具の取付け使用状態においては操作片(覆い部)が閉じた形態であり,また,当該取付け使用状態では操作片(覆い部)を変位させるものと認識されている物品であるから,操作片(覆い部)の角度の違いがあっても,それは図示された意匠表現の違いであって,本件登録意匠の本質を左右するものではない。 (a-2)本体の底部 請求人は,イ号意匠のみ,底部の正面壁(正面図)及び背面壁(背面図)の左右に窪みを形成していると主張している。しかし,本件登録意匠では,底面を成型する金型の下方方向への抜きを行うことで,本件登録意匠の正面及び背面の見栄えを良くした平滑面としているが,それをイ号意匠では,正面図の前方及び背面図の後方側へ金型を抜くようにしている。請求人は,その射出成型上の金型の違いによる要因をイ号意匠の正面図及び背面図の左右の窪みとして主張しているに過ぎない。したがって,射出成型技術の肉盗みの形状は,本来,表面に出さないが,それを積極的に出したとしても,それは射出成型上の問題であり,意匠の創作性からみれば軽微なことであり,両意匠が類似するという判断を覆す合理的根拠にはならない。 (a-3)本体の外壁の形状 請求人は,本件登録意匠は,垂直壁であるのに対し,イ号意匠は,半円弧状の曲壁であると主張している。しかし,本件登録意匠の正面図及び背面図に示すように,覆い部(操作片)からヒンジ部及び当該ヒンジ部に接続された本体部の上部が,支持固定される長円波付管の外形線に沿っての形状が表出されている。ここには,本件登録意匠が湾曲する曲線が立ち上がりの直線と交わっているのに対して,イ号意匠は,さらに,湾曲する曲線が立ち上がりの直線と交わった後,本体部に食い込んでいるという構造上の違いがある。しかし,イ号意匠においても,湾曲する曲線の水平方向のピーク位置が立ち上がりの直線と垂直関係にあり,また,前記操作片(覆い部)が略連結凹部の立ち上がりの直線の延長線上にあるから,それらが助長し直線的処理を強調しているから,それらが垂直方向の立ち上がりの印象を強くしており,当該構造的な違いが存在しても,当該構造上の違いは意匠的にみれば些細な微差であって,意匠全体の本件登録意匠の類似判断を左右する程度の違いは存在していない。 (a-4)滑り止め 請求人は,本件登録意匠は,一対の滑り止めがそれぞれ一続きであるのに対し,イ号意匠は,一対の滑り止めがそれぞれ断続していると主張している。しかし,本件登録意匠の滑り止めの長さの範囲で,1回以上の切れ目を入れても,機能的に本件意匠の滑り止めとイ号意匠の滑り止めとの間に違いが存在しておらず,かつ,その滑り止めの高さ程度の幅であるから看者は切れ目の存在及びその意義も看取できない。したがって,本件登録意匠の形態との間に滑り止めの形状の違いが存在していても,意匠的にみればその構造上の違いは実施物としての些細な微差であって,意匠全体の本件登録意匠の類似判断を左右する程度の違いは存在していない。 (a-5)長方形状の溝 さらに,請求人は,(エ)本体について,底部の内壁中央に長方形状の溝を形成し,底部の中央において長方形状の溝にビス穴を貫通形成し,・・・と主張し,イ号意匠は,開口する略U字状の略中央部にビス止めする凹部溝の形態を具有することを認めている。したがって,本体部に関する前述の判断を覆す合理的根拠は存在しない。 よって,イ号意匠の下面のシルエットラインがイ号意匠の平面図及び底面図の図の上下方向に対し直角方向に長く伸びた長方形に形成され,その外面がイ号意匠の正面図及び背面図からみて略コ字状に形成され,その内側が波付管を受けるフラット部分を含む略U字状に開口し,その厚み方向の中央に波付管の波凹部に嵌合する滑り止めが突設形成され,また,イ号意匠の背面図に係合状態の確認を行うことができる確認窓を形成し,また,開口する略U字状の略中央部には,ビス止めする凹部溝が形成されてなる本体部の形態は,本件登録意匠との間に構造上の違いが存在していても,意匠的にみればその構造上の違いは実施物としての些細な微差であって,意匠全体の本件意匠の類似判断を左右する程度の違いは存在していない。 (b)イ号意匠の正面図及び背面図に示すように,本体部の略コ字状に形成された外面と,略U字状に形成された内側との間の間隔を他方に比較して狭くし,かつ,中実とし,その中実端部から連続して形成された薄肉のヒンジ部の形態は,本件登録意匠との間に構造上の違いが存在していても,意匠的にみればその構造上の違いは実施物との些細な微差であって,意匠全体の本件登録意匠の類似判断を左右する程度の違いは存在していない。 (c)操作片の形状及び操作片の段部先端の形状 請求人は,操作片の外面に形成された正面側及び背面側の段差に関し,イ号意匠は,本件登録意匠の約1/5の長さとなっている,また,本件登録意匠は,操作片の段部先端の形状が,本件登録意匠は垂直壁になっているのに対し,イ号意匠は,円弧状の曲壁になっている,と主張している。しかし,本件登録意匠の左側面図に示す段差は僅かな厚みの変化であり,看者に本件登録意匠,イ号意匠として識別させるだけの印象を残すものではなく,本件登録意匠の形態との間に構造上の違いが存在していても,意匠的にみればその構造上の違いは実施物としての些細な微差であって,意匠全体の本件登録意匠の類似判断を左右する程度の違いは存在していない。