• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
不服20138327 審決 意匠
不服20138596 審決 意匠
不服20136823 審決 意匠
不服20137592 審決 意匠
不服201311408 審決 意匠

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 G2
管理番号 1283198 
審判番号 不服2013-12055
総通号数 170 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2014-02-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-06-26 
確定日 2013-12-13 
意匠に係る物品 自動車用タイヤ 
事件の表示 意願2012- 4872「自動車用タイヤ」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠

本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとする,2011年11月23日の大韓民国への出願に基づくパリ条約による優先権の主張を伴う,平成24年(2012年)3月5日付けの出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「自動車用タイヤ」とし,その形態を願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり,「実線で表した部分が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」(以下,本願において,意匠登録を受けようとする部分を「本願部分」という。)としたものである。(別紙第1参照)

第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠

原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであり,拒絶の理由に引用した意匠(以下,「引用意匠」という。)は,特許庁普及支援課が2009年12月24日に受け入れた中華人民共和国意匠公報2009年12月2日09-48号所載の「自動車用タイヤ」(公開番号CN301071686)の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HH21010945号)の本願の意匠登録を受けようとする部分に相当する部分の意匠(以下,本願部分に相当する引用意匠の部分を「引用部分」という。)であって,その形態は,同公報に記載されたとおりのものである。(別紙第2参照)

第3 当審の判断

1.本願意匠と引用意匠との対比
(1)意匠に係る物品
本願意匠と引用意匠(以下,「両意匠」という。)は,いずれも「自動車用タイヤ」に係るものであるから,両意匠の意匠に係る物品は,一致する。

2.本願部分と引用部分との対比
(1)本願部分と引用部分の用途及び機能,並びに,位置,大きさ及び範囲
本願部分と引用部分(以下,「両部分」という。)は,いずれも自動車用タイヤのサイドウォール部を除いたトレッド部及びショルダー部の表面の部分であるから,両部分の用途及び機能,並びに,位置,大きさ及び範囲は,一致する。

(2)両部分の形態
両部分の形態を対比するにあたり,両意匠のトレッド部及びショルダー部を,周方向に施した4本の縦溝で5つの区画に分割し,これら各部について,中央の区画を「中央区画」,その左右両側の区画を「左右中間区画」,左右両端の区画を「左右ショルダー区画」と分けて表記すると,両部分の形態には,主として以下の共通点及び相違点が認められる。

まず,共通点として,
(A)全体は,ショルダー部を丸く形成した環状体とし,そのトレッド部及びショルダー部を,周方向に施した4本の縦溝で,中央区画,左右中間区画,左右ショルダー区画の5区画に分割したものであって,
(B)中央区画は,細幅帯状体とし,表面部に溝がない点,
(C)左右中間区画は,細幅帯状体とし,外側の辺から区画の約3/4の所には,略鈎爪状のブロック模様を上下方向に狭い間隔をあけて連続して形成し,当該略鈎爪状ブロックの中間部を斜めに横断し,中間区画の両側縦溝間に弧状のサイピングを形成している点,
(D)左右ショルダー区画は,内側の細幅帯状体と外側の太幅帯状体からなり,細幅帯状体には,区画を横切るサイピングを,上下の間隔を微妙に変えて多数形成し,太幅帯状体には,横方向に細溝を上下の間隔を微妙に変えて多数形成している点,
が認められる。

