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審判番号(事件番号) データベース 権利
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不服20137764 審決 意匠
不服20137765 審決 意匠
不服201312292 審決 意匠
不服201311664 審決 意匠

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審決分類 審判 査定不服  2項容易に創作 取り消して登録 H7
管理番号 1284199 
審判番号 不服2013-10702
総通号数 171 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2014-03-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-06-07 
確定日 2014-01-14 
意匠に係る物品 携帯情報端末 
事件の表示 意願2011-27401「携帯情報端末」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠
本願は,2011年5月27日のアメリカ合衆国への出願に基づくパリ条約による優先権の主張を伴う,物品に表示される,物品の操作の用に供される画像の,部分について意匠登録を受けようとする平成23年(2011年)11月28日の意匠登録出願であって,その意匠は,願書の記載によれば,意匠に係る物品を「携帯情報端末」とし,その形態を願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりとするもので,「実線で表した部分が部分意匠として登録を受けようとする部分である,一点鎖線は,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分とその他の部分との境界のみを示す線である。」としたものである(以下,本願について意匠登録を受けようとする部分を「本願実線部分」という。別紙第1参照)。

第2 原査定における拒絶の理由
原査定における平成24年(2012年)8月9日付けの拒絶の理由は,「本願意匠が,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので,意匠法第3条第2項の規定に該当するというものであって,具体的には,この意匠登録出願に係る携帯情報端末の分野に限らず,広く画像を利用する物品分野において,強調等のために点滅表示を行うことは,例えば文献1,文献2に記載されているように,本願出願前より極普通に行われているのでありふれた手法であり,また,この種物品分野において,円形の細幅枠を有するアイコンを利用することも,例えば画像1,画像2及び画像3に見られるように,本願出願前より極普通に行われているのでありふれた手法であるところ,本願意匠は,アイコンの外形枠として単に円形の細幅枠を選択し,ありふれた点滅効果を加えたに過ぎないので,容易に創作できたものと認められる。」というものである。

文献1:(以下「引用文献1」という。別紙第2参照)
特許庁発行の公開特許公報記載
特開2006-277734 第3頁【0009】記載
「他のノードと識別可能な表示としては,ノード番号表示又はノード名表示を含むそのノードに対応するアイコンを強調表示させるものであってもよい。強調表示の態様としては,そのノードに対応するアイコンを点滅表示させ,かつその点滅周期がそのノードへ至るネットワークの混雑度に対応して変化するようにしたり,そのノードに対応するアイコンを他のノードと異なる色彩に変色させ,かつその色彩がそのノードへ至るネットワークの混雑度に対応して変化するようにしたりしてもよい。」

文献2:(以下「引用文献2」という。別紙第3参照)
特許庁発行の公開特許公報記載
特開2007-256227 第6頁【0026】第1行目
「このうち,上記(1)の場合を説明すると,図2に示すように,次に案内すべき地点2Eのアイコンのみを,案内地点のアイコンとしてフラッグを模したものを点滅等させる(図中,稲妻マークは点滅を示す。)。」

画像1:(以下「引用画像1」という。別紙第4参照)
電気通信回線の種類 インターネット
掲載確認日(公知日) 2009年 1月 5日
受入日 特許庁意匠課受入2009年 1月 9日
掲載者 エルジー エレクトロニクス インコーポレーテッド
表題 LG Electronics ::
掲載ページのアドレス http://www.lge.co.kr/cokr/product/catalog/FrontProductImageZoomCmd.laf?mnid=prod00130001&prdid=eprd36850#
に掲載された,車載用位置測定誘導機に表示された画像
(特許庁意匠課公知資料番号第HJ20050230号)

画像2:(以下「引用画像2」という。別紙第5参照)
電気通信回線の種類 インターネット
掲載確認日(公知日) 2010年11月15日
受入日 特許庁意匠課受入2010年11月19日
掲載者 KDDI株式会社
表題 Android (TM) 2.2,7.0インチディスプレー搭載のタブレット端末サムスン電子製「SMT-i9100」の発売について〈別紙〉|
掲載ページのアドレス http://www.kddi.com/corporate/news_release/2010/1018b/besshi.html
に掲載された,携帯情報端末機に表示された画像
(特許庁意匠課公知資料番号第HJ22051392号)