また,操作片の段部先端の形状について,構造的な段差を請求人が垂直壁と表現されたものであり,それが,円弧状であっても,垂直壁であっても,見え難い部分の構造的に連続的な湾曲か,僅かの段差があるかの違いであり,内側に僅かな段差を設けるか,円弧状に処理するかは,実施物の設計的事項である。したがって,意匠的にみれば当該構造上の違いは些細な微差であって,意匠全体の本件登録意匠の類似判断を左右する程度の違いは存在していない。 (d)係合部について (d-1)係合部1及び係合部2 請求人は,係合部の一端側に形成した操作部に関し,本件登録意匠は方形であるのに対し,イ号意匠は円形である,また,係合部の一端側の凹部から他端側にかけた外面に関し,本件登録意匠は,直線的な平坦面となっているのに対し,イ号意匠は,段差を形成していると主張している。しかし,係合部(係合頭部)の一端,すなわち,V字状の端部が方形であるか,円柱であるかは,実施物の設計的事項である。また,判定請求人が指摘した本件登録意匠の背面図の矢印は,平坦な部分のみを指しており,また,イ号意匠の段差を形成とは複数段に形成したところを矢印で指している。ところが,請求人が指摘した本件登録意匠の矢印は平坦な部分のみを指しているが隣接して,その上側に段差が形成されていることは明確である。したがって,段差を1段にするか2段にするかの構造上の違いが存在していても,意匠的にみればその構造上の違いは些細な微差であって,意匠全体の本件意匠の類似判断を左右する程度の違いは存在していない。そして,請求人は,係合部(係合頭部)の外側を円弧状の湾曲面にするか,直線で描く平面状にするかも,これらの部分が,判定請求書のイ号意匠の背面図及び別紙2の正面図,背面図,背面側斜視図1,背面側斜視図2をみても確認できない程度の僅かな構造上の違いであるから,当該両構造上の違いが存在していても,意匠的にみればその構造上の違いは些細な微差であって,意匠全体の本件登録意匠の類似判断を左右する程度の違いは存在していない。 d-2)V字状部の股部 請求人は,V字状部の股部について,本件登録意匠は,係合部と操作片とのなす角度が約30度であるのに対し,イ号意匠は,係合部と操作片とが平行になっていると主張している。しかし,本件登録意匠の係合部(係合頭部)が操作片(覆い部)との接続をV字状とみるか,イ号意匠のようにU字状とみるかは,主観的な観点であり,一方が弧状に曲がっているから両者ともV字状に接続されているともいえる。したがって,当該構造上の違いが存在していても,意匠的にみればその構造上の違いは些細な微差であって,意匠全体の本件登録意匠の類似判断を左右する程度の違いは存在していない。 また,請求人は,本件登録意匠は,V字状部の先端が矢尻状に切り分かれているのに対し,イ号意匠は,U字状になっていると主張している。しかし,請求人のこれらの主張点は,イ号意匠の背面図や別紙2の正面図,背面図,正面側斜視図,背面側斜視図をみても確認できない程度の僅かな構造上の違いであるから,当該構造上の違いが存在していても,意匠的にみればその構造上の違いは些細な微差であって,意匠全体の本件登録意匠の類似判断を左右する程度の違いは存在していない。 よって,イ号意匠の操作片(覆い部)から延長された自由端に形成され,イ号意匠の正面図及び背面図に示すように外力でその先端のV字状の角度を小さくすることにより挿入離脱自在となり,その外力を解くことにより,イ号意匠の閉じた状態の正面側斜視図及び閉じた状態の背面側斜視図に示すように係合する係合部(係合頭部)の形態は,本件登録意匠との間に構造上の違いが存在していても,意匠的にみればその構造上の違いは些細な微差であって,意匠全体の本件登録意匠の類似判断を左右する程度の違いは存在していない。 (e)係合部3と係止部1 イ号意匠の閉じた状態の参考背面図に示されているように,ロック1の図では,イ号意匠は,係合部(係合頭部)の最下部に位置する係合鈎部(フック)が噛み合っており,長円波付管は仮想線(2点鎖線)で描かれた位置状態となり,ロック2の図では,係合部(係合頭部)の最上部に位置する係合鈎部(フック)が噛み合っており,長円波付管は仮想線(2点鎖線)で描かれた位置状態となる。具体的には,本件登録意匠は,1段階でしか係止(ロック)されないのに対し,イ号意匠は,2段階で係止(ロック)することができる構造が存在しても,イ号意匠は,装着する配管の大きさに応じて,閉じた操作片(覆い部)のロック位置を2段階で調整することができないから,現実離れした異なる係合鈎部(フック)によって,看者に使用感を異なるとの印象を与えることはできない。 よって,係合部(係合頭部)の最上部の係合鈎部と本体部の長円波付管を受ける略U字状の内壁側の係合鈎部との係合を設定したものであるから,本件登録意匠とイ号意匠との間の構造的な違いが存在していても,それは,物品性に関係のない形状の違いであるから,当該形状上の違いが存在していても,意匠的にみればその構造上の違いは些細な微差であって,意匠全体の本件登録意匠の類似判断を左右する程度の違いは存在していない。 (f)係合部4と係止部2 イ号意匠の係合頭部と係合または解除するように形成した係止部(係合受部) が操作片(覆い部)が長円波付管を締め付けることのできない位置でも係合できるように設定した係合頭部と係止部(係合受部)の形態は,看者は使用できない状態までを前提に意匠の創作が行われているとの認識はないのが普通であるから,長円波付管が配管用支持具に収容されて支持固定した使用状態を前提に全体観察を行うことになる。