• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服  2項容易に創作 取り消して登録 M3
管理番号 1275188 
審判番号 不服2012-13776
総通号数 163 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2013-07-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-07-19 
確定日 2013-05-28 
意匠に係る物品 取手 
事件の表示 意願2010- 25127「取手」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠
本願は,平成22年(2010年)10月20日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品を「取手」とし,その形態は,願書の記載及び願書に添付した図面に表されたとおりのものである。(別紙第1参照)

第2 原査定における拒絶の理由
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので,意匠法第3条第2項の規定に該当するというものであって,具体的には,本願に係る取手の分野において,把手部から脚部にかけて湾曲からなる凹部を形成することも(意匠4ないし意匠6),透光性を有する素材を選択することも(意匠2及び意匠3),本願出願前より極普通に行われているのでありふれた手法であり,本願意匠は,本願出願前に公然知られたものと認められるハンドルの意匠(意匠1)の形状に基づき,把手部から脚部にかけて湾曲からなる凹部を形成し,透光性を有する素材を用いて,取手の意匠として表したにすぎないというものである。
[意匠1](別紙第2参照)
スガツネ工業株式会社が2009年2月に発行したカタログ『LAMP by SUGATSUNE 2009-2012 総合カタログ 産業機器用機構部品 No.190』第35頁所載(最上段)「FT?110S」と表示されたハンドルの意匠

[意匠2](別紙第3参照)
スガツネ工業株式会社が2009年2月に発行したカタログ『LAMP by SUGATSUNE 2009-2012 総合カタログ 産業機器用機構部品 No.190』第74頁所載(上段)「HH-P130」と表示された埋込取手の意匠

[意匠3](別紙第4参照)
特許庁発行の公開特許公報記載 特開2003-247360【図1】に表された把手の意匠

[意匠4](別紙第5参照)
特許庁総合情報館が1997年3月13日に受け入れた1997年1月10日発行の『ドイツ意匠公報』第140頁所載,建具用取手の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HH10014474号)

[意匠5](別紙第6参照)
特許庁意匠課が1991年10月11日に受け入れたスガツネ工業株式会社1990年5月31日発行のカタログ『LAMP総合カタログ No.60』第35頁所載 家具用取手の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HC03047318号)

[意匠6](別紙第7参照)
特許庁意匠課が2001年3月21日に受け入れた株式会社栃木屋発行のカタログ『1991年 栃木屋総合カタログ』第4-13頁所載,「THA-242」と表示された取手の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HC12030848号)

なお,拒絶査定においては,要旨,以下のとおりの記載がなされていた。
意見書において,(1)把手部から脚部にかけて設けられた凹部の曲率及び幅の変化態様について多様な選択がある旨述べ,また(2)脚部下部から座部(取付部)にかけて側面部分の段差をなくした点についても指摘し,これらに創作性を見いだせるため,本願意匠は容易に創作できたものではない旨主張した。
しかしながら,(1)凹部の曲率については,種々の曲率に変更することは本願出願前よりごく普通に行われている手法であり,本願意匠のように凹部の縁部をなだらかな山状に形成することも本願出願前より見られ(参考意匠1),また凹部の幅の変化態様については,脚部の幅の変化に応じて凹部の幅を変化させることも,意匠1に見られるように本願出願前よりごく普通に行われている。したがって,凹部の曲率及び幅の変化態様について,多様な選択が可能であったとしても,本願意匠に見られる凹部の曲率及び幅の変化態様は,いずれもこの種物品分野における通常の知識を有する者であれば,容易に想到することができる範囲内のものであり,格別の創作を見いだせるものではない。さらに,(2)脚部下部から座部(取付部)にかけて側面部分の段差がないように形成することも,本願出願前より一般的に行われている常套的な加工手法にすぎないものである。
したがって,本願意匠は依然として,本願出願前に公然知られた意匠をもとにありふれた手法を用いて創作されたものと認められ,意見書の主張は採用することができない。

