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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 G2 |
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管理番号 | 1280017 |
審判番号 | 不服2013-7723 |
総通号数 | 167 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2013-11-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2013-04-26 |
確定日 | 2013-09-18 |
意匠に係る物品 | 自動車用タイヤ |
事件の表示 | 意願2012- 13626「自動車用タイヤ」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 本願意匠 本件審判の請求に係る意匠登録出願は,物品の部分について意匠登録を受けようとする,平成24年(2012年)6月8日付けの出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「自動車用タイヤ」とし,その形態を願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり,「実線であらわされた部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。一点鎖線は,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分とその他の部分との境界のみを示す線である。」(以下,本願において,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本願実線部分」という。)としたものである。(別紙第1参照) 第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであり,拒絶の理由に引用した意匠(以下,「引用意匠」という。)は,本願出願前,日本国特許庁発行の意匠公報(発行日:平成22年(2010年)3月1日)に記載された意匠登録第1381337号(意匠に係る物品,自動車用タイヤ)の意匠の本願が意匠登録を受けようとする部分に相当する部分の意匠(以下,本願実線部分に相当する引用意匠の部分を「引用相当部分」という。)であって,その形態は,同公報に記載されたとおりのものである。(別紙第2参照) 第3 当審の判断 1.本願意匠と引用意匠の対比 (1)意匠に係る物品 本願意匠と引用意匠(以下,「両意匠」という。)は,いずれも「自動車用タイヤ」に係るものであるから,両意匠の意匠に係る物品は,一致する。 2.本願実線部分と引用相当部分の対比 (1)本願実線部分と引用相当部分の用途及び機能 本願実線部分と引用相当部分(以下,「両意匠の部分」という。)は,いずれも自動車用タイヤのトレッド部,ショルダー部及びサイドウォール部の外周側約1/2部分の表面の部分であるから,両意匠の部分の用途及び機能は,共通する。 (2)両意匠の部分の位置,大きさ及び範囲 両意匠の部分は,いずれも自動車用タイヤのトレッド部,ショルダー部及びサイドウォール部の外周側約1/2部分の表面の部分であるから,両意匠の部分の位置,大きさ及び範囲は,一致する。 (3)両意匠の部分の形態 両意匠の部分の形態を対比するにあたり,両意匠のトレッド部及びショルダー部を,周方向に施した4本の縦溝で5つの区画に分割し,これら各部について,中央の区画を「中央区画」,その左右両側の区画を「左右中間区画」,左右両端の区画を「左右ショルダー区画」と分けて表し,タイヤ側面部を「サイドウォール部」と表記する(別紙第1:X-X部分拡大図及び赤字記載部分,別紙第2:B1-B2部分拡大図及び赤字記載部分参照)と,両意匠の部分の形態には,主として以下の共通点及び相違点が認められる。 まず,共通点として,(A)全体は,ショルダー部を丸く形成した環状体とし,そのトレッド部及びショルダー部を,周方向に施した4本の縦溝で,中央区画,左右中間区画,左右ショルダー区画の5区画に分割したものであって,(B)中央区画は,細幅帯状体とし,左右両辺に,右上がりの傾斜の短い細溝を一定間隔で形成している点,(C)左中間区画は,中央区画と同程度の細幅帯状体とし,その左辺から対辺に向けて傾斜した細溝を,中央区画の細溝とほぼ同一間隔で形成している点,(D)右中間区画は,左中間区画と点対称となるよう形成している点,(E)左右ショルダー区画は,中央区画よりやや幅のある帯状体とし,ショルダー区画外側の辺から対辺付近まで,弓形状の横溝を一定間隔で設けている点,が認められる。 