したがって,当該形態がイ号意匠の特異な形態であったとしても,イ号意匠の物品性に関係のない構造は単なる付け足しに過ぎないし,動的意匠としてみても本来の動作の範囲外の形態であるから,イ号意匠の形態は,本件登録意匠の形態との間に構造上の違いが存在していても,意匠的にみればその構造上の違いは些細な微差であって,意匠全体の本件登録意匠の類似判断を左右する程度の違いは存在していない。 (g)イ号意匠の連結凸部及び連結凹部 本件登録意匠の形態は,本件物品の基本的形態であり,そこに,請求人が商品として常用している連結凸部及び連結凹部を設けることは,本件登録意匠を具現化する実施物の常套手段であり,コ字状の外面の長円波付管の長さ方向に対する直角方向に並行する2面に形成した連結凹部と連結凸部は,実施物としての普通の形態の違いに過ぎないから,この本件登録意匠の具現化する態様の違いでもって意匠全体の類似判断を左右する要部とすることはできない。 なお,乙第1号証には,2種類の「連結サドル」が形成され,それらの「連結サドル」には,連結凹部と連結凸部が形成されている。 したがって,本件登録意匠の形態には,存在していない連結凸部及び連結凹部を設けたイ号意匠の形態は,連結凸部及び連結凹部を設けることが本件登録意匠にかかる物品を具現化する際の常套手段であり,本件登録意匠の形態とそこに存在していないイ号意匠の形態との間には,構造上の違いが存在しても,意匠的にみればその構造上の違いは些細な微差であって,意匠全体の本件登録意匠の類似判断を左右する程度の違いは存在していない。 一方,請求人は,イ号意匠のみ,両外壁の下端に連結用の凸部と凹部とをそれぞれ形成している。」と主張している。しかし,乙第1号証の「連結サドル」に示すように,連結凸部及び連結凹部を設けることは本件登録意匠を具現化する際の常套手段であり,コ字状の外面の長円波付管の長さ方向に平行する各面に形成した連結凹部または連結凸部は,実施物としての普通の形態の違いにすぎないから,この違いをもって意匠全体の本件登録意匠の類似判断を左右する要部とすることはできない。 (h)その他の請求人の主張について 請求人は,本件登録意匠の出願日前に発行された刊行物に記載された意匠として,甲第2ないし第4号証の意匠を挙げている。しかし,先願の甲第2ないし第4号証の意匠が公知になっていても,後願である本件登録意匠は,類似の関係にないとして登録されたものである。 このように,先願(甲第2号証)の関連意匠が公知になっていて,その後願(本件登録意匠)が類似の関係にないとして登録された場合と,同一内容の後願が拒絶された場合とを比較すると,後願が類似関係にあるとして拒絶されれば,当然,先願意匠の類似の範囲が広いことが確認される。 しかし,後願が登録された場合であっても,拒絶された場合であっても,先願意匠(甲第2号証)の類似範囲が変化するものではない。本件登録意匠のような甲第2号証の後願が登録された場合,その登録によって先願(甲第2号証)の類似範囲が減縮されては,類似(関連)意匠制度の趣旨に反することになる。 したがって,本件登録意匠は,円形波付管用の配管用支持具の形態と長円波付管の配管用支持具の形態とを区別して登録されたものであり,本件登録意匠には,本件登録意匠としての類似の範囲がある。この類似の範囲は出願からの経過の違い及びその形態のオリジナリティーなどによって異なるが,その類似の範囲は先願(甲第2号証)の類似の範囲と同一広さまたは若干小さくなる程度の広さである。 殊に,関連意匠は意匠法第10条第1項で先願の公報発行日前であることを要件とするが,円形波付管用の配管用支持具の形態と長円波付管の配管用支持具の形態は,互いに類似しないとして判断されたものであり,意匠権の成立の経緯には,類似の範囲を積極的に縮小する要因は存在しない。 したがって,本件登録意匠は,円形波付管用の配管用支持具の形態と長円波付管の配管用支持具の形態とを区別して登録されたものであり,本件登録意匠には,本件登録意匠としての類似の範囲がある。円形波付管用の配管用支持具の形態と長円波付管の配管用支持具の形態は,互いに類似しないとして判断されたものであり,意匠権の成立の経緯には,類似の範囲を積極的に縮小する要因は存在しない。 よって,請求人の主張するありふれた態様について,何れがありふれた態様であるかを特定された事実はないし,本件登録意匠は部分意匠でもないから,部分的に公知と主張しても意味がない。また,共通点は,両意匠の類否判断に大きな影響を及ぼさないとも主張するが,当該共通点も特定された事実はない。よって,請求人の主張は,事象を具体的に特定しないで抽象的に主張するものであるから,当を得ないものである。 請求人は,全体形状に関し,両意匠が別異のものであるとの印象を強く与えると主張するも,具体的に指摘するのは部分的な公知技術を指摘しているに過ぎない。したがって,請求人の主張は採用されるべきではないものである。 また,請求人は,操作片と係合部について,本件登録意匠の係合部(係合頭部)が操作片(覆い部)との接続をV字状とみるか,イ号意匠のようにU字状とみるかは,主観的な見方であり,イ号意匠が全体として,曲線・丸みを強調したと主張するが,イ号意匠の係合部(係合頭部)の操作片(覆い部)側の面は直線的であり,また,係合鈎部(フック)も直線的である。