[参考意匠1](別紙第8)
特許庁総合情報館が1995年3月14日に受け入れた1995年2月28日発行の『国際事務局意匠公報 第12巻』第6282頁所載,登録番号DM/031511 家具用取手の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HH07042099号)

第3 請求人の主張の要点
これに対し,請求人は,審判を請求し,要旨以下のとおり主張した。

1.本願意匠の形状
本願意匠は,取り付け孔を有する略四角形の2つの座部と,当該座部の一側から略垂直に立設した脚部と,両脚部間を掛け渡す把手部から構成され,更に次の形状を有している。
(1)脚部は上方に行くにしたがって幅狭になっている。
(2)把手部から脚部にかけて湾曲からなる凹部が設けられている。ただし,湾曲からなる凹部は,(意匠4ないし意匠6)と比較すると曲率半径の大きい凹部であり,凹部の上下にある縁部はなだらかな山のような形状になっている。
(3)座部の幅(平面視で上下方向の幅)は脚部下部の幅(平面視で上下方向の幅)と同じであり,座部の側面と脚部の側面は段差なく連続している。
(4)脚部の幅の変化に応じて凹部の幅を変化させている。

2.引用意匠の形状
意匠1ないし意匠6及び参考意匠1は,それぞれ次の形状等を有している。

[意匠1]
取付孔を有する略四角形の2つの座部と,当該座部の一側から略垂直に立設した脚部と,両脚部間に掛け渡された把手部から構成され,更に次の形状を有している。
(1)脚部は上方に行くにしたがって幅狭になっている。
(2)把手部から脚部にかけて湾曲からなる凹部が設けられていない。
(3)座部の幅(平面視で上下方向の幅)は脚部下部の幅(平面視で上下方向の幅)よりも幾分か大きく,座部の側面と脚部の側面は段差がある。

[意匠2]
埋込取手であり,透光性を有する素材から成っている。

[意匠3]
脚部と把手部で構成され,透光性を有する素材から成っている。

[意匠4]
円形の2つの座部と,当該座部から垂直に立設した脚部と,両脚部間に掛け渡された把手部から構成され,把手部から脚部にかけて湾曲からなる凹部が設けられている。ただし,湾曲からなる凹部は,曲率半径の小さい凹部であり,凹部の上下にある縁部は,切り立った山のような形状になっている。

[意匠5]
垂直に立設した2本の脚部と,両脚部間に掛け渡された把手部から構成され,把手部から脚部にかけて湾曲からなる凹部が設けられている。ただし,湾曲からなる凹部の幅は,把手部の幅の約半分程度であり,中央に設けられている。

[参考意匠1]
垂直に立設した2本の脚部と,両脚部間に掛け渡された把手部から構成され,把手部の断面に円弧状凹部が設けられている。脚部の断面に円弧状凹部が設けられているかは,明らかでない。脚部と把手部の幅は同じでそれぞれの幅は均一である。

3.創作容易性の検討
本願意匠は,上方に行くにしたがって幅狭になっている脚部を2本立設させて,両脚部間に把手部を掛け渡して,(a)把手部から脚部にかけて湾曲からなる凹部を形成し,(b) 湾曲からなる凹部を曲率半径の大きい凹部とし,凹部の上下の縁部はなだらかな山のような形状にし,(c)座部の側面と脚部の側面は段差なく連続させて,(d)脚部の幅の変化に応じて凹部の幅を変化させていることを特徴とするものであり,これら特徴点は,それぞれどの程度のものにするのか選択の余地がある。
しかも,上記(d)の脚部の幅の変化に応じて凹部の幅を変化させる点はどこにも示されておらず,意匠1に意匠2ないし意匠6及び参考意匠1を適用させても,本願意匠に至ることはない(意匠1には,凹部が設けられておらず,脚部の幅の変化に応じて凹部の幅を変化させる点は示されていない。)
本願意匠は,引用意匠より当業者が容易に創作し得たとは言えない。