他方,相違点として, (ア)左右ショルダー区画の横溝の態様について,本願実線部分は,ショルダー区画外側の辺から対辺付近まで,一定の幅で形成された弓形状の横溝を,左右中間区画に設けた細溝間の1/2の間隔で配設しているのに対し,引用相当部分は,ショルダー区画外側の辺から対辺付近まで達する,外側の辺から約1/2の所で,一辺に一段段差を設けた弓形状の横溝を配置し,この弓形状の横溝と弓形状の横溝との間に,ショルダー区画外側の辺からショルダー区画の中央付近まで達する,上下辺に一段段差を設けた先細の横溝,及び,ショルダー区画内側の辺からショルダー区画の中央付近まで,一定の幅で形成した細幅の横溝を,左右に直線状に並べて配置し,弓形状の横溝と先細の横溝及び細幅の横溝とを,左右中間区画に設けた細溝間と同じ間隔となるよう上下に交互に等間隔に配設している点, (イ)中央区画及び左右中間区画に施された細溝の配置態様について,本願実線部分は,中央区画に施された細溝は,右上がりの斜め方向に形成し,左右中間区画に施された細溝は右下がりの斜め方向に形成しているのに対し,引用相当部分は,中央区画に施された細溝及び左右中間区画に施された細溝は,全て右上がりの斜め方向に形成している点, (ウ)左右中間区画の細溝の態様について,本願実線部分は,一辺に一段段差を設けた,先細りの細溝を,当該中間区間の外側の辺から,中間区画の約2/3の位置にまで,右下がりに傾斜させて,一定間隔で形成しているのに対し,引用相当部分は,正面視略くさび状の細溝を,当該中間区間の外側の辺から,中間区画の対辺付近まで,右上がりに傾斜させて,一定間隔で形成している点, (エ)中央区画の細溝の態様について,本願実線部分は,先細の細溝を,当該中央区間の左右の辺から,中央区画の幅の約1/4の位置にまで,右上がりに傾斜させて,一定間隔で形成しているのに対し,引用相当部分は,先細の細溝を,当該中央区間の左右の辺から,中央区画の幅の約1/3の位置にまで,右上がりに傾斜させて,一定間隔で形成している点,が認められる。 (3)両意匠の部分の類否判断 両意匠の形態における共通点は,両意匠のトレッド部の態様のみを概括的に捉えたに過ぎないものであるから,この共通性のみをもって両意匠の類否判断を決定することはできないものである。 これに対し,相違点(ア)左右ショルダー区画の横溝の態様の相違点は,正面視において特に目立つものであるので,この相違点が,両意匠の類否判断に及ぼす影響は非常に大きいものといえる。 次に,相違点(イ)中央区画及び左右中間区画の細溝の配置態様の相違点は,細溝の配置態様が,右下がり,右上がり,右下がりの構成となる本願意匠と,全て右上がりのみの構成の引用意匠とは,与えられる印象が全く異なるものであるから,この相違点が,両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きいものといえる。 また,相違点(ウ)及び相違点(エ)細溝の態様の相違点は,部分的なものではあるものの,相違点(ア)の横溝の相違と相まって,両意匠の類否判断に一定程度の影響を与えているものといえる。 さらに,これらの各相違点に係る態様が相まって生じる視覚的効果は,意匠全体として見た場合,両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きいものであるといえる。 3.両意匠の類否判断 両意匠の意匠に係る物品については,一致し,両意匠の部分の用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲については,共通しているが,両意匠の部分の形態については,上記のとおり,相違点が類似判断に及ぼす影響が,共通点のそれを上回っており,全体として別異の印象と与えるものであるから,本願意匠と引用意匠とは類似しないものと認められる。 第4 結び 以上のとおりであって,本願意匠は,引用意匠に類似せず,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものであるから,原査定における拒絶の理由によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2013-09-05 |
出願番号 | 意願2012-13626(D2012-13626) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(G2)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 上島 靖範 |
特許庁審判長 |
原田 雅美 |
特許庁審判官 |
江塚 尚弘 橘 崇生 |
登録日 | 2013-10-04 |
登録番号 | 意匠登録第1483392号(D1483392) |
代理人 | 長内 行雄 |
代理人 | 吉田 精孝 |
代理人 | 角田 成夫 |