• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服  2項容易に創作 取り消して登録 F4
管理番号 1290587 
審判番号 不服2013-25768
総通号数 177 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2014-09-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-12-27 
確定日 2014-08-05 
意匠に係る物品 包装袋 
事件の表示 意願2012- 3923「包装袋」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 1.本願意匠

本願は,平成24年(2012年)2月24日付けの意匠登録出願であり,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「包装袋」とし,その形態を願書及び願書に添付した図面の記載のとおりとするものである。(別紙第1参照)


2.原審の拒絶の理由

原審における拒絶の理由は,本願意匠が,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので,意匠法第3条第2項の規定に該当するとしたものであって,具体的には,扁平な直方体袋の上部両側を斜状に漸次すぼめて襠を形成して上端を溶着し,上部の正面視は台形状を呈し,矩形状を呈する下部に縦中央に開封案内線であるミシン目が形成されているものであるが,上部が台形状で下部が矩形状を呈する正面視の包装袋は,本願意匠出願前より公然知られたものであり(例えば,意匠1,意匠2,意匠3,意匠4),開封案内線を種々の位置に種々の態様で形成したものも,従来より普通に見受けられ(例えば,意匠5,意匠6,意匠7),本願意匠は日本国内又は外国において公然知られた形状に基づいて,通常の知識を有する者が格別の創作力を要せず容易に創作できたものと認められる,というものである。

意匠1(別紙第2参照)
特許庁発行の公開特許公報記載,特開2005-138845[図12]に表されている包装袋の意匠

意匠2(別紙第3参照)
特許庁発行の公開特許公報記載,特開2003-291986[図4]に表されている包装袋の意匠

意匠3(別紙第4参照)
特許庁発行の公開特許公報記載,特開2007-020523[図13]に表されている意匠

意匠4(別紙第5参照)
特許庁発行の公開特許公報記載,特開2005-021161[図1]に表されている意匠

意匠5(別紙第6参照)
特許庁発行の公開特許公報記載,特開2002-114285[図7]の意匠に表されている底辺中央から上方中程まで縦に形成された分断可能部(21,63)のミシン目

意匠6(別紙第7参照)
特許庁発行の公開特許公報記載,特開2007-297132[図21]に表されている意匠

意匠7(別紙第8参照)
特許庁発行の公開実用新案公報記載,昭和63年実用新案出願公開第013891号


3.請求人の主張の要旨

本願意匠は,扁平円形のおにぎりである円状飯を包装する袋であって,願書に添付の図面に示されたとおり,次の形状を具えている。
a.全体形状は,直方体の下部体の上へ,入母屋状の上部体が繋がった,立体的な袋である。
b.下部体の底辺中央には,1本のミシン目が正面,底面,背面に繋がって縦に形成さているが,ミシン目は下部体の正面及び背面までで止まっており,上部体には延びていない。
c.下部体の両側面下部に,三角形の係止部が折り曲げられている。
本願意匠の創作点は,直方体である下部体に入母屋状の上部体が連続した包装袋において,下部体にだけ正面,底面,背面の3面に繋がるミシン目を施し,上部体にはミシン目が形成されていないことにある。ミシン目を下部体だけに施すことで,店舗の陳列棚に並べる際に商品どうしは互いに接し,斜め上方から観たときに下部体のミシン目は隠れて視認されず,外部に露出した上部体の正面,背面にはミシン目等の開封案内線はないため,食品を包装する包装袋の清潔感を可及的に高めることができるという美観を与え,すっきりとしたスマートな外観となる。
さらに,この形状を採用したことによって,陳列時には開封方法がわからないが,手にとって初めて下部体のミシン目に気付き,その下部体のミシン目を裂くために,下部体の側面にある係止部を摘んで側方へ引く1つの動作で,ミシン目が分断して下部体の底面が中央から開き,飯塊が取り出されるという工夫と創作力を知るという,意外性を与えることができる。
一方,本願意匠に対する何れの引用意匠も,包装袋の下部体にだけ正面,底面,背面の3面に繋がるミシン目を施したものではない。
意匠1及び意匠2は,上部体正面にミシン目に似た点線が1本描かれているが,これは陰影線であってミシン目ではない。たとえ,意匠1及び意匠2の点線が,ミシン目又はミシン目の如き模様であったとしても,それは包装袋の下部体ではなく上部体のみに施されていること,包装袋の上辺にV字状の切り口が形成されていることから,包装袋を観たときに,観者は上部体に強い印象を受ける。
意匠3及び意匠4は,夫々上部体上辺の幅方向中央から縦に包装袋を一周する重ね合わせ部位,及びカットテープを有するが,これらは包装袋の中央を縦方向に一周する太いラインとして,観者に安定した力強い印象を与える。
意匠5は,包装シートを緊密に飯塊に巻き付けた正面視三角形の包装おにぎりであり,包装シートに形成されたミシン目は,包装シートの長手方向の全長に形成されているが,ラベルの貼付される背面視では下部だけに視認され,上部は包装シートの端縁の重なりによって視認することはできない。
意匠6は,意匠4と同様に上部体上辺の幅方向中央から縦に包装袋を一周する開封帯を有しており,これらラインは,包装袋の中央を縦方向に一周する太いラインとして,観者に安定した力強い印象を与える。
意匠7は,台形形状の包装袋の上辺中央から高さ方向の略中央までミシン目状切取り線が延びた構成であり,サンドイッチを包装した状態では,ミシン目状切取り線は,横向きにした三角柱の斜面の中央の全長に亘って現れる。
よって,何れの引用意匠も,包装形態において,重ね合わせ部位やカットテープ,ミシン目等が,正面視において上辺から底面まで延びるものであり,本願意匠のように,下部体にだけ正面,底面,背面の3面に繋がるミシン目を施し,上部体にはミシン目等の開封のための構成は除いて視認されない点とは異なる。このように,全長に亘って開封のための構成態様が視認される意匠1乃至意匠7が知られる中で,全長に亘って開封のための構成態様を視認させず,下部体のみにミシン目を形成することは,格別な創作力を必要とし,これら引用意匠から容易に創作することはできない。
以上より,本願意匠は意匠1乃至意匠7に基づいて,容易に創作できたものではなく,意匠法第3条第2項の規定には該当せず,意匠登録を受け得るものである。