第4 当審の判断
1.本願意匠
本願意匠の形態は,第1に述べたように,願書の記載及び願書に添付した図面に表されたとおりのものである。
すなわち,
(A)全体は,細幅板を凹状に湾曲させ,その正面視を,扁平な略等脚台形を想起させる倒略「コ」字状とし,中央の大部分を水平な把手部として,その左右端を円弧状に下方に屈曲させたのち,やや斜め外方に拡がる短い直線状脚部とし,脚部下端を,外側に向かって水平に延伸させ,ごく短い座部とした態様であり,
(B)把手部は全長にわたり等幅のものとし,脚部は,その側方視を,下方に向かって僅かに拡幅させ,座部は脚部下方の幅と等幅で連続しており,
(C)把手部から脚部にかけては,表面が緩やかな湾曲凹面,裏面が緩やかな湾曲凸面の,断面形状を厚みのある略円弧形状として長手方向に連続しており,具体的には,表面は,断面が緩やかな円弧曲線をなす湾曲凹面の両縁部をなだらかな丸面状に面取りし,裏面は,断面が表面の円弧曲線と略同心円状の円弧曲線をなす湾曲凸面で,その両縁部は面取りせず,表面と裏面を繋ぐ面を,表面から裏面方向にごく僅かに拡幅する傾斜面とした形状であり,
(D)座部の平面部中央に取り付け用の円形ネジ孔を設けた,
(E)透光性材質によるものである。

2.引用意匠
原審において,本願意匠の基本的構成態様及び具体的構成態様について,本願出願前に公然知られるとした基礎として引用された意匠の構成態様及び具体的態様は,次のとおりである。
(1)全体の形状について引用された意匠1の形状
意匠1の形状は,全体が,細幅板を凹状に湾曲させて,その正面視を,扁平な等脚台形を想起させる倒略「コ」字状とし,中央の大部分を水平な把手部とし,その左右端を円弧状に下方に屈曲させて,やや斜め外方に拡がる短い脚部とし,脚部下端を,外側に向かって水平に延伸させ短い座部とした態様であり,把手部は全長にわたり等幅のものとし,脚部は,その側方視を,下方に向かって僅かに拡幅させ,座部を,脚部下方の幅より僅かに拡がった幅のものとして連続させている。

(2)把手部から脚部にかけて湾曲からなる凹部を形成することについて引用された意匠4ないし意匠6の該部の形状
意匠4の把手部から脚部にかけての表面形状は,断面が小円弧状であって,長手方向に連続する形状である。
意匠5の把手部から脚部にかけての形状は,表面が湾曲凹面,裏面が緩やかな湾曲凸面の,断面形状を厚みのある略円弧形状として長手方向に連続しており,具体的には,表面は,断面が緩やかな湾曲凹面の両縁部を小さく丸面状に面取りし,裏面は,断面が表面よりも曲率の小さい湾曲凸面で,その両縁部は面取りせず,表面と裏面を繋ぐ面を,垂直面とした形状である。
意匠6の把手部から脚部にかけての形状は,意匠6が掲載されたカタログ同頁の平面図,正面図,底面図及び正面図中央縦断面図も参酌すると,表面に湾曲凹面を設け,裏面をごく緩やかな湾曲凸面として,断面形状を厚みのある上方湾曲凹欠略逆等脚台形状として長手方向に連続しており,具体的には,表面は,幅中央の全幅の約2分の1の部位の断面がやや曲率の小さい湾曲凹面で,その両側に細幅の平坦面部を設けて,両縁を丸面状に面取りし,裏面は,断面がごく緩やかな湾曲凸面で,その両縁部を表面よりも大きな丸面状に面取りし,表面と裏面を繋ぐ面を,表面から裏面方向にごく僅かに縮幅する傾斜面とした形状である。

