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審判番号(事件番号) データベース 権利
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不服20138596 審決 意匠
不服20136823 審決 意匠
不服20137592 審決 意匠
不服201311408 審決 意匠

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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 G2
管理番号 1283202 
審判番号 不服2013-11693
総通号数 170 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2014-02-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-06-19 
確定日 2013-12-17 
意匠に係る物品 自動車用タイヤ 
事件の表示 意願2012- 16676「自動車用タイヤ」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠

本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとする,平成24年(2012年)7月12日付けの出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「自動車用タイヤ」とし,その形態を願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであって,「実線で表された部分が,部分意匠として登録を受けようとする部分である。」(以下,本願において,意匠登録を受けようとする部分を「本願部分」という。)としたものである。(別紙第1参照)

第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠

原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであり,拒絶の理由に引用した意匠(以下,「引用意匠」という。)は,特許庁意匠課が2006年2月24日に受け入れた,2005トラック&バス用タイヤ/産業車両用タイヤ総合カタログ第12頁所載の「自動車用タイヤ」の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HC18004476号)の本願の意匠登録を受けようとする部分に相当する部分(以下,本願部分に相当する引用意匠の部分を「引用部分」という。)の意匠であって,その形態は,同カタログに掲載された写真により現されたとおりのものである。(別紙第2参照)

第3 当審の判断

1.本願意匠と引用意匠の対比
(1)意匠に係る物品
本願意匠と引用意匠(以下,「両意匠」という。)を対比すると,意匠に係る物品は,いずれも「自動車用タイヤ」に係るものであるから,一致している。

(2)本願部分と引用部分の用途及び機能,並びに,位置,大きさ及び範囲
本願部分と引用部分(以下,「両部分」という。)は,いずれも自動車用タイヤにおけるトレッド中央部分の表面部分であるから,両部分に係る用途及び機能,並びに,位置,大きさ及び範囲は,一致している。

(3)両部分の形態
両部分の形態を対比する(なお,対比の都合上,引用意匠の写真を「正面やや右方向から見た斜視図」とする。)と,両部分の形態には,主として以下の共通点及び相違点が認められる。
まず,共通点として,
(A)全体は,環状体状のタイヤのトレッド部中央部分に,中央の縦溝を挟んで周方向に配設された2列のブロック群からなる態様であって,
(B)各ブロック群は,略四辺形状の2種類のブロック(以下,本願部分の2種類のブロックをそれぞれ「ブロックX」及び「ブロックY」とし,引用部分の2種類のブロックをそれぞれ「ブロックX’」及び「ブロックY’」とする。)を交互に配設している点,(別紙第1【当審で作成したブロックX,ブロックYを示す図】,及び,別紙第2【当審で作成したブロックX’,ブロックY’を示す図】参照)
(C)各ブロックの上下間に形成された横方向の溝部(以下,「横溝」という。)は,横溝全体は右上がりの傾斜で形成し,その左右両端部のみを折曲して水平になるよう形成している点,
(D)2列のブロック群は,左列のブロック右辺と右列のブロック左辺が対向し,左列の横溝部右端部と右列の横溝部左端部が,縦溝を挟んで一直線上に位置するよう配設している点,が認められる。

他方,相違点として,
(ア) 各ブロックの態様について,本願部分のブロックXとブロックYの左右辺は,直線状で,かつ,平行であり,ブロックXは右下がりの傾斜とし,ブロックYは左下がりの傾斜としているのに対して,引用部分のブロックX’とブロックY’の左右辺は,略クランク状に屈曲し,ブロックX’は上方側に窄まり,ブロックY’は下方側に窄まる態様である点,
(イ)中央の縦溝をまたいだ横溝により,右上がりで一列になるよう配設された左右2列のブロック群の配置態様について,本願部分は,並んでいる左右のブロックが同じ種類のブロック(例えば,ブロックXとブロックX)であるため,左右ブロックのそれぞれの左右縦辺が4辺ともすべて平行に表れるのに対して,引用部分は,並んでいる左右のブロックが異なる種類のブロック(例えば,ブロックX’とブロックY’)としているため,左右ブロックのそれぞれの左右縦辺が,略「ハ」の字状と略逆「ハ」の字状の向きの略クランク状となっている点。
(ウ)トレッド部中央部の縦溝の態様について,(イ)の配置態様の結果,本願部分は,ジグザグ状に表れるのに対して,引用部分は,略クランク状に表れる点,
(エ)横溝の長さについて,本願部分は,同じ長さの横溝を上下方向に配設しているのに対して,引用部分は,長短2種類の長さの横溝を上下方向に交互に配設している点,が認められる。

2.両部分の類否判断
以上の共通点及び相違点が両部分の類否判断に及ぼす影響を評価し,総合して判断すると,共通点(A)ないし(D)については,この種物品分野において本願出願前より既に見受けられる態様(例えば,別紙第3参照)であるから,両意匠のみに共通する特徴的な態様とは言えず,この共通点のみをもって両部分の類否判断を決定することはできない。
これに対し,相違点(ア)については,左右辺の傾きが異なる略平行四辺形状のブロックが交互に表れる本願部分と,左右辺が略「ハ」の字状のブロックと略逆「ハ」の字状のブロックとが交互に表れる引用部分とは,与えられる印象が大きく異なるものであるから,この相違点が,両部分の類否判断に及ぼす影響は大きい。
次に,相違点(イ)及び相違点(ウ)については,同種の左右ブロックを組み合わせた本願部分と,異なる左右ブロックを組み合わせた引用部分では,与えられる印象が異なる上に,両意匠の左右ブロック間の縦溝の態様も大きく異なるものであるから,相違点(ア)の各ブロック自体の形状の相違と相まって,この相違点が,両部分の類否判断に及ぼす影響も大きい。
また,相違点(エ)については,相違点(ア)及び相違点(イ)の各ブロックの態様及びその配置態様によりもたらされるものであり,この相違点は,相違点(ア)ないし(ウ)と相俟って,両部分の類否判断に一定程度の影響を与えている。
そして,これらの各相違点に係る態様が相まって生じる視覚的効果は,意匠全体として見た場合,両部分の類否判断に及ぼす影響は大きいものであるといえる。

3.両意匠の類否判断
両意匠の意匠に係る物品については,一致し,両部分の用途及び機能,並びに,位置,大きさ及び範囲についても,一致しているが,両部分の形態については,上記のとおり,相違点が類似判断に及ぼす影響が,共通点のそれを上回っており,全体として別異の印象と与えるものであるから,本願部分と引用部分は類似するものではない。
したがって,本願意匠と引用意匠とは類似しないものと認められる。

第4 結び

以上のとおりであって,本願意匠は,引用意匠に類似せず,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものであるから,原査定における拒絶の理由によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。

また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2013-12-03 
出願番号 意願2012-16676(D2012-16676) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (G2)
最終処分 成立  
前審関与審査官 上島 靖範 
特許庁審判長 原田 雅美
特許庁審判官 江塚 尚弘
橘 崇生
登録日 2014-01-24 
登録番号 意匠登録第1490937号(D1490937) 
代理人 杉村 憲司 

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