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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 C5
管理番号 1287487 
審判番号 不服2013-21265
総通号数 174 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2014-06-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-10-31 
確定日 2014-05-07 
意匠に係る物品 圧力鍋 
事件の表示 意願2012-14357「圧力鍋」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 1.本願意匠
本願は,意匠法第4条2項の規定の適用を受けようとする,平成24年(2012年)6月15日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「圧力鍋」とし,その形態を願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照)

2.原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたもので,拒絶の理由に引用された意匠は,独立行政法人工業所有権情報・研修館が2010年2月12日に受け入れた,内国カタログ「家庭用片手圧力鍋 3TROIS」(2009年7月10日)の第3ページに載っている「圧力鍋(5.0L)」の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HC22000012号)(以下,「引用意匠」という。)であって,その形態は,同カタログに記載されたとおりのものである。(別紙第2参照)

3.当審の判断
(1)意匠に係る物品について
本願意匠と引用意匠(以下,「両意匠」という。)を対比すると,意匠に係る物品は,共に「圧力鍋」であって,同一である。

(2)両意匠の形態について
両意匠の形態を対比すると,その形態には,以下に示す主な共通点と相違点が認められる。
(2-1)両意匠の共通点
基本的構成態様においては,(A)全体が片手鍋形の深型の圧力鍋であって,(B)蓋を密閉した場合に,鍋本体の把手と蓋に取り付けられた把手(以下,「蓋把手」という。)が上下に重なって1つの略角棒状把手(以下,「主把手」という。)となるようにし,(C)この主把手の本体側に取り付けられた把手(以下,「本体主把手」という。)に対向する位置に両手鍋用の把手のような略コ字状把手(以下,「本体副把手」という。)を設け,(D)蓋に略円錐状錘を設けた点が共通し,具体的構成態様においては,(E)本体の高さと直径の比率を約7:10とし,(F)蓋は,(F-1)極めてへん平な円錐台形状の中心部を鍋本体と略同径とし,(F-2)その周縁に一段段差を介してはかま(袴)状周縁部を設けて,(F-3)被せ蓋状としたものであって,(F-4)蓋上面の中央に円形の浅いへこみ部を設けて,(F-5)その中央に錘を配置し,(G)蓋把手は,(G-1)蓋の半径の約2分の1の位置から突出した状態で設けてあり,(G-2)本体の直径とおおむね同じ長さとし,(G-3)蓋側先端部を末広がりにしており,その平面形状は略しゃもじ形であって,(G-4)先端から蓋の縁までの該先端末広がり部上面に略「U」字状部を設けて,(G-5)その中に平面視で正円形の安全弁を設け,(G-6)安全弁の手前,主把手の先端末広がり部のくびれ部に長円形操作ボタンを縦に配置したものである,という点が共通している。

(2-2)両意匠の相違点
それに対して,具体的構成態様において,(ア)蓋上面直径における上面幅・中央のへこみ部直径・上面幅の比率につき,本願意匠は,約1:1:1であるのに対して,引用意匠は,約1:1.5:1である点,(イ)錘の形状につき,本願意匠は,引用意匠に比べて太くて低く,下端に垂直周面を持った円錐状で,上端に段差を設けた態様であるのに対して,引用意匠は,細くて高く,先丸の円柱状で下方につば部を有している点,(ウ)正面視における主把手の下側の態様と端部の態様につき,本願意匠は,付け根から大きなへこみ曲線を介し,そこから本体主把手と蓋把手が上下対称の状態で,端部まで(持ち手の約半分の位置から右方)比較的薄いままの厚みを変えない態様で,その端部が半円弧状としているのに対して,引用意匠は,小さなへこみ曲線を介して,端部に向かって徐々に約2分の1の厚さまで薄くなっており,かつ,その端部は,角張って垂直面を成し,下側端に小突出部を設けている点,(エ)蓋把手先端上面の「U」字状部の態様につき,本願意匠は,細長い浅い凹曲面であり,手前側に安全弁を設けているのに対して,引用意匠は,幅広で短く,三角凸状線で囲まれた態様であり,安全弁を先端側に設けている点,(オ)長円形操作ボタンの態様につき,本願意匠は,「U」字状部に接するように配置したスライドスイッチ様のものであるのに対して,引用意匠は,「U」字状部から離れた位置に設けたロッカースイッチ(シーソースイッチ)様のものである点,(カ)本体副把手の態様につき,本願意匠は,先端側長辺がやや膨出した略横長長方形の板状材の中心に横長開口部を設け,上側にやや曲げた態様であるのに対して,引用意匠は,断面形状が円形の線材を,垂直に立ち上げてから水平方向に曲げ,該水平部分を平面視半円弧形状としたものである点,において主な相違点が認められる。