(3)凹部の縁部をなだらかな山状に形成することについて引用された参考意匠1の把手部から脚部にかけての形状
参考意匠1の把手部から脚部にかけての形状は,参考意匠1が掲載された公報の平面図(1.1)及び正面図(1.2)によれば,把手部は,表面中央を緩やかな湾曲凹部とし両縁をなだらかに丸面状に面取りしている。また,平面図の左右両側部の平面長さの約6分の1の位置に切り替え線を設け,この切り替え線の内側部位には,丸面状をなす両縁部を除いた中央大部分の湾曲凹部に,長手方向に平行な細溝が設けられている。表面と裏面の間をつなぐ面は膨らんだ面をなしているが,脚部の表面側の下方部位及び裏面側全面の態様は不明である。

(4)透光性を有する素材を選択した例として引用された意匠2及び意匠3の材質
意匠2及び意匠3は,全体が透光性を有する材質によるものである。

3.本願意匠の創作容易性について
本願意匠の意匠法第3条第2項の該当性,すなわち,本願意匠が,引用された意匠に基づいて,当業者であれば容易に創作することができたか否かについて,以下検討する。
(A)全体形状について,
本願意匠の全体形状(A)細幅板を凹状に湾曲させ,その正面視を,扁平な略等脚台形を想起させる倒略「コ」字状として,中央の大部分を水平な把手部とし,その左右端を円弧状に下方に屈曲させたのち,やや斜め外方に拡がる短い直線状脚部とし,脚部下端を,外側に向かって水平に延伸させ,ごく短い座部とした態様は,本願出願前に公然知られた意匠1の全体形状と共通している。したがって,本願意匠の全体の基本的構成態様は,本願出願前に公然知られていたと認められる。
(B)把手部は全長にわたり等幅のものとし,脚部は,その側方視を,下方に向かって僅かに拡幅させ,座部は脚部下方の幅と等幅で連続させた点について,
本願意匠と意匠1を比較すると,把手部を全長にわたり等幅のものとし,脚部は,側方視を,下方に向かって僅かに拡幅させた点で共通しており,脚部下方から座部にかけての幅について,本願意匠は,座部を脚部下方の幅と等幅としているのに対して,意匠1は,座部を脚部下方の幅より僅かに拡がった幅としている点で相違している。
しかしながら,この種物品において,脚部下方から座部にかけて等幅で連続させた態様は,ごく普通に見受けられるありふれた態様である([参考意匠2]スガツネ工業株式会社が2009年2月に発行したカタログ『LAMP by SUGATSUNE 2009-2012 総合カタログ 産業機器用機構部品 No.190』第35頁所載のWB-901790と表示された取手の意匠 別紙第9)から,意匠1に基づき,本願意匠の(B)の態様を創作することに,着想の新しさは見出せない。
(C)把手部から脚部にかけての具体的態様について,
本願意匠と意匠4を比較すると,表面に湾曲凹部を有する点で共通するとしても,その具体的な断面形状が相違している。
本願意匠と意匠5を比較すると,表面が湾曲凹面,裏面が緩やかな湾曲凸面の,断面形状を厚みのある略円弧形状として長手方向に連続している点で共通しており,切断端面の具体的形状について,本願意匠は,平面図において横中央部が,厚み全体として裏面側に凹んだ断面形状で長手方向に連続しており,切断端面の表面側は凹円弧,裏面側を表面の円弧と略同心円をなす凸円弧として,表面と裏面の間の両側面を下方にごく僅かに拡がる傾斜面とし,裏面側の両縁部は面取りされず,表面側の両縁部のみを丸面状に面取りした形状であるのに対して,意匠5は,表面を,断面がやや曲率の大きい湾曲凹面で,その両縁部を小さく丸面状に面取りし,裏面を,断面が表面よりも曲率の小さい湾曲凸面で,その両縁部は面取りせず,表面と裏面を繋ぐ面を,垂直面とした形状である点で相違している。
本願意匠と意匠6を比較すると,平面図において横中央部の表面側が凹んだ断面形状で長手方向に連続する点で共通しており,切断端面の具体的形状について,本願意匠は,平面図において横中央部が,厚み全体として裏面側に凹んだ断面形状で長手方向に連続しており,切断端面の表面側は凹円弧,裏面側を表面の円弧と略同心円をなす凸円弧として,表面と裏面の間の両側面を下方にごく僅かに拡がる傾斜面とし,裏面側の両縁部は面取りされず,表面側の両縁部のみを丸面状に面取りした形状であるのに対して,意匠6は,切断端面の表面側は幅中央の全幅の約2分の1の部位を小凹円弧として,その両側に細幅の平坦面部を設け,裏面側を表面の円弧より曲率半径の大きな凸円弧として,表面と裏面の間の両側面を下方にごく僅かに窄まる傾斜面とし,両縁部は,表面・裏面ともに丸面状に面取りした形状で,表面側より裏面側の方が丸みの程度が大きい点で相違している。