他方,相違点として,
(ア)左右中間区画に形成された略鈎爪状ブロック及びサイピング(以下,「ブロックパターン」という。)の傾斜について,本願部分は,左中間区画のブロックパターンを全て右上がりの傾斜で形成し,右中間区画のブロックパターンを全て右下がりの傾斜で形成しているのに対して,引用部分は,左右中間区画のブロックパターンを全て右下がりの傾斜で形成している点,
(イ)左右ショルダー区画に形成された横方向の細溝及びサイピング(以下,これらを合わせて「横溝部」という。)の傾斜について,本願部分は,左右ショルダー区画のすべての横溝部をほぼ水平となるよう形成しているのに対して,引用部分は,左右ショルダー区画のすべての横溝部を,左右中間区画のブロックパターンと同様の右下がりの傾斜で形成している点,
(ウ)左右中間区画の略鈎爪状ブロックでない部分に形成された水平方向のサイピングについて,本願部分は,略鈎爪状ブロック間の溝部のやや上方部分から内側の辺に向かって水平なサイピングを形成しているのに対して,引用部分は,そのようなサイピングを形成していない点,
(エ)左右ショルダー区画に形成された横溝部の態様について,本願部分は,細幅帯状体の内側の辺における上下サイピングの中間部分に,僅かな切り欠きを形成し,太幅帯状体の細溝間のサイピングの数を特に規則性なく1本又は2本とし,細幅帯状体のサイピングと太幅帯状体の細溝とが横一線上の位置になるよう形成しているのに対して,引用部分は,太幅帯状体の細溝間のサイピングの数を常に1本とし,細幅帯状体のサイピングと太幅帯状体のサイピングとが横一線上の位置になるよう形成している点,
(オ)トレッド部及びショルダー部に形成された溝部の配置態様について,本願部分は,左右ショルダー区画の横溝部を,ほぼ水平となるよう形成し,左中間区画のブロックパターンを,右上がりの傾斜で形成し,右中間区画のブロックパターンを,右下がりの傾斜で形成し,左右ショルダー区画の横溝部と左右中間区画のブロックパターンとは横溝部の端部の位置が異なり,溝部に連続性が認められないのに対して,引用部分は,左右中間区画のブロックパターン及び左右ショルダー区画の横溝部を全て右下がりの傾斜で形成し,左右ショルダー区画のブロックパターンと左右中間区画の横溝部の端部の位置を揃えることで溝部に連続性が認められる点,
が認められる。

(3)両部分の類否判断
まず,上記の両部分の形態における共通点(A)ないし(D)は,両部分のトレッド部及びショルダー部の態様を概括的に捉えたに過ぎないものであり,この共通性のみをもって両部分の類否判断を決定することはできない。

これに対し,相違点(ア)及び相違点(イ)については,中央部分のない略鐘形曲線に沿って配置された本願部分のトレッドパターンの態様は,正面視において,略凸弧状のうねりを印象づけるのに対して,逆S字状曲線に沿って配置された引用部分の態様は,左上から右下に向かっていく流れを印象づけるものであるから,これらは別異の印象を与えるものであり,この相違点が,両部分の類否判断に及ぼす影響は大きい。
次に,相違点(ウ)ないし(オ)についても,部分的な相違ではあるものの,上記相違点(ア)及び相違点(イ)の態様の相違と相まって,この相違点が両部分の類否判断に一定程度の影響を与えているものといえる。
さらに,これらの各相違点に係る態様が相まって生じる視覚的効果は,意匠全体として見た場合,両部分の類否判断に及ぼす影響は大きいものであるといえる。

3.両意匠の類否判断
両意匠の意匠に係る物品については,一致し,両部分の用途及び機能,並びに,位置,大きさ及び範囲についても,一致しているが,両部分の形態については,上記のとおり,相違点が類否判断に及ぼす影響が,共通点のそれを上回っており,全体として別異の印象と与えるものであるから,本願部分と引用部分は類似するものではない。
したがって,本願意匠と引用意匠とは類似しないものと認められる。

第4 結び

以上のとおりであって,本願意匠は,引用意匠に類似せず,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものであるから,原査定における拒絶の理由によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。

また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2013-11-29 
出願番号 意願2012-4872(D2012-4872) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (G2)
最終処分 成立  
前審関与審査官 上島 靖範 
特許庁審判長 原田 雅美
特許庁審判官 橘 崇生
江塚 尚弘
登録日 2014-01-17 
登録番号 意匠登録第1490337号(D1490337) 
代理人 矢崎 和彦 
代理人 黒瀬 雅志 
代理人 勝沼 宏仁 
代理人 朝倉 悟 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