4.当審の判断

以下において,本願意匠の意匠法第3条第2項の該当性,つまり,本願意匠が当業者であれば容易に創作することができたか否かについて,検討し,判断する。

(1)本願意匠の形態
本願意匠は,略扁平円柱形からなるおにぎりを包むための包装袋であって,おにぎりを格納するための略直方体からなる下部格納部と,包装袋におにぎりを格納後に溶着し封かんする,略台形部からなる上部ふた部からなり,下部格納部の正面中央から縦方向に底辺中央を通り,背面中央へと繋がる開封案内線であるミシン目を設け,また,両側面の底辺部に,二等辺三角形をした係止部を設けている。上部ふた部は,本体部最上部に水平に設けられた略横長台形状からなる溶着部,そして両側面は略台形部が内側に湾曲した状態で,上部ふた部内に格納されているものである。

(2)本願意匠の創作の容易性について
原審の拒絶の理由において,上部が台形状で下部が矩形状を呈する正面視の包装袋は,本願出願前より公然知られたものであるとして,意匠1ないし意匠4を示した上で,当業者であれば容易に創作できた意匠であるとしているが,それぞれ以下の理由により,成り立たない。
意匠1及び意匠2については,溶着部の態様において,上部台形部の上辺だけでなく左右辺も溶着されており,上辺だけ溶着されている本願意匠とは異なるものである。意匠3における上部台形部は,上面が開口した略直方体の状態から上辺を直線的に封かんし,その状態から上辺の左右両端部を手前側に略縦長三角形状に折り曲げたものであり,本願の態様とは異なるものである。意匠4については,上部が略台形状で下部が略長方形状を呈するものであるが,高さ方向における略台形状と略長方形状との構成比率が,本願意匠は約7:10であるのに対して,意匠4は約2:1であり,本願意匠とは大きく異なるものである。
また,開封案内線を種々の位置に,種々の態様で形成したものも,従来より普通に見受けられるとして,意匠5ないし意匠7を示した上で,当業者であれば容易に創作できた意匠であるとしているが,それぞれ以下の理由により,成り立たない。
意匠5及び意匠6については,開封案内線であるミシン目が,包装シートの長さ方向中央部に,全長にわたり形成されており,包装した際に正面・底面・背面の全面にミシン目が表れるものであり,また,意匠7については,ミシン目が三角柱の一辺である斜面一面にだけ表れるものであって,正面及び背面の上面にミシン目が表れない本願意匠とは大きく異なるものである。
したがって,略直方体からなる下部格納部と略台形部からなる上部ふた部からなり,下部格納部の正面中央から縦方向に底辺中央を通り,背面中央へと繋がる開封案内線であるミシン目を設け,両側面の底辺部に,二等辺三角形をした係止部を設け,上部ふた部の本体部最上部に水平に設けられた略横長台形状からなる溶着部,及び上部ふた部内に内側に湾曲した状態で格納された略台形部を備えた本願意匠の態様は,先行意匠には見られない本願意匠独自のものであるから,本願意匠は,公知の形態に基づいて容易に創作できたものということはできない。


5.むすび

以上のとおりであるから,本願については,意匠法第3条第2項の規定に該当しないので,原審の拒絶の理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2014-07-23 
出願番号 意願2012-3923(D2012-3923) 
審決分類 D 1 8・ 121- WY (F4)
最終処分 成立 
前審関与審査官 小林 裕和木本 直美 
特許庁審判長 斉藤 孝恵
特許庁審判官 江塚 尚弘
綿貫 浩一
登録日 2014-08-22 
登録番号 意匠登録第1507517号(D1507517) 
代理人 宮野 孝雄 
代理人 西岡 伸泰 
代理人 久徳 高寛 
代理人 西岡 伸泰 
代理人 久徳 高寛 
代理人 長塚 俊也 
代理人 丸山 敏之 
代理人 宮野 孝雄 
代理人 長塚 俊也 
代理人 丸山 敏之 
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社   サービスに関しての問い合わせ