また,本願意匠と参考意匠1を比較すると,把手部の表面中央を緩やかな湾曲凹部とし両縁をなだらかに丸面状に面取りしている点で共通しているが,参考意匠1の脚部表面の下方部位,及び,把手部から脚部にかけての裏面の態様は不明であり,さらに,参考意匠1は,平面図の左右両側部の平面長さの約6分の1の位置に切り替え線を設け,この切り替え線の内側部位には,丸面状をなす両縁部を除いた中央大部分の湾曲凹部に,長手方向に平行な細溝が設けられており,表面と裏面の間をつなぐ面は膨らんだ面をなしている点で,切り替え線も細溝もなく,表面と裏面をつなぐ面が傾斜面である本願意匠と相違している。
そうすると,本願意匠の把手部から脚部にかけての表面,裏面の湾曲や縁部,さらに表面と裏面をつなぐ面についての具体的態様は,本願出願前に公然知られていたとは認められず,参考意匠1の把手部の表面中央を緩やかな湾曲凹部とし両縁をなだらかに丸面状に面取りしている点を参酌したとしても,意匠4ないし意匠6の該部の具体的態様に基づいて,当業者が,本願意匠の(C)の態様を,容易に創作することができたと言うことはできない。
なお,把手部は,使用時には,需要者が手で握る部位であることから,需要者が,細部についても注意を強く惹く部分であって,本願意匠の創作の容易性を判断する上で,最も重視されるべき部分といえる。
(D)座部中央に取り付け用の円形ネジ孔を設けた点について,
座部の平面部中央に取り付け用の円形ネジ孔を設けた態様は,参考意匠2にも見られるとおり,この種物品におけるごく普通の態様である。
(E)全体を透光性材質とした点について,
意匠2及び意匠3は,全体が透光性を有する材質によるものであり,本願意匠に係る物品分野において,取手全体を透光性材質のものとすることが,本願出願前よりごく普通に行われていたことは,意匠2及び意匠3から明らかである。
したがって,本願意匠は,前記「第1」及び「第4 1.」で認定したとおりであって,前記認定のうち,(A),(B)及び(D)については,基礎となる公然知られた態様が本願出願前に存在し,(E)については,本願意匠に係る物品分野でのありふれた手法であるが,(C)の態様については,基礎となる公然知られた具体的態様が本願出願前に存在せず,本願意匠の特徴的な着想によるものというべきであることから,本願意匠は,本願出願前に公然知られた意匠に多少の改変を加えた程度であるということはできず,本願意匠の態様は,意匠1ないし意匠6から,容易に導き出せるものではないから,当業者であれば,容易に創作することができたということはできない。

第5.むすび
以上のとおりであって,本願意匠は,意匠法第3条第2項に規定する,意匠登録出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内において公然知られた形状の結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたときに該当しないので,原査定の拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。

また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2013-05-14 
出願番号 意願2010-25127(D2010-25127) 
審決分類 D 1 8・ 121- WY (M3)
最終処分 成立  
前審関与審査官 尾曲 幸輔谿 季江渡邊 久美 
特許庁審判長 川崎 芳孝
特許庁審判官 原田 雅美
斉藤 孝恵
登録日 2013-06-14 
登録番号 意匠登録第1474414号(D1474414) 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