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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 B7
管理番号 1288640 
審判番号 不服2013-24676
総通号数 175 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2014-07-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-12-16 
確定日 2014-06-16 
意匠に係る物品 化粧用フェイスマスク 
事件の表示 意願2012- 21104「化粧用フェイスマスク」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠

本願は,平成24年(2012年)8月31日付けの意匠登録出願であり,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「化粧用フェイスマスク」とし,その形態を願書及び願書に添付した図面の記載のとおりとしたものであり,「赤色で着色された部分以外の部分が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」としたもの(以下,本願において,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本願部分」という。)である。(別紙第1参照)


第2 原査定の拒絶の理由及び引用意匠

原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたもので,拒絶の理由に引用した意匠(以下,「引用意匠」という。)は,特許庁発行の意匠公報に記載の意匠登録第1420245号(意匠に係る物品,化粧用パックシート)の意匠の,本願部分に対応する部分(以下,「引用部分」という。)であって,その形態は,同公報に掲載されたとおりのものである。(別紙第2参照)


第3 当審の判断

1.本願意匠と引用意匠の対比

(1)意匠に係る物品について
本願意匠の意匠に係る物品は,「化粧用フェイスマスク」であり,一方,引用意匠に係る物品は,「化粧用パックシート」であって,表記は異なるが,本願意匠と引用意匠(以下,「両意匠」という。)は,いずれも化粧水や美容液等を含浸させた薄型のシート状のフェイスマスクであることから,両意匠の意匠に係る物品は,共通する。

(2)本願部分及び引用部分(以下,「両意匠部分」という。)の用途及び機能,並びに位置,大きさ,及び範囲

(2-1)両意匠部分の用途及び機能について
両意匠部分の用途及び機能は,両意匠とも化粧用のフェイスマスクとして使用するため,共通する。

(2-2)両意匠部分の位置,大きさ及び範囲について
両意匠部分の位置,大きさ及び範囲は,ともにフェイスマスクの顔面の下顎を覆う部分であり,位置及び大きさについては共通し,範囲については異なる。
なお,両意匠部分の範囲については,本願部分は頬から下顎までをカバーする「化粧用フェイスマスク」の下顎部分であり,一方,引用部分は額から下顎までをカバーする「化粧用パックシート」の下顎部分であり,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分の物品全体の形態に対する当該部分の相対的な大きさ(面積比)である「範囲」は,本願部分においては本願意匠全体の約1/2となり,引用部分においては引用意匠全体の約1/3となるから,本願部分より引用部分のほうが小さいため,異なる。

(3)両意匠部分の形態について
両意匠部分の形態を対比すると,その形態には,以下に示す主な共通点と相違点が認められる。

(3-1)両意匠部分の共通点
両意匠部分は,化粧用フェイスマスクの下顎を覆う部分であり,下辺に直線部を設け,その下辺両端部から斜め上方にやや広がるように左右両辺を設け,その上端部から内側に向けて略対角線に斜めに切れ込みを設け,左右対称に形成された略横長矩形状をしているものであり,基本的構成態様において共通している。

(3-2)両意匠部分の相違点
それに対して,次の具体的構成態様において,両意匠は相違している。

(a)下辺部の態様について,本願部分は,左右方向の長さの約3/4からなる下辺直線部の両端に,左右方向の長さの約1/13の回転半径からなる,小さい丸みを帯びた角部を形成しているのに対して,引用部分は,左右方向の長さの約2/5からなる下辺直線部の両端に,左右方向の長さの約3/10の回転半径からなる,大きな丸みを帯びた角部を形成している点。

(b)左右上方部の態様について,本願部分は,左右上端部から本願部分の中心方向に向けて,左右方向の長さの約1/4からなる切り込み辺を形成し,更に切り込み辺の内側端部から垂直上方向に,左右方向の長さの約1/17からなる切り込み辺を形成しているのに対して,引用部分は,左右上端部の円弧状端部から引用部分の中心方向に向けて,左右方向の長さの約1/7からなる切り欠き部を形成し,その切り欠き部は内側端部を頂点とする,略ヘアピン状に形成している点。

(c)左右上端部の態様について,本願部分は,左右側面部から本願部分の中心方向に向けて,略直角となる角部を形成しているのに対して,引用部分は,左右側面部から引用部分の中心方向に向けて,円弧状となる角部を形成している点。

2.類否判断

以上の共通点及び相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価・総合して,両意匠の類否を意匠全体として検討し,判断する。
両意匠は,意匠に係る物品が共通し,両意匠部分の用途及び機能,並びに位置及び大きさが共通であるが,範囲については相違し,また,形態については,以下のとおりである。

まず,共通点については,フェイスマスクの下顎を覆う部分を左右対称に形成し,左右上端部を頂点とする略横長長方形状とすることは,この分野においては従来から存在するものであり,両意匠にのみ共通する特徴的な態様とは言えず,両意匠の類否判断に与える影響は軽微なものであるから,両意匠の類否判断を決定づけるまでには至らないものである。

これに対して,相違点(a)の下辺部の態様,相違点(b)の左右上方部の態様,及び相違点(c)の左右上端部の態様については,細部とはいえ,いずれも目を惹く箇所であり,特に(a)の左右側上端部から下辺部を経て右側上端部へと繋がる態様において,本願部分の角張ったイメージと引用部分のほぼ円弧状とも言える程の丸みを帯びたイメージとは相違しており,これらの各相違点に係る態様が相まって生じる視覚的効果は,意匠全体として見た場合,上記共通点を凌ぎ,需要者に別異の美感を起こさせるものであるから,本願意匠は,引用意匠に類似しないものと言える。


第4 むすび

以上のとおりであって,本願意匠は,引用意匠に類似せず,原査定の引用意匠をもって,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当すると言うことはできず,本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2014-05-29 
出願番号 意願2012-21104(D2012-21104) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (B7)
最終処分 成立  
前審関与審査官 小林 裕和木本 直美 
特許庁審判長 斉藤 孝恵
特許庁審判官 綿貫 浩一
江塚 尚弘
登録日 2014-06-27 
登録番号 意匠登録第1503418号(D1503418) 
代理人 片山 礼介 
代理人 中田 和博 
代理人 青木 博通 
代理人 柳生 征男 

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