特に,本件登録意匠の係合部(係合頭部)は,V字状の股部から先方に突出させているのではなく,股部は操作片(覆い部)と直線状の係合部(係合頭部)との接続部であり,また,下方向の先端は,面取りを行っており三角形になっていない。 請求人は,細部に着目しても,両意匠の印象は異なっている。たとえば,判定請求書の3.本件登録意匠とイ号意匠の比較説明(2)両意匠の相違点における,相違点(イ)が相違点(ク),(ケ)及び(シ)と相まることにより,本件登録意匠は,直線・角を多用した印象を醸し出しているのに対し,イ号意匠は,曲線・丸みを強調した滑らかな印象を醸し出していると主張している。しかし,相違点(イ)は,本体部の外壁の形状で,一方の湾曲であり,相違点(ク)は,操作片(覆い部)の段部先端の形態であり,相違点(ケ)は,係合部(係合頭部)の円柱状の処理であり,相違点(シ)は,矢尻状の切欠きの形態であるが,他が直線状に形成されており,長円波付管の周囲だけが丸みを呈しているのは,本件登録意匠と相違しない。 請求人は,相違点(ウ)が相違点(オ)及び(カ)と相まることにより,隙間や凹みの空間の有無が視覚的違いをもたらしており,イ号意匠は,開放感のある印象を醸し出して曲線的な滑らかな印象を増長しているかのようであるのに対し,本件登録意匠は,そのような印象とは異なる頑強な印象を醸し出して直線的な印象を強めているかのようであると主張している。 また,相違点(ウ)は,本体部の底部の直線で形成された凹凸の形態であり,相違点(オ)は係止部の形態であるが,本件登録意匠の内壁上部が外壁上部に連結された構造となっており,また,本件登録意匠は,内壁が外壁と連結され,イ号意匠の背面図に係合状態の確認を行うことができる確認窓を形成されてなる形態を具有している。したがって,本件登録意匠とイ号意匠との間の本体部の反ヒンジ部側の上端の構造的な違いは,意匠的にみれば些細な微差であり,意匠全体の本件登録意匠の類似判断を左右する程度の違いは存在していない。 そして,相違点(カ)は,滑り止めの形態であり,本件登録意匠の滑り止めの長さの範囲で,1回以上の切れ目を入れても,機能的に本件登録意匠の滑り止めとイ号意匠の滑り止めとの間に違いが存在しておらず,かつ,その滑り止めの高さ程度の幅であるから,看者は切れ目の存在及びその意義も看取できない。したがって,本件登録意匠の形態との間に滑り止めの形状の違いが存在していても,意匠的にみれば,その構造上の違いは実施物としての些細な微差であって,意匠全体の本件登録意匠の類似判断を左右する程度の違いは存在していない。 請求人は,配管を装着する際に,本件登録意匠は,操作片をいったん開いて閉じるという作業が必要になるが,イ号意匠は,操作片を開く作業をせずに済む,このことは,需要者に対して,両意匠の使用方法が異なるとの印象が増長するものであると主張し,イ号意匠は,作業性及び装着時の観点から全体として略L字状の態様で販売される予定であり,本件登録意匠の如く略C字状に折り曲げた態様では流通することは予定されてないと主張している。しかし,本件登録意匠の形態においては,係合頭部(係合部)と本体部の上端との間に,長円波付管の幅広方向に平行に移動させれば,係合頭部(係合部)が長円波付管の幅狭方向に移動し,操作片(覆い部)に長円波付管が当たることにより,下方に移動させ開口する略U字状の内部に落ち着くことができる。したがって,請求人主張のような事実はない。また,取付け使用状態においては操作片(覆い部)が閉じた形態であり,また,当該使用状態では操作片(覆い部)が回動変位するものと認識されている物品であるから,操作片(覆い部)の角度の違いがあっても,それは意匠表現の違いであって,本件登録意匠の本質の問題ではない。 請求人の主張する使用方法,すなわち,係止位置,態様,配管装着作業が異なるという事実はなく,係合状態に対しても,本件登録意匠の一部を使用するものであるから,使用方法が異なるとの印象を表出するとは,客観性のない判定請求人の主観的な判断に過ぎない。 また,本件登録意匠とは,受ける印象(開放感のある曲線的な滑らかな印象など)が異なっているとの主張も,請求人が勝手に部分的な構造,イ号意匠の図面にも現れていない構造を特定しているに過ぎず,客観性に欠くものである。かかる印象の相違は,両意匠の共通点を凌駕し,需要者に対して両意匠をして別異の美感を生ぜしめていると,請求人は主張するが,請求人は,全体意匠の形態も特定していないから,甲第2号証の先登録意匠の類似範囲を無視した主張に終始するものである。したがって,請求人の主張は,当を得ないものである。 3.結論 本件登録意匠の形態とイ号意匠の形態を比較すると前記(i)両意匠の共通点(A)ないし(E)は両意匠の基本的形態であり,両意匠の違いは実施物としての構造上の違いであり,しかもその違いは意匠的にみれば,些細な微差にすぎない。殊に,イ号意匠の係合頭部と係合または解除するように形成した係止部(係合受部)は,操作片(覆い部)が長円波付管を締め付けることのできない位置でも係合できるように設定した係合頭部と係止部(係合受部)の形態であり,イ号意匠にかかる物品としての機能に関与しない殆ど意味のない部分であり,そして,イ号意匠のコ字状の外面に形成した連結凹部と連結凸部は実施物として本件登録意匠を具現化する際の周知極まりのない形態であり,本件登録意匠とイ号意匠の形態との間に構造上の違いが存在しても,意匠的にみれば,その構造上の違いは些細な微差であって,意匠全体の本件登録意匠の類似判断を左右する程度の違いは存在していない。 