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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 C6 |
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管理番号 | 1292714 |
審判番号 | 不服2014-2732 |
総通号数 | 179 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2014-11-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2014-02-13 |
確定日 | 2014-09-17 |
意匠に係る物品 | 食品用シェーカー |
事件の表示 | 意願2013-2890「食品用シェーカー」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
1.本願意匠 本願は,2012年8月28日のアメリカ合衆国への出願に基づくパリ条約による優先権の主張を伴う,平成25年(2013年)2月14日付けの意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「食品用シェーカー」とし,その形態を願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照) 2.原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたもので,拒絶の理由に引用された意匠は,独立行政法人工業所有権情報・研修館が2007年12月21日に受け入れた,アメリカ合衆国Sundesa,LLC.発行の外国カタログ,「INTRODUCING The Best Mixer since the Wire Whisk.」に所載の,「Blender BOTTLE」と表示された「食品用シェーカー」の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HD19007802号)(以下,「引用意匠」という。)であって,その形態は,同カタログに記載されたとおりのものである。(別紙第2参照) 3.当審の判断 (1)意匠に係る物品について 本願意匠と引用意匠(以下,「両意匠」という。)を対比すると,意匠に係る物品は,共に「食品用シェーカー」であって,一致する。 (2)両意匠の形態について 両意匠の形態を対比すると,その形態には,以下に示す主な共通点と相違点が認められる。 (2-1)両意匠の共通点 基本的構成態様においては, (A)円筒状容器本体と蓋部から成るものである点, 具体的構成態様においては, (B)蓋は, (B-1)上面中央が膨出した状態である点,(B-2)下を略垂直面の帯状部とした点,(B-3)一端に寄せた吐出口を垂直方向に立設した点,(B-4)吐出口の反対側に設けたヒンジ部から吐出口までアーチ状のヒンジ付キャップを渡した構成である点,(B-5)当該ヒンジ付キャップで吐出口を閉じるものである点, (C)容器本体は, (C-1)上方から下方にかけて漸次縮径した略倒立円錐台状である点,(C-2)周側面に上端を円弧状とする縦長の浅い凹部を設けたものである点, で主に共通している。 (2-2)両意匠の相違点 それに対して,具体的構成態様において,(ア)蓋の上面の膨出部形状について,本願意匠は,僅かに膨出した球面形状であるのに対して,引用意匠は,球体の4分の1ほどの球面形状である点,(イ)蓋の上面縁部分について,本願意匠は,ヒンジ部後側を除いた部分を極細い水平面としているのに対して,引用意匠は,全周にわたって比較的広い水平面としている点,(ウ)ヒンジが設けられている位置について,本願意匠は,ヒンジ後端部が蓋周縁に接していて,蓋後端縁の水平面が途切れて,ヒンジ後端部が帯状部と面一になっているのに対して,引用意匠は,全周にわたって有る水平面内側にヒンジ部を設けている点,(エ)ヒンジ付キャップ上面形状について,本願意匠は,段差などを設けていないのに対して,引用意匠は,横向き円筒形のヒンジの,円筒形下側にキャップを設けているから,ここに屈曲した形状が表れ,キャップ先端側には正円の凹部が認められる点,(オ)キャップの平面視形状について,本願意匠は,先端が大きく丸いしゃもじ状を呈しているのに対して,引用意匠は,全体が同幅帯状で先端部を円弧状としている点,(カ)キャップ下側先端の閉塞部の形状について,本願意匠は,吐出口を外から包むようにしたものであって,その下辺を斜めに形成しているのに対して,引用意匠は,吐出口と同径で周側面を面一にしたものであって,その下辺は水平である点,(キ)容器本体周側面と底面の境界部分の形状について,本願意匠は,段差を設けた上で,丸みを持たせているのに対して,引用意匠は,段差が無く,角張っている点,(ク)容器本体周側面の凹部について,本願意匠は,引用意匠に比べて深い凹部であるのに対して,引用意匠は,本願意匠に比べて浅く,全体に波板状縦筋を設けている点において主な相違点が認められる。 (3)類否判断 両意匠を比較した場合,共通点は,両意匠の形態全体の骨格的な態様をなし,一見したときに共通する印象を与えると言える。 しかし,これに対して,具体的態様である相違点(ア)は,キャップの下側に当たるとは言え,蓋の全体形状を構成する大きな部分であって,目に付きやすい位置の相違であるから,両意匠の類否判断における影響は一定程度認められる。相違点(イ)は,本願意匠が,前後両端に,蓋の直径いっぱいに離して,吐出口とヒンジ部を設けた印象を与えるのに対して,引用意匠は,水平面である上面縁部分の幅分蓋より一回り小さい径の膨出部に突出口とヒンジ部を設けた印象で,目に付きやすい位置の相違であって,かつ,内容物を出すときに気にする突出口の位置の相違であるから,両意匠の類否判断における影響は一定程度認められる。相違点(ウ)ないし(カ)は,使用の際,開閉時に触れるキャップ部分の態様の違いであり,この部分は目に付きやすい位置であるから,これらの相違は,両意匠の類否判断における影響は一定程度認められる。相違点(キ)は,卓上に置いてある場合は,余り目の届く位置ではないが,この種物品は,手に取って使用するものであるから,観察可能であるし,部分的ではあっても,容器本体形状に関わる点であって,相違点(ク)の,容器本体をつかんだときに指の滑り止めとして働く態様と合わせて,両意匠の類否判断における影響は一定程度認められる。 以上のとおりであって,相違点がもたらす印象は,全てを総合すると,前記共通点が醸し出す印象をしのいでおり,見る者に両意匠が別異であると認識させるものである。 したがって,両意匠は,意匠に係る物品は一致しているが,その形態については,両意匠の共通点及び相違点の視覚的効果を総合的に判断すると,相違点が共通点を圧し,両意匠は,類似しないものと言える。 4.結び 以上のとおりであって,本願意匠は,引用意匠に類似せず,原査定の引用意匠をもって,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当すると言うことはできず,本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2014-09-01 |
出願番号 | 意願2013-2890(D2013-2890) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(C6)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 伊藤 宏幸 |
特許庁審判長 |
本多 誠一 |
特許庁審判官 |
中田 博康 橘 崇生 |
登録日 | 2014-10-24 |
登録番号 | 意匠登録第1512341号(D1512341) |
代理人 | 辻居 幸一 |
代理人 | 倉澤 伊知郎 |
代理人 | 井野 砂里 |
代理人 | 松下 満 |
代理人 | 弟子丸 健 |
代理人 | 熊倉 禎男 |