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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 B5 |
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管理番号 | 1276361 |
審判番号 | 不服2013-5220 |
総通号数 | 164 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2013-08-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2013-03-19 |
確定日 | 2013-07-16 |
意匠に係る物品 | 短靴 |
事件の表示 | 意願2012- 2726「短靴」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
1.本願意匠 本願は,部分意匠として意匠登録を受けようとする,平成24年(2012年)年2月9日(パリ条約による優先権主張2011年8月10日 アメリカ合衆国)の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「短靴」とし,その形態は,願書の記載及び願書添付の図面に記載されたとおりのもので,「実線で表された部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分であり,かかと部の破線はそれ以外の部分を表したものである。各図の表面部に表された細線はいずれも立体形状を特定するためのものであり,かかと部以外の破線はステッチを表すものである。」(以下,本願において,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本願実線部分」という。)としたものである。(別紙第1参照) 2.原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定において,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するとして,拒絶の理由に引用された意匠(以下,「引用意匠」という。)は,特許庁意匠課が平成20年(2008年)7月11日に受け入れた,電気通信回線の種類 インターネット,掲載確認日(公知日)平成20年(2008年)7月7日,掲載者 Payless Shoesourceの表題「Payless ShoeSource」,掲載ページのアドレス http://www.payless.com/Catalog/ProductDetail.aspx?&TLC=Womens&SLC=WomensNewArrivals&BLC=WomensNewArrivalsNewArrivals&Width=Regular&ItemCode=60131&LotNumber=062642&Type=Adult&Popularity=637&Descriptive に掲載された「短靴」の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HJ20016470号) (以下,本願意匠の本願実線部分に相当する部分を「引用相当部分」という。)であって,その形態は,同公報に掲載されたとおりのものである。(別紙第2参照) 3.両意匠の対比 両意匠を対比すると,まず,意匠に係る物品については,両意匠は,いずれも踵の低い,いわゆるバレーシューズといわれるタイプの「短靴」であり,意匠に係る物品が一致する。 本願実線部分と引用相当部分(以下,「両部分」という。)は,踵の帯状の破線部分を除いた,短靴の甲皮部の殆どと靴底に係るものであるから,両部分の意匠の用途・機能及び位置・大きさ・範囲は,共通する。 両部分の形態については,主として,以下のとおりの共通点及び差異点がある。(なお,両部分の意匠を対比するため,引用意匠を本願意匠の向きに揃えたものとして,以下,それぞれ形態を認定・対比する。) (1)共通点 (A)全体を甲皮部と靴底部とでバレーシューズの形状となるよう構成し,甲皮部の履き口周囲にゴムを通し伸縮可能とし,履き口周囲にギャザーがよったものであって,履き口を平面視略長円形状とした点,(B)甲皮部を側面視した場合,踵部が緩やかに円弧状を描いてつま先側より高くなっている点,において主に共通する。 (2)差異点 (ア)靴底部について,本願実線部分は,つま先部と踵部に周縁部に細い凹状溝を設けたやや厚みのあるアウトソール部(以下,「アウトソール部」という。)を設け,つま先部は略卵形状とし,踵部はつま先側がやや幅が細くなる略細長馬蹄形状としているのに対して,引用相当部分は,靴底部が側面からしか視認できず,底面形状が不明である点,(イ)甲皮部において,本願実線部分は,全体が無模様であるのに対して,引用相当部分は,全体に格子模様が設けられている点,(ウ)踵部において,本願実線部分は,踵部の靴底部寄りに上辺に沿ってステッチを有する略三日月形状の保護片を設けているのに対して,引用相当部分は,そのような保護片がない点,(エ)踵部の履き口において,本願実線部分は,靴の内側部分に別部材を設け,ギャザーのよらない部分を有しているのに対して,引用相当部分は,そのような部材はなく,履き口全体にギャザーがよっている点,において主な差異が認められる。 4.類否判断 そこで検討するに,共通点(A)及び同(B)は,この種の物品の分野においては,他の意匠にも見られる,ありふれた態様であり,これらの点が両部分の意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱であり,共通点全体としても,両部分の意匠の類否判断を決定付けるに至るということはできない。 これに対して,差異点に係る態様が相俟って生じる意匠的な効果は,両部分の意匠の類否判断を決定付けるものである。 すなわち,差異点(ア)は,靴底部についての差異であるが,携帯できるように折りたためる本願意匠のような短靴の分野においては,アウトソール部の態様がどのような態様であるかは,使用に際して需要者が深く注意を払う点であり,また,本願実線部分のアウトソール部の態様は,他に見られない特徴的な態様といえるもので,本願実線部分の靴底部の印象を他のものとは異ならせるものであるから,その差異は,両部分の意匠の類否判断に大きな影響を与えるものといえる。 次に,差異点(イ)は,甲皮部全体の模様の有無であるが,この種の物品分野において,模様の有無はバリエーションの範囲内のもので,無模様とする本願実線部分の態様に格別の特徴を見出せるものではないが,甲皮部という広い面積に係るものであり,模様の有無は,需要者の注意を強く惹く点であり,その差異は,両部分の意匠の類否判断に大きな影響を与えるものといえる。 また,差異点(ウ)は,踵部の保護片の有無についての差異であるが,本願実線部分の保護片は,ある程度の大きさを占め,ステッチ部も含めて略三日月形状が視覚的効果をもたらし,保護片がない引用相当部分とは,需要者に与える印象が異なり,その差異は,両部分の意匠の類否判断に影響を与えるものといえる。 そして,差異点(エ)の踵部の履き口のギャザーの有無については,いずれもありふれた態様といえるものであり,本願実線部分のみに見られる特徴的な態様とまではいえないが,その差異は,使用時に需要者が目にする部位であって注意を惹く部位であることから,無視することはできず,前記差異点(ア)ないし(ウ)に係る態様と相俟って,その差異は,両部分の意匠の類否判断に一定程度の影響を与えるものといえる。 以上のとおり,両意匠は,意匠に係る物品が一致し,両部分の用途・機能及び位置・大きさ・範囲が共通するものであるが,両部分の形態において,差異点が共通点を凌駕し,それが両意匠の意匠全体として需要者に異なる美感を起こさせるものであるから,両意匠は類似しないものと認められる。 5.むすび したがって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当せず,原査定の拒絶の理由によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2013-07-03 |
出願番号 | 意願2012-2726(D2012-2726) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(B5)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 並木 文子 |
特許庁審判長 |
斉藤 孝恵 |
特許庁審判官 |
江塚 尚弘 中田 博康 |
登録日 | 2013-07-26 |
登録番号 | 意匠登録第1477803号(D1477803) |
代理人 | 稲葉 良幸 |