画像3:(以下「引用画像3」という。別紙第6参照)
特許庁普及支援課が2009年 7月 2日に受け入れた『米国特許商標公報 2009年 6月 9日09W23号』
携帯用電子計算機(登録番号US D594015S)に表示された画像(特許庁意匠課公知資料番号第HH21310090号)

第3 当審の判断
請求人の主張を踏まえ,本願意匠の意匠法第3条第2項の該当性,意匠の創作容易性について,本願意匠の基本的構成態様及び具体的構成態様について,それらの基礎となる構成,具体的態様などが本願出願前に公知または周知であったか,それらの構成要素を,ほとんどそのままか,あるいは,当該分野においてよく見られるところの多少の改変を加えた程度で,周知の創作手法であるところの単なる組合せ,構成要素の全部または一部の単なる置換えなどがされたに過ぎないものであるか否かを検討する。

本願意匠の形態は,第1に述べたとおり,願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりとするものである。
すなわち,本願実線部分は,横長長方形画面の左下隅に位置する,上辺を実線とした,小さな横長長方形の範囲であり,その態様は,
(A)同形同大の2個の円形ボタンが,左右均等に横並びに配置されており,この一対の円形ボタンの周縁部には細幅円環枠があり,
(B)一対のボタンのうち,右側のボタンの円環枠のみが点滅する態様である。
本願実線部分の(A)の態様のうち,同形同大の2個の円形ボタンが,左右均等に横並びに配置された態様は,本願出願前公然知られた引用画像1ないし3において,同形同大の複数の円形ボタンを左右均等に横並びに配列した態様が見られ,また,円形ボタンの周縁部に細幅円環枠を設けた態様は,本願出願前公然知られた引用画像2に見られることから,本願実線部分(A)の態様は,これらの公然知られた態様に基づき,円形ボタンの形態を,円環枠を有するものとした上で,その個数を,この種の操作ボタンの個数としてごくありふれた2個としたにすぎないと言える。
また,本願実線部分の(B)のうち,操作ボタンを点滅させる手法は,引用文献1及び同2に見られるように,本願出願前より公然知られた手法である。
しかしながら,本願実線部分の(B)の,一対のボタンのうち片方の円環枠のみを点滅させる態様は,引用文献1及び同2,並びに引用画像1ないし同3のいずれにも表れていない。すると,本願実線部分の(B)のこの態様,すなわち,一対のボタンのうち,片方の円環枠のみを暗調子と明調子に交互に変化させる態様は,引用画像1ないし同3に見られる各部の構成要素をほとんどそのまま用いたとは言えず,また,引用文献1及び同2に見られる手法を用いてこの種物品分野においてよく見られる多少の改変を加えたとも言えない,本願実線部分の特徴的な着想によるものと言うべきであり,本願実線部分は,存在する公知の態様に多少の改変を加えた程度であると言うことはできない。
したがって,本願実線部分の態様は,引用文献1及び同2並びに引用画像1ないし同3の存在を前提として,容易に導き出せるものではないから,本願意匠は,当業者であれば容易に創作することができたということはできない。

第4 むすび
以上のとおりであって,本願意匠は,意匠法第3条第2項が規定する,意匠登録出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状の結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができた意匠に該当しないので,原査定の拒絶の理由によって本願の登録を拒絶すべきものとすることはできない。

また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2013-12-18 
出願番号 意願2011-27401(D2011-27401) 
審決分類 D 1 8・ 121- WY (H7)
最終処分 成立  
前審関与審査官 木村 智加 
特許庁審判長 原田 雅美
特許庁審判官 富永 亘
橘 崇生
登録日 2014-02-07 
登録番号 意匠登録第1491807号(D1491807) 
代理人 伊東 忠彦 
代理人 大貫 進介 
代理人 伊東 忠重 

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