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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 D3
管理番号 1290581 
審判番号 不服2013-24843
総通号数 177 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2014-09-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-12-17 
確定日 2014-07-22 
意匠に係る物品 照明器具 
事件の表示 意願2012- 1976「照明器具」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠

本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとする,平成24年(2012年)1月31日付けの意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「照明器具」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下,「形態」という。)を,願書の記載及び願書に添付した図面に表されたとおりとし,「実線で表した部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」(以下,本願において,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本願請求部分」という。)としたものである。(別紙第1参照)

第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠

原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであり,拒絶の理由に引用した意匠(以下,「引用意匠」という。)は,本願出願前,日本国特許庁発行の意匠公報(発行日:平成23年(2011年)11月7日)に掲載された,意匠登録第1426836号(意匠に係る物品,発光ダイオードを用いた天井照明器具)の意匠の当該部分(以下,本願請求部分に相当する引用意匠の当該部分を「引用相当部分」という。)であって,その形態は,同公報に掲載されたとおりのものである。(別紙第2参照)

第3 当審の判断

1.本願意匠と引用意匠の対比
(1)意匠に係る物品
本願意匠と引用意匠(以下,「両意匠」という。)は,いずれも天井に設置する発光ダイオードを用いた照明器具であるから,両意匠の意匠に係る物品は,共通する。

2.本願請求部分と引用相当部分の対比
(1)本願請求部分と引用相当部分の用途及び機能
本願請求部分と引用相当部分(以下,「両意匠の当該部分」という。)は,いずれも天井用照明器具についての,底面部側の底面視正方形の照明部分であるから,両意匠の当該部分の用途及び機能は,共通する。

(2)両意匠の当該部分の位置,大きさ及び範囲
両意匠の当該部分は,いずれも天井用照明器具についての,底面部側の略正方形状枠体部を除いた底面視正方形の面部分であるから,両意匠の当該部分の位置,大きさ及び範囲は,共通する。

(3)両意匠の当該部分の形態
両意匠の当該部分の形態を対比すると,主として以下の共通点及び相違点が認められる。
以下,対比のため,本願意匠の図面における正面,平面等の向きを,引用意匠にもあてはめることとする。

まず,共通点として,両意匠の当該部分全体は,底面視略正方形状の照明器具の枠体部内に,透光性を有する発光カバー部(以下,「発光カバー部」という。)を,縦二列の配列で並設し,その中間部分に平面視縦長長方形状の水平板部(以下,「中央水平板部」という。)を配設し,左右カバー部の外側部分に外に向かって下に傾斜する傾斜板部(以下,「外側傾斜板部」という。)を形成している点が認められる。

他方,相違点として,
(ア)発光カバー部の態様について,本願請求部分は,短手方向の幅を本願請求部分全体の横幅の約1/4.5とし,長手方向の幅を本願請求部分全体の縦幅よりやや短いものとし,長手方向の左右縁部分に僅かな段差部を一段形成し,その表面をほんの僅かに下に膨出した円弧状とした底面視略縦長長方形状の板体であって,その材質は透光性を有するものの発光カバー部により覆われた発光部内部の形状を透けて見ることはできないものであるのに対して,引用相当部分は,短手方向の幅を引用相当部分全体の横幅の約1/6.8とし,長手方向の幅を引用相当部分全体と同じ長さとし,その表面をフラットに形成した底面視略縦長長方形状の板体であって,その材質はすりガラスのような透光性の樹脂材料からなっており,発光カバー部により覆われた発光部内部における反射部材の発光カバー部に近い部位の形状をうっすらと見ることができるものである点,
(イ)発光カバー部上下の窪み状余地部の有無について,本願請求部分は,発光カバー部の長手方向の上下端部と底面視略正方形状の枠体部との間に,底面視横長長方形状の窪み状の余地部を設けているのに対して,引用相当部分は,発光カバー部と枠体部とを密着して配設している点,
(ウ)中央水平板部の態様について,本願請求部分は,短手方向の幅を発光カバー部の幅と同じく本願請求部分全体の横幅の約1/4.5とし,発光カバー部よりやや下に突出した配置態様で配設した底面視略縦長長方形状で断面視略凹状の薄い板体であるのに対して,引用相当部分は,短手方向の幅を発光カバー部の2倍の幅である引用相当部分全体の横幅の約1/3.4とし,発光カバー部と同一平面上に配設した底面視略縦長長方形状の板体である点,
(エ)外側傾斜板部の態様について,本願請求部分は,短手方向の幅を発光カバー部より狭く形成して,本願請求部分全体の横幅の約1/6.8とし,発光カバー部と接した縁部から下に向かって約15°の傾斜面を形成しているのに対して,引用相当部分は,短手方向の幅を発光カバー部より広く形成して,引用相当部分全体の横幅の約1/4.9とし,発光カバー部側に幅の狭い平坦面を形成し,この平坦面の縁部から下に向かって約27°の傾斜面を形成している点,

