• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 C4
管理番号 1276346 
審判番号 不服2012-22150
総通号数 164 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2013-08-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-11-08 
確定日 2013-06-12 
意匠に係る物品 歯ブラシ 
事件の表示 意願2012-1705「歯ブラシ」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠
本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとし,意匠法第4条第2項の規定の適用を受けようとする平成24年(2012年)1月27日付けの意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面代用写真の記載によれば,意匠に係る物品を「歯ブラシ」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下,「形態」という。)は,願書及び願書に添付した図面代用写真に記載されたとおりのもので(別紙第1参照),「紫色で着色された部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分以外の部分である。」としたものである。(以下,本願について意匠登録を受けようとする部分を「本願部分意匠」という。)


第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠は意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するとしたものであって,拒絶の理由に引用した意匠(以下,「引用意匠」という。)は,日本国特許庁特許情報課が2002年10月17日に受け入れた 2002年9月24日発行の米国意匠特許公報(DVD-ROM番号:USP2002W39)に記載された意匠特許登録第US D463,129S号の歯ブラシのヘッド部分の意匠 (特許庁意匠課公知資料番号第HH14680292号) であり,その形態を公報掲載のとおりのものとしたものである。(別紙第2参照)
なお,当審において,本願部分意匠と対比する引用意匠の相当部分を以下,「引用部分意匠」という。


第3 両意匠の対比
1.意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は,「歯ブラシ」であり,引用意匠の意匠に係る物品は,米国意匠特許公報掲載の歯ブラシのヘッド部分の意匠であって,記載方法の違いより全体の形態を省略しているものの,両意匠の意匠に係る物品は,ともに「歯ブラシ」であって,共通する。

2.本願部分意匠と引用部分意匠
本願部分意匠と引用部分意匠は,ともに歯ブラシのヘッド部分であって,その「用途及び機能」並びに「位置,大きさ,範囲」は共通する。

3.両意匠の形態
本願意匠と引用意匠の形態を対比すると,両意匠の形態については,主として,以下のとおりの共通点及び差異点がある。
なお,以下,対比のため,引用意匠の図面について図の表示と図中の向きを本願意匠の図面に合わせることとし,
引用意匠の「Fig.1」を「斜視図」,
引用意匠の「Fig.2」を「平面図」,
引用意匠の「Fig.3」を「背面図」,
引用意匠の「Fig.3」と対称に表れた図を「正面図」,
引用意匠の「Fig.4」を「底面図」,
引用意匠の「Fig.5」を「左側面図」,
引用意匠の「Fig.6」を「右側面図」,
引用意匠の「Fig.7」を「平面図」とし,
引用意匠の「平面図」を左に90°回転させ,その他は,これらに準じて表されているものとする。

(1)共通点
両意匠には,主に以下のような共通点がある。

(A)正面視において
左より歯ブラシ前方毛束部を歯ブラシ先端方向に向け一体として斜め上方に傾斜させ,残りの後方毛束につき,外周部の毛束を低く,内側の毛束を高く組み合わせて二段構成とした点。

(B)平面視において
毛束部を除いた歯ブラシ本体部(以下,「歯ブラシ基台部」という。)の先端形状を頂部が小円弧状の略二等辺三角形状とした点。

(C)左側面視において
前方毛束部を中央部分が略山形に盛り上がるように構成した点。

(2)差異点
一方,両意匠には,主に以下のような差異点がある。

(ア)後方毛束部について
平面視において,本願意匠は,高い毛束が間欠して後方毛束部内側に配置されているのに対し,引用意匠の方は連続して後方毛束部内側に配置されている点。

(イ)前方毛束部について
平面視において,本願意匠の前方毛束部は,高い毛束を倒V字状に配置しているのに対し,引用意匠の方は略菱形状に配置している点。

(ウ)ヘッド部の形状
平面視において,本願意匠の歯ブラシ基台部は左側先端部から上下に一定の広がりをみせた後,中央部はほぼ直線状とし,持ち手方向に一定の絞りをみせる略横長長円形状であるのに対し,引用意匠の歯ブラシ基台部は左側先端部より徐々に上下幅を広げ,その後,持ち手部に向け急激に絞り込む形態としている点。


4.両意匠の類否判断
両意匠は,意匠に係る物品が共通し,本願部分意匠と引用部分意匠について,その「用途,機能」並びに「位置,大きさ,範囲」が共通するが,形態については以下のとおりである。

(1)共通点の評価
共通点(A)は,両意匠のみならず,歯ブラシの分野において広く見られる特徴であって(例えば,別紙第3に表した参考意匠に見られるように),両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱であるといえる。また,共通点(B)及び(C)もこの種物品の先行意匠に照らすところ,いずれもありふれた態様であって,両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱であり,共通点全体としても,両意匠の類否判断を決定付けるまでには至らないものである。

(2)差異点の評価
これに対して,「歯ブラシ」の毛束の配置及び構成は需要者が当該物品を購入する際,注意してよく観察する部分であり,両意匠の各差異点は,いずれも非常に目に付き易い部位に係るものであるから,これらの差異点が両意匠の類否判断に及ぼす影響はそれぞれ大きいという他ない。とりわけ,差異点(ア)及び(イ)としてあげた毛束の配列や構成についての差異点は,この種物品の先行意匠に照らして,本願意匠のみの特徴であるから,この差異点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は非常に大きいというべきである。
さらに,差異点(ア)ないし(ウ)が相まった視覚的効果を考慮すると,差異点の印象は共通点の印象を凌駕して,両意匠は意匠全体として視覚的印象を異にするというべきである。

(3)小括
したがって,両意匠は意匠に係る物品は共通し,部分意匠としての「用途,機能」並びに「位置,大きさ,範囲」も共通するが,形態においては,共通点が未だ両意匠の類否判断を決定付けるまでには至らないものであるのに対して,差異点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は共通点のそれを凌駕しており,意匠全体として見た場合,両意匠は視覚的印象を異にするというべきであるから,本願意匠は引用意匠に類似するということはできない。


第4 むすび
以上のとおりであって,本願意匠は,原査定の引用意匠をもって意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできないから,同条同項柱書によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。

また,当審において更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2013-05-30 
出願番号 意願2012-1705(D2012-1705) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (C4)
最終処分 成立  
前審関与審査官 杉山 太一 
特許庁審判長 原田 雅美
特許庁審判官 川崎 芳孝
斉藤 孝恵
登録日 2013-07-19 
登録番号 意匠登録第1477395号(D1477395) 
代理人 高橋 詔男 
代理人 高柴 忠夫 
代理人 志賀 正武 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