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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 D6
管理番号 1277764 
審判番号 不服2013-4846
総通号数 165 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2013-09-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-03-13 
確定日 2013-07-19 
意匠に係る物品 キャビネット 
事件の表示 意願2011- 18316「キャビネット」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠

本件審判の請求に係る意匠登録出願は,物品の部分について意匠登録を受けようとする,平成23年(2011年)8月10日付けの出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「キャビネット」とし,その形態を願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり,「各図において赤線で表した部分以外の部分(ハンドル部分)が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」としたもの(以下,本願において,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本願意匠当該部分」という。)である。(別紙第1参照)

第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠

原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠(先行の公知意匠に類似するため,意匠登録を受けることのできない意匠)に該当するとしたものであり,拒絶の理由に引用した意匠は,本願出願前,日本国特許庁発行の意匠公報(発行日:昭和58年(1983年)11月11日)に記載された意匠登録第612058号(意匠に係る物品,脇机)の意匠(以下,「引用意匠」という。)の本願意匠当該部分に相当する引用意匠の部分(以下,本願意匠当該部分に相当する引用意匠の部分を「引用意匠相当部分」という。)であって,その形態は,同公報に記載されたとおりのものである。(別紙第2参照)

第3 当審の判断

1.本願意匠と引用意匠(以下,「両意匠」という。)を対比する。

(1)意匠に係る物品
両意匠を対比すると,本願意匠の意匠に係る物品は,ノートパソコンを収納するための「キャビネット」であり,引用意匠の意匠に係る物品は,書類等を収納するための「脇机」であるが,いずれも,収納家具に関するものであるから,両意匠の意匠に係る物品は共通する。

2.本願意匠当該部分と引用意匠相当部分(以下,「両意匠の部分」という。)を対比する。

(1)両意匠の部分の用途及び機能
本願意匠当該部分の用途及び機能は,キャスター付きのキャビネットを移動する際に使用される,キャビネット本体左右側面部に設けられたハンドルであるのに対し,引用意匠相当部分の用途及び機能は,4段の抽斗からなる書類入れとキャビネットとを分離した状態で上下に連結する目的で,書類入れ本体左右側面部及び下部キャビネット左右側面部に設けられた支柱であるから,両意匠の部分の用途及び機能は,相違するものである。

(2)両意匠の部分の位置,大きさ及び範囲
本願意匠当該部分の位置,大きさ及び範囲については,キャスターを除いたキャビネット本体側面部に対して,高さが約80%,幅がほぼ同じ大きさの側面視隅丸矩形状枠体を,キャビネット本体側面部中央部分に,その下部同士の高さを合わせて,キャビネット本体側面部から立設させた4本の支柱によりキャビネット本体側面部との間に一定の間隔をあけて,取付けているのに対して,引用意匠相当部分の位置,大きさ及び範囲については,キャスターを除いた脇机本体側面部に対して高さが約90%,脇机本体側面部の天板に対して幅が約60%の大きさの側面視隅丸矩形状枠体を,脇机本体側面部のやや右寄りに,その下部同士の高さを合わせて,脇机本体の側面部に隙間なく密着しているものであるから,両意匠の部分の位置,大きさ及び範囲も,相違するものである。

(3)両意匠の部分の具体的形態
両意匠の部分における具体的形態についての共通点として,両意匠の部分の形態が,いずれも横と縦の長さの比を約1:1.6とした,側面視隅丸矩形状の枠体である点が認められる。
他方,両意匠の部分には,相違点として,隅丸矩形状枠体を構成する部材の態様について,本願意匠当該部分は,枠体の断面形状が円筒形か円柱形かは不明であるが,丸形部材により形成しているのに対して,引用意匠相当部分は,枠体の断面形状が隅丸矩形状の薄い板状部材により形成されている点が認められる。

(4)両意匠の部分の類否判断
両意匠の部分における共通点と相違点を検討すると,共通点は,両意匠の隅丸矩形状枠体の態様を概括したにすぎないものであることから,この共通性のみをもって両意匠の部分の類否判断を決定するものとすることはできないのに対して,両意匠の部分における隅丸矩形状枠体を構成する部材の断面形状及び部材の厚みの相違点については,使用時には正面若しくは正面側やや斜め上方から観察されることが多い両意匠の部分にとって,特に目につく部位における差異であるから,この相違点が,両意匠の部分の類否判断に与える影響は大きいものであり,上記の共通点を凌ぎ,需要者に別異の美感を起こさせるものであって,両意匠の部分は類似しないものと言うことができる。

3.両意匠の類否判断

本願意匠と引用意匠に係る物品については,共通しているが,両意匠の部分の,用途及び機能,位置,大きさ,範囲については相違し,形態についても上記のとおり類似しないものであるから,本願意匠と引用意匠とは類似しないものと認められる。

第4 結び

以上のとおりであって,本願意匠は,引用意匠に類似せず,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものであるから,原査定における拒絶の理由によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。

また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2013-07-03 
出願番号 意願2011-18316(D2011-18316) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (D6)
最終処分 成立  
前審関与審査官 前畑 さおり 
特許庁審判長 斉藤 孝恵
特許庁審判官 江塚 尚弘
中田 博康
登録日 2013-08-02 
登録番号 意匠登録第1478363号(D1478363) 
代理人 五味 飛鳥 

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