(3)類否判断
両意匠を比較した場合,共通点は,両意匠の形態全体の骨格的な態様をなし,一定程度の共通する印象を与えると言えるが,この共通性のみをもって両意匠の類否判断を決定するものとすることはできない。
これに対して,具体的態様である相違点(ア)は,相違点(イ)と相まって,本願意匠の,錘を設けるためにその部分をへこませ,錘と関係する造形処理を行ったように見える蓋と,引用意匠の,錘には関係無く,別々で,違う意図による造形処理に見えるものとの相違であって,蓋上面の見えやすい箇所の相違でもあるから,両意匠の類否判断における影響は一定程度認められる。相違点(イ)は,圧力鍋を機能させるための機構的主要な部品であって,なおかつ,見えやすい蓋上面中央に位置する,目立つ大きな部品であるから,両意匠の類否判断に大きな影響を与えると考えられる。相違点(ウ)は,通常の使用状態においては,余り目立たない位置の相違であるが,使用時には手に触れる部分であって,大きく重い圧力鍋を使用する際の力の入れ具合などに関わる形状であり,かつ,蓋をし,圧力をかける前段階の使用状態においては,本願意匠においては,本体主把手と本体副把手は,正面視で左右対称の位置及び付け根形状となっており,ふたを付ける前の状態での本体主要把手と本体副把手による使い勝手の良さを想起させる形状であるから,需要者においても,注意を払う部分と考えられ,両意匠の類否判断における影響は一定程度認められる。相違点(エ)は,主把手の先端部であり,蓋把手と蓋との接続部でもあって,かつ,両意匠の物品に係る機構的重要部品の安全弁を設けた部分であるから,意匠の要部の一つと認められ,蓋上面で,手元の主把手先端という見えやすい箇所でもあり,両意匠の類否判断における影響は一定程度認められる。相違点(オ)は,小さな相違ではあるが,目にしやすい主把手の上面にあり,蓋の開け閉めをする際には必ず触れる部分でもあるから,両意匠の類否判断における影響は一定程度認められる。相違点(カ)は,片手鍋形圧力鍋における副次的な把手とはいえ,鍋にとっては大事な部分である把手の一つであり,使用時の持った感覚や,洗うときの容易さなどの使い勝手の差異を想起させる形状の差異であるから,両意匠の類否判断における影響は一定程度認められる。
以上のとおりであって,相違点がもたらす印象は,全てを総合すると,前記共通点が醸し出す印象をしのいでおり,見る者に両意匠が別異であると認識させるものである。

したがって,両意匠は,意匠に係る物品は一致しているが,その形態については,両意匠の共通点及び相違点の視覚的効果を総合的に判断すると,相違点が共通点を圧し,両意匠は,類似しないものと言える。

4.結び
以上のとおりであって,本願意匠は,引用意匠に類似せず,原査定の引用意匠をもって,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当すると言うことはできず,本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2014-04-23 
出願番号 意願2012-14357(D2012-14357) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (C5)
最終処分 成立 
前審関与審査官 温品 博康小林 裕和 
特許庁審判長 斉藤 孝恵
特許庁審判官 橘 崇生
江塚 尚弘
登録日 2014-05-23 
登録番号 意匠登録第1500854号(D1500854) 
代理人 特許業務法人 ユニアス国際特許事務所 
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