そして,イ号意匠は本件登録意匠にかかる物品と同一であり,前記(ii)両意匠の相違点と比較の(f)及び(g)における,イ号意匠の形態の付設は,前記(i)両意匠の共通点(A)ないし(E)における本件登録意匠の特徴的な形態を共通とし,かつ,それらが混然一体となっておらず,その特徴が破壊されることなく維持されており,請求人の主張も部分的違いに終始するものであるから,本件登録意匠の利用にも該当する。 したがって,イ号意匠の写真及び本判定請求書に記載されたその説明に示されたイ号意匠は,意匠登録第1111183号及びこれに類似する意匠の範囲に属するものである。 よって,本判定請求答弁書の趣旨に記載のとおりの判定を求める。 4.被請求人が提出した証拠 (1)乙第1号証:未来工業株式会社発行,平成21年3月21日現在の「未来工業 2009-2010 電材総合カタログ」の第291頁の複写 (2)乙第2号証:配管用支持具の意匠マップ,平成12年6月 未来工業株式会社作成の複写 第3 当審の判断 1.本件登録意匠 本件登録意匠(意匠登録第1111183号の意匠)は,平成12年(2000年)6月6日に意匠登録出願され,平成13年(2001年)4月6日に意匠権の設定の登録がなされたものであり,その願書の記載及び願書に添付された図面によれば,意匠に係る物品を「配管用支持具」とし,その形態は,願書及び願書に添付された図面に記載されたとおりのものである。(別紙第1参照) すなわち,本件登録意匠は,意匠に係る物品が,天井や床,壁などに波付管を支持固定するための「配管用支持具」に関するものであって,全体は,正面視すると略凹字形状とし,内側に略U字状の開口部(以下,「U字状開口部」という。)を設けた本体部(以下,「本体部」という。)と,当該本体部上方を覆い閉じるための,平面視すると本体部とほぼ同幅の横長長方形状で,正面視すると略倒J字状の縦長の板状体をなす操作片(以下,「操作片」という。)とから構成され,操作片を閉じた場合に正面の開口部が略横長長円形状を呈するものである。そして,操作片には,先端部に正面視すると鈎状の係合部(以下,「係合部」という。)を設けたものである。 本体部は,正面視すると右側上端部に略逆台形状の開口部(以下,「台形状開口部」という。)が設けられ,背面視すると左側上端に,内側に傾斜する傾斜面とした帯状の余地部を残して縦長窓部(以下,「縦長窓部」という。)を設け,操作片を閉じた場合に係合部の受け部となる係止部(以下,「係止部」という。)としたものである。 係止部は,正面側においては,台形状開口部の右上方内側に斜め下向きに係止突起部(以下,「上側係止突起部」という。)を有し,背面側においては,縦長窓部の内側右中央付近に斜め下向きに係止突起部(以下,「下側係止突起部」という。)を有している。 U字状開口部の正面視内側の左右に,中央付近に余地部を残して両端部寄りから中央部寄りにかけて円弧状に浅く突設した滑り止めを配し,背面側のU字状開口部中央の底面寄りに段落ち状の横長長方形状凹状部(以下,「段状凹状部」という。)を設け,本体部の正面視右側上端の内側寄りを低くして斜めに形成し,また,本体部の底面中央部のやや左寄りにビス留め用の円形状孔部を設け,ビス留め用の円形状孔部の内側四方に小三角形状の突設部を設け,円形状孔部の周囲に円弧状の切り欠き部を有する略矩形状凹陥部を4個,その右側に縦長長方形状の凹陥部を2個,底面視上下対称に配したものである。 操作片は,薄肉のヒンジ部で本体部左側の上端と接続され,平面視すると,係合部の下方に正面側及び背面側に本体部と同幅の部分を形成し,左側面視すると,係合部と同幅の部分が僅かに高く段差状部を形成し,正面視すると,係合部を操作片の先端部に交差するように左側を高くして略斜めT字状に接続し,その内角部が略V字形状となっている。 係合部は,全体が肉厚のある板状体で,使用時に指で押下する上端部は角部を形成し,正面視すると,左端側に厚みを設けて上面を傾斜面とし,右端側を薄くして上面をさらに急角度の斜面とし,左側寄りの上面側に略平行四辺形状を呈する浅い凹状部を設け,また,右側寄りの下面側にも略平行四辺形状を呈する小さな浅い凹状部を設け,それらの浅い凹状部が本体部の係止部に嵌合する係止部分となっているものである。 2.イ号意匠 イ号意匠は,判定請求書に添付されたイ号図面及び判定請求書のイ号意匠の説明に示されたとおりのものである。(請求人が提出した別紙2:別紙第2参照) すなわち,イ号意匠は,意匠に係る物品が配管を壁などに固定するために使用する「配管用支持具」に関するものであって,その全体の形態は,正面視略凹字形状とし,内側に略U字状開口部を設けた本体部と当該本体部上方を覆い閉じるための正面視略倒J字状の縦長の板状体をなす操作片とから構成され,操作片を閉じた場合に正面の開口部が略横長長円形状を呈するものである。そして,操作片の先端部には,鈎状の係合部を設けたものである。 本体部は,背面視すると左側上端に,上端部と内側寄りに余地部を残して縦長窓部を設け,操作片を閉じた場合に係合部の受け部となる係止部としたものである。 また,本体部の正面側の底面寄りには,中央付近に余地部を残して左側に略横長倒台形状の凹陥部,右側に略L字形状の凹陥部を設け,中央に小型円形模様を配し,背面側の底面寄りにも,左側に略逆L字形状の凹陥部,右側に略横長倒台形状の凹陥部を設け,背面視右側の下方に略C字状の凹型連結部(以下,「凹型連結部」という。)