• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 J7
管理番号 1286506 
審判番号 不服2013-17831
総通号数 173 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2014-05-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-09-17 
確定日 2014-03-26 
意匠に係る物品 液圧マッサージ器 
事件の表示 意願2012- 22898「液圧マッサージ器」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠
本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとし,平成24年(2012年)9月21日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「液圧マッサージ器」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下,「形態」という。)は,願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり,「図中,実線で表された部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」(以下,本願において,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本願部分」という。)としたものである。(別紙第1参照)

第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとするものであって,拒絶の理由に引用した意匠(以下,「引用意匠」という。)は,特許庁意匠課が平成18年(2006年)11月24日に受け入れた,ミナト医科学株式会社が発行したカタログ「Water Massage Bed ベッド型マッサージ器 AQUATIZER アクアタイザー QZ-200」 第5頁所載 ベッド型マッサージ器の意匠(正面及び背面板部分)(以下,「引用相当部分」という。)の意匠であって,その形態は,同カタログに掲載されたとおりのものである。(別紙第2参照)

第3 両意匠の対比
1.意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は,「液圧マッサージ器」であり,引用意匠の意匠に係る物品は,「ベッド型マッサージ器」の意匠であって,表記は異なるが,本願意匠と引用意匠(以下,「両意匠」という。)は共に,液圧によりマッサージを施すベッド型のマッサージ器であることから,両意匠の意匠に係る物品は,共通する。

2.本願部分及び引用相当部分(以下,「両意匠部分」という。)の用途及び機能,並びに位置,大きさ,及び範囲
両意匠部分は,略直方体状のベッド型マッサージ器本体の長辺側両側面板の部分であって,その用途及び機能,並びに位置,大きさ,及び範囲は共通する。

3.両意匠部分の形態
両意匠部分の形態を対比すると,主として,以下のとおりの共通点及び相違点がある。

なお,両意匠部分を対比するため,引用意匠を本願意匠の向きに合わせることとし,両意匠部分である長辺側両側面板は,正面側と背面側とで同形態で一対であるため,ここでは正面側のみ形態を認定したうえで,対比する。

(1)共通点
まず,共通点として,両意匠部分は,正面視において,略下窄まりの略横長長方形状である点,側面視においては,上部は略一定の細幅で推移し,略中央から下端にかけて暫時極細幅に窄まる点,側面視中央における幅の変化がもたらす稜線が,正面視に横一線として表れる点,当該部分である長辺側両側面板は同形態で一対となる点,が認められる。

(2)相違点
他方,両意匠部分には以下のような相違点がある。

(A)正面視における左右辺の形態について,本願部分は,上端部から下端部にかけて,外向き円弧状で下窄まりであるのに対して,引用相当部分は,上部はやや下広がりの略垂直状で,中央やや上から下端部にかけて,内向き円弧状で下窄まりで,下端付近で略垂直状になっている点,
(B)側面視について,本願部分は,内側の辺は上端部から下端部にかけて略放物線状にやや内傾し,外側の辺は上側が略垂直状で,中央やや下から下端部にかけて直線状をなして急速に下窄まりになるのに対し,引用相当部分は,内側の辺は垂直状で,外側の辺は上側が略垂直状で,中央やや上から内向き円弧状で下窄まりで,下端付近で略垂直状になっている。
(C)正面視上辺付近について,本願部分は,水平で一直線状であるのに対して,引用相当部分は,中央部に全長の約2分の1の長さの横長帯状部が形成されている点,
(D)正面視略中央に表れる横一線の稜線を挟む上部と下部の比率が,本願部分は,約1.4対1であるのに対して,引用相当部分は,約1対1.5である。

第4 両意匠の類否判断
以上の共通点及び相違点が両意匠の類似性の判断に与える影響を評価し,意匠全体としての両意匠の類似性について検討し,判断する。
両意匠は,意匠に係る物品が共通し,両意匠部分の用途及び機能,並びに位置,大きさ,及び範囲が共通であるが,形態については,以下のとおりである。

(1)共通点の評価
両意匠部分の形態における共通点は,基本構成に関する共通点ではあるが,形態を概括的に捉えた場合の共通点にすぎず,類否判断に及ぼす影響は一定程度に止まる。

(2)相違点の評価
これに対し,相違点(A)ないし(D)については,両意匠部分の基調をそれぞれに形成しているものであって,両意匠部分の形態全体の美感を大きく異ならせるものであるから,これらの相違点が,両意匠の類否判断に与える影響も大きいものと言える。
特に(A)及び(B)は,下窄まりの位置や態様について,本願部分と引用相当部分とは明らかに異なっており,特に,正面視においては,左右辺の円弧状の向きが逆であって,両意匠の視覚的印象を大きく異にするものであり,両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きい。

次に,相違点(C)については,使用時に見えやすい部位に係るうえ,視覚的に大きく異なる印象を与えるから,両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きい。

そして,相違点(D)については,僅かな相違であって,視覚的に相違を感じさせるほどの比率差とはいえないものの,(B)の相違と相まって視覚的効果がもたらされ,両意匠部分の印象を大きく異にすることとなり,両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きい。

(3)小括
両意匠は,意匠に係る物品が共通し,両意匠部分の用途及び機能,並びに位置,大きさ,及び範囲については共通であるが,両意匠部分の形態については,正面側部分で検討した結果,上記のとおり,相違点が類否判断に及ぼす影響が,共通点のそれを凌駕しており,全体として別異の印象を与えるものであるから,正面側部分と同一形態で一対の背面側部分を含めた状態の本願部分は,引用相当部分に類似するということはできない。
したがって,本願意匠と引用意匠とは類似しないものと認められる。

第5 むすび
以上のとおりであって,本願意匠は,原査定の引用意匠をもって意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するということはできないから,同法同条同項柱書によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。

また,当審において更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2014-03-12 
出願番号 意願2012-22898(D2012-22898) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (J7)
最終処分 成立  
前審関与審査官 谿 季江植山 陽子 
特許庁審判長 小林 裕和
特許庁審判官 橘 崇生
富永 亘
登録日 2014-04-25 
登録番号 意匠登録第1498665号(D1498665) 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