3.両意匠の当該部分の類否判断
両意匠の当該部分の形態における共通点は,両意匠の天井用照明器具の底面部側の枠体部内部の態様を概括的に捉えたに過ぎないものであるから,この共通性のみをもって両意匠の当該部分の類否判断を決定することはできないものである。
そして,これらの共通点は,全体としてみても,両意匠の類似性についての判断を決定付けるまでには至らないものである。

これに対し,相違点(ア)発光カバー部の態様,相違点(イ)発光カバー部上下の窪み状余地部の有無,及び,相違点(ウ)中央水平板部の態様については,中央水平板部及び発光カバー部の配置態様は,最も目立つ部位であり,下側に突出した中央水平板部の両脇に,それと同じ横幅の発光カバー部を上下に窪み状の余地部を設けて嵌め込んだ本願請求部分の態様と,発光カバー部の約2倍の横幅をもつ幅広な中央水平板部の両脇に,細身の発光カバー部を周囲に隙間なく同一面上に配設した引用相当部分の態様とは,看者に対して全く異なる印象を与えるものであるから,これらの相違点(ア)ないし(ウ)が両意匠の当該部分の類否判断に及ぼす影響は非常に大きい。
次に,相違点(エ)外側傾斜板部の態様については,フラットに近い緩傾斜の外側傾斜板部が,幅広の発光カバー部と隣接した位置から下に向かって形成され,僅かに奥まった位置に発光カバー部があるとの印象を与える本願請求部分の態様と,外側傾斜板部とそれより幅の狭い発光カバー部との間に平坦部が設けられ,本願請求部分の約2倍の傾斜の外側傾斜板部が,その平坦部から下に向かって形成され,やや奥まった位置に発光カバー部があるとの印象を与える引用相当部分のものとは,特に発光時において別異な印象を与えるものであるから,この相違点(エ)が両意匠の当該部分の類否判断に及ぼす影響も大きい。
そして,これらの相違点(ア)ないし(エ)が相まって生じる視覚的効果は,両意匠の当該部分を全体として見た場合,上記共通点の影響を凌ぎ,需要者に別異の美感を起こさせるものであると言うことができる。

4.両意匠の類否判断
上記のとおり,両意匠の意匠に係る物品については,共通し,両意匠の当該部分の用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲についても,共通しているが,両意匠の当該部分の形態については,上記のとおり,相違点が類否判断に及ぼす影響が,共通点のそれを上回っており,全体として別異の印象を与えるものであるから,本願意匠と引用意匠とは類似しないものと認められる。

第4 結び

以上のとおりであって,本願意匠は,引用意匠に類似せず,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものであるから,本願については,原査定における拒絶の理由によって拒絶すべきものとすることはできない。

また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。

別掲
審決日 2014-07-07 
出願番号 意願2012-1976(D2012-1976) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (D3)
最終処分 成立  
前審関与審査官 佐々木 朝康 
特許庁審判長 小林 裕和
特許庁審判官 江塚 尚弘
斉藤 孝恵
登録日 2014-08-08 
登録番号 意匠登録第1506587号(D1506587) 
代理人 特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK 

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