を設け,その反対側の側面の下方寄りに背面視略倒エ字状の凸型連結部(以下,「凸型連結部」という。)を設けたものである。 係止部は,背面側において縦長窓部の外側寄りの左上端部内側に斜め下向きに係止突起部を有している。 U字状開口部の正面視内側の左右には,中央付近に余地部を残して両端部寄りから中央部寄りにかけて円弧状に浅く突設した滑り止めを配し,滑り止めは正面視左側は中央部寄り付近で途切れ,右側はU字状開口部の略中央高さに途切れた部分を設け,背面側のU字状開口部中央の底面寄りに段状凹状部を設け,右側上端部を水平状に形成している。また,本体部の底面中央部のやや左寄りにビス留め用の円形状孔部を設け,ビス留め用の円形状孔部の上下に円弧状の切り欠き部を有する略矩形状凹陥部を2個,底面視上下対称に配し,その左右は平滑面としたものである。 操作片は,薄肉のヒンジ部で本体部左側の上端と接続され,平面視すると,係合部の下方に正面側及び背面側に本体部と同幅の部分を形成し,左側面視すると,係合部と同幅の部分が僅かに高く段差状部を形成し,正面視すると,係合部を操作片の先端部から連続し正面視左端側に折れ曲がって接続し,その内角部が細い略倒U字形状となっている。 係合部は,全体が肉厚のある板状体で,使用時に指で押下する上端部は円柱形状をなし,正面視すると,略中央付近に厚みを設け,内側下面を平坦面とし,左端側端部を円柱形状とし,左端部寄りの上面側に階段状の段部を設け,その右側の上面は右端側を薄くして傾斜面とし,左端側端部と階段状の段部の間が本体部の係止部に嵌合する係止部分となっており,また,操作片と連続する内側寄りの下面は正面視円弧状に湾曲したものである。 3.両意匠の対比 両意匠を対比すると,いずれも「配管用支持具」に係るものであり,意匠に係る物品が一致し,そして,両意匠の形態については,主として以下の共通点と差異点が認められる。 (1)共通点 (a)全体を,正面視略凹字形状とした本体部と当該本体部上方を覆い閉じるための正面視略倒J字状の縦長の板状体をなす操作片とから構成され,操作片を閉じた場合に正面の開口部が略横長長円形状を呈するもので,操作片の先端部に鈎状の係合部を設けた点,(b)操作片は,薄肉のヒンジ部で本体部左側の上端と接続され,係合部の下方に正面側及び背面側に平面視して本体部と同幅の部分を形成して,係合部と同幅の部分が左側面視すると僅かに高く段差状部を形成し,係合部を操作片の先端部に接続している点,(c)係合部は,全体が横長の板状体で,正面視すると,上面を傾斜面とし,板状体の左側寄りの部分が本体部の係止部に嵌合する係止部分となっている点,(d)本体部の係止部は,本体部の背面側において左側側面寄りに上端に余地部を残して縦長窓部を設け,縦長窓部の内側に斜め下向きに係止突起部を有し,操作片を閉じた場合に縦長窓部から係合部が見えるようにしたものである点,(e)本体部のU字状開口部の正面視内側の左右に,中央付近に余地部を残して両端部寄りから中央部寄りにかけて円弧状に浅く突設した滑り止めを配し,背面側のU字状開口部中央の底面寄りに段状凹状部を設け,また,本体部の底面中央部のやや左寄りにビス留め用の円形状孔部を設け,ビス留め用の円形状孔部の周囲に円弧状の切り欠き部を有する略矩形状凹陥部を配した点,において主に共通する。 (2)差異点 (ア)係合部について,本件登録意匠は,使用時に指で押下する上端部は角部を形成し,正面視すると,右端側上面を急角度の斜面とし,左側寄りの上面側に略平行四辺形状を呈する浅い凹状部を設け,右側寄りの下面側にも略平行四辺形状を呈する小さな浅い凹状部を設けているのに対して,イ号意匠は,使用時に指で押下する上端部は円柱形状をなし,正面視すると,中央付近に厚みを設け,内側下面を平坦面とし,左端部寄りの上面側に階段状の段部を設け,その右側の上面は右端側を薄くして傾斜面としている点,(イ)操作片について,イ号意匠は,係合部を操作片の先端部から連続し正面視左端側に折れ曲がって接続し,その内角部が細い略倒U字形状となっているのに対し,本件登録意匠は,係合部を操作片の先端部に交差するように左側を高くして略斜めT字状に接続し,その内角部が略V字形状となっている点,また,本件登録意匠は,段差状部が,イ号意匠は,係合部寄りの一部だけであるのに対して,本件登録意匠は,本体部寄りまで操作片のほぼ全体にわたっている点,さらに,イ号意匠は,操作片の外側の略中央付近の幅方向に帯状に厚みの薄い部分を設けているのに対して,本件登録意匠は,厚みの薄い部分を設けていない点,(ウ)本体部の正面側及び背面側の底面寄りについて,イ号意匠は,正面側の底面寄りには,中央付近に余地部を残して左側に略横長倒台形状の凹陥部,右側に略L字形状の凹陥部を設け,背面側の底面寄りにも,左側に略逆L字形状の凹陥部,右側に略横長倒台形状の凹陥部を設けているのに対して,本件登録意匠は,これらの凹陥部を有していない点,(エ)本体部の上方寄りの左右側面について,イ号意匠は,正面視して左側が円弧状で右側が僅かな段差状であるのに対して,本件登録意匠は,両側とも垂直状であり,また,本体部の下方寄りの左右側面について,イ号意匠は,凹型連結部と凸型連結部を有しているのに対して,本件登録意匠は,いずれも有していない点,(オ)本体部の底面において,本件登録意匠は,円弧状に切り欠いた略矩形状凹陥部を4個配しているのに対して,イ号意匠は,略矩形状凹陥部を2個配している点,(カ)本体部の係止部において,本件登録意匠は,正面側に上側係止突起部が,背面側に下側係止突起部が見えるのに対して,イ号意匠は,背面側からのみ上側係止突起部が見える点,(キ)本体部において,本件登録意匠は,正面側上部に台形状開口部を有しているのに対して,イ号意匠は,正面側に台形状開口部を有さず,また,本件登録意匠は,正面視右側上端の内側寄りを低くして斜めに形成しているのに対して,イ号意匠は,正面視右側上端を水平状に形成している点,に主な差異がある。 4.類否判断 そこで,イ号意匠が本件登録意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属するか否かについて,本件登録意匠の出願前に存する公知意匠等を参酌し,新規な態様や需要者の注意を最も惹き易い部分を考慮した上で,共通点と差異点が意匠全体として両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価し,検討する。 (1)共通点の評価 まず,共通点が類否判断に及ぼす影響について比較して検討する。 共通点(a)について,全体を,正面視略凹字形状とした本体部と当該本体部上方を覆い閉じるための正面視略倒J字状の縦長の板状体をなす操作片とから構成され,操作片を閉じた場合に正面の開口部が略円形状を呈するもので,操作片の先端部に鈎状の係合部を設けて本体部の上端の凹部である係止部に係止させるようにしたものは,この種の配管用支持具の分野において本件登録意匠の出願前に既に見受けられ(例えば,意匠登録第1061174号の意匠(参考意匠1:別紙第3参照)),本件登録意匠のみの特徴とはいえず,両意匠のみに共通する新規の構成態様とはいえないし,また,略横長長円形状の開口部を設けることも,この種の配管用支持具の分野において本件登録意匠の出願前に多数見受けられるありふれた態様(例えば,意匠登録第924744号の類似第1号の意匠(参考意匠2:別紙第4参照))といえるものであり,両意匠のみに共通する特徴とはいうことができず,両意匠の類否判断に及ぼす影響は小さい。 共通点(b)について,操作片が薄肉のヒンジ部で本体部と接続される態様は,この種の配管用支持具の分野において本件登録意匠の出願前に既に見受けられ(例えば,前記参考意匠1:別紙第3参照),また,係合部の下方に正面側及び背面側に平面視して本体部と同幅の部分を形成して,係合部と同幅の部分が左側面視すると僅かに高く段差状部を形成している点は,さほど目立つ点とはいえず,操作片における共通点が両意匠の特徴を形成する程のものとはいえないものであるから,両意匠の類否判断に及ぼす影響は小さいものというほかない。 共通点(c)について,係合部が横長の板状体で,上面を傾斜面とし,板状体の左側寄りの部分が本体部の係止部に嵌合する係止部分となっている態様は,この種の配管用支持具の分野において本件登録意匠の出願前に既に見受けられ,両意匠のみに共通する特徴とはいえず,部分的な細部の共通点に留まる範囲といえるもので,両意匠の印象を左右するまでのものとはいえないから,共通点(c)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は小さいものというほかない。 共通点(d)について,係止部について,本体部の背面側において左側側面寄りに上端に余地部を残して縦長窓部を設け,縦長窓部の内側に斜め下向きに係止突起部を有しているものも,操作片を閉じた場合に係合部が見えるようにしたものも,この種の物品分野においては,本件登録意匠の出願前より,既に見受けられる態様であって特徴のないものといえ(例えば,前記参考意匠1:別紙第3参照),いずれも両意匠のみに共通する格別の態様ということはできず,両意匠の類否判断に及ぼす影響は小さいものというほかない。 共通点(e)について,本体部のU字状開口部の正面視内側の左右に,中央付近に余地部を残して両端部寄りから中央部寄りにかけて円弧状に浅く突設した滑り止めを配することも,背面側のU字状開口部中央の底面寄りに段状凹状部を設けることも,いずれも,この種の配管用支持具の分野において本件登録意匠の出願前から多数見受けられるありふれた態様であり,両意匠のみに共通する態様とはいうことができない。また,本体部の底面中央部のやや左寄りにビス留め用の円形状孔部を設け,ビス留め用の円形状孔部の周囲に円弧状の切り欠き部を有する略矩形状凹陥部を配したものも,この種の物品分野においては,本件登録意匠の出願前より,既に見受けられる態様であって特徴のないものといえ(例えば,意匠登録第1061174号の類似第2号の意匠(参考意匠3:別紙第5参照)),両意匠のみに共通する態様とはいうことができず,両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱なものに過ぎない。 そうすると,これらの共通点に係る態様は,ありふれた態様に過ぎないもの,または,公知意匠を参酌すれば,両意匠のみに共通する特徴的な態様とはいえないものであり,両意匠の類否判断を決定付けるものとはなり得ない。 (2)差異点の評価 次に,差異点が類否判断に及ぼす影響について検討する。 差異点(ア)について,係合部の態様につき,本件登録意匠は,使用時に指で押下する上端部は角部を形成し,正面視すると,略平行四辺形状を呈する浅い凹状部を上下に設け,他の意匠には見られない特徴的な態様であるのに対し,イ号意匠は,使用時に指で押下する上端部は円柱形状をなし,正面視すると,中央付近に厚みを設け,内側下面を平坦面とし,左端部寄りの上面側に階段状の段部を設け,その右側の上面は右端側を薄くして傾斜面とした,複雑な形状で動物などの頭部を想起させるもので,直線的な本件登録意匠とは印象が明らかに異なり,使用時には,需要者が指先で押下する部分であって,需要者の注意を特に強く惹く部分であるから,両意匠の類否判断に極めて大きな影響を与えるものといえる。 差異点(イ)の操作片について,係合部を操作片の先端部から連続し正面視左端側に折れ曲がって接続し,その内角部が細い略倒U字形状となっているイ号意匠の態様は,特徴的なものであり,係合部を操作片の先端部に交差するように左側を高くして略斜めT字状に接続し,その内角部が略V字形状となっている本件登録意匠の態様とは,需要者にとって印象が大きく異なるものといえ,また,段差状部が操作片の全体にわたる本件登録意匠の態様は,本件登録意匠の特徴ある態様であって,イ号意匠の態様とは印象が異なるもので,この差異が両意匠の類否判断に与える影響は大きいといわざるを得ない。さらに,操作片の外側の略中央付近の幅方向に帯状に厚みの薄い部分を設けているイ号意匠の態様は,複雑なもので,シンプルな本件登録意匠の操作片とは明確に区別できるものといえ,これらの差異が両意匠の類否判断に与える影響は極めて大きいものといえる。 差異点(ウ)の本体部の正面側及び背面側の底面寄りにおいて,凹陥部を設けることは,従来から普通に見受けられる態様ではあるが,イ号意匠に見られる略横長倒台形状の凹陥部,略L字形状の凹陥部は面積が大きく,目立つものといえ,これらの凹陥部を有さない本件登録意匠の態様とは印象が明確に異なり,需要者の注意を惹く部分といえ,この点における差異が両意匠の類否判断に与える影響は大きいものといえる。 差異点(エ)の側面の態様について,正面視して左側が円弧状で右側が僅かな段差状であるイ号意匠の態様は,両側が垂直状である本件登録意匠とは,明確に印象が異なるものといえ,また,凹型連結部及び凸型連結部の有無について,連結部を設けた配管用支持具は他にも見られるが,イ号意匠の連結部とは形状が異なるもので,連結部は,付加的な部分ではあるが,その有無によって連結可能かどうかの機能が異なるものであり,その具体的形態も他に見当たらないものであるから,イ号意匠独自の態様といえるものであり,両意匠の類否判断に与える影響は大きいものといえる。 差異点(オ)について,底面に凹陥部を設けることは,本件登録意匠の出願前より既に行われているところであるが,略矩形状凹陥部を4個配している本件登録意匠の態様は,2個配しているイ号意匠の態様とは異なり,いずれの態様も,下方から当該部位を観察した場合の印象が少なからず異なり,その差異が両意匠の類否判断に一定程度の影響を与えるものといえる。 差異点(カ)について,係止部において係止突起部が,正面側と背面側から上下の係止突起部が別々に見えるか,背面側からのみ上側係止突起部が見えるかの差異は,細部に係る差異ではあるが,この種の物品の使用時には,需要者が関心を持つ部分に係る差異であり,両意匠の類否判断に一定程度の影響を与えるものといえる。 差異点(キ)について,本体部の正面側に台形状開口部を有さず,正面視右側上端を水平状に形成しているイ号意匠の態様は,角張った印象を与え,本件登録意匠とは具体的な形態が異なり,細部に係る差異ではあるが,両意匠の類否判断に一定程度の影響を与えるものといえる。 (3)小括 そうして,これらの共通点と差異点を総合すれば,共通点に係る態様が両意匠にのみ共通する特徴とはいえないものであるのに対して,差異点の態様は,両意匠の類否判断に大きな影響を及ぼすものといわざるを得ず,意匠全体として,イ号意匠は,本件登録意匠に類似するものとはいえない。 したがって,本件登録意匠とイ号意匠は,意匠に係る物品が一致するが,その形態については,イ号意匠は本件登録意匠の特徴的な態様を有さず,共通点よりも差異点に係る態様が相俟って生じる意匠的な効果の方が両意匠の類似性についての判断に与える影響が支配的であるから,両意匠は,全体として需要者に与える美感が異なるものであって,類似するということはできない。 5.むすび 以上のとおりであるから,イ号意匠は,本件登録意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属しない。 よって,結論のとおり判定する。 |
別掲 |
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判定日 | 2013-05-13 |
出願番号 | 意願2000-15177(D2000-15177) |
審決分類 |
D
1
2・
1-
ZA
(M2)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 川崎 芳孝 |
特許庁審判長 |
斉藤 孝恵 |
特許庁審判官 |
樫本 光司 川崎 芳孝 |
登録日 | 2001-04-06 |
登録番号 | 意匠登録第1111183号(D1111183) |
代理人 | 稲葉 良幸 |
代理人 | 江口 昭彦 |
代理人 | 中塚 隆志 |
代理人 | 特許業務法人 Vesta国際特許事務所 |